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2023年7月3日 投稿:swing16o

思考のメカニズムと処理速度を上げる方法

思慮分別(しりょふんべつ)
→ 慎重に考え判断すること。

慎重に考えることはなにも悪いことではないと思う。

ただ、慎重に考えすぎることで行動に起こせないとなると弊害が生まれる。

つい先日も、こんなことが話題になった。

それは、取引先にメールの返信をする際、返信内容を考えすぎて、30分とか1時間という時間を費やすことがあるというものだ。

このことがいかに馬鹿げているのかを説いたが、それでも上手く伝わったのかどうかわからない。

ということで、なぜこんなことになってしまうのか、深掘りしていきたいと思う。

思考というメカニズム

そもそもだが、思考というメカニズムを理解していなければ、なぜ考えるのに時間がかかってしまうのか分析することは難しい。

なにごともそうだが、分析するときにはまずは大まかなメカニズムを知ることが大切だ。

ということで、思考のメカニズムを概説すると下記のとおりだ。

思考とは、私たちの脳が情報を処理し、問題を解決したり、新しいアイディアを生み出したりするプロセスのことを指す。

これは、脳の中の神経細胞、つまりニューロンが相互に連絡を取り合うことで行われるのだが、そのフローは下記のとおりだ。

1)感覚入力

まず、思考は感覚入力から始まる。

これは、目、耳、鼻、舌、肌などからの情報だと置き換えればいい。

例えば、リンゴを見ると、その形、色、大きさなどの情報が目から脳へと送られるというイメージだ。

2)情報処理

次に、この情報は脳の中で処理される。

この段階では、以前に学んだ情報、例えばリンゴが赤いこと、リンゴが甘いことなどと新たに得た情報を繋げて理解する。

これは、脳の部分である「前頭前野」が担当している。

3)意思決定

その後、上述した情報を元に意思決定を行う。

リンゴを食べるかどうか、それとも他の果物を選ぶかなどの決定を下すというわけだ。

このプロセスも情報処理と同様に主に「前頭前野」で行われる。

4)行動

最期に、決定した行動を実行する。

これは、手を動かしてリンゴをつかむ、口を開けてリンゴを食べるなどの行動を意味している。

そして、このプロセスは「運動野」がコントロールしている。

少々触れたが、これらのすべてのプロセスは、脳内のニューロンが電気信号と化学物質を使って通信することで行われる。

この通信は非常に高速で、私たちが思考するすべてのステップを素早く行うことができる。

以上が非常に基本的な思考のプロセス、つまりメカニズムだ。

ただし、実際のところはもっと複雑で、深層学習、記憶、感情など、他の要素も関与している。

思考するスピードに差が生まれる理由

思考するプロセス、つまりメカニズムはなんとなく理解できたと思うが、おなじメカニズムなのになぜ思考するスピードに差が生まれてしまうのだろうか。

それは、思考スピードは複数の要素によって影響を受けるからだ。

具体的に影響を受けるものとして代表的なものは、下記の3つだ。

1)脳の生理学

人間の脳は数十億のニューロン(脳の細胞)で構成されている。

これらのニューロンは電気的な信号を伝達することで情報を処理していることは上述したとおりだ。

個々のニューロンがどれだけはやく、そして効率的に信号を伝達できるかは、思考のスピードに大きな影響を与えるということはなんとなくわかるだろう。

そして、脳の一部が傷ついたり、あるいは年齢とともにニューロンの働きが衰えたりすると、思考のスピードも遅くなることがある。

2)経験と習慣

なにかを学ぶと、それに関連するニューロンのネットワークが形成される。

そのネットワークは、その行動やスキルを繰り返し行うことで強化される。

これを「神経可塑性」と呼ぶ。

例えば、ピアノの練習をたくさんすると、指をどのように動かすかに関するニューロンのネットワークが強化され、ピアノの演奏が上手く、そしてはやくなる。

同じように、特定の思考パターンを頻繁に使うと、そのパターンに関連する脳の経路が強化され、その思考をよりはやく行えるようになるというわけだ。

3)知識と学習

特定の知識や情報があると、思考がはやくなる。

これは、ある問題に対して既知の情報を用いて素早く解を見つけることができるからだ。

例えば、たくさんの単語を覚えている人は、新しい文を理解するのがはやくなるというわけだ。

また、学習や教育は思考スキルを高め、情報の処理スピードを向上させることが研究で示されている。

こういった理由によって、同じことを別の人にやらせるとスピードに差が生まれる。

つまり、上述した3つの要素が、そもそも生まれつきの脳の構造や機能が異なり、人によって経験や習慣、教育のレベルも異なる。

となると、当然、思考スピードにも差が生まれるというわけだ。

基本的に人は新しいことを学ぶことで、自分の思考をはやく、効率的にすることができる。

新しい言語を学んだり、新しい楽器を習ったりすることで、脳が新しい経路を作り、それを強化することにより発展する。

ところが、全ての人が全てのことを同じ速さで学ぶわけではなく、これは人それぞれの学習スタイルや能力、興味、モチベーションなどによって変わる。

とどのつまり、人によって学習スピードや思考スピードに差が生まれることの要因となるわけだ。

思考スピードを上げる方法

ここまで思考のプロセスおよびメカニズムについて書いてきたが、世の中における最重要プライオリティは時間だ。

冒頭に述べたとおり、無駄なことに時間を割くことはバカバカしい。

ということで、思考スピードを上げる方法を紹介していこう。

1)継続的な学習

まず重要なことは、継続的な学習だ。

くり返しになるが、新しい知識を学び、新しいスキルを習得することで、脳は新しいニューロンの経路を作り、それを強化する。

これは神経可塑性と呼ばれる現象だということも書いたが、学習を通じて思考のパターンやスピードを変えることが可能になる。

例えば、頭のいい先生がいる小学校の生徒たちは、新しい問題を解くのが必然的にはやくなる。

それは、その先生が一生懸命に勉強を教えて、生徒たちがそれを学ぶことで、彼らの脳は問題解決のための新しい経路を作り上げるからだ。

こうした経路が強化されれば、同じような問題に出会ったときには、よりはやく解くことができるようになる。

2)反復練習

次に重要なのが、反復練習だ。

新しいスキルや知識を習得した後も、それをくり返し練習することで、脳の経路がさらに強化され、思考速度が上がる。

考えてみればわかると思うが、ピアノを練習する場面を想像してもらいたい。

最初はゆっくりとしか弾けなかった人が、何度も練習を重ねることで、はやくて美しい音を出せるようになる。

これも同じ原理で、ピアノの鍵盤を押す順番やリズムを何度もくり返し練習したことで、脳がその動作についての新しい経路を作り上げ、それを強化したのだ。

3)健康的な生活習慣

健康的な生活習慣を持つことも思考速度に影響を与える。

あまり意識したことがないかもしれないが、良い睡眠、適度な運動、栄養バランスのとれた食事は、脳の健康を保つ上で欠かせない要素だ。

例えば、寝る前に物語を読んでくれるお母さんがいる場面を想像してもらいた。

その物語を聞いてから寝ると、次の日の学校の授業が理解しやすいと感じるという研究結果がある。

これは、良質な睡眠が脳の働きを良くし、新しい知識を学ぶ能力を高めるからというのが理由だ。

また、週に数回公園で遊んだり、スポーツをしたりする子どもは、授業に集中しやすいという研究結果もある。

適度な運動が脳の血流を良くし、酸素や栄養を運ぶことで、脳の働きを高めているからだ。

さらに、毎日野菜をたくさん食べている子どもは、学校の勉強もはやく終わらせることができるといったデータもある。

栄養バランスの良い食事が、脳の正常な機能を支えるからだ。

4)メンタルトレーニング

最期に、メンタルトレーニングも重要な要素だ。

ポジティブな考え方を持つこと、ストレスをうまく管理すること、集中力を高めるメディテーションなどは、思考速度を向上させる助けになる。

楽しみなことが待っている日があれば、それに向けて気持ちも楽になる。

これは、ポジティブな気持ちが脳を活性化し、思考をスムーズにさせるからだ。

また、試験前のように頭がいっぱいになってしまっているときに、深呼吸をしてリラックスすると、頭がすっきりして問題が解けるようになることがある。

これも、科学的根拠があって、ストレスが脳の働きを阻害するのを防ぎ、思考のクリアさを保つからだと言われている。

まとめ

思考のメカニズムと思考スピードについて書いてきた。

そして、継続的な学習、反復練習、健康的な生活習慣、そしてメンタルトレーニングを行うことで、思考スピードを向上させることができることも述べた。

ただし、より重要なことは、ただただ思考スピードを上げることではなく、的確に、そして深く考えることだ。

思考のはやさが全てではなく、それぞれの問題に対して最適な思考の速度と深さを選ぶことが求めらる。

思考は我々の行動や行動を決定するための重要なプロセスであり、そこには「はやさ」だけでなく「質」も必要だというわけだ。

しっかりと考え、深く理解することで、より良い判断や行動を生むことができる。

また、深く考えることで新たな視点やアイデアを見つけることも可能になる。

例えば、算数の問題を解くとき、答えをはやく見つけることが重要な場合もあるが、その解き方を理解し、問題の背後にある原理を把握することの方が重要だったりする。

同じ問題に何度も出会うわけではない。

ところが、その背後の原理を理解していれば、似たような新しい問題に出会ったときにも、その知識を活用して解決できる。

思考スピードを上げる方法を試す一方で、思考の深さも大切にすべき理由はここにある。

また、新しいことを学び、未知の問題に挑戦することは、思考力を鍛え脳を活性化する。

学ぶことの喜びや挑戦の楽しさを感じながら、思考スピードを上げていくというのが最高型だといえるだろう。

 

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植田 振一郎 Twitter

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