八面玲瓏(はちめんれいろう)
→ どんな人とも円満に交際することで、心が美しく聡明なさま。
八面玲瓏という言葉は中国で生まれた四字熟語の一つとされることが多いが、明確な史料の初出は諸説存在する。
日本では『漢語林』や『故事成語大辞典』などの文献において「どの角度から見ても美しく、曇りがない」という解釈が一般的とされている。
もともと「八面がすべて光り輝き、透明なさま」という意味合いをもつ。
鏡が複数面あって、どこから見ても一切の歪みやくもりなく映し出すイメージに近い。
平安時代に編纂された『倭名類聚抄』などで使われている言葉ではないが、室町時代ごろから禅の世界で似たような概念が説かれていたとも言われている。
当時の禅僧が『碧巌録』や『無門関』などの漢文集を通じて中国の文化や言葉を取り込む過程で、八面玲瓏に近い概念が徐々に広まり、日本の武家や公家の中で高い徳を示す言葉として定着していった可能性が高い。
その後、江戸時代には茶道や書道の精神とも結びつき、立ち居振る舞いや人との交わりの中における「心の透明感」として語られることが多くなった。
徳川幕府の安定期に入るにつれ、文化と芸術が成熟する過程で精神性を重んじる風潮が強まった。
その文脈の中で、八面玲瓏は「どのような人との関係でも争わず、乱さず、円満に交際しながらも自分の意志をしっかりと持つ」理想像を表すキーワードとなる。
こうした背景があったからこそ、現代でも八面玲瓏はビジネスや人間関係において、言葉としての知名度を保ち続けている。
経営やIT、AI、IoT、クリエイティブ、エンタメ、PR、ブランディング、マーケティングといった多方面において、情報が溢れやすい時代になったいまだからこそ、どの角度から見られても自分がクリアに映し出される状態を意識する必要がある。
SNS上での評判や企業イメージなど、あらゆる場所に自分の存在が投影される今、まさに八面玲瓏が示す心構えが鍵となる。
一面だけを飾っても、または隠しても、すぐに矛盾が露呈してしまう。
多様なビジネスシーンにおいて、複数方向から自分や企業の姿がチェックされるからこそ、曇りのない素直で美しく、しかし芯のある心を保つことが重要だ。
2025年の元旦を迎える意義
2025年の元旦を迎えた。
世界情勢や経済状況が目まぐるしく変化する中、無事にこの新しい年を迎えられたことをまずは心から喜びたい。
激動の時代にあっても新年の節目は日々の喧騒を一旦止め、立ち止まって自分を見つめ直す大切な区切りでもある。
大企業でもスタートアップでも、新しい年のスタートダッシュは今後の12カ月をどのように過ごすかを左右する重要なタイミング。
特に自分はstak, Inc.というIoT × AI × デザイン思考のサービスを展開している立場として、世界の動きに翻弄されるのでなく、こちらから動きを作り出す必要があると感じている。
毎年、このタイミングで「今年はより勢いよく駆け抜ける」と宣言してきた。
だが今年は勢いだけではなく、少し視野を広げたいと思った。
いわゆる「がむしゃらに走るだけ」の時期から「より先を読みながら、かつ周囲との調和を保ちながらもスピードを出していく時期」へのシフトを図る。
そのためには八面玲瓏という言葉をもう一度自分の中で定義し直したい。
どこから見られてもブレない心と行動でありながら、周囲と争うことなく円満に交際する。
この態度こそが、ITやAIを活用しながら上流に上っていく上で、真に求められる態度だと思っている。
時間は有限であり、どんなにテクノロジーが進化しても1日24時間という大前提は変わらない。
だからこそ自分の時間をどう使うのか、どう生産性を上げていくのか、さらにどう余裕を持ちつつ成果を最大化していくのかが課題になる。
今年はまさに、そのテーマに本格的に向き合う年でもある。
ITやAIを使うことで業務効率化を図り、IoTとクリエイティブ思考で世の中に新しい価値を提供しながら、同時に心の余裕を保つこと。
急激な変化の中でも人間的な交流を絶やさず、しかし時間の無駄を最小限に抑えるという高度なバランス感覚が求められている。
時間と価値の再定義
経営者として日々時間の流れを肌で感じている。
事業を大きくする責任を負う立場としては、常に新しいチャンスを探りながら、周囲を巻き込み、リスクもマネジメントしなければならない。
当然ながら「時間」の価値は日に日に高まっていると実感している。
例えば、スタートアップを取り巻くファイナンスの動き一つとっても、ベンチャーキャピタルが投資を決めるまでのリードタイムが短縮化したり、投資基準がより厳格になったりといった変化が年々加速している。
この変化に合わせて、情報をキャッチアップし決断を下すサイクルを短くする必要がある。
だが一方で、雑多なタスクに流されすぎると、本来やるべきコア業務に集中できなくなる。
stak, Inc.では、IoT機器と連携したAIシステムの導入によって、オフィス内の作業効率を大幅に改善してきた。
具体的にはセンサー付きのデバイスが多数存在し、それらがリアルタイムで動きを計測してデータ化し、AIが業務フローを最適化する仕組みを作っている。
その結果、物理的な場所に縛られずに業務が回るケースが増え、オフィスの人員配置も柔軟になった。
時間の有効活用を徹底することで、以前より20%以上生産性を上げられたという自社調べのデータがある。
こうした取り組みを継続し、不要な時間を一切削減することにこだわってきた。
しかし、時間の効率化や生産性向上が進めば進むほど、機械的に見落としてはいけないのが「人との関わり方」だと強く思う。
データやテクノロジーだけに頼った効率化は、人間的な感情や創造的な発想を吸い上げる仕組みを損ないかねない。
その危機感があるからこそ、時間の再定義とは「ただ短縮する」「ただ余裕をつくる」だけでなく、「人との関わりを最適化しながらも密度を高める」という意味合いも含んでいる。
これまでのように闇雲に会食や交流会に参加するのでなく、本当に必要とされる場に、適切なタイミングで参加し、相手にも自分にも価値ある情報交換が行える形を模索したい。
そういう意味で「上流に行く」という表現を敢えて使いたい。
単に時間を切り詰めるのではなく、時間に対する価値をより高めていく。
そのための手段がITやAIであり、IoTであり、クリエイティブな発想になる。
結果として、それらがブランディングやマーケティング、さらにはPR活動にも好影響を与えるはずだ。
年代別に見る交際観の変遷
交際観は年代によって、いや正確には自分自身の人生フェーズによって大きく変化する。
10代の頃は勢いとノリで突っ走っていた。
受験や部活、あるいは趣味の延長で広がるコミュニティの中で、「一緒にいるのが楽しい」という直感的な感覚だけで人と繋がっていた気がする。
そこには深い打算や計算はなく、「仲間が多いほうが楽しい」といった純粋な心理が中心だった。
日本の文部科学省が2020年にまとめた学習指導要領検討調査によれば、10代後半の若年層は短期的なコミュニティを活発に形成しやすく、SNSでのつながりも爆発的に増える傾向が確認されている。
これは単純に人生経験が浅いからこそ、物怖じせず新しい出会いに飛び込むことができるという証拠と言えそうだ。
思えば自分も「先のことなど深く考えず、とりあえず誘われたら参加してみる」精神で多くの人に出会い、世の中の面白さを知った。
20代は「体力」こそが武器だった。
社会人になり、朝から晩まで働いた後に飲みに行き、そのまま徹夜で遊んでしまうという生活ができていた。
とにかく身体が資本で、多少の寝不足やハードワークを物ともしないタフさが人付き合いを広げていた要因だった。
イベントやパーティーにも積極的に顔を出し、実際に足で稼いだ経験はビジネスにおけるリアルな人脈構築に大きく寄与した。
厚生労働省が公表した労働経済白書(2022年版)でも、20代での転職活動や副業・兼業の増加が顕著に見られることから、行動量が成功を左右する年代だと言える。
この時期の「体力にものを言わせる交際」は確かに無駄も多かったが、総じてプラスのリターンが多かった印象がある。
30代は「コネクション」の価値を強く意識し始めた時期だった。
20代の行動量によって蓄積された人脈は、じっくり見直すとビジネスチャンスが隠されていることに気づく。
たとえば自分の場合、学生時代の仲間や社会人になってすぐ一緒に仕事をしたメンバーと、新しい事業を立ち上げるプロジェクトを企画する機会が何度かあった。
たまたま顔見知りだった人が、意外にも技術的に尖った強みを持っていたり、投資家に顔が利いたりする。
こうした「繋がりのアップデート」を確認していくと、自分が思いもしなかったシナジーが生まれる。
ITやAIが進化する中で、情報交換のスピードは一気に加速した。
SNSを使えば、名刺交換した相手の近況をすぐにチェックできるし、共通の知人を介して新たなネットワークを広げやすい。
総務省が発表した情報通信白書(2023年版)によれば、日本国内のビジネスSNS利用率は年々上昇しており、特に30代が最も活用しているというデータが示されている。
これはまさに30代が「コネクション拡張期」であることを裏付けるデータだと思う。
40代は「人脈の掛け算」を意識し始めた。
30代までに培ったコネクションの連鎖を広げ、より大きな価値を生み出す段階に入る。
例えば自分の周辺だけでなく、異業種のパートナーと手を組むことで全く新しいビジネスが生まれる可能性が高まる。
stak, Inc.を例に挙げると、IoTデバイスとエンタメを掛け合わせた新プロジェクトを組成するときに、クリエイターやPRの専門家が集まり、大きなメディア露出につながったケースがある。
特定の領域だけではなく、PR×IoT、マーケ×AI、デザイン×ブランディングといった形で能力を掛け合わせることで相乗効果が得られる。
総務省の「地域IoT実証事業報告書(2021年度)」には、異分野の組み合わせによって地方創生を図る事例が多数掲載されている。
そこで示されたデータによると、異業種連携プロジェクトは単独事業と比べて約1.6倍の経済波及効果が見込めるという分析がある。
40代は体力的な全盛期ではなくなるが、経験とコネクションを最大化し、人脈の掛け算を駆使して大きな成功を目指すステージと言える。
そして50代に近づくと「健康」が最も重要なプライオリティになりそうな予感がある。
周囲を見渡すと、働き方や付き合い方にも健康を軸にした配慮が求められる。
夜遅くまでの会食や暴飲暴食を続けるより、適度な運動や栄養バランスを重視し、健康を維持することがビジネスのパフォーマンスにも直結する。
厚生労働省が公開している国民健康・栄養調査(2022年版)では、50代以降で生活習慣病リスクが急増する傾向が示されている。
経営者やクリエイターも健康を大切にしながら長期的に活動を継続するための基盤を作ることが不可欠。
時間の大切さを痛感しているからこそ、健康を損なえば取り返しのつかない事態になる。
若い頃のノリや体力勝負で得たもの、30代のコネクション、40代の人脈の掛け算で花開いたチャンスを最大限活かすためにも、健康が支点となってくる。
具体的エビデンスと事例
▼ 10代のノリとコミュニティの形成
文部科学省の「学習指導要領検討調査(2020年)」によると、10代のSNS利用率は90%を超え、そのうちの約60%が1日に数回以上SNSをチェックしている。
興味本位でつながった相手との会話が、新しい趣味やプロジェクトにつながるケースが数多く報告されている。
自分自身も、10代後半に地元のイベントやSNSで出会った仲間とバンドを組んだ経験がある。
その活動が結果的に、ビジネスのプレゼンで人前に立つ度胸や企画力に繋がったと感じている。
▼ 20代の体力勝負と行動量
厚生労働省の労働経済白書(2022年版)には、20代の平均残業時間が30代・40代と比較して最も長い数字になっているというデータがある。
当時は無理がきく年代であり、仕事でも遊びでも全力で駆け回る体力がある。
自分も20代前半では寝不足状態でも二次会・三次会に参加し、そこから得た人脈が後に大きなビジネスチャンスを生む場面に何度も遭遇した。
体力に裏付けされた行動量が、質にも繋がってくるというのは確かにある。
▼ 30代のコネクションアップデート
総務省の情報通信白書(2023年版)では、ビジネスSNSの利用率が30代で突出して高い事例が挙げられている。
LinkedInやFacebookグループを活用して、新たな取引先や協業先を見つけるパターンが増加している。
自分もstak, Inc.の創業期においては、20代で出会ったエンジニア仲間が投資家を紹介してくれたり、マーケティングのプロとつなげてくれたりして起業を円滑に進めることができた。
コネクションをアップデートすることで、情報と人的リソースが一気に集約される。
▼ 40代の人脈の掛け算と事業拡大
総務省の「地域IoT実証事業報告書(2021年度)」には、異業種連携プロジェクトの経済波及効果が単独事業と比べ約1.6倍になるという分析が掲載されている。
この背景には、多角的な視点や資源の相互活用が大きく影響しているとのこと。
自分も40代に突入した際、IoT事業とデザイン会社、さらにPR会社が一堂に会した合弁プロジェクトを立ち上げた結果、従来のビジネスモデルだけでは到達できなかった市場セグメントに食い込むことができた。
人脈の掛け算は、ひとつの業界では得られない独創的なアイデアを生む源となる。
▼ 50代以降の健康最重視時代
厚生労働省の国民健康・栄養調査(2022年版)によれば、50代の生活習慣病リスクが40代と比較して約1.5倍に増加するというデータがある。
血圧や血糖値、コレステロールなど、気を配る項目が格段に増える年代に入る。
さらに仕事と健康維持の両立はビジネスリーダーとしても必須課題であり、一度大きな病気を経験するとその後の経営判断に大きな影響を及ぼす。
最近でも有名な上場企業の役員が急に体調不良で離任したケースがニュースになることが多々ある。
こうした状況に備えるためにも、50代以降は健康を軸とした人付き合いを広げたり、健康経営を推進する動きが加速すると考えられる。
まとめ
これまで述べてきたように、人との交際や付き合い方は年代とともに大きく移り変わる。
10代のノリ、20代の体力、30代のコネクション、40代の人脈の掛け算、そして50代以降の健康重視。
どの年代も大切だし、どれ一つ欠けても今の自分は存在しない。
一方で、ビジネス環境の変化が激しい現代では、IT、AI、IoT、そしてクリエイティブやマーケティングの発想が常にアップデートされていく。
この流れに乗り遅れないようにするためには、自分自身の気持ちも「八面玲瓏」を意識して磨き続けるしかない。
どの角度から見られても歪みなく、しかし磨かれ続けて美しく光り続けるためには、日々の試行錯誤が欠かせない。
2025年の元旦を迎えられた今、改めて自分が駆け抜けていく意志を表明する。
しかし、ただ突っ走るのではなく、時間の価値を高めるための上流思考を意識する。
交際についても無駄を省きつつ、しかし大切なご縁は丁寧に育んでいく。
ノリと体力だけではなく、コネクションを整理し、人脈を掛け合わせ、健康という土台を最優先に考えること。
それが今の自分にとって、真の意味で駆け抜けるうえで必要な姿勢だと考えている。
stak, Inc.のCEOという立場も相まって、周囲から見ればとにかく常に先を見通し、新しいプロダクトやサービスをリリースし続けなければならない立場に映るかもしれない。
だが、そのためには自分自身の心と身体、そして人との交わり方をいま一度見直す必要がある。
AIやIoTが加速し、世の中がどんどん便利になっていく一方で、深い心のつながりや共感がますます貴重な資源になっていくのは間違いない。
人と人との結びつきを疎かにしてはいけないし、かといって全員と浅く広く付き合うだけでは本当に欲しい未来には近づけない。
だからこそ八面玲瓏を胸に刻み、時間と付き合いを再構築することで、これからも駆け抜けていきたい。
過去を振り返ると、いつもいまが一番大変で、一番面白いと感じている。
自分にとって人生はそういうものだと確信しているからこそ、今年も遠慮なく前に進む。
一度きりの人生ならば、どの面から見ても清々しく、そして進化し続ける姿で在りたい。
それが2025年という新しい年を迎えた、いまの正直な想いである。
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