第36話
香港には何回か行ったことがあるが、初めて行ったときに圧倒されたことを鮮明に覚えている。
なにに圧倒されたかというと、ビルの威圧感だ。
香港は土地がないことから、建物を上へ上へと延ばすことで居住空間やオフィススペースを確保している。
そのビル群の圧力が地震大国の日本とは全く異なることに怖さすらあった。
そんな香港へstakチームメンバー全員でいることが不思議な感覚だった。
ベタに観光したこともなかったので、せっかくなので色々と回ってみることにした。
まずは、百万ドルの夜景で有名なビクトリアピークへ向かう。
香港で一番高い山にある超有名スポットだ。
本来は夜景を見たいところだが、他にも回りたいところがあるということで、昼間に行ったのだが、ここは確かに一度は行っておいてもいい場所だ。
日本では決して味わえない独特の展望が心を踊らせてくれる。
是非、夜景も見たいと思わせてくれる絶景スポットだ。
そして今の時代を象徴する景色も拝むことができたのも印象的だった。
第37話
ビクトリアピークへタクシーで登っていく坂道、帰りの下り坂で頻繁に出会ったのがTESLA(テスラ)の自動車だ。
はっきりいって広島では数回しか見たことがない。
日本の首都である東京ですらそこまで多く見かけることはないが、香港ではとにかくたくさんのTESLA車が走っている。
ビクトリアピークへ向かう道中に3台連続ですれ違うことも珍しくない。
TESLA車とすれ違う度に「1テスラ、2テスラ、3テスラ」と数えていったが、確か50テスラを超えた記憶がある。
ちなみに、その間に日本ではこれでもかというくらいに走っているトヨタのプリウスは2〜3台すれ違った程度だ。
それほどまでに圧倒したTESLA車の登場に時代の変わり目を感じた。
イーロン・マスクが率いるTESLAに魅了されている香港のファンはかなり多いことは明確だ。
日本にいるとこういうことも知ることはない。
もちろん、TESLAのみをとりわけ称賛しているわけではない。
ただ、魅力にとりつかれた人がいて、それを生み出している人がいることは事実だ。
願わくば、俺も生み出している側の人間になりたい。
改めてそう思った。
第38話
ビクトリアピークを後にして、ペニンシュラ香港へ向かった。
俺は全く知らなかったが、なんでもペニンシュラ香港がXO醤を開発したとされる発祥の地らしい。
とりあえず、東京で飲食店をやっている友人へのお土産にいい感じのXO醤セットを買った。
まあ、結果、帰りの飛行機で手荷物で100mlオーバーということでそのうちの1つは持ち込めないのだが。。
手荷物で機内に持ち込む場合には注意が必要なので、共有しておこう。
しかし、ペニンシュラ香港の優美さというか堂々たる姿はなかなかだった。
外観の記念写真を撮る人が常にいる状態で、真下から最上部まで撮るのはなかなか大変だ。
そして、ホテルの中にいる人たちは全員がおカネ持ちに見えるから不思議だ。
実際にそういう人が圧倒的に多いのだろうが、とにかく優雅に余裕を持った人たちが料理を食べたり、くつろいでいる姿を拝むことができる。
参考までに宿泊価格は、2人1部屋でオフシーズンで50,000円程度からといったところだろうか。
あくまで最下層グレードの部屋の価格で、週末やハイシーズンになると料金は跳ね上がる。
ここもまた同様の疑問が生まれる場所だ。
「カネ余りの世の中」という言葉を耳にする。
一体どこにそんな「カネ」が余っているのだろうか。
第39話
ペニンシュラ香港を背に次に向かったのは、尖沙咀(チムサーチョイ)エリアだ。
香港随一の商業エリアで、ネイザンロードなどのネオンがこのエリアの象徴である。
ここもまた日本のネオン街にはない独特の感性が溢れている。
活気もあるエリアで、観光客も多い。
ちなみに数年前のデータにはなるが、香港の人口は約740万人なので、埼玉県の人口とほぼ同じくらいである。
また、国土は東京都の約2倍、沖縄本島や札幌市と同じくらいである。
そんな香港に訪れる観光客の数は年間約3,000万人で、近年の日本にくる観光客数とほぼ同じというデータが出ている。
隣国の中国人が多く来ているという指摘はあると思うが、国土の大きさや人口を比較すると、とても立派なスコアだと感じる。
そんなネオン街をチームメンバーで歩きながら女人街エリアへと向かう。
この女人街エリアは、下町の雰囲気が残るエリアで、若者のカルチャー発信地ともいわれるところだ。
日本でいうところの原宿みたいなエリアだろうか。
所狭しとお店がこれでもかと立ち並び、場所によっては人とすれ違うのも大変なところもある。
このエリアもまた活気のあるエリアだ。
第40話
とまあ、こんな感じで香港エリアも堪能した後に、ホテルに戻り本題のstak打合せが始まった。
間もなく開始しようと思っているクラウドファンディングについての細かい打合せだ。
ストーリー作り、目標金額、クラウドファンディング期間、誰がなにをやるといった細かい役割分担などなど決めないといけないことは山ほどあったのにまさかの香港最終日に打合せという体たらく。
観光する暇があったら、こっちをしろと指摘されても仕方ないが、まあそこはノリで。
そして、いくつかの課題は持ち越しながら全員が眠い目をこすりながら打合せを続けること約4時間。
翌日は6時にはホテルを出ないといけない中、4時過ぎくらいまで打合せをしていたと記憶している。
仮眠を取る程度で横になり、すぐに目を覚ますと空港へ向かう。
ここでもUberを使ったが本当に便利になった。
念のため数万円を香港ドルに変えておいたが現金を使った場面は数える程度だ。
空港へ到着して、イミグレでペニンシュラ香港で買ったお土産が100ml以上ということで没収されて、広島空港へと向かう。
結構いい値段がしたお土産だっただけに、その場で開封して少しだけでも食べれてから捨てればよかったとイミグレを抜けた直後に思ったことを覚えている。