甘言密語(かんげんみつご)
→ 相手に取り入るために使う甘い言葉。
「月が綺麗ですね」という言い回しには、愛の告白の意味が込められている。
そのきっかけを作ったのは、文豪の夏目漱石だという。
小田島雄志著の珈琲店のシェイクスピア(1978年)には、こんなエピソードが紹介されている。
夏目漱石が英語教師をしていたとき、生徒に「I love you」の訳し方を尋ねた。
すると、その生徒は愛していますと直訳した。
これに対して、夏目漱石は月がとっても青いからと訳すのだと諭したそうだ。
また、月が綺麗ですねと訳しておきなさい、日本人にはそれで通じると夏目漱石が語ったという説もある。
ストレートに愛していると相手に伝えることが苦手な日本人の性格を組み込んで、意訳したというのである。
それが今にも伝わっており、月が綺麗という言い回しは愛の告白と同義と受け取れるとなった。
ただ、このエピソードが実話かどうかは不明だという説もある。
月が綺麗ですねに対する粋な返し方
ロシアの小説である片恋を二葉亭四迷が翻訳した。
そこには、「ваша」というロシア語があり、あなたのものよと日本語訳されるのが一般的だった。
それを、死んでもいいと意訳した。
これを夏目漱石が意訳した、月が綺麗ですねの返答として、死んでもいいという言葉を選択することが、文学的で粋だとされているのだ。
他にも、ずっと月は綺麗ですよといった返答もあるそうだ。
これは、私もずっとあなたのことが好きでしたという意が込められているのである。
また、あなたと見る月だからという返し方も知っておくといいかもしれない。
いつも見ている月がこんなに綺麗なはずはない、あなたと一緒に見る月だから綺麗という意味で、告白した相手が特別な存在であるという意味になる。
つまり、あなたは特別ということで、告白に対してオッケーを出しているということだ。
月が綺麗ですねの類語
星が綺麗ですね
星が綺麗ですねは、きっと相手は自分の気持ちを知らないだろう、片思いの相手にこっそり想いを告げたいときに使われる言葉とされている。
星は空に散らばってかき集めることも、掴むこともできないものだ。
月のように1つのものを共有できないという切ない想いを星に投影させているところから来ているのだろう。
あなたは私の想いを知らないでしょうねという隠語だ。
夕日が綺麗ですね
夕日が綺麗ですねは、相手と一緒にいて夜になる前にあなたの気持ちを知りたい、自分のことどう思っているのか聞きたいという表現だ。
デートの終わり、一緒に過ごした相手の気持ちを知りたいものだ。
もしかしたら、そのまま夜も一緒にいてくれるかもという期待も込めているというニュアンスもある。
つまり、あなたの気持ちを知りたいという隠語だ。
海が綺麗ですね
海が綺麗ですねは、とても強い情熱を持ってあなたを愛しているという、つまりあなたにゾッコンという表現だ。
アインシュタインが人の感情は移ろいやすいもので、その様子を人は海のようなものであるという名言を残している。
その移ろい変わりゆくところ、すべてを愛したいという情熱的な表現を知っておいてもいいだろう。
あなたに溺れたいという隠語だ。
虹が綺麗ですね
虹が綺麗ですねは、いつでも繋がっていたい、一緒にいたいということを相手に告げたい気持ちだ。
詩的には、虹は架け橋で、遠くの会えない人へ繋がっているということを願う気持ちのときに用いられる。
虹のふもとに宝物もあるとされるので、相手がとても大切である意味も含まれているという。
あなたと繋がりたいという隠語だ。
雨音が響いてますね
雨音が響いてますねは、過去形で愛していたけど諦めますという決別を意味している。
雨が降っていることが、自然にある当たり前の様子で、どこか人ごとに感じる言葉だ。
雨と同じようにあなたを愛する気持ちからも、離れますという切ない気持ちが込められている。
あなたを愛していましたという隠語だ。
明日は晴れますか?
明日は晴れますかは、あなたに片思いしているけど、それは実るのかという気持ちの表れだ。
好きだという気持ちはあるけれども、直に口には出せない不器用な思いが隠れている。
両想いであれば歓喜に変わることから、心が晴れるということを伝えている。
明日、あなたに対する私の気持ちは晴れますか?という隠語だ。
雨が止みませんね
雨が止みませんねは、あなたともっと一緒にいたいという気持ちの告白の意味がある。
雨が降っていれば外へ出るには濡れるので、室内で一緒に過ごそうという意味も含まれている。
二人でいたいがために、雨に止んで欲しくないという恋心の言葉である。
もう少しあなたのそばにいたいという隠語だ。
今日は少し肌寒いですね
今日は少し肌寒いですねは、手を繋ぎたいけどはっきり言えない、いじらしい想いを告げたいときに使われる言葉だ。
少し肌寒いということは温もりを感じたいということで、つまり相手の手を繋ぎたいという気持ちの表れだということだ。
相手の手を繋ぎたくてもなかなか言い出せない恥らしいでいる姿が可愛いと感じられる表現だ。
手を繋いでくださいという隠語だ。
暖かいですね
暖かいですねは、相手と一緒にいて幸せであることを打ち明ける想いが込められている。
暖かいときは、幸せな気持ちになることから、そんな心があなたのおかげで暖かくなりましたという意味も含まれている。
あなたと一緒にいて幸せですという隠語だ。
寒いですね
寒いですねは、相手を抱きしめたい、または抱きしめて欲しいという大胆な気持ちを打ち明けた表現だ。
寒いときは人の温もりを感じたいけれども、はっきりと抱きしめていいかとは言いにくいものだ。
そんな気持ちを寒いことを理由に伝えられたらいいという意味も込められている。
抱きしめていいですかという隠語だ。
まとめ
日本語のいいところというか、奥ゆかしいところを紹介してきたが、いかがだろうか。
なにを言っているのかわからない、はっきり伝えて欲しいという人もいるだろうが、こういう言葉遊び的な部分は文化としても素晴らしいと個人的には思っている。
詩的に伝えるというところが大人というか、どこかセクシーな感じがするところも決して悪くないだろう。
言葉というのは、必ずしもストレートでなくてもいい。
【Twitterのフォローをお願いします】