人に知られないようひそかに活動すること。
この四字熟語の意味を知って、即座に思いついたのが孫子だ。
孫子という言葉を聞いたことがある人は多いだろうが、人の名前だと思っている人が多い。
正確にいうと、孫子という歴史上の人物はいる。
ただ、孫子とは、紀元前500年頃の中国春秋戦国時代に新興国の呉の王様に仕えた軍事戦略家、孫武が記したとされる兵法書のことを指すのが一般的だ。
この孫子は現代のビジネスにおいても通じるものがあるということで、多くの著名人が愛読書としているのも有名な話だ。
孫子は、戦争の勝敗は天運に左右されるという考えが強かったものを勝利を得るための指針を理論化したものだ。
著者の孫武は、戦争の記録を分析・研究し、勝敗は運ではなく人為によることを知り記録した。
13篇からなる孫子の概要は下記のとおりだ。
- 計篇:戦争を決断する以前に考慮すべきこと
- 作戦篇:戦争準備計画
- 謀攻篇:戦闘をせずに勝利を収める方法
- 形篇:攻撃と守備それぞれの態勢
- 勢篇:上述の態勢から生じる軍勢の勢いについて
- 虚実篇:戦争においていかに主導性を発揮するかについて
- 軍争篇:敵軍の機先を如何に制するかについて
- 九変篇:戦局の変化に臨機応変に対応するための9つの手立てについて
- 行軍篇:軍を進める上での注意事項について
- 地形篇:地形によって戦術の変更について
- 九地篇:9種類の地勢とそれに応じた戦術
- 火攻篇:火攻め戦術について
- 用間篇:敵情偵察の重要性について
ザッと洗い出したが、戦わずということが基本にあり、現実的な思考に基づいている。
そして、孫子の他にも有名な兵法も紹介しておこう。
中国の魏晋南北朝時代の兵法書で、兵法における戦術を6系統・36種類に分類したもので、著者は檀道済とされる。
孫武の孫子よりも後の時代に登場したものだが、中国では孫子よりも民間において拡まり日常生活で流用されている。
- 勝戦計:こちらが戦いの主導権を握っている場合の定石
- 敵戦計:余裕を持って戦える優勢の場合の作戦
- 攻戦計:相手が一筋縄でいかない場合の作戦
- 混戦計:相手がかなり手ごわい場合の作戦
- 併戦計:同盟国間で優位に立つために用いる策謀
- 敗戦計:自国がきわめて劣勢の場合に用いる奇策
上記の6系統にそれぞれ6つの方法が具体的に書かれており、合計36種類あるというものである。
この兵法三十六計が語源になった言葉が、三十六計逃げるに如かずだ。
なんだかんだ戦略には様々なものがあるが、困ったときは逃げるのが最良策であるということである。
逃げるが勝ちという諺も同様である。
何度も触れていると思うが、どうにもならなければ逃げ切ればいいというのは全く同感だ。
ただ、最初から逃げることだけを考えるということは全く違うということを勘違いしないようにしなければいけない。
いろいろと手を尽くすことが、なによりも重要だということが上位にあることを忘れてはいけない。
その中の戦略には、人に知られないようひそかに活動することも当然含まれる。
基礎となる孫子や兵法三十六計などの兵法を一読した上で、オリジナリティを加えて自分の兵法を確立させよう。
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