寡聞少見(かぶんしょうけん)
→ 見識が狭く、世間知らずなこと。
自分を謙遜していう言葉ということだが、2022年に41歳を迎える初老なのに知らないことは、まだまだたくさんあるものだ。
年始にはなんとなくおせち料理を食べるという人も多いはずだ。
歳を重ねると、どこかのおせちを付き合いで買うということも出てくる。
一方で、このおせち料理の食材や詰め方のルールの詳細を話せるという人は、あまりいないのではないだろうか。
かくいう私も正直ふわっとしか知らなかったので、せっかくなので調べてみた。
おせちの由来
現代のおせちといえば、当たり前のように正月に食べているけれども、もともとお節と漢字で書くとおり、季節の変わり目に祝い事を行う節(せち)の日に食べる料理だという。
その歴史は古く、平安時代の朝廷では正月などを含めた季節の変わり目に五節絵(ごせちえ)を開催していて、おめでたい日に特別な料理を準備していた。
その後、江戸時代には庶民に拡がり、いつの間にか正月に食べる料理をおせち料理と呼ぶようになったそうだ。
そんなおせち料理を食べる理由は、3つあるといわれている。
- 神様へのお供えものを一緒に食べて御利益にあずかる
- 神様を迎える際に忙しくしない
- 神様を迎える際に台所を使わない
おせちに使われる食材とその意味
おせち料理には様々な食材を使ったものがキレイに並べられるが、一体何種類作ることが一般的なのだろうか。
明確な基準はないのだが、20〜30種類とされている。
また、偶数で割り切れない奇数の数だけ料理を準備するのが縁起がいい。
そして、料理は大きく5種類に分けられる。
- 祝い肴
- 口取り
- 焼き物
- 酢の物
- 煮しめ
それでは、それぞれの代表的な料理と意味を紹介していこう。
祝い肴
祝いの場での酒の肴として準備されるのが、祝い肴である。
祝い肴三種と呼ばれる定番があり、関東では数の子、黒豆、田作り、関西では数の子、黒豆、たたきごぼうの三種が一般的だとされている。
数の子は、ニシンの卵を塩漬けまたは乾燥させたものである。
たくさんの卵が並んでいることから、子だくさん、つまり子孫繁栄を意味している。
それから、ニシンを二親にかけて、両親の長寿や健康も祈願されている。
黒豆は、甘く味付けされており、まめに働けるようにといった健康や精励を意味している。
また、黒色は邪気を払う色ともされており、黒く日に焼けるまで朗らかに働けるようにという意味も込められている。
田作りは、カタクチイワシの稚魚で、イワシは畑にまく肥料として使われていたことから、豊作を祈願する意味が込められている。
そして、尾頭が付いていることも縁起がいいとされている。
たたきごぼうは、細く切ったごぼうを叩いて茹でて味付けをする。
ごぼうは土に根を張る食材ということで、家族や家業が地に根付いて繁栄するという意味が込められている。
口取り
口取り肴の略称で、酒の肴を意味している。
見た目の色が鮮やかで華やかな料理が多く、お祝いごとでは最初に提供される。
具体的な例を挙げていこう。
かまぼこは、半月の形が初日の出のようだということで縁起ものだとされている。
紅白の紅は慶びや魔除け、白は神聖や清浄を意味している。
伊達巻は、卵で作られた柔らかくて甘い食べ物で、その発祥は長崎だとされている。
見た目が、伊達ものの着物のようだということから伊達巻と名付けられ、巻物を連想させることから、学業成就の意味が込められている。
栗きんとんは、栗を甘く味付けした料理で、栗は山の幸を代表しており、勝ち栗と呼ばれ、豊かさを表す食べ物だ。
輝くような黄金色から、金運上昇の願いが込められている。
昆布巻きは、魚などを昆布で巻いた料理で、よろこぶや子生と縁起の良い字が当てられ、不老長寿や子孫繁栄の願いが込められている。
広布(ひろめ)という別の呼び方もあり、結婚式のお披露目はこの呼び方から来ているといわれている。
錦卵は、茹でた卵を黄身と白身にわけって裏ごしし、蒸した料理である。
黄身は金、白身は銀と、その二色で鮮やかな模様を作る絹織物を表しており、金運上昇の願いが込められている。
また、二色と錦の言葉がかけられている。
焼き物
おせち料理の主役ともいえる焼き物は、海鮮が多い。
鯛は、おせち料理では焼いた切り身を入れることが多い。
恵比寿様が持っている魚ということから七福神信仰とも繋がっていて、めでたいと縁起の良い魚とされている。
また、赤色で姿形も美しいことから、祝い事に使われることも多い。
鰤は、おせち料理では照り焼きが出されることが多い魚である。
また、出世魚とされ、成長とともに名前が変化する魚である鰤は、立身出世を願う人にとっては1年の初めに食べると良いと考えられている。
海老は、長い髭や腰が曲がっている様子から、腰が曲がるほど長生きをするという長寿祈願が込められている。
それから、目が出ている様子がめでたい、脱皮を繰り返すことが生まれ変わりを表している。
蛤は、ひな祭りでも定番として食べられるが、貝同士がぴったりくっつくものは一つしかないことから、良縁を表している。
他の貝類でよくおせち料理に使われるものは、アワビやトコブシもある。
酢の物
脇役だが、酢の物の存在も忘れてはいけない。
紅白なますは、人参と大根で作られる酢の物で、両方根菜であることから、根を張るようにという願いが込められている。
また、紅白の色合いが、のし袋やのし紙など祝い事で使われる水引き(みずひき)を連想させるともされている。
酢れんこんは、調味料で和えてさっぱり食べられる料理である。
れんこんは穴が空いており先を見通せることから、新年の初めに食べることで見通しの良い未来という願いが込められている。
菊花かぶは、菊の形に切られたかぶを甘酢に付けた料理だ。
紅く染め紅白を表すこともあり、祝いごとに使われる菊の花から、めでたさや繁栄や健康を表している。
煮しめ
煮物のことを煮しめというが、よく食べられる煮しめは下記のとおりだ。
筑前煮は、れんこんや人参などのたくさんの根菜と鶏肉を煮込んだ料理である。
一つの鍋でたくさんの具材を一緒に煮込むことから、家族が仲良く暮らすことを表している。
手綱こんにゃくは、左右の端を中央にねじった煮物料理だ。
手綱を締めることで心を引き締めるという意味があり、結び目は良縁や夫婦円満を表している。
くわいは、突き出た芽から、芽出たい(めでたい)と縁起の良いことを表し、くわいの芽が空に向かって伸びることから、立身出世の願いが込められている。
また、角形や八角形にすることで万年生きるとされる亀を表しており、長寿も祈願されている。
里芋は、種芋から多くの子芋、多くの孫芋がつくことから、子孫繁栄の意味が込められており、丸い形は家族円満を表している。
たけのこは、土佐煮として使われることが多い食材だ。
くわいと似ていて、天に向かって早く伸びることから、立身出世の願いが込められている。
また、すくすくと成長していく様子から、幸運を伸ばすという意味もある。
重箱への詰め方
おせち料理は重箱に詰められている。
重箱も数によって詰めていく料理が異なる。
五段重の詰め方
- 一の重:祝い肴の数の子、黒豆、田作り、たたきごぼうなど
- 二の重:口取り、酢の物の伊達巻き、栗きんとん、かまぼこ、酢れんこん、紅白なますなど
- 三の重:焼き物の海老、鯛、鰤など
- 与の重:煮しめの筑前煮、くわいなど
- 五の重:神様からの福を詰めるため、なにもいれず空にしておく
与の重となっているのは、四とすると死を連想するということから、与の重となることも知っておくといいだろう。
それから、一の重が一番上の段だということも混同しないようにしよう。
四段重の詰め方
- 一の重:祝い肴、口取りの栗きんとん、かまぼこ、伊達巻き、田作り、数の子、黒豆、たたきごぼうなど
- 二の重:焼き物の海老、鯛、鰤など
- 三の重:酢の物の酢れんこん、紅白なますなど
- 与の重:煮しめの筑前煮、くわいなど
三段重の詰め方
- 一の重:祝い肴、口取りの栗きんとん、かまぼこ、伊達巻き、田作り、数の子、黒豆、たたきごぼうなど
- 二の重:酢の物、焼き物の酢れんこん、紅白なます、海老、鯛、鰤など
- 三の重:煮しめの筑前煮、くわいなど
まとめ
いにしえから、年始には祝いごととして、縁起のいいとされる食材を使った料理を食べてきている。
2022年の年始におせち料理を食した人も多いはずだ。
さあ、しっかり縁起を担いだ上で、2022年のスタートだ。
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