ハッタリと嘘の狭間で 第26話〜第30話

2020-02-06 投稿: 植田 振一郎

第26話

設計費用などは設計依頼をする際に50%を前払い、完成後に残額を支払いというルールで、他にも試験するごとに費用が発生することになる。

他にも量産するための専用の金型を作ったりとそこでの費用も重たく(高額に)なる。

それから、量産確定するまでには不確定事項も多いため、実際にいくらになるかはわからないが、おおよその目安はスケジュールが確定したときに出ていた。

その額は1,300万円〜1,500万円。

俺は二つ返事で先行投資を決めた。

そうそう、専門用語の説明が残っていた。

上記にも少し触れた「金型」の存在だ。

設計が完了しても、1つ1つ商品を手作りするというわけにはいかないので、量産するためのオリジナルの型を生成しなければならない。

その金型の初回版が「T1」と呼ばれる。

このT1もES1と同様に1回で理想どおりの型ができない可能性がある。

その場合にはT1を修正して「T2」、それでもまだ修正や改善が入る場合には「T3」となっていくのだ。

ESと同様に大体は「T2」で確定となることが多い。

第27話

この金型費がとにかく重たい。

つまり、おカネがかかる。

世の中にないオリジナルの商品を量産をするために専用の型なので、完全なオーダーメイドになるので当然なのだが、「モノづくり」をする人はこの金型費を侮らない方がいい。

開発スケジュールに沿って大きなおカネが動くところを公開しよう。

  1. 開発費(ES1〜評価完了までの開発費用)
  2. 試作費(1.の開発に伴い製作する試作機の費用)
  3. 金型費(量産するための金型を製作するための費用)
  4. 信頼性試験費(安全性や耐久性の試験をするための費用)
  5. 法規申請費(法律上申請が必要なものにかかる費用)
  6. 量産準備費(量産する際の部品調達などにかかる費用)
  7. 梱包費(商品を梱包するためのダンボールなどの費用)
  8. 長納期部材先行手配(安定生産における希少価値の高い部品や納品に時間がかかる部品を先行して手に入れるための費用)

具体的な金額を載せてもいいのだが、ここは自分たちだけの問題ではなくなるので、聞きたい人はなにかしら接触してくれたら余すことなく教える。

第28話

ここまで読んでくれた人に問いたい。

「モノづくり」のハードルが下がった。

この言葉は当てはまると思うか、それとも当てはまらないと思うか。

ありがちな上から目線でいうなれば、見方によってはどちらとも取れるという見解だ。

まだまだ志半ばどころか、打ちどころが悪ければ一発で退場、いや再起不能の今、偉そうに語るつもりはないが、とにかく工程を知っておくことは重要だ。

そして、いつどのタイミングでどれくらいのおカネが出ていくのか、それ以上に、いつどのタイミングで出ていったおカネを回収していくのか、そこはざっくりでもいいので、きちんとイメージをしておくことをオススメする。

更にいうなれば、そのイメージはプラス3ヶ月以上バッファを持たせた方がいい。

これもありがちな言葉だが、世の中それほど甘くない。

もちろん、一気に進むこともあれば停滞することもある。

場合によっては後退することもある。

そのあたりを辛く、厳しく、自分に課すことは、やりたくなくても本当に爆裂させるためには徹底すべきだ。

第29話

自分を律すること。

これは本当に簡単ではない。

誰しもが楽な方へ流れたいし、希望的観測にすがりたがるものだ。

周りは助けてくれない。

でも、実現したい世界があるならば、バランスを大切にして自分を律しないといけない。

2018年9月ごろの俺も十分にそのことはわかっていたはずだ。

ただ、どこかでおごりがあったのだろう、自分は他の人とは違うと。

そして、2018年10月。

「ES2」というプロトタイプの最終型ができあがってから、いよいよ量産のための金型をつくるという工程に入った。

金型第1号のいわゆる「T1」のお披露目に向けての打合せが始まる。

stakの販売当初のパーツは大きく分けて3つ。

stakの頭脳の部分である「stak本体」、赤外線リモコンが不要になる「リモコンモジュール」、スマートライトになる「LED照明モジュール」の3つである。

これを1枚の金型から一気に製造するというものだ。

要するに、1枚の板に3つの型を作って、原材料を流し込んでプレスしたら3つが一気にできるという工程を実現するということである。

第30話

このときもお世話になったのは福岡にあるブレイブリッジ社である。

中国の深センにも拠点があり、stakの金型はそこで生成されることは当初の2018年3月の打合せから決まっていた。

逐一、担当者から情報が入り細かい調整が続き、これなら問題ないという「T1」が完成した後に、現地へいくことになっていた。

2018年11月上旬。

チームメンバー4人で、香港へ向かった。

深センに行ったことがある人は理解してもらえると思うが、深センに行くには香港から行く方が圧倒的に利便性が高い。

深セン行きの飛行機は限られているが、香港なら日本の地方空港からも結構な頻度で飛んでいるというのが大きい。

広島に拠点を置いている我々にとって、香港へのアクセスはとても便利なことは知っていた。

毎日ではないが香港エクスプレス(HK)の直行便がある。

そして、LCCなので格安なのだ。

4名の往復でも10万円ちょっと。

飛行時間は4〜5時間。

そして、香港から深センは目と鼻の先だ。

これはとても助かるし、西日本とアジア圏のアクセスの良さが顕著にあらわれるところだ。

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