博多と由布院を結ぶ幻の列車「或る列車」とは?

2021-12-06 投稿: 植田 振一郎

隔世之感(かくせいのかん)
→ 隔世とは時代を異にすることで、時代が移り変わってしまったと身にしみて感じること。

時代の変化は誰にも止めることはできない。

そもそも、止めようとすること自体がナンセンスだし、時代に合わせた変化を受け入れた上で進化をしていくことが建設的だ。

古き良きという言葉が使われることがあるが、ただ昔を懐かしむだけでなく、融合させることができれば共感が強くなる。

そんな事例を紹介しようと思う。

九州を走る幻の列車「或る列車」とは?

アイキャッチにそのまま拝借させてもらっているのが、九州の博多と由布院を結ぶ幻の列車がある。

或る列車

(出典:九州旅客鉄道株式会社)

100年の時を越え蘇る、幻の豪華列車というコンセプトを聞いて、ワクワクしない人がいるだろうか。

昨今、レストランの壁に映像を映すことで、店にいながらまるで旅しているかのように様々な景色を楽しめる体験型のレストランが注目を集めている。

ただ、この或る列車は真逆のアプローチで人気を博している。

博多と由布院のリアルな車窓からの景色を楽しむと同時に、超一流のコース料理も堪能できる美食体験ができるという。

1906年(明治39年)、当時の九州鉄道がアメリカのブリル社に豪華客車を発注したところから物語は始まる。

九州鉄道がブリル社に豪華客車を発注した後に、九州鉄道が国有化された。

国有化に伴い、活躍する機会の場がなかった、九州鉄道ブリル客車が今回の主役である、或る列車である。

明治時代に日本で最も豪華な設備を備えていた、幻の豪華客車が2015年の夏に九州に蘇った。

鉄道をこよなく愛し、世界的な鉄道模型の神様といわれた、原信太郎氏が作成した模型がある。

これを元に、水戸岡鋭治氏がデザインと設計を施す。

そして、原鉄道模型博物館の副館長を務める原健人氏が監修した。

クルーズトレインである、ななつ星 in 九州に次ぐラグジュアリーな空間が拡がる。

そんな豪華な空間に自然環境をテーマにした料理をつくり続けるシェフである、成澤由浩氏がプロデュースするコース料理を堪能できる至福のD&S(デザイン&ストーリー)列車なのだ。

ミシュラン2つ星 NARISAWAシェフが監修

博多から由布院へ。「幻の列車」で味わう究極のガストロノミーとは

(出典:Forbes)

2015年当初は、スイーツコースを提供していたが、フルコース料理を提供する方向へシフトした。

その監修を務めるのが、イノベーティブ里山キュイジーヌで知られる東京の青山にある、NARISAWAのオーナーシェフの成澤由浩氏である。

ヨーロッパ各地の名店で修行した後、2003年に東京に開業。

日本各地に眠る、自然との共生のための知恵を食に取り込み、地方の魅力を発信したいと日々新しい料理を生み出している。

そんな成澤氏が、或る列車の仕事を受けるにあたって、出した条件があるという。

それは、九州中を周り、自ら食材も器も選ぶことだった。

運行開始前の1年間、毎月九州を訪れて、約70の生産者を訪問し、実際に目で見て舌で確かめた食材を選び抜いたそうだ。

味だけではなく、成澤氏は地球にも人にも優しい食を目指している。

その思考から、食材は有機無農薬のものがメインで、例えば、現在使っている八女茶の生産者は、成澤氏との対話がきっかけで無農薬栽培を始めたそうだ。

その味を気に入った成澤氏が東京の店で使うなど、食と農の良い循環も生まれてきているのだという。

こだわりの豪華列車で登場する料理の数々

揺れる列車の中では、当然地上とは異なる限られた厨房設備を使わなければならない。

となると、事前に準備しておいた方がコース料理の提供が圧倒的に楽になるのは間違いない。

ところが、成澤氏は通常のレストラン同様、できる限りアラミニッツ(フランス語:できたての意味)で提供することにこだわりを持っている。

それを支えるために、ホテルオークラJRハウステンボスから選び抜かれて、NARISAWAでも研修を重ねた厨房スタッフが厨房を任されている。

そんなこだわりの一部を紹介すると、例えば、熊本県の車海老と佐賀県の鶏肉のみつせ鶏を使った前菜のサラダがある。

野菜類は鹿児島県の樽熟成した黒酢のジュレとその場で和え、カクテルグラスに盛り付ける。

盛り付けられたまま冷蔵された前菜とは、全く鮮度も温度感も格段に異なる。

また、若いパティシエは、揺れる車内でも小菓子の一口タルトのクリームを美しく絞り出すために訓練しているそうだ。

デザートのモンブランは、既製品のピュレを使うのではなく、熊本県のやまえ栗を使用し、地上にある専用の厨房で手作りしているというこだわりもある。

料理だけでなく、皿もグラスも、九州の作家の手による特注のものを使用している。

まさに九州がギュッと詰まった3時間を堪能できる至福のひとときが味わえる。

まとめ

日本にはVIPビジネスが全く根付いていないと海外のVIPは感じるそうだ。

いわゆるラグジュアリーといわれるサービスが圧倒的に弱いのである。

最近、キングコングの西野亮廣さんから学んだことだが、プレミアムとラグジュアリーの違いを理解しているだろうか。

プレミアムとは、客が決める競争相手がいる最上位のことで、ラグジュアリーとは、売り手が決める競争相手がいないものをいう。

車で例えるならば、前者がベンツで後者がランボルギーニやフェラーリといったスーパーカーといったところだ。

それから、このラグジュアリーを拡めるための数式がある。

認知 – 普及 = この差が大きければ大きいほど、ラグジュアリーの価値が出る

つまり、ラグジュアリーブランドは、買えない人を増やす努力をしている。

この説明は、本当に腹落ちした。

日本にも少しずつ、こういったラグジュアリーサービスが浸透し始めている。

それは、平等主義ではない、VIPがもたらすビジネスの好循環にようやく気づき始めた現れでもあるだろう。

なにをいわれているのか理解ができない人は、或る列車を利用する人は一部の金持ちだけだと、半ば皮肉った人だろう。

それはただの負け惜しみではないだろうか。

楽しめる側に行くためには、どうすればいいのか考えるだけでなく、実行することで人生が豊かになるかもしれないと思えるようになって欲しい。

参考までに、或る列車の予約状況を見てみるといいだろう。

予約困難になっているのは、なぜかを考えるきっかけになる。

 

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