世間を賑わせている不動産大手の中国恒大集団とは?

2021-09-22 投稿: 植田 振一郎

燕雀鴻鵠(えんじゃくこうこく)
→ 小物には大物の志や気概は分からないということ。

ここ数日、中国の不動産大手の恒大集団が世間を賑わせている。

そのきっかけは、中国共産党のトップである習近平国家主席の指導部が打ち出した政策による。

2020年12月に、住宅は住むためのものであり、投機の対象ではないというくり返し指導してきたことを改めて強調。

その指導に大きく影響されたとされる、中国恒大集団の現状を創業者である許家印会長にも触れながらまとめてみた。

中国恒大集団の現在の財務状況

中国政府の不動産融資に対する規制強化が引き金となり、巨額の負債を抱えてることになった、中国恒大集団が経営危機に陥っている。

・有利子負債残高(2021年6月末):5,718億人民元(約9.8兆円)

・純有利子負債(2021年6月末):4,101億人民元(約7.0兆円)
銀行借り入れが多く、社債発行残高は192億3,600万米ドル、1.01億香港ドル、合計で約2.1兆円

・格付け:長期間シングルB(ジャンク級)だったが、現状ではトリプルC(デフォルトを織り込み済み)

多くの報道では、負債総額は1兆9,665億元(約33兆4,000億円)とされているが、これはいわゆる総負債を指している。

有利子負債との差は円換算で24兆円で、そのうち16兆円強が買掛金、4兆円弱が契約上の負債となっている。

買掛金は建設中の物件(住宅など)の施工業者への支払いが含まれ、契約上の負債には顧客がすでに支払った物件などへの前払い金などが含まれるとされている。

いずれにせよ、巨額な負債であることに変わりはなく、中国不動産のバブルが崩壊するとか、リーマンショックのように世界経済に多大な影響を与えると懸念されているのだ。

中国恒大集団の創業者である許家印会長とはいかなる人物なのか?

世界揺るがす中国恒大、2度の「文革」が翻弄する創業者の半生

(出典:日経ビジネス)

許家印氏は1958年、河南省周口市にある貧しい村に生まれた。

生後すぐに母親を敗血症で亡くし、父親の男手1つで育てられたという。

時代背景的には、1958年は毛沢東主席が大躍進運動を進めた年である。

その政策により、科学的知見がない政策を強要されて農村経済が大混乱に陥り、深刻な飢饉が発生して大勢の餓死者が出た。

その後、1966年、毛主席は中国共産党内の権力闘争から文化大革命を発動した。

そんな中、大学入学試験が廃止されていたため、高校を卒業した許氏は農作業などに従事することになる。

1977に大学入試が再開され、許氏はその年に受験を試みるが準備不足で失敗する。

翌年の1978年に武漢鋼鉄学院(現・武漢科技大学)に入学した。

そして、1982年から河南省の鉄工所に勤めた後、1992年に貿易などを手掛ける深圳中達集団に入社した。

ちょうど、鄧小平が実権を握り、南巡講話を行い、中国は改革開放路線に明確に舵を切ったタイミングだ。

 

転機は1994年に訪れる。

上司を説き伏せて広東省広州市で不動産事業の会社を立ち上げて、大成功を収めることになる。

不動産ビジネスに商機を見いだした許氏は1996年独立し、広州市に恒大地産集団(現恒大集団)を設立。

それから快進撃が始まった。

2009年、香港市場に上場。

2010年にはサッカークラブを買収し広州恒大(現広州FC)へと名称を変更した。

買収したサッカークラブは、中国スーパーリーグを8回、アジアチャンピオンズリーグも2回制覇する強豪クラブとなる。

2017年に許氏は、中国調査会社の胡潤研究院がまとめる中国富豪番付で首位になった。

ちなみに2位は騰訊控股(テンセント)の馬化騰氏、3位はアリババ集団の馬雲氏ファミリーだ。

一介の鉄鋼労働者から不動産王へと上り詰めたのである。

 

2013年からは中国の国政助言機関である全国政治協商会議(政協)の常務委員を務めていて、政治とのパイプも太い。

ここ数年は、不動産事業以外に、電気自動車(EV)事業に参入して、欧州のEV関連会社などの買収を積極的に進めている。

2021年4月の上海モーターショーでは巨大なブースを構えて高級EVである恒馳の発表をしている。

2025年にはEV生産能力を100万台にする計画も発表している。

香港市場に上場しているEV部門の時価総額は一時約9兆5,000億円に達し米フォード・モーターを抜く場面もあった。

このように経歴を振り返ると、貧しいところから一代で一気に成り上がったという印象が強いが、ここまでになることは簡単ではないはずだ。

中国恒大集団が追い込まれている理由

中国恒大集団の成長の方程式を読み解いてみよう。

その方程式は、とてもシンプルで、不動産などを担保に銀行融資を受けて不動産開発やM&A(合併や買収)などに積極投資するというものだ。

中国の不動産価格高騰のトレンドに乗って拡大していった。

その結果、恒大集団の2020年12月の資産負債比率は1327.9%に膨れ上がっている。

巨大な自転車操業とも言えるが、不動産価格の上昇期待と融資が継続する中で成長は続いたというものだ。

 

そんな中国恒大集団が追い込まれているのは、中国政府が2020年8月に導入した、3つのレッドラインという数値基準がもたらしている。

3つのレッドライン

1)資産負債比率(Liability to Asset)を70%以下とする

2)ネットの資本負債比率(Net DER)は1倍以下とする

3)現預金短期有利子負債比率(Cash Coverage of ST Debt)を1倍以上とする

難しいかもしれないが、これらいずれも満たせていない企業の1つが中国恒大集団だったということになる。

不動産投資熱がずっと続いていた中、習近平国家主席率いる共産党が打ち出した政策だ。

3つのレッドラインに抵触する不動産企業をランク付けし、銀行融資を制限させるという内容で、不動産価格抑制に本気で取り組む姿勢を示したといえる。

まとめ

今まさに注目されているのが、中国政府が中国恒大集団に救済措置を取るのかということである。

介入しないという予想が大半のようだが、今後の動きにまさに注目されている。

どういった動きを見せるのか、引き続きチェックしておきたいところである。

 

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