応機接物(おうきせつもつ)
→ 相手に応じ適切に指導すること。
立場上、指導するということを20代の半ばからやってきた。
そこからいろいろな人に出会ってきたが、いわゆるマネジメント方法というのは、都度変わってきている。
正直、そこまで深く考えてマネジメントをやっているとも言い切れないが、確実にやり方は変わっている。
20代半ばのマネジメントについて
人を採用して社長という立場になったのが、20代半ばの頃だった。
といっても、子会社の社長という、いわゆる雇われ社長の立場だ。
とはいえ、なにか自分の好きなこと、得意分野で起業したいと思っていた私にとっては絶好のチャンスだったし、実際にとてもいい経験を積ませてもらった。
当時はなにもわかっていなかったこともあり、とにかく今では完全にアウトなマネジメントだった。
根本にあるのは精神論で、とにかくがむしゃらに働くことだけだった。
家に帰らず、会社に寝泊まりするようなことも多々あったし、そんな自分に少々酔っていたところもあったのかもしれない。
ただ、根本にあったのは、とにかく結果を出したいという想いだけだった。
結論、1年目で自分の想定していた以上のスコアを出すのだが、その一方でこれがずっと続くのは無理だとも感じていた。
寝ずに気合いでというのは、短期なら可能かもしれないが、あまりにも非効率だということだ。
社長という立場に経ってから1年未満の間にも、組織というものの重要さを考えては実行してみた。
当時は、いわゆる成功者と呼ばれる人たちの本もよく読んだと思うし、憧れのようなものもあった。
マネジメントの根本にあるプロフェッショナルの精神
20代半ばは、本当に本をたくさん読んだように思う。
経営に関する本や自己啓発系の本が多かったと思うが、導き出した1つの答えがある。
それは、結局自分でいろいろと試しながらやった方が、覚えがはやいということだ。
もちろん、やったことがないことばかりなので、思っていたのと全く違う結果になったり、明らかに失敗したなということも多々あった。
それでも、上手くいくまで考え抜いて動き続けることをくり返して、徐々にマネジメントということを学んだように思う。
その言動の根本にあるのが、プロフェッショナルであるという考え方だ。
1円でもお金をもらって仕事をする以上は、相手に満足してもらえる仕事をしなければならないというのものだ。
この考え方は、当然今でも持っているし間違っていないように思う。
それから、プロフェッショナルという言葉を聞くと、思い出す話がある。
プロフェッショナルな対応について考える
リソースを全く覚えていないのだが、プロフェッショナルと聞くと飛行機での対応の話を思い出す。
ファーストクラスに某飲料メーカーの社長が乗ってきたときの話だ。
ファーストクラスに乗る人に対して、各航空会社はもちろんVIPとして扱う。
機内では完全に個のサービスが行われる。
食事も好きなタイミングで好きなものを提供し、当然休むタイミングも自由だ。
そのために、食事や飲み物の好みはなにか、好みの雑誌はあるか、機内で過ごすウェアのサイズはいくつかなどの準備を徹底している。
このあたりの個人情報をしっかりと共有しているということだ。
そんなファーストクラスに乗ってきた某飲料メーカーの社長は、食事をする前に必ず食前酒を飲むらしい。
当然、その飲料メーカーのお酒を出す。
冷え具合を確認し、グラスは欠けていないか入念にチェックして、万全の状態で提供した。
機内サービスには、細かい手順がマニュアルで決められている。
食前酒でビールを出すときは、最初の一杯目はCAがグラスに注ぐことが決められている。
この社長にもマニュアルどおり、一杯目を注ごうとしたら、自分で注ぐとのことだ。
CAは飲料メーカーの社長だから、こだわりのビールの注ぎ方があるのかと思い、様子をうかがっていた。
ところが、いたって普通にビールをグラスに注いでいる。
そして、社長が一口ビールを飲んだ。
その瞬間、社長は首をかしげ、ビール缶の裏を見ると、CAを呼び出した。
社長ところにいくと、賞味期限が切れていることがわかった。
CAは丁寧にお詫びし、新しいビールに変えようとしたときに社長がこういった。
忙しいところ申し訳ないですが、この飛行機に載っているうちのビールの賞味期限を確認してもらえませんか?
直ちにCAはインターフォンで、このメーカーのビールの賞味期限を確認するよう指示を出した。
その結果、エコノミークラスに1本だけ賞味期限が切れているビールが見つかった。
嘘をつくわけにはいかないので、CAは社長に正直に賞味期限が切れたビールがあったことを報告した。
すると社長はこう答えた。
君のせいじゃないので、気にしないでいいですよ。でも、うちのビールを楽しみにしてくださるお客様に賞味期限が切れたビールをお出しするわけにはいかないので、確認してもらいたかったのです。
その後、サービス中の忙しいときに、無理なお願いをして申し訳ないと一言を添えたという。
CAは、たった一口飲んだだけで賞味期限が切れたことを察し、かつ機内にいるお客様への気遣いに感動したという話だ。
まとめ
プロフェッショナルとは意識の問題のように思う。
CAは、某飲料メーカーの社長に叱責されても仕方がないと思ったに違いない。
けれども、結果として某飲料メーカーの社長は自社のマネジメントを行い、ついでに機内のマネジメントもしている。
こういう意識を持つことは小さなことから始まり、それが積もり積もってプロフェッショナルとしての格が形成されていくのではないだろうか。
自分自身にもプロフェッショナルを備えていこうと改めて思った次第である。
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