眼光紙背(がんこうしはい)
→ 目の光が紙の裏まで貫く意から、読解力にすぐれていること。
読解力の弱さが指摘されている時代だ。
文章が読めないこと、つまり読解力がない人が増えていることが問題だという指摘を多く目にする。
私自身、こうして毎日のように様々な分野の情報発信をしているのは、情報を文字で伝える技術を磨いている側面もある。
というのも、どこの誰かもわからず、なにも興味を持っていない人に、自分の意思を伝え、さらに共感してもらうことがどれだけハードルが高いかを日々痛感しているからである。
いわゆるプレゼン力を上げていくことは、CEOとして最重要ともいえる仕事の1つだ。
そんなプレゼン力は、一朝一夕で身につくわけではなく、場数を踏むしかないことがとにかく重要だ。
読解力がないとはどういう状態なのか?
そもそも読解力がないというのは、どういうことなのか。
読解力を測定する能力は3つに分けられる。
- 情報を探し出す
- 理解する
- 評価して熟考する
この中でも、情報を探し出すと評価して熟考するの2つが特に低下していることが指摘されている。
つまり、昨今いわれている、読解力がないというのは、文字を追うことはできても、なにが書かれているか内容を深くまで理解できていないということを指す。
読解力のない子どもの3大原因
とりわけ、読解力がないとされる層として、子どもたちが挙げられることが多い。
そんな読解力がない子どもたちの3大原因があるとされている。
1)SNSの影響
まず、SNSでのコミュニケーションの増加による影響の指摘は数多くされている。
SNS上では絵文字やスタンプ、そして独自の略語などを使うだけで会話が成立してしまうことが多い。
知らない言葉や難しい単語に出会うことが少ないことが大きな理由とされている。
また、SNSでは単語での会話が行われることも多く、主述関係など文章の構造を考えながら理解する機会も必然的に減る。
そのため、正しい日本語の構成を使うことがなくなってきている。
それから、ワード予測等の機能から自動変換してくれるのが今やデフォルトである。
例えば「あ」と入力したら、ありがとうと自動的に入力できるという具合いだ。
2)読書習慣の減少
次に読書週間の減少が読解力がなくなってきている原因として挙げられる。
世界的な学習到達度調査であるPISAによるデータがある。
それは、本を読む頻度において、月に数回以上だと答えたグループは、そうでないグループよりも読解力のテストで高い点数を取ったという結果だ。
基本的なことだが、読解力を向上させるためには、やはり読書をするというか、本と触れ合う機会は重要だ。
理解はしていても、なかなか本を読むということはできないという人も多いだろう。
3)デジタル機器の進歩
最後に、デジタル機器が世の中に浸透しているというテクノロジーの進歩が挙げられる。
最も身近にあるデジタル機器といえば、スマホやタブレットだろう。
アプリをダウンロードすれば、いくらでもゲームができるという環境が誰にでも平等にある時代だ。
国立教育政策研究所の調査によると、日本においてのデジタル機器利用状況の結果がその影響を物語っている。
例えば、授業でデジタル機器を使う頻度では、利用しないが83.0%となっている。
また、宿題でデジタル機器を使う頻度では、全く利用しないかほとんど利用しないが78.8%という結果だ。
つまり、学習面においてデジタル機器を使う機会は日本では著しく低いのである。
一方で、学校外でデジタル機器を使う頻度は、全く違う結果が出ている。
1人用ゲームで遊ぶに対する回答は、毎日およびほぼ毎日の回答が47.7%となっている。
また、チャットをするに対する回答は、毎日およびほぼ毎日の回答が87.3%で、先進国の中でもかなりの高水準になっている。
このことから、日本の子どもたちは、日々デジタル機器に触れて使いこなしているにも関わらず、勉強では使うことがないということが明らかになっている。
これは裏を返せば、学校教育でデジタル機器に触れる機会を増やし、デジタル機器に向き合う教育が遅れているという見方もできるだろう。
読解力が試される場面
コミュニケーションをとるため、コミュニティを形成するにおいても読解力は必要になる。
大丈夫という言葉1つをとってみよう。
転んだ子どもに対して、大丈夫?という声をかけて、その子どもが大丈夫だと答えた場面を思い浮かべて欲しい。
その子どもが笑顔で大丈夫と答えたら問題ないとわかるし、ちょっと浮かない顔で大丈夫と答えたとしたら気を遣って大丈夫だと答えているということがわかるだろう。
他にも社会に出て発言をしたときに、その発想はユニークだねと言われたとしよう。
この言葉も読解力に差が出る。
独創的で本当に素晴らしい発想だと褒められているとポジティブに捉えることもできるが、必ずしもそうではない。
それに対して、面白いけれど到底できない無理な発想だとか、単純にウケを狙っているとネガティブに捉えられることもできる。
要するに、読解力がないというのは、単純に本に書かれている内容がわからないということだけでなく、日常のコミュニケーションにも影響が出る場合があるということだ。
まとめ
子どもたちの読解力をつけさせるために、音読をさせたり、絵を文章にしたり、文章を絵にしたりという取り組みをしている教育機関も増えている。
他にも、なんでも疑問に思わせたり、たくさん話すということも読解力をつけるには良い取り組みだとされている。
個人的には、様々な情報を要約するために今まさに私がやっているように、文章を自ら書くことが最適な読解力をつける方法だと考えている。
自分の中の教養にも繋がるし、どうやってまとめていくのかをしっかり考える機会にもなるからだ。
大人になれば時間がないという言い訳を武器に学ぶ姿勢も減っていくが、そのあたりの考え方を改めて、読解力を伸ばす習慣を身につけることを意識してもいいかもしれない。
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