密かに人に取り入ること。
この一文だけ見ると、ポジティブにもネガティブにも捉えることができる。
ポジティブに捉えるならば根回し、ネガティブに捉えるならゴマすりといったところだろうか。
根回しは戦略的とされ、ゴマすりは自己利益しか求めていないとされている。
樹木や植物を移植するに先立ち準備する一連の作業のことを根回しという。
自分の描いたプランを実現するため、事前にいろいろと動いておくというビジネスにおいて重要視されるのが根回しである。
一方、ゴマすりは狭い世界で自分の利益のみを追求した愚行とされ、忌み嫌われる。
それを踏まえ、今回取り上げるデータはこちらだ。
まず注目したいのは、管理職になって部下と心の距離が遠くなった気がして、寂しいと感じたことはあるかと尋ねたところ、70.7%が「ある」と回答した事実だ。
この70.7%にいる層は根回しが下手であると判断ができる。
部下の中に信頼できる人間を置くように根回しすれば、全く湧くはずのない感情だからだ。
面白いのが、逆に部下を対象に同期や先輩(後輩)が管理職になり、心の距離が遠くなった気がして、寂しいと感じたことがあるかという質問に対する回答だ。
73.5%が「ない」と応えているということは、上司になった人が70.7%が感じている寂しさが部下にはほぼ伝わっていないということだ。
上にも下にも気を遣うというが、勝手にプレッシャーを感じて自滅している人が多いのが日本の管理職の特徴だ。
もう1つ注目したいデータが年代で管理職の満足度が大きく異る点だ。
20代で管理職を経験した人の84.7%が満足しているという回答に対して、40代、50代は約50%まで下がるというデータだ。
実に情けないというか、今の日本社会の縮図だ。
確かによく聞く話に、管理職になると残業代は出ないし、休日出勤は当たり前だし、部下とほとんど給与が変わらないのにといった愚痴がある。
いわゆる老害と呼ばれる層に多いのだが、若い人のことを理解しているようなことを表面的にいうだけで、現状は全くわかっていない。
それこそ、ゴマすりされていると勝手に思い込み、持ち上げられていることにすら気づかないめでたい層だ。
本来であれば、歳を重ねるごとにできることが増えていなければいけない。
そして、そうなっていればやりたいことが次々と増えて楽しくなるはずだ。
それが50%の人が不満足という結果を知って、その50%はなにを目的に生きているのか不思議になる。
と同時に、いつ自分がそっち側に回ることになるかを意識することも大切だと感じた。
今の日本を動かしているとされる大企業の重鎮や政治家のことを考えると、圧倒的に年輩の人が多い。
50代で企業や組織のトップに立ったら、若くしてなどという枕詞がついたりする。
中には80歳や90歳を超えても組織のトップにいたりする。
本当にそんな人が舵を取ることができるのか、甚だ疑問だ。
自分の方が優れていますという若者が現れたとき、いきなり否定するのではなく、一旦受け入れよう。
その上で本当にそうであれば、潔く身を引くことができる人でありたい。
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