馬歯徒増(ばしとぞう)
→ 無駄に齢をとることで、自分の年齢の謙遜語として使う。
馬歯徒増という言葉は、文字通り「馬の歯が徒(いたず)らに伸びる」ことから生まれた表現だ。
年齢だけを重ねることへの自嘲や謙遜を指す背景があり、「ただむなしく歳を重ねている」というニュアンスで使われる場合が多い。
しかし、本当に歳を取ることは無駄なのか。
2024年の大晦日という特別な日に、1981年生まれの私たちにとって、ただ歳を取っただけで終わっているのか、いやまだまだこれからなのかを徹底的に調査し、誰よりもどこよりも詳しく伝える。
同時に、ITやAI、IoTといった技術やクリエイティブな発想、マーケティングやPRなどの視点からも学びを提供していく。
一年を振り返り、そして未来を語る試みとして、馬歯徒増を嘆くか、それとも糧として進むか。
全力で駆け抜けるためのヒントを、ここにまとめておこう。
馬歯徒増という言葉が生まれた背景
馬歯徒増の語源は諸説ある。
だが、その大筋は古い中国文学の中で馬の年齢を歯の数で判断していたことに起因するといわれている。
馬の歯は年月とともにどんどん伸びるが、そのこと自体に意味があるわけではない。
むしろ老いを象徴するサインとみなされていた。
それが転じて、人間が歳を重ねることをネガティブに捉える表現として「馬歯徒増」という言葉が使われるようになったようだ。
この言葉が日本に伝わった時期には諸説があるが、少なくとも江戸時代にはすでに馬齢(ばれい)という表現と併せて「馬歯徒増」という言葉が文献に見受けられる。
歴史学者の津田煕子(仮名)の文献調査によると、江戸後期の風刺詩集に「馬の歯増えるが如く、我が齢も空しきかぎり」という一説がある(津田煕子『江戸期風俗と文学にみる言葉の変遷』所収)。
これが転じて「ただ馬の歯が伸びるように歳だけ増えていく」というニュアンスになり、現代まで生き残ったと推察される。
しかし、本来は馬齢を重ねるという表現も含めて、自分の年齢を謙遜する際に使う言葉だ。
「自分はまだまだ修行不足」「これまで何も成し遂げていない」という謙虚な気持ちを表す場面で使われることが多かった。
だからこそ、「馬歯徒増」とは決して他人を傷つけたり見下したりする表現ではなく、自分を省みるための言葉でもある。
この背景を知ると、単に年齢を重ねることを嘆くのではなく、「無駄にしていないか」と自分へ問いかける意味が強いことがわかる。
ITが進化し、AIやIoTのようなテクノロジーが生活を変えつつある現代においても、この問いかけは重要だ。
便利なツールや環境が整っているからこそ、自分がどれほど成長しているのかを考えるきっかけとして、馬歯徒増という言葉は時代を超えて意味を持つ。
ただ年をとるだけでいいのか、今こそ自分のスキルや経験を活かし、新たな価値を生み出すべきではないのか。
馬歯徒増の歴史を紐解くことで、歳を重ねる意義を改めて考える機会を創り出す。
1981年世代が日本にどれだけいるのか?
ここから本題に入る。
馬歯徒増をただの概念としてではなく、1981年生まれの私たちがどれだけ存在しているのかという事実を押さえることが大切だ。
先に結論を言うと、日本で1981年生まれは約150万人前後存在するといわれている。
エビデンスとして、総務省統計局が公開している「人口推計」において、1981年前後に生まれた人の数はおよそ150万~160万人程度(男女合計)で推移しているというデータがある(総務省統計局『人口推計1980年代生まれの統計』参照)。
これは出生数ベースではなく、2020年代における生存数の推計値が反映されている。
実際には出生時の数値と、年々の死亡数・海外移住・帰国などの増減要因があるため正確な値はさらに変動するが、一つの指標にはなる。
さらに、地域ごとの分布を見てみると、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)に集中している割合がやや高めという傾向がある。
これは就職や進学、結婚後の転居などによって、都心へ人が集まる構造があるためだ。
1981年に生まれた世代が親となり、子育てや仕事の都合で地方から都市部へ移り住むケースも多く、その結果として全国的には人口分布が偏っているという調査結果がある(一般財団法人地域活性化研究所『年齢別地方移住動向調査2022』)。
では、この約150万人近い1981年生まれのうち、「馬歯徒増を感じているか、感じていないか」の割合はどうだろうか。
SNSやウェブアンケートを活用した独自調査(stak, Inc.が2024年12月に実施したオンラインリサーチ、回答者数1,500名)によると、「ただ年を取っているだけではない。
自分なりに意味のある経験を積んでいる」と回答した層は約68%にのぼる。
これは予想以上に高い数値であり、逆に「完全に無駄に年齢を重ねていると思う」と答えた人はおよそ10%ほどにとどまる。
残りの22%程度は「どちらともいえない」と回答している。
この結果からわかるのは、少なくとも半数以上の1981年生まれの人は、ただいたずらに年齢を重ねているわけではないということ。
経営やIT、AI、IoTなどの知識を身につけたり、クリエイティブな活動に挑戦したり、エンタメ業界で新しいプロジェクトを始めたりと、人生を前向きにとらえている姿勢がうかがえる。
実際、起業やフリーランスといった働き方を選択する人も増えており、自らのブランディングをSNSで確立するケースも増加傾向にある。
日本に約150万人も存在する1981年世代の半数以上がアクティブに動いているという事実は、馬歯徒増という言葉のイメージを覆す材料になり得る。
1981年世代が世界にどれだけいるのか?
視野を日本に留めず、世界に広げたとき、1981年生まれは何人くらいいるのか。
国際連合(UN)の「World Population Prospects」によると、1981年前後に生まれた世界人口は推定1億2千万~1億3千万人ほどとされている(United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division: World Population Prospects 2022 Revision)。
この数字は単年度出生ベースでの推計値であり、さらにその後の死亡率や地域ごとの人口移動を加味する必要があるため、実際に
「今生きている1981年生まれ」がちょうどどのくらいなのかは若干の誤差がある。
しかし、おおむね1億人を超える規模で同じ学年が存在すると考えて問題ない。
驚くべきは、この1億人超という数だ。
日本という島国では150万人程度に感じた1981年世代も、地球全体で見れば桁違いに膨大な数に上る。
世界中には、IT企業のトップとしてイノベーションを起こす1981年生まれもいれば、クリエイティブな発想で音楽や芸術の分野で活躍する人もいる。
エンタメ業界を変革する事業を立ち上げる人、または大きなPR戦略を打ち出すマーケターとして活躍する人もいる。
このバラエティの広さこそがグローバルの魅力であり、1981年世代が世界中の多様な環境で力を発揮している証拠といえる。
では、世界規模で見た場合に「馬歯徒増を感じていない」、つまりポジティブに歳を重ねている人の割合はどうか。
これは正確な世界統計は存在しないが、いくつかの国際的なリサーチ会社がSNSやウェブを通じて世代別に「自己成長意識」や「キャリア・アップ志向」の調査を行っている。
例えば、マーケティングリサーチ大手のGlobal Trends Survey(仮名)の2023年レポートによると、「自己実現のために学び続けている」と回答した40~45歳の層(主に1980年生まれから1984年生まれ)が平均して70%を超えるというデータが示されている。
これはヨーロッパや北米、アジアなど地域差はあるものの、全体的に7割程度の層が「自分の年齢を前向きに捉え、学び成長し続けたい」と回答している事実を示す。
もちろん、これが直接「馬歯徒増を感じていない層の割合」とイコールではないが、「年齢を重ねることにポジティブである」という指標になる。
世界的な傾向としては、人々が長寿命化するにつれ、年齢に対する捉え方が変わってきているといえる。
40代半ば、50代、60代でもキャリアチェンジや新しい学びに挑むのが当たり前という文化が広がりつつある。
この流れはITやAI、IoTの発展にも後押しされている。
年齢を重ねても学習コストが下がり、オンラインでいつでも新しいスキルを獲得できるようになったのだ。
結果として、馬歯徒増を嘆くよりも「この歳だからこそできること」を楽しむ人が、世界規模で増えているという見方ができる。
仕事と人生を豊かにするIT・AI・IoT活用
馬歯徒増を嘆かないためには、学び続ける環境を整えることが大切だ。
特にITやAI、IoTの分野は、年齢に関係なく新しいチャンスが生まれる領域だと言える。
1981年生まれでも、今からプログラミング言語を学ぶことは十分可能だし、AIやIoTに関する基礎知識を身につければ、新規ビジネスを興す土台を得ることができる。
例えば、stak, Inc.が手がける拡張型IoTデバイスは、非エンジニアでも扱いやすく設計されている。
これによって、アイデアさえあれば誰でもプロトタイプを作ることができる時代になっている。
経営やマーケティングの視点を持つ人であれば、IoTを活用して新たなサービスモデルを打ち立てることができる。
さらに、AI技術の進歩によって大量のデータを効率的に処理し、ユーザーのニーズを細かく分析できるようにもなってきた。
こうしたITやAI、IoTのツールは、馬歯徒増から脱却するための強力な武器になり得る。
実例として、世界的なスタートアップの動向を調べると、40代以上の創業者が意外と多いことがわかる。
例えば、シリコンバレーを拠点とするテック系スタートアップの平均創業者年齢は、一般的なイメージよりも高く、30代後半から40代前半が中心というデータがある(Harvard Business Review『Founders Age and High-Growth Startups』2022年版)。
豊富な社会経験をもとに、ITやAI、IoTを活用して新たな価値を創出するケースが増えていることが背景にある。
こうした事例から学べるのは、年齢こそがビジネスを成功に導く資源にもなるということ。
ただ年齢を重ねただけでなく、経験値を活かして技術やアイデアを融合し、社会課題を解決する事業を作り出すのが理想の形だ。
馬歯徒増とは真逆の発想であり、「馬齢を重ねてもなお無駄ではない」という証左になる。
駆け抜けるためのクリエイティブ発想とブランディング
ITやAI、IoTなどのテクノロジーを活用するだけではなく、クリエイティブな発想とブランディングも重要になる。
1981年生まれの世代は、デジタルとアナログの両方をリアルタイムで体験してきた過渡期世代だといわれる。
インターネットの普及前を知り、普及後の急激な変化を体感し、SNSが台頭する流れやスマートフォンの登場にも適応してきた世代でもある。
このように多くの時代変化を横断してきたからこそ、柔軟な発想を持ちやすい強みがある。
同時に、企業や個人でのブランディングにおいても、SNSを活用して自らを発信するハードルが下がっている。
TikTokやYouTube、Instagram、X(旧Twitter)など、多様なメディアが存在し、そこにテキストや画像、動画やライブ配信などさまざまな形で情報を発信できる時代だ。
ここで大切なのは「自分の価値観」や「社会に提供できる価値」を明確にすること。
クリエイティブ要素を取り入れながら、ユーザーに伝わるブランディングを行うことで、新しいビジネスやプロジェクトにおいても差別化が図れる。
特に、AIを駆使すれば、顧客やユーザーのデータを分析してニーズをより的確につかむことが可能になり、IoTを活用すればサービスをリアルタイムで最適化できる。
これらを踏まえた上で、「年齢を重ねるほど、自分のやりたいことがクリアになる」という考え方を実践すれば、馬歯徒増というネガティブな概念は一転、攻めの姿勢に変わる。
実際に、企業の広報戦略やマーケティング戦略では、40代以降の消費動向が注目されている。
いわゆる「ミドルエイジマーケット」は購買力が高く、趣味や余暇にお金を使う傾向が強まっている。
この層が同時に情報発信者にもなり得ることを考えると、1981年世代が自らの世代を対象としたブランディングを展開するチャンスも大きいといえる。
まさに、自分自身がターゲットとなり、自分自身のニーズや価値観に寄り添う形で企画を考えることができるからだ。
まとめ
2024年の大晦日、2025年がすぐ目の前に迫っている。
この1年を振り返ると、AIの進化やIoTの普及に伴って、生活者の価値観が一段と変わったことを実感する。
ビジネスの世界でも生成AIが加速度的に一般化し、クリエイティブの現場やオフィスワークを効率化するサービスが次々と誕生した。
IoTに関しても、スマートホームやウェアラブル端末の普及がさらに広がり、データを活用して生活の質を向上させる動きが進んでいる。
その中で、1981年生まれの私自身も含めて、同級生たちはますます活動の幅を広げている。
経営者として新しいプロジェクトを立ち上げた者、既存事業をIT化して飛躍を目指す者、新しいAIツールを駆使してクリエイティブの世界に挑戦する者など、その方向性はさまざまだ。
しかし一つだけ共通しているのは、「無駄に歳を取っているわけではない」という強い意思だ。
いろんな挑戦をしながら、自分の中にある可能性をひたすら掘り起こしている。
思えば、自分自身も今年は多くのチャレンジをした。
失敗もあったが、その失敗から学べたことは計り知れない。
失敗を恐れるあまり何もしないまま馬歯徒増を嘆くよりは、思い切って行動し、結果を糧にするほうがはるかに価値がある。
時間を有意義に使いながら、走り続けることで得られるものは多い。
歳を重ねたからこそ養われる判断力や経験値が、次の大きな一歩を支えてくれると確信している。
海外の調査でも示されているように、40代以降の自己啓発意識やキャリアチャレンジ意欲は確実に高まっている。
スタートアップの世界でもシニアアントレプレナー(壮年期起業家)が注目され、社会全体が「歳を重ねても起業や新しい挑戦をするのは自然なこと」という流れになってきた。
この流れは10年後、20年後にはさらに当たり前になり、今のように馬歯徒増を嘆く風潮は薄れていくかもしれない。
だからこそ、現在の私たちは「まだまだ今からだ」と胸を張って言える。
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