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2021年11月19日 投稿:swing16o

消費税の歴史と導入されるに至った3つの理由

海誓山盟(かいせいさんめい)
→ 海や山は永久に変わらない、転じて男女間の変わることのない誓の意。

なぜこの四字熟語が生まれたのか背景はよくわからないが、海や山は永久に変わらないというのは真実ではないだろう。

約46億年前に地球という惑星が誕生してからを振り返っても大きく自然環境は変わっている。

そして、男女間の変わることのない誓というのも疑わしいところがある。

私にとっては、永久に変わらないものよりも時代に合わせて変わっていくもの、進化していくものの方がよっぽど価値があるように感じる。

変わっていくものというところでは、今や当たり前のように10%支払っている消費税がある。

ポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかは、その人の考え方によるだろう。

どちらでもいいが、そもそもなぜ消費税という税金が課されるようになったのか、歴史を知るところから始めよう。

消費税が導入された理由

1989年(平成元年)の4月1日から導入されてから、32年の歴史を迎える消費税。

まさに平成の歴史と共に歩んできた消費税は、導入当時は国民の猛反発があって連日マスコミを賑わせていた。

そんな消費税のスタート時の税率は3%だったが、今や10%となっている。

約30年の間にサラッと7%も増税している消費税だが、そもそもなぜ消費税を導入する理由があったのか。

その理由は大きく3つある。

1)税制全体のバランスをとるため

1つ目は、税制全体の公平性の確保という観点から導入された。

時代は戦後に遡るが、当時の日本の税制は、昭和25年のシャウプ勧告に基づいた所得税を中心としたものとなっていた。

ところが、戦後の復興期から高度成長期にかけて経済や社会構造が消費の多様化や多くのサービスの登場にによって変化していくと税制についても歪みが目立ち始めた。

所得水準が上昇するのはいいけれども、給与所得に税負担が偏ってきたことにより、主な納税者である現役世代の重税感や不公平感が高まるという事態になった。

と同時に、国民ができる限り幅広く公平に分かち合うことが望ましいという、いわゆる平等の概念が拡がり始めた。

その結果、抜本的な税制の不均衡を解決するために消費税が導入されることになったという流れだ。

2)個別間接税の問題点を解決するため

2つ目は、間接税の課題を解決するために導入された。

消費税は間接税の1つで、間接税とは消費者が事業者を通じて間接的に納税している税金のことをいう。

例えば、パン屋で1,000円分の商品を買ったとしよう。

そのパンにかかる消費税は2021年現在は10%なので100円となる。

パン屋で買い物をした人は1,100円をパン屋に支払う。

そしてパン屋は100円を税務署に納めるというフローで、間接的に消費者が支払っている税金というイメージだ。

実際は、仕入税額控除があったりするので、100円全額を税務署に納税するわけではないが、このあたりはわかりやすく割愛する。

対義語は直接税となるのだが、直接税とは企業が1億円の事業所得を得た場合、法人税率を23.2%だとすると2,320万円という金額になる。

この法人税を直接納税するので、直接税という呼ばれ方をする。

 

話を戻すと、消費税は間接税の1つだ。

1989年に消費税が登場する前あった間接税に、物品税があった。

ただ、この物品税は課税対象になるものとそうでないものの線引が、国民全体の所得が上がってくると曖昧になっていった。

課税されていた一例は下記のとおりだ。

  • 毛皮製品
  • ゴルフ用具
  • サーフボード、水上スキー
  • けやき製の家具
  • コーヒー
  • ウーロン茶

一方で非課税だった一例も挙げておこう。

  • 毛織物や絹織物といった高級織物
  • テニス用具
  • スキー
  • 桐製の家具
  • 漆塗りの家具
  • 紅茶
  • 緑茶
  • 玉露

そもそも、物品税は贅沢品に課せられる税金という位置づけだったが、国民の生活水準が上がってくると贅沢品に手が届く消費者が増えた。

となると、贅沢の基準が曖昧になり、選別が難しくなっているという時代背景があった。

そこで、消費税を導入することによって個別に課税するのではなく一律で課税できるという解決策としたのである。

3)高齢化社会の財源を確保するため

3つ目は、日本の人口高齢化に伴い所得税を軸にした財源では枯渇する恐れがあったことだ。

所得税を納税している世代の中心は20歳~64歳で、所得税を納税する世代に負担がかかることになる。

それを消費税を導入することによって、所得税を納税する世代への不公平感や重税負担が払拭されることを狙ったのである。

つまり、誰にでも平等に税金を課すことで財源の確保をするには消費税の導入が適切だという判断がされたということだ。

少子超高齢化が避けられない日本にとって、年金や福祉に関する財源がますます増加することは確実であることから消費税導入に踏み切ったのである。

消費税率の変化

そんなこんなで1989年(平成元年)に登場した消費税だが、約30年の間に3度も増税されている。

その歴史を振り返るとこんな感じだ。

  • 1989年(平成元年)4月1日:3%でスタート
  • 1997年(平成9年)4月1日:5%(国4% + 地方1%)
  • 2014年(平成26年)4月1日:8%(国6.3% + 地方1.7%)
  • 2019年(令和元年)10月1日:標準税率10%(国7.8% + 地方2.2%)、軽減税率8%(国6.24% + 地方1.76%)

3%から5%に増税されるまでは8年、5%から8%に増税されるまでは17年、8%から10%に増税されるまでは5年となっている。

実は8%から10%になるまでの期間は1年という計画がされていた。

つまり、2014年に5%から8%になった翌年の2015年には10%になる予定だったのだが、2度の延期によって2019年(令和元年)の10月1日からの施行となっている。

まとめ

当たり前のように支払っている消費税について、まとめてみたがどういった印象を持っただろうか。

もはや30代前半の人にとっては、物心ついた頃から導入されている税なので違和感なく支払いをしているかもしれないが、もちろん税金にも歴史がある。

なぜ税金を払う必要があるのか、その税金はどうやって生まれたのか、そのあたりを知ることで経済のことや時代背景が理解できる。

歴史を知ることで人生においてプラスになる情報もたくさんあるので、その一助を担えるよう、引き続きこういった情報も提供していこう。

 

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植田 振一郎 Twitter

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