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2022年2月19日 投稿:ueda

1970年から続く不動産仲介手数料規定とその問題点

疑雲猜霧(ぎうんさいむ)
→ 疑う心を雲や霧にたとえた言葉。

周囲の人の疑ったりねたんだりする気持ちを雲や霧がかかったように晴れないさまに例えた言葉である。

昨今の世相になぞらえると、情報発信する側と受け取る側のギャップもまさに疑雲猜霧だといえるだろう。

誰でも簡単に情報発信ができる一方で、誰もが簡単に情報を取りに行くこともできる時代ならではといったところだ。

ところが閉鎖的なエリアではその情報が上手く伝達されなかったりする。

その最たる業界が、不動産業界かもしれない。

空き家バンクの実態

人口減に伴い、地方で空き家が急増しているということを聞いたことがある人は少なからずいるはずだ。

空き家バンクという言葉を耳にしたことがあるという人も多いはずだ。

その取り組みは、その名のとおり、空き家と移住者をマッチングさせようとするものだ。

ただ、本来であれば民間の不動産仲介業者が斡旋すればいいのに、自治体が主体となって展開している。

2019年10月の国土交通省の調査によると、全自治体の7割に当たる1,261もの自治体が、空き家バンクを設置済というデータが出ている。

その理由は至ってシンプルで、空き家に限らず低価格物件の仲介は民間企業にとっては、旨味が少ないビジネスだからである。

具体的に説明すると、不動産取引の手数料体系の問題ということだ。

不動産仲介業というビジネス

不動産の取引は消費財など一般的な商取引とは異なり、仕入れたものを売るのではない。

売り主と買い手をマッチングさせる仲介という形態を取ることがほとんどである。

他にも中古マンションを買い取ってリノベーションした上で販売したり、土地を購入してマンションや戸建てを建てて販売したりという取引形態もある。

いわゆる、デベロッパーとかハウスメーカーと呼ばれる企業や不動産管理会社と呼ばれる企業もあるが、仲介業を営む企業が圧倒的に多い。

その理由は至って簡単で参入障壁が低いからである。

宅建(宅地建物取引士)と呼ばれる資格が必要になるが、比較的取得しやすい資格とされており、有資格者がいればビジネス展開が可能だという実態もある。

不動産仲介業の手数料売上

くり返しになるが、不動産を売りたい人や企業と買いたい人や企業をマッチングさせるのが、不動産仲介というビジネスである。

そして、この不動産仲介手数料が不動産仲介業の売上となるわけである。

また、あまり知られていないが、この不動産仲介手数料は宅地建物取引業法で規定されている。

  • 物件価格が200万円以下の部分:物件価格の5%
  • 物件価格の200万円を超えて400万円以下の部分:物件価格の4%
  • 物件価格の400万円を超える部分:物件価格の3%

この手数料には簡易計算式があり、物件価格の3%+6万円で手数料が計算できる。

この体系を基準に不動産会社が買い手を見つけた場合の手数料を価格別に計算してみると下記のようになる。

  • 物件価格1億円の場合:306万円
  • 物件価格5,000万円の場合:156万円
  • 物件価格2,000万円の場合:66万円
  • 物件価格1,000万円の場合:36万円
  • 物件価格500万円の場合:21万円
  • 物件価格200万円の場合:10万円

また、1つの不動産業者が売り主と買い手の双方から手数料を受け取る、いわゆる両手取引と言われるケースでは、この倍の売り上げとなることも覚えておくといいだろう。

不動産仲介手数料の問題点

ただ、この不動産仲介手数料の料金体系には問題がある。

それは、様々な間接コストが反映されていないという点だ。

例えば、売り主を見つけるコスト、物件を査定し必要な書類を作成するコスト、買い手を見つけるための広告費用などが挙げられる。

他にも、物件を案内し説明する(内見)コスト、契約を成立させ重要事項の説明などを行うコストなど細かい間接コストを挙げるとキリがない。

こうした間接コストが、必ずしも物件価格に比例していないことが問題なのである。

それは、物件の仲介を成立させた場合を考えてみると一目瞭然である。

上述したとおりだが、物件価格が500万円の場合の不動産仲介手数料は21万円だが、物件価格が5,000万円では156万円と手数料収入が大きく異なる。

となると、間接コストがそれほど変わらないとなると、わざわざ安い物件を仲介する意味があるだろうか。

どちらを紹介した方が儲かるかを考えれば、誰でも理解できるだろう。

そんな現状があるので、2,000万円以下の物件は取り扱いませんといった業者も出てくるのである。

不動産仲介手数料規定の歴史

私は常々、歴史を学べということを主張している。

それは、歴史を学べば業界の現状が見えてくるからである。

この不動産仲介手数料規定についても同じことがいえる。

実は、不動産仲介手数料規定が決まったのは、今から50年以上も前の1970年(昭和45年)に遡る。

さすがにこの手数料体系では低価格物件の流通が進まないという判断もあり、2019年に改正が行われた。

その内容は、売り主に対する400万円以下の仲介手数料の上限が18万円に引き上げられた。

その理由は、単純に低価格物件の流通が進まないということからなのだが、この仲介手数料に改定されたからといって、積極的に低価格物件を取り扱おうと思う水準には程遠い。

 

そして、不動産仲介手数料が決まった1970年には住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)の融資制度が始まった年でもある。

当時の不動産事情は、東京都内のマンションでも1,000万円を超えるものは少なく、物件価格200万円のものを仲介して10万円の仲介手数料が得られることで十分ビジネスが成り立っていた。

けれども、現在では賃貸物件を仲介しても家賃の0.5〜1ヶ月分の仲介手数料が得られる。

東京都心では家賃が20万円を超える物件も多いので、500万円の中古マンションを仲介するくらいなら賃貸物件を仲介したほうが、効率がいいということになってしまう。

この実態が、空き家バンクが上手く機能していない一因となっているのは間違いないだろう。

まとめ

日本社会では、少子超高齢社会に拍車がかかっていることや婚姻率が下がっていることは周知の事実だ。

ということは、賃貸ではなく物件を買いたいという人がもっと増えても不思議ではない。

将来を不安視して、住む場所だけでも早々に確保したいという心理が働くということだ。

ところが、なかなかそうならないのは、500万円以下くらいで手頃に買える不動産が流通していないという実態があるからと結びつけることができるかもしれない。

つまり、不動産仲介業者がビジネスにならないというよりは他を仲介した方が効率がいいから、そもそも紹介をしないという慣習がずっと続いているということだ。

このあたりの実態が実はstak社にとってのチャンスでもあることは、2022年の我々の動きに注目していただければ理解できるだろう。

 

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植田 振一郎 Twitter

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