傷弓之鳥(しょうきゅうのとり)
→ 一度弓で傷ついた鳥は、弓をはじく音だけで恐れるようになることから、一度の失敗でおじけづくこと。
トラウマを抱えている人は多い。
trauma(トラウマ)という言葉は、ギリシャ語の「τραῦμα」(trauma)に由来している。
ギリシャ語の「τραῦμα」は「傷」という意味を持ち、医学的な文脈では、トラウマは身体的な傷や外傷を指す言葉として使用される。
一方で、心理学や精神医学の分野では、トラウマは心的外傷や精神的な傷を指す言葉として使用されている。
心理的なトラウマは、精神的なダメージや傷を意味し、通常、極度のストレスや恐怖を経験した結果として生じる。
心に深い傷を残し、個人の感情、思考、行動に大きな影響を及ぼすことがあるのである。
また、トラウマの語源である「τραῦμα」は、物理的な傷を指す言葉としても使用されるが、心的なダメージを含む幅広い意味で使用されるようになったというわけだ。
そして、このトラウマが足かせになる場合があるのが厄介なところだ。
トラウマの原因
トラウマと向き合うためには、まずなぜトラウマになるのか、そのメカニズムを知る必要がある。
結論から言うと、トラウマは、極度のストレスや恐怖を経験した結果として生じる心的外傷だ。
なぜそれらの出来事がトラウマとなるのかについて、いくつかの要素が関与している。
脳の生物学的な反応
恐怖や危険な状況では、脳は生存を保護するために緊急対応システムを起動する。
この時、脳内のストレス応答系(アミグダラや扁桃体など)が活性化し、ストレスホルモンであるアドレナリンやコルチゾールが分泌される。
この生物学的な反応により、トラウマを経験する際の感情や身体的な感覚が非常に強く、記憶に刻まれやすくなると考えられている。
経験の深さと意味づけ
トラウマは通常、予測不可能で制御できない出来事によって引き起こされる。
このような出来事は個人の心の安定性や安全感を揺さぶり、深刻な影響を与える可能性がある。
また、トラウマはしばしば信じられないほどの恐怖や苦痛を伴い、個人にとっての意味や価値観に対する挑戦となる場合がある。
脆弱性要因
個人の脆弱性要因もトラウマの発生に関与する。
これには、遺伝的な要素、既存の精神的な問題(うつ病や不安障害など)、適応能力の低さ、過去のトラウマの経験、または社会的支援の欠如などが含まれる。
こういった脆弱性要因要因が重なることで、トラウマの発生リスクが高まることがある。
社会的な要因
トラウマは個人の経験だけでなく、社会的な要因も関与する場合がある。
文化的な背景や社会のサポートシステムの有無、被害者へのサポートや理解の度合いなどが、トラウマの影響や回復に影響を与えることがある。
トラウマになる具体的な事例
上述したトラウマの原因は、もちろん個人や状況によって異なるこは大前提だが、具体的にどういった原因でトラウマになりやすいのか、事例を挙げていく。
事故や災害
交通事故、地震、洪水、ハリケーンなどの自然災害、火災、爆発などの身体的な危険にさらされる出来事は、トラウマの原因となることがある。
暴力や虐待
身体的、性的、または感情的な暴力や虐待は、トラウマを引き起こす一因となる。
これには家庭内暴力、虐待、セクシャルハラスメント、いじめなどが含まれる。
戦争やテロ攻撃
戦争体験やテロ攻撃、兵役などの極度に脅威的な状況は、トラウマを引き起こす可能性がある。
愛する人を失った場合
愛する人の死や離別、重大な喪失は、トラウマの原因となることがある。
これには家族や友人の死、別れ、離婚などが含まれる。
児童期の記憶
児童期に経験した虐待、家庭内の不安定な状況、乱暴な扱い、いじめなどは、トラウマの発生リスクを高める可能性がある。
急性ストレスイベント
突然の衝撃的なイベントや人質事件、強盗、暴動など危機的な状況は、トラウマを引き起こす可能性がある。
トラウマの症状
トラウマの症状も人によって異なるが、一般的には下記のような症状が現れる。
フラッシュバックや悪夢
トラウマの出来事が再び起こるような形で、個人の意識に現れることがある。
回避行動
トラウマに関連する場所、人、状況を回避する傾向が見られる場合がある。
過度の興奮や緊張
トラウマに関連する出来事や思い出によって、不安や興奮状態が引き起こされることがある。
睡眠障害や集中力の低下
トラウマによって睡眠の質が低下し、日常生活の機能にも影響を及ぼすことがある。
上述した症状を見てもらえたら一目瞭然だが、基本的にネガティブな症状が出てしまうのがトラウマの厄介なところだ。
トラウマから解放される方法
となると、ネガティブに働きやすいトラウマを少しでも払拭できたらいいということは理解できるだろう。
ということで、トラウマを払拭する方法を紹介していく。
ただし、個人によって異なるプロセスであり、時間がかかる場合があることは予め共有しておきたい。
専門家の支援を受ける
トラウマを克服するためには、心理療法やカウンセリングを受けることが役立つ。
専門家は、トラウマの症状や影響に対処するための適切なアプローチを提供してくれるからである。
認知行動療法、眼球運動再処理と統合(EMDR)、感情解放技法などは、トラウマの処理に効果的なアプローチとされている。
自己ケアを重視する
トラウマの回復には時間がかかる場合があるので、自己ケアを重視することが重要だ。
十分な休息と睡眠を確保し、バランスの取れた食事を摂ること、深呼吸、瞑想、ヨガといったリラクゼーション技法を取り入れることなどが役立つ。
サポートシステムを利用する
身近な人々やサポートグループ、トラウマを経験した他の人々との繋がりは、回復において重要だ。
自分を理解し、受け入れてくれる人々に話すことで、感情の整理や回復のプロセスを支えることができる。
自己表現の手段を見つける
絵画、書き物、音楽などのクリエイティブな表現活動や運動、ダンスなどの身体活動を通じて、トラウマを処理する手段を見つけることができる。
これらの活動は感情の解放やストレスの軽減に役立つことがある。
安全な環境を整える
トラウマを払拭するためには、自身の安全を確保することも重要だ。
安全な環境を整え、トリガーとなる要素を避けることで、回復のプロセスをサポートすることができる。
自己肯定感の向上
トラウマの経験は、自己イメージや自己肯定感に影響を与えることがある。
自分自身を受け入れ、自己価値感を高めるために、自己肯定感を向上させる活動を取り入れるといい。
自己肯定感を高めるためのセルフアフィメーション(self-affirmations)や自己ケアの習慣を取り入れることが有効だ。
慎重なトリガーの処理
トラウマは、トリガーとなる刺激や状況によって再び引き起こされることがある。
トリガーを認識し、それに対処するための戦略を開発しよう。
これには、トリガーが起こる場面を避ける、リラクゼーションやマインドフルネスのテクニックを用いる、安心感をもたらすアクションを取るなどが含まれる。
時間と忍耐
トラウマの回復には時間がかかる場合がある。
忍耐強く自分自身と向き合い、自分の感情や思考を受け入れることが重要だ。
トラウマの回復は一筋縄ではいかないプロセスですが、徐々に癒しと成長を実感することができる。
セルフアフィメーション(self-affirmations)という概念
トラウマから解放される方法の中に、セルフアフィメーション(self-affirmations)という聞き慣れない言葉が出てきたと思う。
セルフアフィメーションとは、自己肯定感を高めるための肯定的な自己宣言や断言のことを指す。
これは、自分自身に対してポジティブなメッセージをくり返し言い聞かせることで、自己イメージや自己価値感を向上させるための技法だ。
セルフアフィメーションは、ネガティブな自己評価や自己否定的な思考パターンに対抗するために使用される。
例えば、私は価値があるとか私は強くて勇敢だといった断言的な文言を自分自身に対してくり返し言い聞かせることで、自己肯定感や自信を高めることができるというわけだ。
そんなセルフアフィメーションは、ポジティブな自己イメージを強化し、ネガティブな自己評価を打破するためのツールとして心理学や自己啓発の分野で一般的に使用されている。
セルフアフィメーションを実践する際には、下記の4つのポイントに注意するといい。
1)肯定的で具体的な文言を選ぶ
セルフアフィメーションは、自分自身に対して具体的で肯定的なメッセージを送ることが重要だ。
例えば、私は自分の強みに自信を持っているといった具体的な文言を選ぶといい。
2)くり返し練習する
セルフアフィメーションは継続的な練習が必要だ。
毎日自分に対して繰り返し言い聞かせることで、効果を感じやすくなる。
3)経験や目標に関連した文言を使用する
セルフアフィメーションは、自分の経験や目標に関連した文言を使用することで、効果を高めることができる。
自分自身の強みや成果に焦点を当てることで、自己肯定感を高めることができる。
4)感情と共鳴する言葉を選ぶ
セルフアフィメーションは、自分自身に対して感情的に共鳴する言葉を選ぶことが重要だ。
自分がポジティブな感情を感じやすい言葉やフレーズを選ぶといい。
まとめ
ここまで読んでもらえた人は、とあることに気がついたと思う。
それは、トラウマから解放される最適な方法は自分自身をポジティブに考えるように洗脳するということだ。
こう書くと、精神論とかメンタル的な部分で依存度が違うといった具合いに批判されるかもしれないが、ポジティブに捉えるということは非常に重要なことだ。
使い古された言い方だが、ピンチはチャンスとか失敗は成功のもとといった表現があるとおり、このポジティブシンキングは実は簡単にできるようでできていない人が多い。
なぜ重要なのかというと、その人自身もポジティブシンキングによって豊かな時間を過ごすことができるだけでなく、周りもポジティブに変える、巻き込んでいく力を持っているからだ。
トラウマを言い訳にせず生きていくことを今すぐ始めよう
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