夏炉冬扇(かろとうせん)
→ 時期はずれで無用のもの。役に立たないものや能力をいう。
無用なもの、役に立たないもの、役に立たない能力であっても大切にしておいた方がいい。
というのも、そう感じた時点では意味のないものや能力かもしれないが、人生のどこかでは繋がる可能性があるからだ。
未来を見て点を結ぶことはできない。過去を振り返って点を結ぶだけだ。だから、いつかどうにかして点は結ばれると信じなければならない。
これは誰の言葉か知っているだろうか。
2022年1月現在、世界No.1の時価総額を誇るAppleの創業者である、スティーブ・ジョブズの言葉だ。
2005年にスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式に招かれたときの伝説のスピーチの一部だ。
誰もが将来のことを考えたときに不安に感じるところはある。
けれども、未来は誰にも予測することはできないもので、全力でやりきることは簡単なことではない。
今まさにやっていることを点で捉えたとして、その点がどこかで線になることを知ることができるのは未来でしかない。
過去を振り返ったときに線となる未来を信じ、今という点を精一杯生きようというメッセージだ。
点が線になる瞬間を信じて進むしかないという、スティーブ・ジョブズ自身の戒めとも取れる。
そんな彼が創業したApple社の快進撃が止まらない。
2022年1月時点で世界No.1の時価総額企業
2022年1月3日のアメリカ株式市場でApple(アップル)社の時価総額が一時、3兆USドル(約340兆円)を突破したことが経済界を賑わせた。
3兆USドルの大台超えは世界の上場企業で初となる快挙だ。
これはアップル社の1社のみで東証1部全体の時価総額の半分に迫る勢いだと置き換えると、その規模の大きさがわかるだろう。
電気自動車(EV)分野への参入観測で成長期待が高まった他に、圧倒的に強い財務基盤が幅広い投資家を魅了しているのである。
マーケット全体を見ると一部の大型ハイテク銘柄にマネーが集中しているという事実はあれど、Appleの勢いは別格だ。
というのも、Appleの時価総額は2018年8月にアメリカ企業として初めて1兆ドルを突破し、約2年後の2020年8月に2兆ドルの大台を超えた。
そして、2兆ドルから3兆ドル達成までは約1年4ヶ月で到達しており、その増加スピードは遥かに加速している。
くり返しになるが、2021年12月30日時点の東証1部の時価総額合計は約734兆円なので、Appleは1社でその半分に迫る。
ちなみに、日本企業の時価総額No.1企業はトヨタ自動車で、2021年1月11日時点の時価総額が、約37兆8,834億円である。
そう考えると、Apple社は1年4ヶ月の間にトヨタ自動車クラスの企業を3つ程度作ったことになるのだ。
Apple(アップル)社にマネーが集まる理由
時価総額が上がるというのは、投資家の期待値が高まりマネー、つまりお金が集まっているという事実がある。
マーケットは嘘をつかないという格言が金融の世界にあるとおり、まさに企業価値がうなぎのぼりの状態だ。
では、なぜこんなにもAppleに人気が集まっているのだろうか。
そのきっかけになっているのは、世界で10億台以上稼働するスマートフォンのiPhoneなどのデバイスだ。
Androidに比べると高価格帯で利益率の高い高機能端末へユーザを惹きつけ、iCloudや音楽ストリーミング配信などのサービスでさらに稼ぐビジネスモデルが絶対的であることだろう。
また、ここ数年はデバイス周りのデバイス、例えばAirPodsといったイヤホンの登場も人気に拍車をかけている。
ここに新たな期待値が加わっているのが現状だ。
例えば、水面下で開発中と噂される拡張現実(AR)や仮想現実(VR)で登場するとされているデバイスや2025年を目安に登場するとされているEVがある。
このあたりが評価され、アメリカの格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスはAppleの格付けをトリプルA格に相当する、Aaaに引き上げている。
ブルームバーグ通信によると、S&P500構成銘柄で最高位の格付けは、Microsoft(マイクロソフト)とJ&J(ジョンソン・エンド・ジョンソン)、Apple(アップル)の3社のみだ。
また、Appleは2021年9月末時点で現金や市場で売却可能な債券を約1,900億ドル(約20兆円)保有していた。
そして、有利子負債を差し引いたネットキャッシュを時間をかけてゼロにする方針を公表しており、余剰資金を配当と自社株買いに振り向けるとしている。
こうした無双状態に動ける盤石な財務基盤が株価の下支えをしているのである。
アメリカのハイテク株にマネーが集まっている事実
Apple(アップル)とMicrosoft(マイクロソフト)、Amazon(アマゾン)、Alphabet(アルファベット)、Tesla(テスラ)、Meta(メタ)のハイテク6社にマネーが集まっている。
この6社の時価総額合計は、S&P500構成銘柄全体の25%を超えている。
S&P500とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCが公表しているアメリカの代表的な株価指数の1つだ。
ニューヨーク証券取引所、NASDAQ等に上場している企業から代表的な500銘柄を時価総額で加重平均して指数化している。
そのため、S&P500に連動するファンドに投資すれば、アメリカの主要企業500社へ投資しているのと同じ効果が期待できる。
日経平均という言葉を聞いたことがある人も多いと思う。
日経平均とは、日本経済新聞社が東証1部に上場する企業の中から業種等のバランスを考慮して選んだ、日本を代表する225社の平均株価のことだ。
この日経平均に連動するファンドがあるのと同様の考え方だと思ってもらえたらわかりやすいかもしれない。
まとめ
スティーブ・ジョブズはこの世を去った。
けれども、彼のマインドは今もなおApple(アップル)社に引き継がれて世界No.1企業となっている。
そんなApple社の創業者であるスティーブ・ジョブズが残した言葉に、いつかどうにかして点は結ばれると信じなければならないというものがあることを改めて書いておこう。
点をたくさん作ることは無駄ではなく、いつかそれが線となって大きなビジネスに繋がるということがある。
生意気ながらも私も今まさにそれを感じている次第だ。
その結果がどうなるか、未来のことは予測できないが、未来から過去を振り返ったときに確認したいと思う。
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