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2023年4月26日 投稿:swing16o

襲名披露の歴史と代表的な儀式

襲名披露(しゅうめいひろう)
→ 親または師匠の名前を受け継いだことを公表すること。

襲名披露とは、日本の伝統文化である歌舞伎や能楽などの芸能において、名跡を継承することを示す儀式のことをいう。

襲名とは、前名跡を継承した後、新たな名前を名乗ることを意味している。

また、襲名披露は、新たな名跡を継承した役者がその名前で初めて舞台に登場する機会でもある。

この儀式では、襲名した役者が新たな名前を宣言し、舞台での演技に臨む。

襲名披露は、舞台上で行われることが一般的で、襲名した役者が演じる舞台に観客を招待し、その舞台で襲名披露が行われる。

それから、一部の襲名披露は、テレビなどのマスメディアでも放送されることがある。

襲名披露は、日本の芸能界において非常に重要な儀式であり、名跡を継承することはその名跡の歴史を継承することと同義だ。

そのため、襲名披露には多くの関係者やファンが集まり、大々的な祝賀ムードが漂うのである。

襲名披露の歴史

襲名披露の歴史は、日本の歌舞伎や能楽といった伝統芸能の歴史と深く関わっている。

そもそも襲名という概念自体は、平安時代から存在していた。

当時は、貴族や武家の家督を継承する際に行われていたが、襲名が芸能界に広まったのは、江戸時代に入ってからだといわれている。

江戸時代に入ると、歌舞伎や能楽などの芸能が発展し、芸能家の名跡が重要視されるようになったのがきっかけだ。

また、庶民の間でも芝居を楽しむ文化が広まり、名跡を継承することが一般化した。

そのため、芸能家の名跡を継承する際に襲名披露が行われるようになった。

こうして、襲名披露は江戸時代中期から定着し、現在の形式に近い形が確立された。

また、襲名披露を祝うためには、興行が行われ、特別な演目が披露されることも多くなった。

現代でも歌舞伎や能楽の世界では襲名披露が行われ、伝統芸能の継承や発展に繋がっているというわけだ。

代表的な襲名披露

襲名披露は、歌舞伎や能楽などの伝統芸能において非常に重要な儀式であり、多くの役者が襲名披露を経験してきた。

代表的な襲名披露の例をいくつか挙げてみると下記のとおりだ。

尾上菊五郎

尾上菊五郎は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した歌舞伎俳優であり、当時の歌舞伎界のスター的存在だった。

彼の襲名披露は、1883年に行われ大成功を収めた。

この襲名披露では、多くの新作が上演され、当時の観客たちは熱狂した。

坂東彌十郎

坂東彌十郎は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて活躍した歌舞伎俳優であり、多くの名作に出演してきた。

彼の襲名披露は、1994年に行われ大変盛況だった。

この公演では、代表作である義経千本桜が上演され、華やかな世界観を演出した。

観世銕之丞

観世流能楽師の観世銕之丞が、2001年に観世音清水寺襲名披露能という襲名披露公演を行った。

この公演では、古典能の中でも代表的な作品である安宅が上演され、華やかな襲名披露を飾った。

市川團十郎

歌舞伎の大看板役者の1人である市川團十郎は、2004年に父親の市川猿翁から市川團十郎という名跡を襲名した。

襲名披露は、東京・新橋演舞場で行われ、多くのファンが集まった。

中村勘三郎

中村勘三郎は、歌舞伎の名門である中村屋の後継者として、2006年に中村勘三郎という名跡を襲名した。

襲名披露は、東京・国立劇場で行われ、大勢の観客が詰めかけた。

坂東三津五郎

坂東三津五郎は、歌舞伎の名門の坂東家の後継者として、2014年に坂東三津五郎という名跡を襲名した。

襲名披露は、東京・歌舞伎座で行われ、多くのファンが祝福した。

福田雄一

能楽の能楽師である福田雄一は、2019年に金春福田という名跡を襲名した。

襲名披露は、東京・国立能楽堂で行われ、能楽ファンのみならず、一般の人々からも注目を集めた。

襲名披露に似た世界の文化

襲名披露は、日本の伝統芸能である歌舞伎や能楽において行われる独自の儀式だ。

一方で、日本以外の文化圏でも、名前や地位を引き継ぐ際に儀式や祝い事を行う習慣は存在している。

例えば、イギリスの王室では、新しい国王が即位する際に戴冠式(たいかんしき)が行わる。

また、中国では、家族の長男が父親の名前を引き継いだり、地位を継承する際に祭祖(さいそ)と呼ばれる祭りが行われる。

これらの文化においても、名前や地位を引き継ぐことの重要性が認められ、そのための儀式や祝い事が行われている。

とはいえ、襲名披露と同様の形式で行われる独自の文化は、日本の伝統芸能に限られるといっていいだろう。

ということで、せっかくなので世界にはどんな襲名披露に似た儀式があるのか紹介していこう。

漢陽大王祭

漢陽大王祭は、ソウル市内の三清洞(サムチョンドン)で毎年行われる祭りで、かつての朝鮮王朝の建国者である李成桂(イ・ソンギ)の名を冠した祭りだ。

この祭りでは、歴代の王や王妃、儒者などが演じられる伝統芸能が披露され、また、新しい王や王妃の即位を祝う儀式も行われる。

また、この儀式では、新しい王や王妃が冠を被り、神聖な音楽が演奏されるなど、襲名披露に似た儀式が行われる。

漢陽大王祭は、毎年多くの観光客が訪れ、韓国の伝統文化の魅力を体感することができる祭りの1つだ。

即位式

即位式は、朝鮮王朝時代に行われていた王の即位式で、新しい王が即位するにあたって行われる儀式だ。

即位式では、神聖な儀式として、新しい王が玉座に登り、祖先の霊を祀る儀式や、諸侯の忠誠の誓い、国内外からの使者による祝辞、歌舞や芸能などが行われる。

また、即位式は、朝鮮王朝時代には重要な行事であり、国家の威信を示す儀式だった。

襲名披露と同様に、新しい指導者の誕生や地位の継承を祝う儀式として、重要な役割を果たしていた。

イニシエーション儀式

イニシエーション儀式は、アフリカの一部地域に存在する一般的に若者が大人として認められるために行われる儀式で、部族や民族ごとに独自の儀式が存在する。

この儀式では、候補者たちは一定期間、社会の一員として認められず、厳しい試練や修行を課される。

そして、試練を乗り越えた者たちは、大人として認められ、新しい名前や地位を得ることができる。

イニシエーション儀式は、アフリカだけでなく、アメリカ先住民族やオセアニアなどの地域でも見られる文化であり、若者が大人としての役割を果たすために必要な儀式であると考えられている。

Tsaidam(ツァイダム)

ツァイダムは、モンゴルで春に行われる大規模な祭りで、馬術競技や歌や踊りなどの文化的イベントが催される。

また、ツァイダムでは、部族長や豪族の襲名披露が行われる。

襲名披露では、新しい部族長や豪族が、その地位に相応しい能力や資質を持っていることを証明するために、弓や矢を使った競技などの試練を課せられる。

ツァイダムは、モンゴルの伝統文化を象徴する祭りであり、国内外から多くの観光客が訪れる。

襲名披露は、モンゴルの社会における重要な儀式であり、新しい指導者がその地位にふさわしい人物であることを示すために行われている。

Pasni Bhyak(パスニャ・ビャーク)

パスニャ・ビャークは、ヒンドゥー教の伝統的な儀式で、赤ちゃんが6ヶ月になったときに行われる。

この儀式では、赤ちゃんに新しい名前をつけ、ヒンドゥー教の神々に祈りを捧げ、赤ちゃんが成長し、健康で幸せに育つことを祈願する。

また、赤ちゃんに対して、人生で幸せに生きるためのアドバイスが与えられる。

パスニャ・ビャークは、ヒンドゥー教の文化に根付いた伝統的な儀式であり、ネパールの社会における重要な行事の1つだ。

襲名披露と同様に新しい名前をつけ、新しい人生のステージに進むための儀式として、家族や友人たちによって祝福される。

冠礼

冠礼は、古代中国で行われていた皇帝の即位式であり、新しい皇帝が即位するにあたって、国内外から招待された高官や貴族、使節団などが出席する中で行われる。

冠礼では、新しい皇帝が神聖な権威を持つことを示すために、禮服を着て、宮殿内で行われる厳粛な儀式が行われる。

具体的には、神器を前にしての儀式、軍隊の閲兵、高官や貴族たちによる賀詞の捧呈、歌舞の演出などが行われる。

冠礼は、中国の歴史や文化に深く根付いた伝統的な儀式であり、中国の皇帝の即位式に限らず、王朝の交代など、様々な場面で行われていた。

襲名披露と同様に、新しい指導者の誕生や地位の継承を祝う儀式として、重要な役割を果たしていたのである。

まとめ

襲名披露は、日本独特の伝統文化であると同時に世界にも似たような文化があることが理解できたと思う。

古来から現代にまで残っている伝統文化には、様々な思想とそれを語り継ごうとしている人たちがいるということは、大切な部分が少なからずあると思った方がいい。

そんな伝統文化が実は現在のエンターテイメントを支えていたりするからである。

 

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植田 振一郎 Twitter

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