1日に最大で3万5,000回の決断をしている人間の思考回路

2022-01-08 投稿: 植田 振一郎

烏之雌雄(からすのしゆう)
→ 物事の是非や善悪の判断がしにくいこと。

人生は決断の連続である。

ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、私たちは1日に最大で3万5,000回の決断を下しているそうだ。

とまあ、いきない35,000回の決断を1日にしていると言われても、いまいちピンとこないだろう。

他にも決断ということに関するデータとして下記のような事例がある。

・人が1日に使用する単語の数は、無意識に取捨選択された約1万6,000語から成り立っている

(アリゾナ大学とテキサス大学の合同研究による)

・食べるものや場所といった食事に関する事柄だけで、人は1日に2,267回の決断をしている

(コーネル大学のジェフェリー・ソバル教授らの調査)

・車を1マイル(1.6km)運転するにつき、人は200を超える決断をしている

(米国労働安全衛生局)

人が決断するタイミングと回数

バーバラ・サハキアン教授の詳しい解析によると、私たちは、言語、食事、交通といった事柄だけでも、1日で平均2万回以上も選択をしているそうだ。

これに、歩く、座るといった、身体をどのように動かすかについての決断や、会社や自宅で行なっている決断まで全て含めると、3万5,000回に及ぶという。

朝起きてから夜寝るまでを考えてみよう。

今日はどんな服装で出かけようか、お昼にはなにを食べようか、帰ってなにをしようかといった個人的なことから、仕事でも決断することは多々ある。

取引先になんて返信しようか、上司にはなんて報告をしようか、部下にどのように接しようか、確かに考えればきりがない。

決断力とパフォーマンスの関係

1日に3万5,000回という決断をしているということは、脳が消耗することは理解できるはずだ。

身体を動かし続けていると疲労するのと同じように、決断を続けていると脳が疲労し、徐々に決断の質が低下していく。

この現象が、俗に言う決断疲れだ。

そんな決断疲れで有名な調査がある。

心理学者のジョナサン・レバーブ氏とシャイ・ダンジガー氏が行なったもので、両氏は刑務所の判事の決断疲れについて調査した。

その結果、なんと午前中から1日の終わりに向かって衝動的な決断が多くなり、決断の先送りも増えるということがわかったのだ。

また、同じ調査で肉体的な疲労と違って、決断疲れは自覚するのが難しいということも明らかになっている。

レバーブ氏によれば、衝動買いも決断疲れが引き起こす現象だという。

スーパーやコンビニで買い物をするときにも、実は多くの決断をしていて、無意識のうちに決断疲れに陥っている。

そのタイミングで目に入るのが、レジ近くにあるホットスナックやお菓子といった商品だ。

つい買い物カゴに入れてしまったことがあるという経験をしたことがある人も少なからずいるのではないだろうか。

これはまさにそんな心理をついた、衝動的な決断をしやすいタイミングで、ついでに買うにはちょうどいい商品を目に入れさせるという戦略をとっているのだ。

決断疲れの対策方法

クネビンフレームワークという考え方がある。

この手法は、その人が直面している状況を整理するために使える。

  • やるべきことがわかっているけど決断できない:単純 = simple
  • どの選択肢がいちばんいいかを決断できない:面倒 = complicated
  • 予測できないことだから決断できない:複雑 = complex
  • 答えがないから決断できない:混沌 = chaotic

この4種類に分類し、その場その場で最善の決断が下せるよう導く仕組みが、クネビンフレームワークだ。

取り巻く状況を客観的に見えるよう整理してくれる手法で、決断の仕方に確実な道筋を与え決断力を高めてくれるのである。

単純 = simple

やりたいこと、やるべき、したいこと、しなければならないことが明確な状態にあるときの決断の状況は、単純 = simpleに分類される。

例えば、毎日やっているルーティンを続けるか止めるか、自分のミスをすぐに報告するか少し様子をみるか、友人や恋人とケンカしたときに先に謝るか待つかというような場合だ。

なにも決断せずに行動を起こせている場合を考えてみるとわかりやすい。

オフィスまでの通勤、いつも頼んでいる定食屋でのメニューなどは迷うことなく自然と決断しているはずだ。

議論するまでもないくらい状況が明確なのに迷っているとしたら、それは怠慢からくる先送りなのだ。

内心、やるべきことやしなければならないことはわかっているはずだからである。

つまり、単純 = simpleな状況では、やるかやらないかの決断のルールを設定すれば、自動的に意思決定ができるのである。

面倒 = complicated

面倒 = complicatedは、4つのクネビンフレームワークの分類の中で、日常的に最も多く遭遇している決断の状況だ。

例えば、クライアントにどんな提案を持っていけばいいのだろうか、職場の人間関係をどうすれば上手くいくのだろうか、出会いがないけどどうすれば出会いがあるのだろうかというような場合だ。

転職しようと思っても、なかなか希望の企業が見つからなかったり、給与が下がったらどうしようとか、転職先がやっぱり合わなかったらどうしようといった決断をしなければならない。

そうなるとなかなか決断ができなくなってしまうような経験をしたことは誰にでもあるだろう。

こういった状況をクネビンフレームワークでは、面倒 = complicatedと分類する。

複雑 = complex

複雑 = complexは、判断のベースになるはずの因果関係が安定せず、変化する可能性が高い状況だ。

例えば、新型コロナウイルスによるパンデミックはまだまだ先がどうなるか見えないし、どうすれば収束するかという決定打もない。

どのように舵取りをしていくか、まさに複雑 = complexな決断をしなければいけない。

初めて対峙するような状況ではなにが正しいのかエビデンスが蓄積されていないので、その決断が難しいのである。

このように、理想的な解はなんとなく見えているものの、どうすればその結果が得られるのか確約がない、そもそもの状況が流動的に変化するのが複雑の特徴だ。

投資で確実に儲けたいけれどもどうすればいいのか、結婚したいけど本当に大丈夫なのかなど、こういった人生の大きな決断を前にした状況をクネビンフレームワークでは、複雑 = complexと位置づけている。

混沌 = chaotic

複雑をより一歩後退させ、原因と結果の因果関係もよくわからず、最適な答えもない状況が混沌である。

因果関係がなさそうに見えて、あるかもしれないと迷う気持ちも捨てきれないとか、説明できそうな現象ながら、関わる出来事が多すぎて説明できないといった状況だ。

また、複雑な問題がいくつか絡み合っているのにも関わらず、瞬時の意思決定を求められているような状況も混沌に分類される。

決めなくてはいけないことが多すぎるけれど、その1つ1つが複雑で対処できない、そんな厳しい状況だ。

例えば、子どもにとって将来有望な育て方はどういったものか、南海トラフ巨大地震に巻き込まれないためにはどうすればいいのか、そういった状況による決断は難しい。

仕事への対応、家庭での対応で複雑な問題がいくつも絡み合い、ぼんやりした自問自答の段階も、クネビンフレームワークでは、混沌 = chaoticとしている。

まとめ

クネビンフレームワークで4つに分類した状況から、良い決断をするには4つの決断の状況を次のように変化させていくことが重要だ。

  • 混沌 = chaoticを複雑 = complexに
  • 複雑 = complexを面倒 = complicatedに
  • 面倒 = complicatedを単純 = simpleに

最終的に単純 = simpleまで持ってくることができれば、議論するまでもなく決断できるということも増える。

その決断をしないのは、ただただ怠慢でしかないので決断もはやくなるということは、決断疲れも軽減されるというわけだ。

くり返しになるが、人生は決断の連続だ。

その決断でパフォーマンスを落とさないようにするためにも、その決断がどこの状況にあって、どうすれば単純 = simpleにできるのかを意識すると心がけよう。

 

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