ハッタリと嘘の狭間で 第76話〜第80話

第76話

「Hack Osaka 2019」との共催で行われたMonozukuri Hardware Cup 2019というピッチだ。
英語縛りのピッチだけど出てみませんか?
という誘いにノリでオッケーです!
と答えたレベルで、正直なにも考えていなかった。
こんなに大規模なピッチだとも思っていなかったし、英語なんか全然できなくても、まあどうにでもなるだろうという感じだ。
一応、英語のできる人にピッチ用の英語のプレゼン資料を作ってもらって暗記した程度だ。
確か4分のピッチだったと思うが、動画も使うので実際は3分もないくらいの内容だったと記憶している。
ただ、このピッチは思っていた以上の規模で、日本代表を決めるピッチだった。
質疑応答も英語でとなると、全く歯が立たないということがわかると脳天気な俺も少々ナーバスになった。
とはいえ、やるしかないので登壇した。
まあ、ボロボロだった。
英語の質問は全くなにを言われているかわからなかったし、人前で話すことに普段はなんの抵抗もない俺が久しぶりにイヤな汗をかいたことは覚えている。
第77話

そんな状態だったので、展示会も併設されていたのだが、ピッチが終わるや否やさっさと会場を後にしたくて運営側に帰っていいかを聞いた。
するとピッチの順位発表があるまでは残っていてもらいたいということで嫌々残っていた。
広い会場で結果発表がされるということだったが、せっかく大阪まで来たのでなにか美味しい飯でも食って帰ろうと検索していた。
そんなとき、まさかのコールがあった。
「優勝はstak!」
えっ!?
と一緒に来ていたメンバーたちと顔を見合ったが、どうやら優勝したらしい。
優勝はもとより入賞すらないと思っていた俺は、広い会場の後方に座っていたため壇上まで駆け足で向かった。
英語でのコミュニケーションが全く取れていなかったにも関わらず優勝。
同時に5月にアメリカで行われる本大会に日本代表として出場も勝ち取ったことになる。
まさか、こんなことになるとはというのがベタだが本当にそんな感じだ。
このことは当然ネットニュースにもなったし新聞記事にもなって、そこからいろいろと問い合わせも増えたのは事実だ。
その様子はこちらのブログに書いてもらっているので、時間のある人は是非見てもらいたい。
第78話

ということで、stakはアメリカに行くことになった。
場所はNYとピッツバーグ。
5月中旬に向けて、初めてアメリカに行くというきっかけをもらった。
しかも、優勝賞金もあるので実質タダで行ける。
こんなことはモノづくりをやらなければできなかったことだ。
全く狙っていなかったので、ただのラッキーに過ぎないのだが、それでもやったことのある人とない人では雲泥の差がある。
英語縛りのプレゼンをしたことがある人は、おそらく日本にはまだまだ少ない。
英語が話せないくせに、壇上に上がる人となるともっと少ないだろう。
少なからず、俺はその1人にはなれたわけだ。
そして、アメリカでのピッチで優勝すれば5万ドル(約600万円)ということも聞いていたので、本番までの1ヶ月と少しの間はさすがに英語を少しはやろうと思った。
周りの英語のできる人や英語を勉強している人に片っ端から声をかけて、なんとかその準備をしようと心がけた。
ただ、どうしても別の仕事に追われて後手後手になってしまう。
そして、気付けばGWになっていた。
第79話

さすがにマズい。。
と思いなんとか調整をして本番に望むことになるのだが、英語縛りは結構ナーバスにさせてくれた。
さらに日本からNYまでは遠い。。
アジア圏には結構な頻度で往復していた時期もあり比較的慣れているのだが、なにせ初めてのアメリカ。
寝て起きてもまだ飛行機の中。
飯も何回も出てくる。
ようやく着いたNY。
イミグレのゆるさに早速のカルチャーショックを味わいホテルへ向かう。
Uberという画期的なサービスが生まれ、会話ができなくてもホテルまで連れて行ってくれる。
Uberは海外こそ便利だということを痛感させてくれる。
到着当日は空港からホテルまで移動して、すっかり夜だったので近くのタイムズ・スクエアにだけ行こうということになった。
タイムズ・スクエアはなにかと目にしたことのある場所だ。
翌日からのスケジュールもいまいちよくわからずアメリカに降り立っていたので、せっかくNYに来たのであれば、タイムズ・スクエアくらいは見ておかないとというアメリカでもノリ重視は変わらない。
第80話

ホテルから歩いて10分もしないうちに目的のタイムズ・スクエアへ到着した。
感想は「あ、こんなもんなんだ。。」と想像していたよりも小柄な建物にその場を後にした。
それから、時間も遅かったが、せっかくなのでなにか食べようと適当なお店に入った。
サラダ、ポテトを焼いたやつ、手羽先みたいのなのと飲み物を1杯ずつ頼んで、サクッとお店を出ることにした。
会計を聞くと70ドル(約7,500円)にチップ。
クオリティと価格が全く合っていない現実に、え!?
と一瞬思ったが、まあこれも聞いていたとおりだなと割り切った。
日本は本当に飲食店のクオリティの高い。
そして安い。
500円もあれば美味しくお腹いっぱいにさせてくれるお店がたくさんある。
そんな小さなカルチャーショックを重ねていくことも、stakを開発しなければできなかったことだ。
狭いくせに1泊30,000円以上するホテルに戻ると、明日からのピッチの本番に向けての練習に備えてはやめに就寝する。
明日はどんなカルチャーショックを受けるのか、楽しもうとしている自分と憂鬱も多少あったことは覚えている。


