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2023年5月20日 投稿:swing16o

10年ぶりに起きている怒涛の日本買い

純真無垢(じゅんしんむく)
→ 心にけがれや偽りがなく純粋で清らかなことや自然のままで飾り気のないこと。

日本人は純粋で清らかだと本気で思っている人がいる。

そんな日本人が経営する企業はグローバルでも通用していると未だに幻想を抱いている人がいる。

2023年5月17日、日経平均は1年8か月ぶりに3万円台を回復した。

そして、翌日の5月18日も続伸し、終値は3万0573.93円となった。

これを聞くと、日本の景気が良くなっていると純粋に思ってしまう人がいる。

市場関係者も驚くスピードでの上昇している日経平均ロケットに、燃料を投下しているのは、市場の6割を占める海外投資家であるということを知らない。

投資の神様の降臨

Warren Buffett(ウォーレン・バフェット)という人物を知っているだろうか。

アメリカの実業家、投資家であり、Berkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)の会長兼CEOとして知られている。

彼は世界的に有名な投資家であり、その投資手法と資本運用の成功で知られており、投資の神様という異名を持つ。

そんなウォーレン・バフェットのキャリアと投資哲学に関する要点を挙げると下記のとおりだ。

経歴

1930年にアメリカのネブラスカ州オマハで生まれた。

コロンビア大学ビジネススクールで学び、卒業後は投資パートナーシップを設立した。

その後、彼はバークシャー・ハサウェイという繊維会社に投資し、同社の経営に関与するようになった。

ウォーレン・バフェットは会社を保険業や投資会社に変え成長さた。

投資哲学

ウォーレン・バフェットの投資哲学は、長期的な価値投資に基づいている。

割安な企業の株式を見つけ、それらを長期間保有することを重視している。

つまり、ウォーレン・バフェットは、企業の業績や競争力、経営陣の質などに注目し、株式を購入するかどうかを判断している。

また、彼は多くの場合、自社の資金を使って企業を買収し、持ち株を増やす戦略も取ってきた。

成果

ウォーレン・バフェットは、投資によって莫大な富を築いた。

バークシャー・ハサウェイの持ち株は、銀行、保険、消費財、テクノロジーなどの幅広い業種に及んでいる。

また、彼はCharlie Munger(チャーリー・マンガー)と共に投資を行うことでも知られている。

フィランソロピー

ウォーレン・バフェットは、自身の富の一部を慈善事業に寄付することでも有名だ。

彼は、Giving Pledge(ギビング・プレッジ)と呼ばれるイニシアチブに参加し、富を社会貢献に使うことを約束している。

また、ビル・ゲイツやメルインダ・ゲイツなど他の富裕層と共に、慈善事業への寄付を推進している。

寄付先には、教育、医療、貧困削減など幅広い分野が含まれている。

メディアへの影響力

ウォーレン・バフェットは、投資の成功やビジネスの知恵を広く共有することでも知られている。

彼は毎年、株主向けの手紙を公開し、経済や投資に関する洞察を提供している。

また、バフェットはメディアのインタビューやビジネスイベントへの出演も積極的に行っており、彼の意見やアドバイスは多くの人々に影響を与えている。

端的にまとめると、ウォーレン・バフェットは、その投資の成功と知識の共有、そして慈善活動への取り組みによって広く尊敬されている人物だ。

彼の投資哲学や経営の手法は多くの人々に影響を与え、彼自身も世界的なビジネスアイコンとして認識されている。

そんな投資の神様、ウォーレン・バフェットが2023年4月11日、生涯2度目の来日をして、日本の5大商社と呼ばれる企業の株の保有比率を引き上げたと報じられた。

と同時に海外投資家たちが激しく買いを入れたのである。

そして、ウォーレン・バフェットは2023年5月6日のバークシャー・ハサウェイの年次株主総会で次のように述べている。

日本での投資は完了していない。
これからも日本企業の投資先を探していく。

大物投資家による日本企業の物色

日本企業を買おうとしているのは、ウォーレン・バフェットだけではない。

アメリカの大手投資ファンドBlackstone(ブラックストーン)やKKR、アメリカのヘッジファンドCITADEL(シタデル)、資産運用の世界最大手BlackRock(ブラックロック)などだ。

なぜ日本を今、買おうとしているのか。

その最大の理由は、日本企業がようやく株主目線の経営に目覚めたからだと言われている。

日本のマーケットはかねてからグローバル基準に達していないということで、海外投資家たちからは敬遠されてきたという歴史がある。

そんな亀の歩みで変わってきたと揶揄されている日本企業を完全に覚醒させたのは、東京証券取引所だ。

2022年の夏に始まった市場区分の見直しに関するフォローアップ会議で衝撃の発表があった。

それは、PBRが1倍割れの企業は収益性と成長性に問題があるので、改善案を開示すべしというものだ。

上場企業の中で約1,800社が対象となっているPBR1倍割れ。

経済産業省も、PBR1倍割れなど投資家から評価されていない企業は大規模で流動性がある企業であっても、株式指数の構成銘柄に組み入れないなどの措置は考えられないかと意見している。

今さら聞けないPBRってなぁに?

シレッとPBRというワードが出ているが、PBRについて知らないという人はこの機会にしっかり覚えておこう。

PBR(Price-to-Book Ratio)は、企業の時価総額(株式の市場価値)を純資産価値(企業の帳簿価値)で割った比率のことをいう。

単純に企業の株価が実際の資産価値に比べて高いのか低いのかを判断するための指標だ。

イメージとして、あなたが本を買う場面を想像してもらいたい。

本の価格が本の中に書かれている情報やコンテンツの価値に比べて高すぎる場合、その本は割高と見なされる。

それと同様に、PBRが1よりも高い場合、株価が企業の実際の資産価値に比べて高いと考えられ、株式は割高と見なされる。

逆に、PBRが1よりも低い場合、株価が実際の資産価値に比べて低いと考えられ、株式は割安と見なされる。

これが上述した、PBR1倍という基準値となっているというわけだ。

ただし、PBRは単独では完全な評価基準ではなく、他の要素や財務指標と組み合わせて考慮する必要がある点は留意してもらいたい。

また、PBRは業界や企業の状況によって異なるため、同業他社との比較や総合的な分析が重要だ。

簡潔に言えば、PBRは企業の株価が帳簿価値に比べて高いか低いかを示す指標であり、投資家が株式の割高・割安を判断する際のツールとして利用されている。

つまり、PBRが1倍以下だからといって、割安だと飛びついて株を買うといった愚行に走ってはいけないということだ。

日本でのアクティビストの活動の活発化

くり返しになるが、PBR1倍を割れた上場企業が日本にはごろごろしている。

海外投資家はこうした会社を見つけ、投資を始めているというわけだ。

その背景には、日本でアクティビストの動きが活発化していることが挙げられる。

アクティビストという聞き慣れないワードについて、解説すると下記のとおりだ。

Activist(アクティビスト)とは、企業への影響を通じて変革を促すことを目指す個人や団体を指す。

企業の経営方針や意思決定に対して積極的に関与し、改善や変革を求めるのである。

アクティビストの主な目的は、企業の経営や業績を改善し株主価値を最大化することだ。

具体的には、アクティビストは、自身や代表する投資ファンドを通じて企業の株式を保有し、それを利用して企業の経営に対して影響力を行使する。

企業に対して様々な改革を求めることがあるということで、例えば、経営陣の交代、事業ポートフォリオの見直し、資本配分の最適化、コスト削減、企業ガバナンスの改善などが挙げられる。

しばしば企業の価値を最大化するための意思決定や方針について公開討論を行うこともあるため、アクティビストと企業の間には対立や葛藤が生じることもある。

一方で、アクティビストと企業の間で協力関係が築かれ、改革が実現される場合もあるということだ。

そして、株主総会において、投資家が会社に対して増配など独自の提案をする、株主提案の数は2022年に58件あった。

これは、前年の倍以上に膨れ上がっていて、2023年も5月時点で43件に達している。

そんなアクティビストの活動は、他の投資家の呼び水にもなっている。

それがまさに、2023年の今起きているというわけだ。

まとめ

日本買いが起きている最大の要因について書いたが、他にもいくつかの要因があると言われている。

最期にそのあたりを紹介して2023年5月の記録を残しておこう。

  • 他の先進国に比べると日本への投資がまし
  • 地政学リスクの回避
  • 単純に安い

そして、この流れを吉と捉えるかどうかは賛否両論あるようだが、吉でしかないと思っているのが私の立場だ。

その理由は至極単純で、注目されることすら難しいのに、実際に実行している海外投資家がいることで、グローバルに通用する企業が増えるからである。

企業は、会社は株主のものだという基本中の基本を理解していない人が経営者として君臨すると、誰も幸せにならないということだ。

 

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植田 振一郎 Twitter

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