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2023年7月7日 投稿:swing16o

七夕の日に考える人海戦術

人海戦術(じんかいせんじゅつ)
→ 多数の人を繰り出し仕事を進めることや数的に優位な兵力で戦うこと。

7月7日といえば、七夕だ。

七夕は、中国から日本へ伝わった伝説の1つだ。

数千年の歴史を通じて語り継がれてきた七夕の伝説の内容は、ほとんどの人がなんとなく知っているはずだ。

前提として、織女星(ベガ)と彦星(アルタイル)が天の川を隔てて恋人同士であるというもの。

そして、両者は年に一度だけ、7月7日に会うことが許されている。

この伝説が数千年も語り継がれてきた理由は、自然の力を超越する愛を象徴する物語だからだろう。

世界中に広まったこの深い絆は、個々に持つ力と、その力が一体となる美しさを象徴しているというわけだ。

日本では、この伝説は七夕の祭りとなり、人々は願い事を書いた短冊を竹に吊るすというカルチャーが定着した。

竹に紙を飾り、その紙に願い事を書くという独特の風景は、日本の夏の象徴的な風景とも言える。

この紙1つ1つが、それぞれの人々の願いを象徴し、それらが集まることで美しい風景を生み出しているというわけだ。

そんな風景から学べることはなにかを考えたとき、それは「集まる力」の美しさと、その可能性をリンクさせた。

今さら聞けない人海戦術ってなぁに?

この集まる力の美しさと可能性をビジネスに応用したものが、人海戦術だといえる。

それは、大量の人員を投入することで物事を成し遂げる戦略で、主に中国など人口が非常に多い国でよく用いられてきたものだ。

この戦術の特徴は、労力や時間を大量に投入することで、目標を達成するという点にある。

例えば、ある製品を多くの人に知ってもらうために、大量の人員を投入して広告活動を行うといった場合だ。

ただし、勘の鋭い人はピンとくると思うが、この人海戦術には当然欠点もある。

人員を大量に投入するということは、それだけのコストが必要となる。

また、組織が大きくなると、それに伴う管理の難しさや、1人1人の働き手の質のバラつきなどの問題も生じる。

ましてや、AIが台頭している時代に人海戦術をどう考えればいいのか。

七夕と人海戦術の交差点

ということで、七夕と人海戦術がどのように関連しているのか、その交差点について掘り下げてみよう。

七夕では、何百何千という願いが1つの竹に集まる。

それぞれの願いが1つ1つの星となり、全てが集まって大きな天の川を形成するイメージを持ってもらいたい。

これが人海戦術の理念と同じだという考え方だ。

個々の力が集まり、大きな力となり、大きな成果を生む。

その一方で、七夕は、1つ1つの願いが独立して存在していることを象徴している。

この部分が人海戦術における個々の力が個別に活かされることを示しているというわけだ。

つまり、人海戦術を上手く適用するには、個々の力を最大限に活かすことが重要になる。

七夕では1つ1つの願いが重要で、それが集まることで大きな力となるのと同様に、人海戦術では1人1人が最大限に力を発揮し、それが集まることで大きな成果を生む。

そんな中、21世紀に突入し、ビジネス環境は大きく変わりつつある。

その大きな要素の1つが、AI(人工知能)の台頭だろう。

AIは、大量のデータを高速に処理し、パターンを見つけ出し、高度な予測を立てることができる。

かつては手作業で行ってきた仕事を自動化し、大幅な効率化をもたらしている。

ここで大切なことは、AIと人が交差する点が生まれ、人海戦術にも当然変化が起きるということだ。

要するに、個々の力とAIの自動化の組み合わせにより、人海戦術の有効性が新たに見直されているということだ。

例えば、大量のデータを処理する仕事はAIに任せ、人間はその結果を分析し、戦略を立てるといった役割分担が可能となった。

くり返しになるが、人海戦術にも変化が起きている。

人海戦術の適用と工夫

人海戦術を現代のビジネス環境に適用するには、AIとの融合が不可欠になった。

具体的には下記のような工夫が必要となってくる。

自動化と人間の役割の再定義

AIが得意な作業を自動化し、人間が得意な作業を人間に任せるという役割分担を明確にする必要が出てきた。

具体的には、データ分析、パターン認識、予測などをAIに任せ、戦略立案、クリエイティブな思考、人間関係の管理などを人間が担当するという分担が考えられる。

教育とトレーニング

AIと共に働くための新しいスキルや知識を習得するための教育やトレーニングが必要が出てきた。

データ分析の基礎、AIの基本的な動作原理、AIとのコミュニケーション方法などが含まれる。

組織文化の変革

AIと人間が共に働く新しい組織文化をつくり出すことが求められることになった。

共同作業の成功を確保するために、AIをツールとしてではなく、一員として受け入れる心理的な変化を伴っている。

また、失敗から学ぶ文化や絶えず学び続ける文化も重要で、これらを推進するリーダーシップが同時に求められる。

AIエチックスの導入

AIを導入することで生じる倫理的な問題に対処するためのガイドラインが必要となった。

AIの使用を通じて生じるプライバシーやセキュリティ、透明性や公平性に関する問題への対応が含まれる。

こういった工夫を行うことで、人海戦術は七夕の理念を象徴するように、個々の力が組織の大きな力となり、成果を上げることが可能となりうるという時代が到来した。

交差点で重要なタイミング

ポジショントークもあるが、AIの話題を少々強引に織り交ぜた印象を受けた人もいるだろう。

ここで伝えておきたいことがもう1つある。

それは、七夕の伝説が数千年も語り継がれているように、不変の部分が人間社会には必ず残るという部分だ。

AIの台頭は確かに注目すべきトピックスで、ここに乗り遅れてはいけないという事実はある。

けれども、ほとんどの人がAIを触れたことがないという統計データがある。

それは、2023年6月上旬に発表された統計データで、3%の人しか頻繁にAIを使っていないというもので、一度でもAIに触れたことがあるという人は7%だった。

つまり、AIに触れたことがあるというカテゴリで見れば、10%しかいないということになる。

10人に1人しか実際に触れたことがないのが現状なのである。

なにが言いたいのかというと、ほとんどの人は知らないもの、なにかわからないものに対しては拒絶するということだ。

ましてや、今の生活を変えようと思っていない人が大半というのが社会というものだ。

余計なものを取り入れなくても今のままでいいという発想の人がほとんどなので、劇的に世の中が変わるということはまずない。

変化は少しずつ起きて、気がつけば皆がその変化に飲まれているというのが実態だろう。

つまり、なにかが変わりそうな交差点を見つけたとき、交差点を発見したとき、肝心なのはタイミングだ。

そのタイミングを見極めるのは非常に難しく、それがわかれば誰も苦労しないわけだが、一気に拡がるタイミングが必ずある。

いわゆる、キャズムを超えるといった表現だ。

せっかくなので、概説しておこう。

「キャズムを超える」というフレーズは、ハイテク製品の市場普及のパターンを説明するためにジェフリー・ムーアが1991年に提唱した「キャズム理論」に由来する。

キャズム(chasm)は「深い裂け目」や「断層」を意味する英単語で、キャズム理論では「採用者の間に存在する大きなギャップ」を指している。

ジェフリー・ムーアの理論では、新技術の市場普及は下記の5つの異なるユーザグループが存在し、それぞれが新技術を採用する速度と動機が異なるとされている。

1)革新者(Innovators)

技術に非常に敏感で、新しいアイデアを試すことに興奮を覚える一部の人々を指す。

リスクを受け入れることができ、しばしば自己完結型のコミュニティを形成する。

2)早期採用者(Early Adopters)

これらの人々も新しいアイデアに対して非常に開かれているが、革新者よりも慎重だ。

新しいアイデアを社会の中に導入し、リーダーシップを発揮する。

3)初期多数派(Early Majority)

これらの人々は新しいアイデアを採用する前に他の人々がそれを試すのを待つ傾向がある。

時間をかけて新しいアイデアを採用し、製品が確立された価値を持つと認識するまで待つ。

4)後期多数派(Late Majority)

これらの人々は、初期多数派の人々が製品を採用した後でなければ新しいアイデアを採用しない。

懐疑的で、リスクを避ける傾向がある。

5)遅滞者(Laggards)

これらの人々は新しいアイデアに対して非常に懐疑的で、他の全ての人々が製品を採用して初めてそれを受け入れる。

そして、「キャズムを超える」とは、製品またはサービスが、上記の2)の早期採用者から、3)の初期多数派へと移行するプロセスを意味している。

この段階は非常に困難で、多くの新技術やスタートアップがこのキャズムを超えられずに市場から消えてしまうため、特別な意味を持っている。

キャズムを超えるためには、製品やサービスが単なる革新的なアイデアから、広範な市場にとって具体的な価値を提供するものへと進化する必要がある。

つまり、製品やサービスが普及のための実用性を証明し、広大な市場に対してその利点を伝える能力が求められるというわけだ。

まとめ

stak, Inc. の主力商品である、ちょっと便利な電球「stak」も、まさにキャズムを超えるために長らくもがき苦しんでいる。

そんなstakにも一筋の光が見えて、2023年の下半期は一気に拡大路線へと躍起になっているところだ。

七夕の日に願いが叶うのであれば、stakのこの一筋の光が太陽のように世界中を照らせる光になりたい。

ちょっと便利な電球が照らせる光の可能性は無限だ。

 

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植田 振一郎 Twitter

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