四六時中(しろくじちゅう)
→ 一日中、始終、つねに、いつも。
四六時中、夢中になったことはあるか。
大人になったら夢中になるということを忘れていきがちだが、生涯、夢中になれるものはあった方がいい。
なにが言いたいのかというと、夢中になれるものがあるということは、実はとても幸せなことだと思った方がいいということだ。
夢中になれるものは基本的に好きなもののはずだ。
結局、人は自分が好きで夢中になれるものしか続かない。
幸せなことに、私は大人になった今も夢中になれるものがある。
だからこそ、日々なにかと戦えるのかもしれない。
でも、私が特別なわけではない。
誰もが時間を忘れて夢中になったものがあるはずだ。
言い方を変えればハマったものがあるはずだ。
幼い頃にハマったもの
私がハマったものというか、習慣となっていたものはいくつかあるが、思い出せる限りを挙げていこうと思う。
まず、真っ先に思いついたのが、手塚治虫の漫画だ。
私の育った環境では、テレビのドラマやバラエティ番組を見ることやゲームをすることはNGとまではいかないまでも、他の家庭に比べると厳しかったように思う。
学校で同級生たちが話しているテレビの内容についていけないことはしばしばあったし、過去のドラマの話題になってもいまいちついていけないところがあるのはそのためだろう。
そんな家庭だったので、漫画を読むこともある程度の制限のようなものがあった。
そんな中でも許されていた漫画の1つが手塚治虫の漫画だ。
ブラックジャック、火の鳥、アドルフに告ぐといった作品があって、このあたりの漫画は何度も何度も読んだ記憶がある。
とはいえ、ブラックジャックの内容はなんとなくわかるが、火の鳥やアドルフに告ぐは何度読んでも理解はできなかったように思う。
そのあたりの作品のスゴさというか、内容を理解するのはもっと大人になってからだが、内容をなんとなく覚えていたのは幼い頃に何度もくり返し読んでいたからだろう。
漫画といえば、ドラえもんも許容された作品だった。
全巻揃っていて、ドラえもんも何度も何度もくり返し読んだ漫画の1つだ。
当時はなにも考えずに読んでいたが、今でも多くの子どもたちに愛されている漫画だ。
その内容が30年以上経っても伝わるということは純粋にスゴいことだと思うし、ドラえもんの道具にどんなものがあったのかを未だに覚えていることはもっとスゴいことだろう。
いずれにせよ、ハマったものというのは、単純に面白いと思ったもので、深くは考えていなかったはずだ。
特にコンテンツに限りがあった環境では、1つのことに集中する機会があったように思う。
記憶のメカニズム
ハマったものを思い出すときに、記憶をたどるわけだが、そもそもどのようにメモリに残っているのか。
人間の記憶は、大脳の特定の部分で、特に海馬と呼ばれる部位で形成され定着する。
そのプロセスは非常に複雑で、長時間にわたり多くの研究が行われいるが、まだ全てが解明されているわけではない。
ただし、一般的なメカニズムについては説明することができるところまではきている。
それは、人間の記憶は大きく3つのステージに分けられているということだ。
エンコーディング(符号化)、ストレージ(貯蔵)、そしてリトリーバル(回復)の3つだ。
エンコーディング(符号化)
情報が脳に入ってくるプロセスのことをいう。
感覚器官を通じて受け取った情報は、神経細胞の電気信号に変換される。
これらの信号は、特定のパターンを形成し、これが情報のエンコードとなるわけだ。
ストレージ(貯蔵)
エンコードされた情報は、次に脳内でストレージ、つまり保存される。
短期記憶は前頭葉で処理され、必要に応じて長期記憶に変換され、これが一部、既出の海馬という脳の部分で行われる。
海馬は新しい記憶を形成し、それを脳の他の部分に分散させる役割を果たしている。
リトリーバル(回復)
最期に、情報を思い出すために脳がそれをリトリーブ、つまり取り出す。
これは、記憶がエンコードされ、保存されたときのパターンを再生するプロセスだと考えることができる。
そして、記憶の定着には結合性が関係している。
これは、脳の神経細胞(ニューロン)間の接続が、情報をくり返し処理することで強化される現象を指す。
ヘブの法則とも呼ばれ、”一緒に発火するものは一緒に配線される”という原則に基づいている。
要するに、一緒に活性化されるニューロンの群れは、時間とともにその結びつきを強化するのである。
これらの過程は、学習や経験によってくり返し行われ、記憶が形成され定着する。
特にくり返し、感情的な影響、睡眠などは記憶の定着に重要な要素となる。
記憶に重要な要素
人の記憶として定着するためには、下記の3つが重要な要素だと言われている。
1)くり返し
なにかをくり返し行うことで、その情報や行為に関連した神経細胞間の結びつきが強化され、記憶がより強く定着する。
学習や訓練においてくり返しが重要なのは、記憶をより強く定着させるためだというわけだ。
2)感情的影響
強い感情が伴う経験は、特によく覚えている。
これは、強い感情が活動を引き起こすアミグダラという脳の部位と、記憶の形成と管理に関与する海馬とが密接に連携しているためだ。
感情的な経験は、記憶の形成と定着に特に影響力があるということを記憶しておくといいだろう。
3)睡眠
睡眠は記憶の定着に重要な役割を果たす。
睡眠中、特に深い眠りの間に、新たに学んだことや経験したことが再構築され、脳内で再処理される。
これにより、新しい情報と既存の記憶が統合され、記憶が定着する。
つまり、一夜漬けでの記憶が定まることが少ないのは、睡眠によるメカニズムを理解していないからだといえるだろう。
これらの要素が組み合わさることで、人間の記憶は形成され、定着すると言われているわけだ。
とはいえ、あくまで一部の現象に対する現時点での理解であり、記憶のメカニズム全体を完全に説明するものではない点にも留意が必要だ。
上述したとおり、脳と記憶の機能については、まだ多くの未解明な部分があり、その複雑さと深遠さは今後の研究によってさらに明らかにされていくだろう。
時間や記憶を飛び越えるインパクト
なぜ、記憶のメカニズムを書いたのか。
それにはもちろん理由があって、ハマったものは必ず記憶に残っているということが言いたいことだ。
時間を忘れて没頭したもの、つまりハマったものは必ず記憶に残っているものだ。
私が他にもハマった漫画は、ちばてつや作品だ。
中でも、おれは鉄平はとにかく面白く、この作品も何度も何度もくり返し読んだ。
アニメ作品では、松本零士作品の銀河鉄道999も何度も見たし、宮崎駿作品で有明なジブリの作品も多く見た。
時間が有り余っていたころ、楽しみは間違いなく漫画を読んだりアニメを見ることだった。
他にも、我が家には割りと初期のころからPCがあったので、PCに触れる機会はあった。
記憶しているのが、今でこそ声をトリガーにすることは一般的だったが、音声をコマンドにする技術はずっと昔からあった。
こういった経験が比較的幼い頃にできていたことは、今も新しいものに興味をそそられるマインドを生み出したように思う。
新しいテクノロジーはつい触ってみたくなるし、情報を仕入れたくなるのはそのためだろう。
少し成長して中学生から高校生にかけては音楽にハマったし、振り返ればハマったものは必ずある。
そして、ハマったものは時間や記憶を飛び越えて自我を形成する一部になっていると思っている。
まとめ
冒頭で、大人になったら夢中になるということを忘れていきがちだと書いたが、いくつになってもハマるものは見つけ出せる。
というか、ハマるものはいくらでもあった方がいいし、面白いと思ったものについては、とことんハマるべきだ。
というのも、会話が面白い人や一緒にいて楽しいと思わせてくれる人は、必ずハマっているものがあって、そういう人は1つのことだけでなく、いくつもハマっているものがあったりする。
なにも全て新しいものでなくてもいい。
その昔、ハマったものを改めてやってみると、そこには新しい発見が案外あったりするものだ。
なによりも、自分がハマるものというものは好きなことだし、好きなものでなければ続くはずがない。
時間がないという言い訳をする暇があったら、時間を忘れるくらいハマるものをとことんやり切ればいい。
そういう人たちが人生を心から楽しんでいて幸福度が高い人だと私は思っているし、私も生涯そちら側の人でありたい。
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