第41話
機内では先日の打合せからの睡眠不足からほぼ爆睡状態で広島に到着して、チームメンバーと別れた。
打合せの課題になっていたクラウドファンディングのプロジェクトを進めなければならない。
深セン・香港の視察が当初の予定より若干後ろ倒しになったことから、11月26日から約1ヶ月半という期間に定めて実施することになった。
プラットフォームはMakuakeを使うことにした。
なぜ、Makuakeにしたのか?ということも、しばしば聞かれるので、この話もしておこう。
そもそも、stakはkickstarterでクラウドファンディングをすることを目標にしていたことは以前に書いた。
その理由は、一気に海外を狙いたいという安易な気持ちからだ。
それが2018年9月ごろだったことも書いたが、結局諦めた。
今の体制で海外へ出るのはハードルが高いということで、まずは国内から攻めようという気持ちを固めた。
もちろん、クラウドファンディングはやることを決めていた。
そして、そのときにMakuakeかCAMPFIREの二者択一だったことも決めていた。
第42話
なぜ、その2つに絞っていたかの理由を述べよう。
単純に日本でメジャーなクラウドファンディングのプラットフォームだからだ。
他にも細かいことを挙げると下記の理由がある。
- 過去におカネを多く集めた似たカテゴリのプロジェクトがあること
- 過去に多くの支援者を集めた似たカテゴリのプロジェクトがあること
- サポート体制
- サクセス時の手数料
このあたりを相対的に判断すると、MakuakeかCAMPFIREの2つしかないだろうという結論に至った。
要するに、クラウドファンディングをやる以上は少しでも多くの人に見てもらえなければ意味がないということだ。
そして、両社のいずれかに絞るために、いずれの会社にもアポを取って打合せに行くことにした。
結果、Makuakeを選択した。
その理由は、デバイスやガジェット系であればMakuake、イベント系のクラウドファンディングであればCAMPFIREを使うべきだという判断をしたからだ。
つまり、stakは機能拡張型・モジュール型のIoTデバイスなので、Makuakeを選択した。
また、専任の担当者が数人ついてくれることも心強いと感じた。
では、次回もMakuakeを使うか?という質問もしばしばもらうが、その答えは「?」だ。
第43話
それは、Makuakeの担当者にある。
正直、ノリの部分が大きくこちらのことに対して真剣に取り組んでくれているとは思えなかった。
もちろん、たくさんのプロジェクトを1人の担当者が抱えていることは理解できる。
時間がなかったり、ある程度は流されても仕方がないことはこちらも想定内だ。
では、なぜそう感じたか。
決定的だったのは広告費だ。
Makuakeではプロジェクトをサクセスさせた後に、SNSをはじめとしたいろいろな広告媒体で宣伝ができるようになる。
参考までに他の過去の類似プロジェクト(デバイス、ガジェット系)がどういった形で広告をかけてきたか教えてもらえる範囲内で聞いていた。
注目していたプロジェクトはおカネをたくさん集めたプロジェクト、同時に支援者もたくさん集めたプロジェクトである。
そういったプロジェクトは軒並み広告をかけていたことから、stakもサクセス後には広告費をかけるようにお願いしていた。
その上限はまずは100万円という約束で、それを使い切った後にまた追加するといった内容だ。
それほど、クラウドファンディングにおカネを投じることは決めていた。
第44話
ただ、この広告宣伝費が異常な数値を出していたのだ。
この広告宣伝費でのやり取りが、本当に不毛だった。
クラウドファンディングはまずはプロジェクト初日がとても重要である。
プロジェクト開始後、初日から2〜3日目の集まり方でサクセスか否かが、ほぼ決まるといっても過言ではない。
この時点で50%近くに達していないプロジェクトは、ほどんどアンサクセスになっているはずだ。
例外的に、有名人がやっているとか、高額目標金額に設定しているプロジェクトや、メディアに急に取り上げられたりしたものはサクセスの可能性はある。
ただ、多くのメディアはバズっているプロジェクトに食いつくので、スタートダッシュは本当に大切なのだ。
ただ、プロジェクト発起人は必至なので1円でも多く集めよう、1人でも多くのファンを囲おうということで、広告宣伝費を投じる場合も多い。
stakもまさにその中の1つで、12時間で100万円のプロジェクトをサクセスさせた後に広告宣伝費をかけて少しでもプロジェクトを伸ばそうと試みた。
第45話
ということで、stakもサクセス後に広告宣伝を即座に開始した。
設定等はMakuakeの担当者に任せており、後々知るのだが、1日の予算は75,000円に設定してあった。
正直、広告予算設定の金額はどうでもよかった。
肝心なのはコンバージョンである。
広告宣伝費をかける以上は、広告宣伝費以下で商品を購入させるのが当然だ。
つまり、10,000円の売り切り商品を買ってもらうのに、広告宣伝費が30,000円をかけていては赤字を垂れ流していくだけだ。
stakの場合、まさにその状態になっていた。
獲得件数(CV)に対して、獲得単価(CPA)は32,769円というデータが残っている。
Makuakeは購入型のクラウドファンディングなので、支援者にはリターン品といって、お返しとして商品やサービスの提供がある。
その商品やサービスを通常価格でお返ししていては支援者にメリットは少ない。
なので、商品が完成後やサービスリリース後に定価とする価格よりも20〜30%程度割引したリターン品を準備するのが一般的だ。
stakもそういった設計になっており最大で約30%の割引でリターン品を提供していた。