デザイナーのMです。
前回はデザイナーを目指す方が、スキルアップや転職活動でやるべき・気をつけるべき点について書きました。
今回は実際の就職活動で意識すべきことについて書きます。
1. ポートフォリオ制作
他の職業と違い、デザイナーはポートフォリオの提出を求められることがほとんどです。
ですが、意外とポートフォリオについてのノウハウは少ない印象です。
私が実際にポートフォリオ制作で意識した点や、エージェントからのアドバイス、そして採用側として見た時に気がついた点についてシェアしたいと思います。
掲載実績を増やす
専門学校時代、私は教師からどうせ最初の数ページしか見ないのだから数を絞って載せるよう指導を受けました。
私もそれに倣い、案件を絞ってポートフォリオを作成していました。
実績のほとんどが掲載不可案件だったこともあったのですが、ある時エージェントからボリュームが少なすぎると言われました。
確かに、採用側的にはきちんと見ないにしても、10案件程度はないとそんなに案件をこなしていない様に見えてしまいます。
20案件以上はデータ量や紙の量が多すぎてしまうので、個人的には10〜20案件がベストだと思います。
※バナーやタイポグラフィなど、作業コストが低く作業効率が求められるタイプの実績は、代表作だけ1ページ使い、あとはまとめて20件以上掲載するのもありだと思います。
結果を書くだけではNG
「◯◯社のHPを制作しました」だけだと、その案件でどんなことをしたのかが伝わりません。
デザイナーに求められることは多くの場合、ただいい感じのデザインを作成する技術力だけではなく、分析力や情報設計力など多岐に渡ります。
大手で分業化がはっきりしている場合でも、ディレクターの考えを読み取り、時にはより良い提案をする必要がある場合もあります。
実務経験者の場合、質問で苦労した案件や案件の製作過程、プロジェクトの規模などについて質問を受ける場合があります。
ポートフォリオではただ結果を提示するのではなく、制作過程や何をどう意図したのかも掲載しましょう。
未経験の場合でも、クライアントやユーザーのペルソナを仮定して制作することで、思考力を身につけられます。
なかなかペルソナが思いつかない場合は実際の企業を分析してみましょう。
わかりやすくかつクオリティの高いデザインにする
どんなに中身が優秀でも、ポートフォリオ自体のクオリティが低ければ不信感を抱かれてしまいます。
ポートフォリオでは、「自分らしい」デザインを心がけ、しっかりクリエイティブ性を出しましょう。
シンプルなデザインが得意ならシンプルに、ポップなデザインが好きならポップに、アイディアに困ったら自分の好きな色やアートからインスピレーションを受けると良いです。
実績は様々なテイストを用意した方が良いですが、ポートフォリオ自体は自分らしさを表現することで、どんなデザインが好きなのか、得意なのかをアピールできます。
思い切ったデザインにすることで、実績にはなくてもこんなデザインもできるのかと思わせることが大切です。
また、ポートフォリオは情報をまとめるものでもあるので、わかりづらくては元も子もありません。
自分の関わった領域、制作期間、使用したソフト、実績のリンク先など、必要な情報を整理し、整合性を持たせましょう。
応募企業にあった内容にする
申し込む企業に合わせて、ポートフォリオも更新していきましょう。
実績には多様性が必要ですが、バナーやLP制作など、何かに特化した制作会社やインハウスの場合、入社後に作るものがある程度決まっています。
求人票を確認し、もしバナー特化の場合は実績の半分以上をバナーにするなど、取捨選択が必要です。
様々なジャンルの制作を行うデザイン事務所などでは、逆にアナログ媒体からWebサイトまでさまざまなジャンルを掲載すると良いでしょう。
ポートフォリオの更新は手間ですが、企業の求めている人材であることをアピールするために行なっておいて損はありません。
また、現職が何かの政策に特化した企業で、希望先が様々なジャンルのデザイン制作を行なっている場合、しっかり自主制作でデザイン力をアピールすることが必要です。
せっかく技術や経験があっても、「このジャンルしか作れない」と勘違いをされてしまう可能性があります。
2.制作課題
書類審査と同時、または書類審査と面接の間に制作課題を行う場合があります。
実際にその企業の案件をベースに出されるため、入社後のイメージを掴むチャンスです。
未経験者の場合は特に、自分がどれだけデザイナーをやりたいかをアピールすることが重要です。
制作課題を行う上で意識した方が良い点をシェアします。
成果物は多めに提出する
働きながらの場合、時間の捻出が難しいですが、もし1点の提出を求められても2点以上提出した方が良いでしょう。
Webデザインの場合、PC / SP双方の整合性が取れている必要があるため、両方のデザインの提出が必須です。
実際の業務でもクライアントに2案提出し、選んでもらう場面は少なくありません。
制作課題は実力を発揮するチャンスなので、アピールのためにより多く、クオリティの高いものを提出できるよう努力しましょう。
仕様書はしっかり読み込む
当たり前のことですが、ケアレスミスや仕様書の意図を読み違えてはいけません。
実務以上にケアレスミスが大きな失敗につながってしまいます。
企業の実績を確認する
企業の実績を確認することで、どの程度のクリエイティブが求められるのかや、企業としての方向性を知ることができます。
真似になってはいけませんが、レギュレーションの確認程度に確認する様にしましょう。
なるべく締め切りより早く提出する
もし自分で締め切りを設定できる場合は、実際に完成する日程より余裕を持って設定しましょう。
そして、設定した締め切りより数日早く提出をすることが大切です。
企業の方針にもよりますが、手が早いことは強みの一つなので、締め切りを守りかつ素早く提出できたことは高評価につながるでしょう。
ただ、あまりに長い締め切りを設定すると不信感を持たれるので、1週間前後が適切でしょう。
企業が締め切りを決める場合は時間の調整が難しいですが、とにかく数を多く、できれば早く仕上げることを意識してみましょう。
3. 面接
書類やポートフォリオの審査が通ったら、次は面接です。
面接は企業によって全く違うため、臨機応変に対応する必要があります。
私がこれまで面接の中で聞かれたデザイナーならではなことや、面接で気をつけたことについてシェアします。
服装
デザイナーの場合、他の職種に比べて厳しくありません。
求人でもネイル・髪色自由を謳っているところも多いです。
もし不安な場合はスーツでも問題ないです。
エージェントを通した求人の場合は、エージェントに聞いてみるのも一つです。
コーポレートサイトに社員や会社の雰囲気が載っている場合は、そちらに合わせるのもいいでしょう。
私の経験だと、印刷系や規模の大きい企業はよりきちんと、IT系やベンチャー企業ではラフな社風が多い印象です。
オンライン面接に慣れる
コロナ禍以降、よりオンライン会議が一般的となり、就職活動では時間や場所の都合上、特に一次面接はオンラインの形式が多くなりました。
オンライン面接に適した環境を用意することはもちろんですが、ポートフォリオや職務経歴書をその場で開いてほしいと言われる場面もあります。
スムーズにオンライン面接を行うために、少なくとも画面共有はスムーズに行えるようにしましょう。
また、実際の作業を面接中に画面共有で見せる場合も、稀ですがあります。
緊張しないよう、面接の内容に合わせたリハーサルを行うようにしましょう。
デザイナーならではの面接での質問
志望理由や得意、不得意についてなどはどんな面接対策でも出てきます。
デザイナーは専門職ですので、デザイナーならではの質問が必ず入ります。
ここではよくあるデザイナー向け質問についてシェアします。
- デザインを制作する際に意識していること
- 得意な領域
- プロジェクトチームの構成
- チーム内での立場、役回り
- 制作にかかった期間
- 応募企業の制作物のレビュー
- 制作課題のレビュー
- これからどんなデザイナーになりたいか、キャリアプラン
経験者の場合、主にプロジェクトの規模感に関する質問が多いです。
Web制作の場合はコーディングとデザインのスキルレベルや、希望の仕事での割合も聞かれることが多いです。
制作から時間が経っている案件を実績に掲載している場合は、ポートフォリオ制作時にしっかり確認をしておくことが大切です。
また、デザイン制作で意識していること、どんなデザイナーになりたいかも必ずと言っていいほど聞かれます。
抽象的な質問なので、あらかじめ自己分析を行い、しっかり答えられる様になりましょう。
どんなデザイナーになりたいかは、ディレクターを目指すか、デザイナーを続けるかの二つに大きく分かれます。
特にシニアデザイナーが聞かれる質問ですが、ディレクターの中にもクリエイティブディレクターから企画・制作進行まで様々なディレクターが存在するため、自分が3年後5年後どうなりたいか、何が向いているかを考えて見ましょう。
企業も数年後のポジションを考えて採用を決めるので、お互いに齟齬がないことが大切です。
キャリアプランに迷った場合はクリエイティブ系に強いエージェントを探し、相談してみるのも良いです。
まとめ
今回はデザイナーの就職活動で気をつけることについてまとめました。
経験で語る部分が多く、シニアデザイナー向けのデザインとなってしまいましたが、未経験者でも意識する点は同じです。
とにかく自分ができること、デザインが好きであること、どんなデザイナーになりたいかを意識して、企業に自分をアピールして見ましょう。
経験が足りない場合であっても、熱意があれば採用のチャンスが巡ってくる場合もあります。