柔能制剛(じゅうのうせいごう)
→ 柔能(じゅうよ)く剛を制すという意味で、弱い者が強いものに打ち勝つこと。
柔よく剛を制すという言葉を聞くと、柔道を真っ先に連想するという人も多いのではないだろうか。
現代ではどうなのか知らないが、私たちの学生時代には、体育の授業で柔道か剣道のいずれかを選択するという機会があった。
私は柔道を選択し、本当に些細な時間だが柔道を学んだ。
そんな柔道について、まとめていこう。
柔道の歴史
そもそも、柔道は日本発祥の武道で、1882年に嘉納治五郎によって創始された。
そして、嘉納治五郎は古武道を学び、体術としての柔術を現代的なスポーツとして発展させた。
柔道は相手の力を利用して投げたり、関節技や絞め技で制する技術を用いるのが特徴だ。
技術の基本は、柔らかくて剛い、つまり柔よく剛を制すという考え方で、相手の力を受け流してその力を利用することを重視している。
また、柔道は日本国内で発展しただけでなく、世界各地に拡がった。
1900年にはパリオリンピックで披露され、1964年には東京オリンピックの正式種目として採用された。
そして、柔道には、技を競う試合である試合柔道と、相手を倒すことを目的とした実戦柔道の2種類がある。
試合柔道は、体重別や階級別に分かれて競技されるのは周知の事実だ。
柔道は単に技を磨くだけでなく、人間形成や社会教育にも役立つとされ、世界的に愛好されているのである。
柔道が広まった理由
なぜ柔道が広まったのか、その要因は下記のとおりだ。
創始者の嘉納治五郎の努力
嘉納治五郎は柔術の技術を改良し、スポーツとしての柔道を発展させた。
また、海外に柔道を広めるために、各地を旅行し、海外でのデモンストレーションや指導を行った。
日本の国策としての推進
柔道は、日本政府によって国家プロジェクトとして推進された。
日本が海外に進出していく中で、柔道は日本文化の代表として積極的に紹介された。
柔道の特性
柔道は格闘技の中でも比較的安全であり、子供から高齢者まで幅広い年齢層で楽しめる。
また、相手の力を利用するという考え方は、他のスポーツや日常生活にも応用できるため、柔道は人間形成や社会教育にも役立つとされている。
国際大会の開催
柔道の国際大会が定期的に開催され、世界中から選手やファンが集まることで、柔道の知名度が上がった。
また、オリンピックで正式競技種目に採用されたことも、柔道が世界的に認知されるきっかけとなった。
こういった要因が重なり、柔道は日本国内だけでなく、世界中に拡がった。
日本以外で柔道が定着している国
くり返しになるが、柔道は日本だけでなく世界中に広まっている。
国際柔道連盟によると、現在、195の国と地域で柔道が行われているという。
特に、フランス、ブラジル、ロシア、韓国、カナダ、ドイツ、オランダ、イギリス、中国、キューバなどの国々では、柔道が非常に人気があり、多くの競技者やファンがいる。
また、オリンピック競技としても採用されており、世界中から多くの国々が参加しているのが実態だ。
その理由は、柔道がその技術や精神的な側面が挙げられる。
多くの人々に愛され、広く普及している格闘技の1つが柔道なのである。
とりわけ、フランスでは柔道の愛好家が多いイメージを持っているという人も多いのではないだろうか。
フランスで柔道が広まった理由には、下記のような要因が挙げられる。
オリンピックの影響
フランスでは、1964年の東京オリンピックで柔道が正式種目として採用されたことが大きな影響を与えた。
以降、フランスの柔道界は着実に発展し、多くの選手が国際大会で好成績を収めている。
フランスでの普及活動
フランスの教育機関では、柔道が体育の必修科目として取り入れられており、多くの学校で柔道が教えられている。
また、フランス柔道連盟は積極的に普及活動を行い、全国にクラブを設立して、多くの人々に柔道を体験してもらう機会を提供している。
柔道の哲学と文化
フランスでは、柔道がスポーツとしてだけでなく、哲学や文化としても認知されている。
柔道の持つ、礼儀、自己研鑽、精神統一といった精神的な側面が、フランス人に合致し広く受け入れられているのである。
優れた選手の存在
フランスには、デビッド・ドゥヘール、ジャン=リュック・ロージョ、テディ・リネールなど、多くの優れた柔道選手がいる。
彼らの活躍が、フランス国内での柔道人気を高めるきっかけとなっているのも間違いだろう。
柔道で歴史に名を刻んだ選手たち
ということで、柔道というスポーツを通じて歴史に名を刻んでいる選手たちを紹介していこう。
鈴木 桂治(すずき けいじ)
日本の柔道家で、1956年のメルボルンオリンピックで金メダルを獲得した。
その後も、全日本柔道選手権大会で4度の優勝を果たし、日本柔道界のレジェンドとして知られている。
北尾 光司(きたお こうじ)
日本の柔道家で、1964年の東京オリンピックで金メダルを獲得した。
引退後は、国際柔道連盟(IJF)会長や国際オリンピック委員会委員などを務め、柔道の普及・発展に尽力した。
木村 政彦(きむら まさひこ)
日本の柔道家で、1964年の東京オリンピックで金メダルを獲得した。
その後、全日本柔道連盟会長や国際柔道連盟副会長などを務め、柔道界の発展に尽力した。
藤原 敏男(ふじわら としお)
日本の柔道家で、1964年の東京オリンピックで金メダルを獲得した。
その後も、世界選手権やアジア大会などで活躍し、日本柔道界のレジェンドとして知られている。
稲垣 克己(いながき かつみ)
日本の柔道家で、1976年のモントリオールオリンピックで金メダルを獲得した。
その後も、世界選手権で4度の優勝や、全日本柔道選手権大会で7度の優勝を果たし、柔道史上最高の選手の1人として知られている。
竹内 正浩(たけうち まさひろ)
日本の柔道家で、1984年のロサンゼルスオリンピックで金メダルを獲得した。
その後も、世界選手権やアジア大会で活躍し、日本の柔道界に多大な功績を残した。
Derek Harding(デレク・ハーディング)
カナダの柔道家で、1984年のロサンゼルスオリンピックで銀メダルを獲得した。
世界選手権でも銀メダルを獲得しており、カナダ柔道界のレジェンドとして知られている。
小野 清華(おの きよたか)
日本の柔道家で、1988年のソウルオリンピックで金メダルを獲得した。
また、世界選手権でも2度優勝している。
豊田 真由子(とよた まゆこ)
日本の女子柔道家で、1992年のバルセロナオリンピックで金メダルを獲得した。
その後も世界選手権やアジア大会などで活躍し、女子柔道の代表的な選手として知られている。
謝肇峰(シェジャオフォン)
中国の柔道家で、1992年のバルセロナオリンピックで金メダルを獲得した。
世界選手権でも2度優勝しており、中国柔道界のトップ選手として活躍した。
上田 雅美(うえだ まさみ)
日本の女子柔道家で、2004年のアテネオリンピックで金メダルを獲得した。
その後も、世界選手権で3度の優勝や、全日本柔道選手権大会で6度の優勝を果たし、女子柔道界のトップ選手として活躍した。
上野 遥(うえの はるか)
日本の女子柔道家で、2008年の北京オリンピックで金メダルを獲得した。
その後も、世界選手権やグランドスラムなどで優勝した。
謝爾康・費爾南德斯(シェルカン・フェルナンデス)
キューバの柔道家で、男子100kg級で2度のオリンピック金メダリストとなった。
柔道家としては珍しい、ロシア式サンボ出身者であったため、独自の柔道スタイルを確立した。
Teddy Riner(テディ・リネール)
フランスの柔道家で、男子100kg級で2度のオリンピック金メダリストとなり、世界選手権でも多数の金メダルを獲得している。
身長2m、体重130kgという巨体を生かした強力な投げ技で知られている。
まとめ
現在、世界中で柔道を行う人々の数は正確には把握されていないが、国際柔道連盟によると、2019年時点で約1,000万人以上が柔道を行っていると推定されているという。
また、各国の柔道連盟や団体が開催する大会や競技会には、多数の選手や観客が集まっているのも事実だ。
特にオリンピックの柔道競技は、世界中から注目を集め多くの人々が視聴している。
さらに、多くの国では、柔道が教育機関やクラブなどで指導され、若い世代を中心に人気がある。
そのため、将来的には柔道人口が増加する可能性があるといわれている。
いずれにせよ、身体が強いということは決して悪いことではないし、同時にメンタルも鍛えられるというのは理にかなっている。
柔道に興味がある人は、実際に体験してみるのもいいだろう。
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