飲水思源(いんすいしげん)
→ 水をのむ時、その水源に思いをめぐらすの意から、物事の基本を大切にする戒めや世話になった人の恩を忘れないこと。
極限まで追い詰められた後の体験は、通常の何倍もインパクトが強い。
例えば、空腹が続けば続くほど、その後の食事は美味しく感じるものだし、当たり前が当たり前でなくなったとき、些細なことにも感激する。
それは仕事にも通ずるもので、目標が高ければ高いほど達成したときの高揚感は大きい。
なによりも、自信に繋がるところが大きい。
そういった原点を忘れないこと、今生きていることへの感謝は改めて大切だと思う。
ということで、ビジネスを始めるときの原点の話を書いていこう。
コカコーラが唯一恐れている会社とは?
誰もが一度は飲んだことがあるだろう、コカコーラ。
世界中どこに行っても見ないことはない巨大企業だ。
そんなグローバル企業を震撼させている企業がある。
その企業の名前も、あなたはきっと聞いたことがあるはずだ。
1984年に誕生し、今や世界160ヶ国以上でその会社の商品が販売されている。
その会社の名前は、レッドブル。
驚くべきことに、レッドブル社にある商品は1種類のみしかない。
そのたった1つの商品、レッドブルだけで2020年には79億本という驚異の販売数を誇る。
グループ売上高は、前年の60億6,700万ユーロ(約7,887億1,000万円)から4.0%増の63億700万ユーロ(8,199億1,000万円)と絶好調だ。
日本企業のトップであるサントリーの飲料売上が1,400〜1,500億円なので、5倍以上の開きがあることがわかる。
たった1つの商品、レッドブルだけで、一体レッドブル社はなにをしたのだろうか。
興味が湧いてくるだろう。
レッドブルはなにをしたのか?
その解析をするには、まずはレッドブルの創業当初のエナジードリンク市場に目を向ける必要がある。
当時この市場のトップを走っていたのは日本だった。
そして、そのエナジードリンク市場でトップを独走していたのは、リポビタンDだ。
ファイト1発のテレビCMやワシのマークの大正製薬でお馴染みの栄養ドリンクは一度は飲んだことがある人も多いだろう。
販売開始は1962年で、ヒットは日本だけにとどまらず、タイを中心として東南アジアにも広まった。
そして、実はレッドブルはリポビタンDにインスパイアされた商品だのだ。
このことは、レッドブルの公式サイトの遠隔に初っ端に堂々と書かれている。
極東の機能性ドリンクにインスピレーションを受けて、ディートリヒ・マテシッツがレッドブルを1980年代半ばに創設しました。
そんな元祖栄養ドリンクのリポビタンDだが、現在の売上は350億円に満たない。
レッドブルに比べると20分の1程度という差が開いている。
一体、なぜこんなにも差が生まれてしまったのか。
その答えはとてもシンプルだった。
レッドブルは普通のメーカーが当たり前にしていることをやめて、その代わりにあることに全力をかけた。
そして、そこに一切の妥協を許さなかった。
レッドブル社がやめたことは、生産と物流だ。
多くの飲料メーカーが自社工場やトラックを持ち、商品の生産から物流までを行う中、レッドブルは一切を持たない。
いわゆるファブレスで、全てを外注している。
その代わりに、企業が持つ全ての力をマーケティングに使った。
普通の大企業は一般的に広告宣伝を代理店に任せているが、レッドブルは創業当初から自社で広告宣伝を行っている。
それも売上の3分の1をずっと継続して費やすという徹底ぶりだ。
レッドブルのキャッチコピーが決まるまで
1年半。
この期間は、レッドブルのキャッチコピーが決まるまでに費やされた期間だという。
この間にマーケティング担当者は50個以上の案を社長に持っていったが、首を縦にふってもらうことはできなかったそうだ。
厳選した50個を担当者は持っていったはずなので、考えられたキャッチコピーは数知れないだろう。
そうして生まれたキャッチコピーはエナジードリンクの概念を変えた。
今までのエナジードリンクは、疲労回復だった。
それをエキサイティングな体験という新たなイメージを作り出すことに成功し、若者たちのハートも鷲掴みにしたのだ。
レッドブル、翼を授ける
レッドブルのキャッチコピーに学ぶこと
レッドブルの社長はこう語っている。
私たちはマーケティングのプロです。
いい商品にも関わらず、これまで陽の目を見ることがなかった商品たちを眠りから覚ましてやりたい。
どこの場所でどういった勝負をするのか、そのために突き抜ける部分を創り上げたことがよくわかる。
レッドブルの戦略で本当にスゴいと思わせてくれるのは、マイナースポーツへの出資だ。
メジャースポーツではもちろん、どんなマイナースポーツにもレッドブルのロゴを見る気がする。
仮になかったとしても、あることが当然のような気さえする。
売上の3分の1を広告宣伝費に費やすという大胆な戦略をずっと続けた結果だろう。
このレッドブルの戦略と結果から学ぶことは多い。
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