春愁秋思(しゅんしゅうしゅうし)
→ 春の日の物憂さと、秋の日の物思いと物寂しさ。
寂しさをいう感情が人にはある。
そもそも、なぜ寂しいと感じるのか。
寂しさは人間の普遍的な感情の1つであり、さまざまな要因によって引き起こされることがある。
ということで、寂しさを感じる理由のいくつかを挙げてみる。
社会的なつながりの欠如
人間は社会的な生物であり、他者とのつながりや関係を求める傾向がある。
孤立感や孤独感を経験すると、寂しさを感じることがある。
例えば、友人や家族から遠く離れている場合や、新しい環境に馴染めない場合などが挙げられる。
愛情や支えの欠如
愛情や支えを受けることは、人間の心理的な健康にとって重要だ。
特に愛する人や親しい人々とのつながりが希薄な状況では、寂しさを感じることがある。
例えば、パートナーシップの終了や喪失、人間関係の希薄化などが原因となることがあるというわけだ。
自己価値感の低下
自己価値感は、自己肯定感や自己評価など、自分自身に対する肯定的な感情や評価のことを指す。
自己価値感が低下すると、自分が孤立していると感じ、寂しさを経験することがある。
例えば、自己評価の低さ、自信の喪失、達成感の欠如などが原因となることがある。
変化や喪失の経験
人生において、変化や喪失は避けられないものだ。
例えば、友人や家族の死、引っ越し、職場や学校の変更などが挙げらる。
これらの変化や喪失は、新たなつながりや関係の形成に時間がかかる場合があり、その間に寂しさを感じることがあるというわけだ。
寂しさを感じる脳のメカニズム
それでは、寂しさを感じる脳のメカニズムについて書いていこう。
現在の研究では以下のような理解がある。
社会的な脳回路の関与
寂しさは社会的な結びつきの欠如に関連していると考えられている。
社会的なつながりや関係を形成するための脳の領域や回路が活性化し、その欠如が寂しさを引き起こすことが示唆されている。
例えば、前頭前野、扁桃体、帯状回、脳下垂体などの領域が関与しているとされている。
オキシトシンの関与
オキシトシンは愛情や信頼の形成に関与するホルモンであり、寂しさとも関連がある。
オキシトシンのレベルが低下することで、寂しさが増大するとされている。
特に、親子関係や親密な関係の欠如によってオキシトシンの放出が減少することが示唆されている。
抑制神経伝達物質の関与
寂しさは抑制神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンのバランスの変化とも関連していると考えられている。
セロトニンやドーパミンの異常な低下は、寂しさや抑うつ感を引き起こす可能性がある。
心理的要因の影響
寂しさは単に脳の化学物質のバランスだけではなく、心理的な要因も関与している。
自己評価の低下や否定的な思考パターン、過去のトラウマなどが、寂しさを強化する要因となることがある。
以上が寂しさを感じる脳のメカニズムなのだが、寂しさの脳のメカニズムについてはまだ研究が進行中であり、完全な理解はされていないのが現状だ。
ということで、将来の研究によってより詳細な理解が深まることが期待されている。
寂しいという感情が存在する理由
それでは、逆になぜ寂しいという感情が存在するのだろうか。
寂しさという感情が存在する理由は、人間が社会的な生物であることに関係している。
ということで、寂しさの存在理由のいくつか紹介していく。
社会的なつながりの必要性
人間は他者とのつながりや関係を求める傾向がある。
社会的なつながりは、情報や支援の交換、感情の共有、安心感や幸福感の提供など、様々な利益をもたらす。
寂しさは、この社会的なつながりの欠如を感じることによって生じているのである。
群れの生存戦略
人間の祖先は群れで生活してきた。
群れに所属していることは、生存と安全を確保するために重要だった。
孤立することや社会的な排除を経験すると、生存に対する脅威を感じ、寂しさが生じることがあるのはそれが原因だとされている。
心理的な安定と幸福感
社会的なつながりや関係は、心理的な安定や幸福感に寄与する。
他者との交流や支えを通じて、自己肯定感や自己成就感を高めることができる。
寂しさは、このような心理的な安定や幸福感の欠如を感じることによって生じるのである。
自己同一性とアイデンティティの形成
社会的なつながりは、自己のアイデンティティ形成にも関与している。
他者との関係を通じて、自己の役割や存在意義を見出したり、自己理解を深めたりすることがある。
寂しさは、このような自己同一性の形成の欠如を感じることによって生じるのである。
寂しさを超える感情
これまで寂しさという感情のメカニズムについて書いてきたが、寂しさという感情はどちからというとネガティブなものなので、できるだけ遠ざけたいという人も多いだろう。
それでは、寂しさを超える感情はどんなものがあるのだろうか。
もちろん、寂しさを超える感情は人によって異なる場合があるが、いくつかの感情を挙げていく。
満足感
社会的なつながりや関係を築いたり、自己実現や目標達成を果たしたりすることによって、満足感を感じることができる。
自分自身や他者とのつながりが充実していると、寂しさを超えた満足感や幸福感が生じることがある。
幸福感
社会的なつながりや関係、自己の成長や達成、喜びや楽しみなどがバランスよく存在する状態において、幸福感を感じることができる。
幸福感は、寂しさの対極に位置する感情といえる。
安心感
社会的なサポートや愛情、信頼できる関係を持つことによって安心感を得ることができる。
他者とのつながりがあると、孤独や不安を超えて安心感を感じることができるというわけだ。
愛情や喜び
愛する人や親しい人々との関係や絆、愛情の表現や受け取りなどは、寂しさを超えた愛情や喜びをもたらすことがある。
他者とのつながりがあることで、愛情や喜びを共有できる場面が生じるというわけだ。
これらの感情は、社会的なつながりや関係、自己実現や成長、喜びや幸福感を通じて寂しさを超えることができる。
自分自身と他者との関係を大切にし、満たされた生活を送ることが寂しさを克服する1つの方法となるわけだ。
寂しさを紛らわせる方法
ということで、もう少し寂しさという感情を遠ざける方法を書いていく。
寂しさを紛らわせる方法は個人によって異なる場合があるが、下記の方法を試してみて、自分に合ったもがあれば幸いだ。
社会的なつながりを求める
友人や家族とのコミュニケーションを増やす。
興味や趣味に関連するグループやクラブに参加する。
ボランティア活動に参加する。
自己ケアと自己肯定感の向上
- 自分自身に対する時間や注意を向ける。
- リラックスや癒しの時間を取る。
- 興味のある活動や趣味に取り組む。
- 新しいスキルを学ぶ。
- 自己肯定感を高めるために、達成感のある目標を設定する。
心理的なサポートを求める
- 寂しさや孤独感を抱えることを信頼できる友人や家族と共有する。
- 心理療法やカウンセリングを受ける。
プラクティスやマインドフルネスの活用
- 瞑想や深呼吸などのリラクゼーションテクニックを試す。
- マインドフルネスを実践し、現在の瞬間に集中することで寂しさを和らげる。
環境の変化
新しい人々との出会いを求めるため、新しい場所や環境にアクティブに出かける。
自然の中で散歩したり、旅行に行ったりすることで気分転換を図る。
まとめ
寂しいという漢字で統一して書いてきたが、寂しさを表現する漢字は他にも、淋しいという感じがある。
いずれも似たような感情を表現する言葉なのだが、微妙な違いがある。
「寂しい」は一般的に、他者とのつながりや関係の欠如を感じるときに使われる言葉だ。
例えば、友人や家族と離れているとき、孤独を感じるとき、社会的な結びつきや支えが足りないと感じるときなどに対して使用される。
そして、寂しいは、人とのつながりや関係を求める欲求や不足を表現することが多いという特徴がある。
一方で、「淋しい」は、寂しいよりも感情的な要素が強く、より深い孤独感や心の空虚さを表現する言葉だ。
孤立感や切なさ、心の底からの寂しさを強調する際に使われる。
つまり、淋しいは、人とのつながりや関係の喪失によって心が傷つき、悲しみや苦しみを感じる状況を表現することが多い。
いずれにせよ、人は寂しさを感じる生き物だということで、その寂しさからネガティブな感情が引き出される場合がある。
願わくば、寂しさに連動する孤独感からは開放されたいと思うのが一般的な考え方だろう。
ということで、最期に寂しさを忘れられる究極の方法を紹介しておく。
それは、とにかく忙しくすることである。
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