群軽折軸(ぐんけいせつじく)
→ 軽いものでも多く積めば車軸が折れてしまう意から、小さい力でも数多く集めれば大きな力となるたとえ。
日本の会社のほとんどが中小企業だという話は多くの人が聞いたことがあるだろう。
ところが、日本国内に会社、つまり企業がどのくらいあって、どんな業種の企業が多いのか意外と答えられる人は少ないのではないだろうか。
そんな疑問に答えてくれるのが、経済センサスだ。
経済センサスとは、総務省と経済産業省が実施する全国の全ての事業所および企業が対象の統計調査で、2012年から4年に1回行われている。
そのデータは誰でも総務省統計局のWebサイトから見ることができる。
ということで、日本国内にある会社の数や業種について、その実態を調べてみた。
日本国内の会社 = 企業の数
最新の経済センサスは2016年(平成28年の)もので、その報告によると日本国内の会社の数、つまり企業数は3,856,457社となっている。
ということは、約386万社という会社が日本には存在するというわけだ。
前回調査の行われた2012年(平成24年)には、4,128,215社の企業が存在していたので、4年間で6.6%減ったということになる。
つまり、日本の企業はかつては約413万社あったのが、現在は約386万社あると覚えておくといいだろう。
また、事業所の数については、5,768,489ヶ所から5,578,985ヶ所ということで、約577万ヶ所から約558万ヶ所へ3.3%減少している。
産業大分類別に見る日本企業
約386万社の企業を産業別に見ていくと下記のとおりとなる。
- 卸売業、小売業:84万2,182企業(21.8%)
- 宿泊業、飲食サービス業:51万1,846企業(13.3%)
- 建設業:43万1,736企業(11.2%)
この上位3産業で全産業の5割弱を占めている。
また、前回調査の行われた2012年(平成24年)と比べると、各産業の推移は下記のとおりとなっている。
- 卸売業、小売業:9.4%の減少
- 宿泊業、飲食サービス業:6.2%の減少
- 建設業:7.8%の減少
それから、売上高を見ると下記のとおりとなっている。
- 卸売業、小売業:500兆7,943億円(30.8%)
- 製造業:396兆2,754億円(24.4%)
- 金融業、保険業:125兆1,303億円(7.7%)
この上位3産業で全産業の6割強を占めている。
経営組織別の状況
経営組織別に企業等数をみると、法人が187万7,438企業(48.7%)、個人経営が197万9,019企業(51.3%) となっている。
売上高をみると、法人が1,595兆3,380億円(98.2%)、個人経営が29兆3,762億円(1.8%)という数字だ。
また、資本金階級別の状況は下記のとおりである。
- 1,000万円未満:88万6,919企業(56.3%)
- 1000~3000万円未満:4万6,245企業(34.7%)
- 3000万円~1億円未満:11万4,705企業(7.3%)
- 1億円以上:2万8,495企業(1.8%)
売上別に企業数を見ていくと下記のとおりとなる。
- 300万円~1,000万円:84万社(23%)
- 1,000万円~3,000万円未満:74万社(21%)
- 1億円以上は69万社(構成比19%)
つまり、売上1億円未満の企業が全体の81%を占めていることがわかる。
それから、黒字と赤字の会社の比率は下記のとおりだ。
- 利益計上法人 = 黒字会社:101万社(37%)
- 欠損法人 = 赤字会社:169万社(63%)
日本の企業の6割以上が赤字会社であるという事実も知っておくといいだろう。
生まれては消えていく企業
2018年(平成30年)の新設法人数は約13万社だった。
リーマンショック後の2010年からは新設法人数は増えていたが、9年振りに前年割れをしている。
また、新設法人数を産業別に見ていくと下記のとおりとなっている。
- サービス業:5.3万件
- 不動産業:1.6万件
- 建設業:1.4万件
- 情報通信業:1.1万件
- 小売業:1.0万件
種別の新設法人数について前年比の増加率を見ると、運輸業、金融・保険業、情報通信業の順に大きくなっている。
これは、ECの増加等により、小口配送が増加していることによるものだろう。
それから、法人格別では、株式会社が8.8万社(68%)、合同会社は2.9万社(23%)となっている。
一方で、倒産する企業数は年間1万社程度となっている。
2019年の負債総額1,000万円以上の倒産件数は8,383件で、2014年から6年連続1万件を下回ってきた。
倒産企業数を産業別に見てみると、宿泊業・飲食業が含まれるサービス業他が約2,600件と最も多くなっている。
日本国内の老舗企業
2019年に業歴100年となる老舗企業は3.3万件、全体の2.3%となっている。
業種別に見ると、製造業、小売業、卸売業の順に多い。
さらに、細分類で見ると、貸事務所、清酒製造、旅館・ホテルの順となっている。
そして、業歴1000年を超える企業は、日本国内に7社ある。
最も老舗企業は、金剛組だ。
聖徳太子が大阪四天王寺を建立するため、百済から招いた宮大工の3人うちの1人である金剛重光が、飛鳥時代の578年に創業した会社だといわれている。
現存する世界最古の企業で、業歴は1444年という驚きの数字になっている。
日本国内企業の中小企業比率
冒頭に書いたが、日本企業のほとんどが中小企業だという話は多くの人が聞いたことがあるだろう。
企業規模別に企業数を見ると、大企業は約1.1万社で構成比0.3%、中小企業は約358万社で構成比99.7%だった。
つまり、日本国内にある企業の99.7%が中小企業だということだ。
中小企業をさらに細かく見ると、中規模企業が53万社で構成比15%、小規模事業者が約305万社で85%となっている。
中小企業の中でも、大部分が小規模事業者だということが改めて浮き彫りになる。
一方で、従業員数で見ると、中小企業の従業員は全体の約70%、付加価値額で見ると、中小企業は全体の約53%となる。
要するに、大企業の方がが中小企業に比べて生産性(従業員1人あたりの付加価値額)が高いという結果が出ている。
その理由は、企業の規模が大きくなれば、自動化のためのロボットや機械等の設備投資が可能になる。
従業員数が多いことでノウハウが蓄積されオペレーション効率が上がるなど、生産性が向上するのは理解できるだろう。
こういった傾向から、日本の生産性が低い最大の原因が中小企業にあるといわれることもあるわけだ。
まとめ
スタートアップ、ベンチャー企業の生存確率は、5年後は15%、10年後は6.3%、20年後は0.3%などといわれたりする。
20年後はもはやスタートアップやベンチャー企業と呼んでいいのかという気もするが、他にも企業の10年間の生存率はたったの10%といった話を聞いたことがある人もいるだろう。
起業した人間の立場からいわせてもらうと、実際はそんなに生存率が低いようには思えないが、ただただ年数を経るだけなら誰でもできるだろう。
そして、企業は長く続けばいいというものでもないと個人的には思っているところもある。
いずれにせよ、たまたまこのタイミングで経済センサスという情報リソースを知ったのだが、最新の経済センサスの速報が2022年5月31日に発表があるとのことだ。
データが出たらすぐに見ることにして、2018年の調査報告とどのくらいの推移があったのか比較してみようと思っている。
2018年から2022年の期間は、2014年から2018年の4年間よりも大きな動きがあったに違いないので、そのあたりも注目したい。
【Twitterのフォローをお願いします】