酒入舌出(しゅにゅうぜつしゅつ)
→ 酒を飲み口数が多くなることや、酒を飲むとつい饒舌になって失言をしてしまいがちなので、それを戒めた言葉。
2023年のGWはワイワイとお酒を飲む場面も多く見られるようになった。
私自身はお酒を飲むことはないのだが、これはとてもいいことだと思う。
というのも、人で賑わうことでやはり街が明るくなる。
もちろん、飲み方には注意する必要があるのだが、世の中には多くのお酒が溢れている。
ということで、お酒の種類と歴史と製造方法を紹介していこう。
世界で最も飲まれているお酒
まず、世界で最も飲まれているお酒は清酒ではなく、ビールだ。
特に中国が最も多くのビールを消費しており、その次にはアメリカ、ブラジル、メキシコ、ドイツ、ロシアなどが続く。
ただし、世界中で最も1人当たりのアルコール消費量が多い国は、リトアニア、ベラルーシ、モルドバなどの東欧の国々で、ビールだけでなく、蒸留酒も盛んに飲まれている。
お酒の種類と歴史と製造方法
ということで、様々なお酒の種類と歴史と製造方法を紹介していこう。
ビール
ビールは、古代エジプト時代から作られてきた歴史のあるお酒だ。
【ビールの作り方】
- 麦芽づくり
まず、麦の穀粒を水で浸し発芽させる。
これによって、麦のデンプンが糖化し、アミノ酸や酵素が生成される。
- マッシング
麦芽を砕いて、麦芽と水を混ぜ合わせ、温度を管理しながら糖化を促す。
この過程で、麦のでんぷんが麦芽の酵素によって糖化され、麦汁ができる。
- 沸騰
麦汁を大きな釜で沸騰させる。
この過程で、ホップやスパイスを加え、ビールの味や香りをつける。
- 発酵
麦汁を冷却し、酵母を加えて発酵させる。
酵母が糖をアルコールに変えることで、ビールが作られる。
- 熟成
発酵が終わったら、ビールを樽や瓶に入れて熟成させる。
この過程で、ビールの味や香りがより深まる。
【ビールの歴史】
ビールの歴史は、古代エジプト時代に遡る。
エジプトでは、ビールは神聖なお酒とされ、一般人から王族まで幅広く飲まれていた。
また、古代ローマでもビールが作られていた。
中世ヨーロッパでは、修道士たちがビールを作っていたことでも知られている。
現代のビールは、19世紀にイギリスで工業化され、製造方法や味わいが進化したといわれている。
その後、世界中で多様なスタイルのビールが作られるようになり、現在ではビールは世界中で広く愛されるお酒の1つとなっている。
ワイン
ワインは、果実の発酵によって作られるお酒であり、数千年の歴史がある。
【ワインの作り方】
- 収穫
ブドウは手摘みされ、醸造に適した品質のものが選ばれる。
- 踏み潰し
ブドウを踏み潰し、果汁を取り出す。
現代では、機械を使って果汁を抽出する方法もある。
- 発酵
果汁に酵母を加えて発酵させる。
糖分がアルコールに変わることで、アルコール度数が上がる。
- 熟成
発酵が終わったら、ワインを樽に入れて熟成させる。
樽の材質や時間、温度などによって、ワインの味や香りが変化する。
- 瓶詰め
熟成が終わったら、ワインを瓶に詰める。
ここでもさらに熟成が進み、味わいが深まる。
【ワインの歴史】
ワインは、紀元前6000年ごろに現在のジョージアと呼ばれる地域で作られていたと考えられている。
また、エジプトでもワインが作られ、神聖な飲み物とされていた。
古代ギリシャやローマでもワインが愛され、高い品質のワインが作られるようになった。
中世ヨーロッパでは、修道院がワイン生産の中心となり、フランスなどではワインの品種改良や製造方法が発展し、世界でも有名なワイン産地となった。
現代では、世界中で様々な品種のワインが作られ、国や地域ごとに特徴的な味わいがある。
また、技術の進歩により、新しい製法や味わいのワインも生まれ続けている。
日本酒
日本酒は、米を原料とした醸造酒の一種であり、独特の味わいが特徴だ。
【日本酒の作り方】
- 米の選定
まず、酒造用の米を選定します。高品質のものを選び、収穫後しばらく寝かせてから麹菌を付ける。
- 麹作り
酒造りに必要な麹菌を、米に対して一定の割合で加え、麹作りを行う。
麹によって、米のでんぷんが糖化し、アミノ酸や酵素が生成される。
- 麹米と水の混合
麹によって糖化された米を、水と一緒に仕込み桶に入れる。
この時、温度や湿度を調整し、酵母菌が発酵しやすい環境を作る。
- 発酵
仕込み桶に入れた酒母と呼ばれるものを、一定の温度で一定期間発酵させる。
この発酵によって、糖分がアルコールに変わる。
- 圧搾
発酵が終わったら、搾り汁に圧搾をかけて、固形物を取り除く。
- 熟成
搾り汁を貯蔵するタンクに移して、数ヶ月から数年間熟成させる。
この時期によって、日本酒の味わいが決まる。
【日本酒の歴史】
日本酒の歴史は、古代に遡り、日本酒が最初に作られたのは、およそ2000年前の弥生時代とされている。
当時は、米を噛んで唾液で糊化させ、それを樽に入れて発酵させる方法で作られていた。
その後、中国から渡来した麹菌が日本に広まり、日本酒の製造方法が発展した。
特に、中世になると、鎌倉時代に創業した酒造会社澤屋が、日本酒の醸造技術を大きく進化させた。
現在では、日本酒は世界中で親しまれるようになっている。
焼酎
焼酎は、日本の蒸留酒の一種であり、米や麦、さつまいもなどを原料として使用するお酒だ。
【焼酎の作り方】
- 原料の準備
焼酎に使用する原料を選定する。
米や麦、さつまいも、黒糖などが一般的だ。
- 麹作り
麹菌を使用して、原料に含まれるでんぷんを糖化する。
糖化されたものを麹米と呼び、麹米には水を加えて湿度を調整し、発酵しやすい環境を作る。
- 混合と発酵
糖化された麹米と、水とを混ぜ合わせる。
これによって、糖がアルコールに変わる。
この発酵を行うための酵母菌は、各地域で異なる種類が使われる。
- 蒸留
発酵が終わった後、蒸留器でアルコールを分離する。
蒸留器から出てきたアルコールを、水で希釈して焼酎の完成となる。
【焼酎の歴史】
焼酎の歴史は、およそ500年前の戦国時代に遡る。
当時、商業が発展し、異なる地域で異なる原料を使用した酒が生産されるようになった。
そして、江戸時代になると、蒸留技術が発展し、焼酎の製造も一気に進歩した。
現在では、鹿児島県を中心に、さつまいもを原料とする芋焼酎、麦を原料とする麦焼酎、米を原料とする米焼酎などが製造されている。
焼酎は、日本国内だけでなく、アジア圏を中心に世界的にも人気が高まっている。
ウイスキー
ウイスキーは、大麦やライ麦、コーンなどを発酵、蒸留して作られる蒸留酒の一種であり、スコットランド、アイルランド、アメリカなどで作られている。
【ウイスキーの作り方】
- モルティング(麦芽化)
大麦を水で浸して発芽させ、その後乾燥させる。
この過程でできた麦芽を使用する。
- マッシング
発芽した麦芽と水、ライ麦やコーン、小麦などの原材料を混ぜて、粘り気のある液体である、マッシュにする。
- ファーメンテーション
マッシュに酵母を加え、アルコール発酵を行う。
発酵させた液体はワインと呼ばれる。
- 蒸留
ワインを蒸留器で蒸留し、アルコール度数を高める。
この過程で、アルコールとともに香り成分も抽出される。
- 熟成
蒸留したウイスキーを樽に詰め、数年から数十年にわたって熟成させる。
熟成によって、ウイスキーの味わいや香りが変化する。
【ウイスキーの歴史】
ウイスキーの起源ははっきりしていませんが、スコットランドがウイスキーの発祥地とされている。
15世紀頃、モノの運搬が困難なスコットランドの土地柄や天候のため、大麦の保存が困難であり、発酵後に蒸留することで長期保存を可能にしたのが、ウイスキーの発祥とされている。
その後、18世紀にはウイスキーの製造法が改良され、量産が可能になった。
19世紀には輸出が始まり、今日ではスコットランドやアイルランド、アメリカを中心に、世界中で楽しまれる酒となっている。
ブランデー
ブランデーは、葡萄酒や果実酒を蒸留して作られる蒸留酒の一種であり、フランスを中心に世界中で作られている。
【ブランデーの作り方】
- ファーメンテーション
葡萄や果実を搾り、砂糖や酵母を加え、アルコール発酵を行う。
発酵させた液体はワインと呼ばれる。
- 蒸留
ワインを蒸留器で蒸留し、アルコール度数を高める。
この過程で、アルコールとともに香り成分も抽出される。
- 熟成
蒸留したブランデーを樽に詰め、数年から数十年にわたって熟成させる。
熟成によって、ブランデーの味わいや香りが変化する。
【ブランデーの歴史】
ブランデーの歴史は、葡萄栽培が盛んな地中海沿岸地域を発症としている。
中世には、蒸留技術がヨーロッパに伝わると、葡萄酒を蒸留して作った蒸留酒が拡まった。
フランスにおいては、16世紀に蒸留技術が導入されると、ブランデーの製造が本格化した。
特に、コニャック地方でのブランデー製造が盛んになり、コニャックとして知られるようになった。
今日ではフランス以外にも、スペインやイタリア、南アフリカ、オーストラリアなどでもブランデーが作られている。
また、ブランデーは、カクテルの材料としても広く使われている。
テキーラ
テキーラは、メキシコの特産品で、Agave(アガベ)という植物を原料にして作られる蒸留酒だ。
【テキーラの作り方】
- 収穫と焼酎化
アガベの葉を収穫し、蒸し焼酎化(roasting)する。
アガベの葉を蒸してから、長時間焼いて繊維質を分解し、アガベを糖化する。
- 搾汁
アガベの糖化された葉を搾汁し、果汁を取り出す。
- 発酵
搾りだした果汁を、発酵させる。
酵母を加え、発酵槽で2~3日間アルコール発酵を行う。
発酵させた液体はモストと呼ばれる。
- 蒸留
発酵させたモストを蒸留器で蒸留する。
蒸留によってアルコール分が高くなり、蒸留した液体をテキーラと呼ぶ。
- 熟成
テキーラは、樽で熟成させることで、味わいや香りを調整する。
熟成は瓶詰めまでに2ヶ月以上、褐色になるまでに2〜3年以上かかることもある。
【テキーラの歴史】
テキーラは、メキシコのハリスコ州のテキーラという町で生まれた。
16世紀頃から、アガベを使った酒が作られていたとされているが、テキーラとして現在の形になったのは、18世紀のことだといわれている。
当初は、アガベを使った酒は、住民たちが自家製の飲み物として飲んでいたものだった。
ところが、19世紀に入ると、アガベ酒の生産が本格的に行われるようになり、テキーラという名前がつけられた。
今日ではテキーラは、メキシコの国酒となっていて、カクテルの材料としても広く使われ、世界中で愛されるアルコール飲料の1つとなっている。
ジン
ジンは、ジュニパーベリーをはじめとする様々なハーブやスパイスを使って作られる蒸留酒で、その独特の香りや味わいが特徴だ。
【ジンの作り方】
- ニュートラルスピリッツの製造
まず、高濃度のアルコールを水や麦芽などの原材料を使って製造する。
この高濃度アルコールはニュートラルスピリッツと呼ばれ、ジンのベースとなる。
- ボタニカルのブレンド
次に、ジュニパーベリーやコリアンダー、カルダモン、シナモン、オレンジピールなどの様々なハーブやスパイスをブレンドし、ニュートラルスピリッツと混ぜ合わせる。
これがボタニカルと呼ばれる混合物になる。
- 蒸留
ボタニカルとニュートラルスピリッツを混ぜた液体を、蒸留器で蒸留する。
蒸留によって、アルコール度数が上がり、ジンのアルコール度数になる。
- 熟成
ジンには熟成が必要ないため、すぐに瓶詰めされる。
【ジンの歴史】
ジンの起源は、オランダにあるとされている。
17世紀半ばに、オランダでJenever(ジュネーバ)というジンに似た蒸留酒が作られ、その後、イギリスに伝わったことがジンの歴史の始まりとされている。
当初は、ジュニパーベリーを使っていたことからジュニパーベリージュースと呼ばれていたが、やがてジンという名前がつけられるようになった。
18世紀になると、ジンはロンドンを中心に広く飲まれるようになり、19世紀にはカクテルの一種として広く知られるようになった。
現在では、世界中で愛される蒸留酒の1つとなっており、様々なブランドや種類が存在している。
ラム
ラムは、サトウキビやモラセスを発酵させ、蒸留した蒸留酒の一種だ。
【ラムの作り方】
- サトウキビの収穫
ラムの原料であるサトウキビを収穫する。
サトウキビは、南国や熱帯地域で栽培されている。
- 搾汁
サトウキビから搾り出された汁をキャン水と呼ぶ。
キャン水には、サトウキビの甘みや香りが含まれている。
- 発酵
キャン水に酵母を加え、発酵させる。
この発酵によって、アルコールが生成される。
- 蒸留
発酵させたものを蒸留器にかけて、アルコール分を高める。
ラムは、蒸留前のアルコール度数が低い場合が多く、蒸留後に度数を上げる。
- 熟成
ラムには熟成が必要な場合があり、熟成によって色や味わいが変わり、よりまろやかな風味が生まれる。
【ラムの歴史】
ラムは、カリブ海地域で生まれたとされている。
サトウキビは、16世紀にスペイン人によってアメリカ大陸にもたらされ、やがてカリブ海地域でも栽培が始まった。
ラムの製造は、当初は奴隷制度下で行われ、その歴史には暗い部分もある。
とはいえ、ラムはカリブ海地域の文化や歴史に欠かせないものとなり、現在でも多くの国で生産および消費されている。
また、18世紀には、イギリスが北米で独占貿易を行い、カリブ海地域からのラムの輸入を制限する法律を制定した。
これによって、アメリカではジンが主流となり、ラムはカリブ海地域で主に消費されるようになった。
現在では、カリブ海地域だけでなく、南米や中米などでもラムが生産され、世界中で愛されている。
シードル
シードルは、リンゴを発酵させた飲み物で、主にイギリスやフランスなどの地域で生産されている。
【シードルの作り方】
- リンゴの収穫
シードルの原料であるリンゴを収穫する。
リンゴの種類によって、シードルの味わいや香りが異なる。
- 搾汁
収穫したリンゴを搾って、リンゴジュースを作る。
リンゴジュースには、リンゴの甘みや香りが含まれている。
- 発酵
リンゴジュースに酵母を加え、発酵させる。
この発酵によって、アルコールが生成される。
- 熟成
発酵したリンゴジュースをタンクや樽に入れて、熟成させる。
熟成によって、色や味わいが変わり、よりまろやかな風味が生まれる。
- 瓶詰め
熟成したシードルを瓶に詰めて完成する。
【シードルの歴史】
シードルの歴史は、古代ローマ時代まで遡る。
ローマ人は、現在のフランス地域にリンゴを持ち込み、シードルの原型となる飲み物を作った。
その後、中世になると、シードルはノルマンディーやブルターニュ地方で広まり、リンゴ栽培が盛んになった。
シードルは、特に牧畜が主流のこの地域で、牛乳とともによく飲まれていた。
現在のシードルは、フランスを中心にイギリスやスペイン、ドイツ、アメリカなどでも生産されている。
また、シードルはフランスではAOC(原産地呼称統制)指定されており、特定の地域で栽培されたリンゴを使用していることが要件になっている。
まとめ
様々なお酒の種類の紹介、歴史、作り方をまとめてみたが、なんとなく整理ができたのではないだろうか。
どのお酒も古くから人々の間で愛されているということは、それだけ必要とされているものだということだろう。
とはいえ、お酒に飲まれて周りに迷惑をかけないようにも心がけなければいけない。
一瞬で信用を失い、二度と信用が取り戻せないということもあり得るお酒との向き合い方も個々が意識すべきところだ。
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