ハッタリと嘘の狭間で 第66話〜第70話

第66話
アーリーとレイターの間がもう少し細かくなる。
アーリーの次が、エクスパンション(ステージA)、グロース(ステージB)、レイター(ステージC)となる。
エクスパンション(ステージA)は、事業を本格的に進める段階。
グロース(ステージB)は、事業が軌道に乗り始め、売上も伸びていく段階。
もっというと、シード、シリーズA、シリーズB、シリーズCという分け方をすることもあり、最近はこれが主流かもしれない。
その場合の概念は下記のとおりである。
シードは、プロダクト(事業)を確立してユーザを獲得する段階
シリーズAは、プロダクト(事業)を拡大してビジネスモデルを確立する段階
シリーズBは、徹底してビジネスを拡大させる段階
シリーズCは、シリーズB以上にビジネスを拡大させて、exit(IPO)できる段階
場合によっては、シリーズD、シリーズEへとなる。
とまあ、ぶっちゃけ業種によって概念も異なるので、曖昧な分け方ではあるが、4〜5つの成長段階を分けるということだ。
そして、どの成長段階で出資するか、VCによって大きく異なる。
第67話
シードからアーリーのスタートアップに出資するVCがあれば、アーリーからミドルを中心に出資するVCもある。
もちろん、ミドルからレイターにかけてしか出資しないVCがあるのは想像できるが、以前はシードからアーリーにしか出資していなかったVCがアーリーからミドルの中でもミドル寄りにしか出資しないとピボット(方針変更)する場合もある。
VCも営利企業なので利益を出さなければならず、市況やパフォーマンスによって、やり方を変えるのは当然といえば当然である。
くり返しになるが、VCも企業や人からおカネを預かって運用してリターン(利息)を払わなければならないという根本がある。
その企業や人から預かっている額が様々で、数億円の規模のVCもあれば、数十億、数百億、数千億、もっというと兆円単位のVCもある。
ちなみに、日本最大のVCの運用額が1,000億円にも満たないのに、世界最大のVC(セコイア・キャピタル)は1兆5,000億ドル(約160兆円:2019年10月現在の為替で換算)という規模だ。
これだけ見ると、世の中にはおカネがあり余っているように感じる。
でも、一体どこにそんな「カネ」が余っているのだろうか。
第68話
とまあ、VCにもいろんな特徴があることは、なんとなく理解してもらえたと思う。
運用している規模が違うので、スタートアップの本当に初期の段階に投資するVCもあれば、大きな運用額で一気にexit(イグジット)直前に出資するVCもある。
当然、初期の段階に投資する方がリスクが高い。
企業は起業してから1年以内に半分が倒産するといわれている。
1年〜5年以内にさらに半分が倒産し、5年〜10年以内にさらに半分が倒産するというのが一般的な見解だ。
10社がよーいどんで起業したとする。
1年後には半分の5社が残る。
5年後には5社の半分が2.5社なので四捨五入して3社が残る。
10年後には3社の半分が1.5社なので四捨五入して2社が残るという計算だ。
ネガティブに四捨五入でなく切り捨てで考えれば、5年後には2社が残り、10年後には1社が残る。
ということは、できるだけはやい段階で出資すれば、その分、株価は安いので投資したスタートアップが成長すればリターン(見返り)も大きくなる。
反面、ある程度の成長したスタートアップ(もはやスタートアップと呼ぶのかは不明だが。。
)への投資であれば、リスクも小さくなるのでリターンも小さくなる。
当然の市場原理だ。
第69話
リターン(見返り)と株価の話が出てきて、意味がわからなくなる人も出てくると思うので、もう少し詳しく説明しておく。
何度もくり返すが、VC(ベンチャーキャピタル)は、企業や人から預かったおカネをスタートアップに投資することで利益を得ている営利企業を指す。
スタートアップはおカネがないことが多いので、VCから出資を受けたいという場合が多く、両社の利害は一致する。
「おカネがないなら、銀行から借りればいいじゃん」と簡単にいう人がいる。
こういう人の話を聞くと、一気に話す気が失せる。
全く資金調達をしたことのない、世の中を知らない人だということが一発でバレるのでやめた方がいい。
というか、絶対に希望どおりの額がいい条件で銀行から借りれないのを保証するのでやってみろと思う。
というか、融資と出資の違いすらわかっていない人が多すぎる。
なによりも、おカネは信用だという根本の理解ができていない場合が多い。
また話がそれたので本筋に戻す。
VCはおカネを出資するのが仕事、スタートアップはおカネが欲しいけど返済する力も弱い。
「では、おカネを出す代わりにあなたの会社の株をください」となるわけだ。
第70話
VCが出資する段階でスタートアップ(会社)のバリュー(価格)を決める。
例えば、1億円というバリューになったとする。
スタートアップが3,000万円を調達したいのであれば、30%の株をVCに渡すというのが一般的なやり方だ。
スタートアップが成長してバリューが10億円になったとする。
そのうちの30%の株を出資したVCが持っているわけだから、3,000万円で手に入れた株が3億円になる。
2億7,000万円のリターン(見返り)が出る。
というのが大まかな流れである。
これを説明したスタートアップの4〜5段階の成長段階の中で、どのタイミングでいくら出資するかはVCの判断になる。
当然、はやく出資すれば何段階にも成長して株価が上がりリターンも大きくなるが、失敗する確率も高くなる。
そして、VCがリターンを得るにはスタートアップ企業がexit(イグジット)する必要がある。
株を持っているだけではおカネにならないので、どこかのタイミングで売却する必要があるということだ。


