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2025年5月3日 投稿:swing16o

富裕層および超富裕層の全球的拡大と日本の立ち位置

富貴栄華(ふうきえいが)
→ 財産があり身分が高く栄えること。

「富貴栄華」という言葉は古来より人々の憧れを象徴してきた。

この四字熟語は、財産が豊かで身分が高く栄えることを意味し、物質的豊かさと社会的地位の両方を兼ね備えた理想的な状態を表している。

現代においてこの概念は、具体的な数値や基準で定義される「富裕層」や「超富裕層」という形で表現されることが多い。

ということで、富裕層および超富裕層の定義を明確にした上で、直近20年におけるこれらの層の人口動態を詳細に分析する。

日本と世界の富裕層・超富裕層の現状を数値で捉え、その増加傾向に関する具体的なエビデンスを提示する。

金融と資産形成の専門家として、私はこれらの変化が意味するものと、我々の社会経済構造への影響を考察したい。

富貴栄華の現代的解釈:富裕層・超富裕層の定義

まず、議論の土台として「富裕層」と「超富裕層」の定義を明確にしておく必要がある。

富裕層(High-Net-Worth Individual; HNWI)

一般的に投資可能資産が100万ドル(約1億5,000万円)以上を持つ個人を指す。

ここでいう投資可能資産とは、不動産(自宅を除く)、現金、株式、債券などの金融資産を含む。

超富裕層(Ultra-High-Net-Worth Individual; UHNWI)

投資可能資産が3,000万ドル(約45億円)以上を持つ個人。

一部の調査機関では5,000万ドル(約75億円)以上という基準を用いることもある。

さらに近年では、以下のようなより細分化された区分も登場している。

  • 中間富裕層(Mid-Tier Millionaire):資産500万〜3,000万ドル
  • 超々富裕層(Billionaire):資産10億ドル以上

これらの定義は、キャップジェミニやクレディ・スイス、ナイト・フランクなどの金融機関や調査会社が発行する世界富裕層レポートで一般的に使用されている基準だ。

世界の富裕層人口:驚異的な増加傾向

直近20年間、世界の富裕層人口は著しい増加を示している。データで見てみよう。

2003年、世界の富裕層(HNWI)人口は約740万人だった。それが2023年には2,330万人に達している。

つまり、20年間で約3.1倍に増加したことになる。

特に注目すべきは2008年のリーマンショック後の回復と、2020年のコロナショック後の急増だ。

世界の富裕層人口の推移(単位:万人)
  • 2003年:740
  • 2008年:850(リーマンショック)
  • 2009年:780(一時的減少)
  • 2013年:1,320
  • 2018年:1,840
  • 2020年:2,020(コロナショック)
  • 2021年:2,260(急増)
  • 2023年:2,330

超富裕層(UHNWI)については、さらに顕著な成長が見られる。

2003年に約7万人だった世界の超富裕層人口は、2023年には約26.5万人に達し、約3.8倍になっている。

世界の超富裕層人口の推移(単位:人)
  • 2003年:70,000
  • 2008年:80,000
  • 2013年:120,000
  • 2018年:198,000
  • 2020年:215,000
  • 2021年:240,000
  • 2023年:265,000

この増加の背景には、新興国(特に中国、インド)における急速な経済発展、株式市場の長期的上昇、技術革新による新たな富の創出などが挙げられる。

日本の現状:停滞する富裕層人口

世界的な富裕層人口の増加傾向に対し、日本の状況はやや異なる様相を呈している。

日本の富裕層人口の推移(単位:万人)
  • 2003年:138
  • 2008年:131
  • 2013年:232
  • 2018年:327
  • 2020年:349
  • 2023年:362

一見すると増加傾向にあるように見えるが、世界全体と比較するとその伸び率は緩やかだ。

2003年から2023年にかけて、日本の富裕層人口は約2.6倍に増加したが、これは世界平均の3.1倍を下回る。

さらに注目すべきは、日本の富裕層が世界全体に占める割合の推移だ。

2003年には世界の富裕層の約18.6%が日本人だったが、2023年にはその割合が約15.5%に低下している。相対的な地位の低下が明らかだ。

超富裕層に関しては、さらに顕著な差が見られる。

日本の超富裕層人口の推移(単位:人)
  • 2003年:10,300
  • 2013年:12,800
  • 2018年:18,500
  • 2023年:21,300

20年間で約2.1倍の増加にとどまり、世界平均の3.8倍を大きく下回っている。

拡大する格差:資産の集中と新たな問題

富裕層・超富裕層の増加と並行して、世界的に資産の集中が進んでいることも見逃せない。

クレディ・スイスのグローバル・ウェルス・レポートによると、2023年時点で世界の上位1%の富裕層が全世界の富の約46%を保有している。

この数字は2003年の時点では約40%だった。

さらに上位0.1%に限定すると、彼らは世界の富の約27%を所有している計算になる。

この集中は地域によって差があり、北米と中国で最も顕著だ。対照的に日本は先進国の中では比較的所得格差が小さい方だが、それでも拡大傾向にある。

日本のジニ係数(所得格差を示す指標、0が完全平等、1が完全不平等)
  • 2003年:0.321
  • 2013年:0.330
  • 2023年:0.339

この資産集中は社会的分断、機会の不平等、政治的影響力の偏りなど、様々な社会問題を引き起こす懸念がある。

新たな富の創出:変わりゆく富裕層の姿

興味深いのは、富裕層・超富裕層の構成自体が変化していることだ。

従来、特に日本では富裕層といえば不動産オーナーや伝統的な事業家が中心だったが、現在では技術系起業家、投資家、専門職などの比率が高まっている。

世界の億万長者(10億ドル以上の資産保有者)の職業別構成
  • 2003年:相続資産(約48%)、伝統的産業(約32%)、金融(約12%)、テクノロジー(約8%)
  • 2023年:相続資産(約30%)、伝統的産業(約25%)、金融(約15%)、テクノロジー(約30%)

特にテクノロジー分野からの新富裕層の台頭が顕著だ。

日本においても、メルカリの山田進太郎氏やLINEの出澤剛氏など、テクノロジー企業の創業者が新たな富裕層として注目されている。

また、富裕層の地理的分布も変化している。アジア、特に中国とインドからの新興富裕層の台頭が著しい。

世界の富裕層の地域別構成
  • 2003年:北米(約33%)、欧州(約30%)、アジア太平洋(約25%)、その他(約12%)
  • 2023年:北米(約31%)、欧州(約25%)、アジア太平洋(約35%)、その他(約9%)

日本は依然としてアジア最大の富裕層人口を持つ国だが、中国がそれに迫る勢いで成長している。

2003年に中国の富裕層人口は日本の約1/8だったが、2023年には約3/4にまで接近している。

まとめ

データから明らかなように、世界の富裕層・超富裕層人口は着実に増加しており、富の集中も進んでいる。

特に新興国や技術分野からの新たな富裕層の台頭が顕著だ。

一方、日本は富裕層人口こそ増加しているものの、世界的な成長ペースには追いついておらず、相対的な地位は低下している。

これは日本経済の成熟化、人口減少、イノベーション不足などの構造的要因が背景にあると考えられる。

今後の展望として、以下の点が重要だろう。

1. 新たな価値創造の必要性

日本が世界の富の創出で遅れを取らないためには、テクノロジーとイノベーションを軸とした新たな価値創造が不可欠だ。

2. 資産形成の民主化

富の集中による社会的分断を避けるためにも、広く一般の人々が資産形成できる環境整備が重要になる。

3. グローバルな視点

富裕層および超富裕層の動向はグローバルな現象であり、国内視点だけでなく世界的な流れを捉える必要がある。

私たちstakは、テクノロジーを活用した資産形成プラットフォームを通じて、「誰もが自分らしく生きられる世界」の実現を目指している。

それは現代における真の「富貴栄華」—単なる物質的豊かさだけでなく、精神的な充足も含めた真の豊かさ—を多くの人々にもたらすことにつながると信じている。

富裕層や超富裕層の増加という現象そのものは肯定も否定もするべきではない。

重要なのは、富の創出過程が公正で、その恩恵が社会全体に広く行き渡るような仕組みづくりだ。

そのために私たちは、金融の民主化とテクノロジーの力で、多くの人が自分らしい人生を実現できるよう支援していく。

現代の「富貴栄華」は、物質的な豊かさだけでなく、自己実現や社会貢献も含めた多面的な概念として再定義されるべきではないだろうか。

そのための一助となるよう、これからもstakは挑戦を続けていく。

 

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植田 振一郎 X(旧Twitter)

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