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2021年7月25日 投稿:swing16o

メルセデス・ベンツの発表にざわつく自動車業界のEVシフト

内股膏薬(うちまたごうやく)
→ 自分の意見がなく、どっちつかずで節操のないこと。

決断力の大切さについてもくり返し書いているような気がする。

とりわけ、トップの決断力は大切で組織の良し悪しはトップによって決まることは間違いない。

仮にその判断が誤っていたとしても、組織を活性化させるためには決断が必要だ。

そんな重要な決断を迫られている業界がある。

57兆円ともいわれている巨大市場である自動車業界である。

なにがそんなに重要なのかといえば、EVシフトだ。

EVシフトから読み取る自動車業界の未来

EVシフトとは、現在の自動車の大半であるガソリン車から電気自動車であるEV車への転換を図る世界的な動きのことである。

2021年7月22日にドイツ自動車大手ダイムラーの高級車事業会社、メルセデス・ベンツの発表が世間を賑わせた。

オラ・ケレニウス社長はオンラインで開いた記者会見で、下記のように発表した。

高級車のEVシフトは加速している。転換点は近づいており、30年までにメルセデスは準備できているようにする。EVファーストからEVオンリーに踏み込む。

販売する新車を2030年にもすべて電気自動車(EV車)にするという発表である。

8つの電池セル工場を新設するなど、30年までに400億ユーロ(約5兆2,000億円)をEVに投資するという決断を見せつけた。

注目したいのがEVファーストではなく、EVオンリーにするという決断だ。

 

メルセデス・ベンツの今後の開発と販売スケジュールを書いておこう。

2022年に満充電で航続距離1,000キロメートル以上の新型車を発表。

2025年にEV専用の車台(基本設計)を3種類導入。

それ以降に出す車台はすべてEV専用とする。

代表車種のSクラスやCクラスの次期モデルはEVだけになる見通し。

また、ガソリン車などの販売終了時期は市場によって前後する。

ハラルト・ウィルヘルム最高財務責任者(CFO)は30年までにEVの生産コストを同じ車格のガソリン車と同等水準に引き下げる。

その上で、売上高に占める調整後EBIT(利払い・税引き前損益)比率を10%以上で維持するとの見通しだ。

EVに不可欠な車載電池では専業メーカーと共同で世界に8つの大型工場を設ける。

4つはヨーロッパで、アメリカと中国にも建設する。

年間生産能力は高級EV200万台分前後に相当する計200ギガワット時(2億キロワット時)を計画。

 

なぜ、このメルセデスの発表が衝撃だったのか。

それは、メルセデスはこれまで2030年に新車販売の半分をEVかプラグインハイブリッド車(PHV)にするとしていた。

その後、2039年にガソリン車の販売終了などで二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指す計画を掲げていた。

それをまずは、半分をEV・PHVにする期限は2025年に前倒しにして、2030年には完全にEVのみにするというのである。

EV専業化に向け、PHVを含むエンジン搭載車への投資を2026年までに19年比で8割減らすとの意思表示もしている。

つまり、当初計画を約10年も縮めていくという大胆な発表なのである。

着々と進んでいる各国の自動車メーカーのEVシフト

そんなメルセデス・ベンツの発表もあったが、各国の自動車メーカーは着々とEVシフトを進めている。

時系列にまとめてみるとこんな感じだ。

  • 2025年:イギリスのジャガーがEV専業に
  • 2025年頃:ドイツのBMWのミニが最後のエンジン搭載車を販売
  • 2026年:ドイツのアウディが以降の新車を全てEVに
  • 2028年:ドイツのオペルがEV専業に
  • 2030年:スウェーデンのボルボがEV専業に
  • 2035年:アメリカのGMがエンジン車の販売終了
  • 2040年:日本のホンダがエンジン車販売終了
  • 2040年:ドイツのVW(フォルクスワーゲン)がほぼ全販売をEVに

ヨーロッパの自動車メーカーが着々とEVシフトしているのがわかる。

日本のホンダが2040年にエンジン車販売終了を目標に掲げているが、同時期にドイツのVWはほぼ全車をEVに切り替えるという目標だ。

日本の自動車メーカーのEVシフト化への遅さの指摘が増えている昨今だが、まさにこのあたりもその象徴である。

世界のEV市場

そして、世界のEV市場を見るとさらに危機感しかない現状がある。

世界のEV市場を牽引しているのは中国で、その後にヨーロッパ、アメリカと続いている。

2020年度のEV車の販売台数は中国が100万台、欧州が72万台、米国は25万台。

2020年の成長率がもっとも高かったエリアはヨーロッパで、前年比で112%の伸び率を示した。

これは、EV購入時の補助金が増額されたことが要因とされている。

例えば、ドイツでは、車両価格4万ユーロ以下のEV車の場合、従来3,000ユーロだった連邦政府負担の補助金が倍増されて6,000ユーロとなった。

自動車メーカー負担分の3,000ユーロと合わせて9,000ユーロ(約120万円)もの補助金が2020年末まで支給されるといった具合だ。

日本国内のEV事情

一方で日本はどうか。

2020年のEV販売台数は、14,604台である。

上述したが、中国の100万台、欧州の72万台、米国の25万台と比べるとまさに桁違いに少ないことがわかる。

ヨーロッパや中国のように補助金がないのかといわれれば、日本でも補助金は出ている。

それを考えると、各国にどれだけ遅れをとっているのか理由を探す必要がある。

その理由はHV(ハイブリッド)車の成功体験にあるとされる。

 

私個人的にも日本最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車のHV車の成功体験が大きく足を引っ張っているのは間違いないと思う。

かつてはメード・イン・ジャパンで世界中でその名を馳せてきた日本の家電メーカーが大失速した。

日本の産業を支えている、虎の子ともいえる自動車メーカーも同じ道を辿らないようにしてほしいと心から望んでいる。

そのためには、トヨタ自動車が鍵を握っていると思っている。

大胆なシフトチェンジを期待しているし、世界一の自動車メーカーであり続けることができる優秀な企業であることは間違いない。

ワクワクする未来を見せつけて欲しいと、ただたた願う。

 

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植田 振一郎 Twitter

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