stakのあやなです。
2026年4月から、人材開発支援助成金が改定されました。
eラーニングの助成額引き下げや申請書類の追加など、実務に影響の大きい見直しが行われています。
今回は、令和7年度との違いを中心に、企業が押さえておきたい変更点と対応ポイントをわかりやすく解説します。
人材開発支援助成金とは?
人材開発支援助成金は、事業主が従業員に対して職業訓練を実施した場合に、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部が支給される制度です。
厚生労働省が運営しており、中小企業から大企業まで幅広く使われています。
なかでも「事業展開等リスキリング支援コース」は、AI・DXなど新しい業務に必要なスキルを習得するための研修が対象となるコースで、近年多くの企業さまから注目されています。
人材開発支援助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
令和8年4月からの変更点まとめ(7つ)
① eラーニング・通信制の経費助成上限額が引き下げ
事業展開等リスキリング支援コースで、eラーニングや通信制による訓練の1人1訓練あたりの経費助成上限額が見直されました。

訓練時間数にかかわらず、見直し後の上限額が一律で適用されます。対面や同時双方向とのハイブリッド型の場合も同様です。
eラーニング中心の研修を計画していた企業さまは、予算感を改めて確認しておきましょう。
② 支給申請時の必要書類に「研修会社の説明資料」が追加
事業外訓練(社外の研修会社を使う場合)の支給申請時に、新たな添付書類として「教育訓練機関(研修会社)から説明を受けた資料一式の写し」が必要になりました。(※営業資料なども含まれます。)
たとえば、以下のような資料が該当します。
- 営業担当が持参したパンフレット・会社案内
- メールで送られてきた提案資料・見積書
- サービス概要や研修内容が記載されたPDF
「検討段階の資料だから」と捨ててしまわないよう、研修会社とやりとりした資料はすべて専用フォルダに保管しておくことをおすすめします。
③ 定額制サービスによる訓練の要件が変更
定額制サービスを使った訓練について、支給対象労働者の要件が厳格化されました。

- 【変更前】修了した訓練の標準学習時間が「1時間以上」の者が対象
- 【変更後】修了した訓練の標準学習時間が「10時間以上」の者が対象(10時間未満の者は含められません)
また、「支給対象訓練」の要件は廃止となりました。
あわせて、教育訓練機関が発行する「受講時間10時間以上のものの一覧表」の提出も新たに必要になっています。
一覧表には以下の記載が必要です。
- 雇用保険適用事業所の名称
- 訓練コースの名称
- 対象労働者の氏名
- 標準学習時間10時間以上の訓練を修了した日
- 修了したことを教育訓練機関が証明する旨
定額制サービスを使って申請を予定している場合は、受講時間の管理と書類準備を早めに進めておきましょう。
④ 申請事業主と密接な関係にある機関への経費は助成対象外に
申請事業主と密接な関係にある教育訓練機関(グループ会社・子会社・親会社・代表者の親族が代表を務める機関など)に支払う受講料・教材費等は、経費助成の対象外となりました。
グループ内での研修委託を検討している場合は、事前に要件をしっかり確認しておく必要があります。
⑤ リスキリングコースに「人事・人材育成計画に基づく訓練」が追加
事業展開等リスキリング支援コースの助成対象に、「企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づく訓練」が新たに加わりました。
「企業内の人事及び人材育成に関する計画」とは、生産性の向上と事業の持続的な発展を図るため、
中長期的な経営戦略を策定したうえで、今後必要な労働者の職務・職種・人員構成・配置基準などの方針を定めたものです。
たとえば、品質管理部門を強化するために機械加工担当の従業員を配置転換し、必要な知識を習得させるための研修なども助成対象となります。
これまでよりも幅広い社内研修が活用しやすくなった変更です。
⑥ 設備投資助成加算が新設
事業展開等リスキリング支援コースに、「設備投資助成加算」が新たに設けられました。
研修終了後に賃上げを実施し、かつ10万円以上の設備(事業展開・DX化・GX化のための機器)を導入した場合、
設備額の50%相当額を通常の助成金に上乗せして申請できます。
AI・DX化に向けたツール導入とセットで研修を実施する企業さまにとっては、特に活用しやすい加算です。研修と設備投資をあわせて計画している場合は、ぜひ検討してみてください。
⑦ OJTとOFF-JTの線引きが明確化
今回の改定のなかで、実務上とくに注意が必要なのがこの点です。
「通常の事業活動として遂行されるものを目的とする活動」はOJT(助成対象外)という整理が、今回より明確にされました。
人材開発支援助成金の対象はOFF-JT(事業外訓練)のみのため、研修の内容が「業務そのもの」になっていると、助成対象外と判断されるリスクがあります。
OJT(助成対象外)とみなされる可能性があるもの
具体的には、以下のようなものが該当します。
- コンサルタントによる経営改善指導
- 品質管理マニュアルの作成・社内作業環境の改善作業
- 自社の経営方針・部署事業の説明、販売戦略会議
- 社内制度・組織・人事規則に関する説明
- 自社製品・サービスの説明
- QCサークル活動
- 自社の業務で使う機器・端末の操作説明
- 製品開発のために大学等で行われる研究活動
具体的な判断例
- 「財務分析の手法を学ぶ研修」→ OFF-JT(対象)
「自社の財務諸表を使って経営改善計画を策定する」→ OJT(対象外) - 「脱炭素に関する知識や手法を学ぶ研修」→ OFF-JT(対象)
「自社のCO2削減計画を策定する」→ OJT(対象外)
つまり、「知識・スキルを習得すること」が目的であればOFF-JT、「自社業務のアウトプットを出すこと」が目的であればOJTというのが、判断の基本的な考え方です。
なお、自社の業務情報を題材にしていても、業務改善指導や成果物の創出につながらない内容であれば、
事業外訓練(OFF-JT)として認められる場合があります(事業外訓練の場合に限る)。
AI研修の場合も同様で、「AIツールの使い方を学ぶ」はOFF-JTに該当しますが、
「AIを使って自社の提案書を作る」といった内容が中心になると、OJTと見なされるリスクがあります。
研修プログラムを設計する段階で、目的と内容を整理しておくことが重要です。
stakでは、助成金を活用したAI研修を提供しています
stakでは、人材開発支援助成金を活用したAI研修を、さまざまな業種の企業さまに提供しています。
「Gemini」「Copilot」「Notion AI」など、現場ですぐに使えるAIツールを中心に、不動産業・飲食業をはじめ多業種の企業さまへ研修を実施してきました。
「どんな研修が助成金の対象になるか知りたい」「申請の手続きが不安」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
▼ stakのAI研修サービスはこちら
https://stak.tech/service/ai
まとめ
令和8年4月からの変更点を、あらためて整理します。
今回の改定は、助成上限額の引き下げや書類の追加など、正直なところ手間が増えた面もあります。
一方で、設備投資加算の新設や人事・人材育成計画に基づく訓練の追加など、うまく活用すれば以前より幅広く使える制度になっています。
変更点をしっかり把握して、賢く活用していきましょう。
- eラーニングの経費助成上限額が引き下げ(中小企業:30万円 → 15万円)
- 支給申請時に「研修会社の説明資料」の写しが新たに必要
- 定額制サービスの支給対象が「10時間以上修了」に厳格化
- グループ会社等への経費は助成対象外に
- 人事・人材育成計画に基づく訓練が助成対象に追加
- 設備投資助成加算(設備額の50%)が新設
- OJTとOFF-JTの線引きが明確化
制度の改定は、研修内容の設計や申請のタイミングにも直接影響します。
「使えると思っていたのに対象外だった」とならないよう、変更点を事前に把握しておくことが大切です。
助成金の活用やAI研修の導入について、気になることがあればいつでもstakにご相談ください。