烏兎匆匆(うとそうそう)
→ 歳月が慌ただしく過ぎ去るたとえ。
私事になるが、9月で40歳という節目を迎える。
思えば、一番上の姪っ子が今年度で小学校卒業の歳だ。
その姪っ子が生まれたばかりのときは、姉が栃木にいたので、会いに行ったことがついこの前の気がする。
本当に使い古された言葉ではあるが、月日の流れは誰にも止められない。
目線をどこに置くかによって、生き方が大きく変わる。
当たり前に支配されていては、無価値なままで人生が終わってしまう気がする。
そういう意味でも私はstakを中心に日々全力を投じているのかもしれない。
約40年生きている間に多くの事業が生まれているし、環境の変化もある。
学生時代の選択肢
小学校、中学校は義務教育として誰もが通えることになっている。
中学校を卒業した後に、どういった道を選ぶかを選択することになるわけだが、多くの人が選ぶのは3通りだ。
それは大学進学、専門学校進学、就職だろう。
かくいう私も大学に行った身ではあるが、正直なにかをやりたくて大学に行ったわけではない。
とりあえず、東京に憧れて4年間という時間を取りに行ったという、ありがちな選択をしたわけだ。
同級生の多くは当然のように同様に大学や専門学校に進学した。
ただ、ここの選択肢にあまりあがってこないのだが、実は高等専門学校というジャンルがある。
いわゆる、高専と呼ばれるところであるが、私はこの高専をもっと国をあげて盛り上げるべきだと思っている。
高専という言葉を聞いて、いまいちピンとこない人もいるかも知れないので、少し説明しよう。
高等専門学校とは
文部科学省のサイトから抜粋すると、高等専門学校は、高等学校と同じく、中学校を卒業した方が入学することができる。
入学後は5年一貫(商船学科は5年6ヶ月)で、一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、技術者に必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができる。
高等専門学校では、学んだことを応用する能力を身につけるために、理論だけではなく実験・実習に重点が置かれている。
さらに卒業研究を通して、創造性をもった技術者の育成を目指している。
学科は各学校ごとに異なり、大きくは工業系と商船系の学科に分かれる。
工業系の学科には、機械工学科、電気工学科、電子制御工学科、情報工学科、物質工学科、建築学科、環境都市工学科などがある。
一方で、商船系の学科には商船学科がある。
工業系、商船系以外にも経営情報学科、情報デザイン学科、コミュニケーション情報学科、国際流通学科を設置している学校も存在する。
全国に国公私立合わせて57校あり、全体で約6万人の学生が学んでいる教育機関だ。
日本の大学制度が崩壊している今、この高等専門学校の仕組みをもっと普及させるべきだと考えている。
とどのつまり、技術者を排出していく教育機関なのだが、ここはとても重要で国力に繋がる。
別に日本国を強くしたいとかそういった想いはないのだが、stak社のCEOである以上、技術者、いわゆるエンジニアの重要性を日々痛感しているのである。
優秀なエンジニアを生み出すことが、世の中をいい方向にもっていくと確信している。
もっというと、エンジニアだけでなく、クリエイティブなことができる人が増えると世の中が一変する。
そのあたりの体制や評価が今の日本には著しく欠けているように思うのである。
優秀で専門知識のある人間を増やし、その上で経営やマネジメントができる人間が加われば、圧倒的な価値を生む集団ができる。
それが結果、企業という形になるというのが本来の会社の形だと考えている。
高知工業高等専門学校の取り組み
興味深い高専の取り組みがある。
面白いと感じる人がどれくらいいるか、圧倒的にマイナーではあると思うが、是非知っておいてもらいたい。
その学校は四国の高知にある、高知工業高等専門学校だ。
その高知工業高等専門学校は、太平洋に面し南国の日差しが降り注ぐのどかな場所にある。
一変して、校内ではパソコンに生徒が真剣な眼差しを向ける姿が見られる。
サイバー攻撃を仕掛けてみて、相手が防御できるかシミュレーションしてみてください
これが、情報セキュリティコースに所属する3年生に与えられる課題だ。
サイバーセキュリティーを巡る生徒らの攻防戦が開始されるのである。
教授たちからは、ほとんど教えてもらうことはないそうだ。
生徒たちは、ソフトウエアのインストールから、サーバー環境の構築、ネットワーク上の欠陥の発見から防御まで与えられた手順書だけを頼りにセキュリティ―システムを作り込んでいく。
その手順書にもコマンドの打ち込み方や、IPアドレスなど用語の解説といったことが書かれてあるだけだ。
そこから、生徒たちは、他人のサイトに不正ログインして侵入したり、サイトを乗っ取る不正プログラムを仕組んだりと攻撃する。
ときには生徒同士で話し合いながらプログラムの欠陥を発見したりそれへの対策を打ったりするが、教授は課題をクリアするまで口出ししない。
演習は休憩をはさみながら3時間ぶっ通しでやるとのことである。
ほとんどの人には興味がないかもしれないが、これは非常にレベルの高いことをやっている。
社会に出ても即戦力どころかリーダーシップをとってなんでもできてしまう領域だ。
専門知識教育の重要性
この高知高専の情報セキュリティーコースを6年前に開設されており、30近くの専門科目を学ぶことができる。
さらに2020年度からは独立行政法人、国立高等専門学校機構から「COMPASS5.0」の中核拠点校の指定を受け、一層実地を重んじるカリキュラムがスタート。
COMPASSとは、次世代の産業創造やイノベーションを担える人材の育成プログラムのことだ。
サイバーセキュリティーに加え、AI・データサイエンス、高速通信規格5Gを含むIoT・起業家教育、ロボティクスの4分野で全国11校を指定している。
このジャンルはまだまだ伸びしろのある分野で、人が圧倒的に足りていない。
そして、ある程度は言語が不要で世界共通言語になりうる分野である。
失われた20年とか30年とか、40年になるといったネガティブな話をよく聞くが、高専の機能がしっかり浸透すれば、食い止められる可能性は十分にある。
今、日本国内に圧倒的に足りないのは、技術者へのリスペクト不足による環境構築の遅さだ。
精神論や陰謀論と違い、テクノロジーは裏切らないことをもっと理解してリスペクトすべきなのである。
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