こんにちは、さこです!
最近、TikTokでは「バズらせる」ことよりも「売上をつくる」ことが重要だと言われるようになってきました。
この流れがマーケティング業界で語られるようになったのは、ここ1〜2年のことです。
前回のブログ記事「TikTokは『買う場所』になる──ライブコマース本格始動と日本市場の行方」でも触れたように、近年TikTokは単なるショート動画プラットフォームからECプラットフォームへと大きく進化しています。
2024年後半から2025年にかけて、国内外でTikTokショップの導入事例は一気に増えてきました。
特に美容・コスメ業界では、InstagramよりもTikTokショップ経由で売上を伸ばすブランドが増えていて、例えばある中小コスメブランドでは、Instagramで月商50万円だった売上が、TikTokショップ導入後わずか2ヶ月で月商180万円にまで成長したケースもあります。
TikTokが「動画を見る場」から「動画で買う場」へと変わってきていることが、こうした事例からも分かります。
さらに2025年現在、ただTikTokショップに商品を出すだけでなく、ライブ配信(ライブコマース)と組み合わせて売上を最大化することが当たり前になりつつあります。
実際、中国のTikTok(抖音)では、ライブ配信が売上の7割以上を占めるブランドも珍しくありません。
こうした流れの中で、TikTokを活用して大きく売上を伸ばすブランドがある一方で、思うように成果が出せずに悩むブランドも増えてきています。
つまり、TikTokショップとライブ配信を導入する企業が増えるほどに、「売れるブランド」と「売れないブランド」の二極化が顕著になってきているのです。
今回は、TikTokショップとライブ配信が持つ可能性、そして今マーケ担当者が考えるべき具体的な戦略について深掘りしていきます。
TikTokショップの進化が示すもの
TikTokショップは、TikTokアプリ内で商品購入まで完結できるEC機能です。
これまでは、動画やライブ配信で商品を紹介しても、プロフィールリンクからECサイトに飛んでもらい、そこで購入してもらうという導線が必要でした。
でも今では、動画やライブ配信画面下のカートボタンをタップするだけで購入ページに直行できるようになり、視聴から購入までが本当にスムーズになっています。
この変化は単なるUX向上に留まりません。
ユーザーの購買行動そのものが変わりつつあり、これまでのようにGoogle検索で比較検討してから購入するのではなく、TikTokで偶然見つけて「欲しい!」と思った瞬間にそのまま購入するようになってきています。
つまり、検索レスな購買行動が浸透しはじめているということです。
導入ブランドが増えている背景
TikTokショップ導入ブランドが急増している背景には、以下の3つの要因があります。
1)ユーザーの購買行動の変化
Z世代を中心に、Google検索よりTikTokで商品情報を調べる人が増えており、検索エンジンからSNSへのシフトが加速しています。
2)TikTok側のEC支援体制強化
2024年から日本国内でもライブコマース支援チームを立ち上げ、中小事業者向けセミナーやパートナー制度を積極的に展開。
これにより、Instagramショッピングのみを活用していたブランドも続々とTikTokへ移行する流れが生まれています。
3)外部リンク離脱率の課題解決
外部ECサイトに飛ばすと読み込み遅延やUI違いで離脱率が高くなることが多いですが、TikTokショップならアプリ内で完結できるため、CVRが大幅に向上します。
ライブ配信で売れるブランド、売れないブランド
中国のTikTok(抖音)ではEC売上の7割以上がライブ配信経由と言われており、日本でも2025年6月からライブコマース機能が本格展開されています。
しかし、ライブ配信を取り入れれば誰でも売れるわけではありません。
売れないブランドは、配信テーマが商品説明だけでストーリー性がなかったり、コメント対応が遅くユーザーとの距離感を縮められなかったり、配信限定オファーが弱く視聴者の背中を押せないといった共通点があります。
一方で、売れるブランドにはこんな特徴があります。
-
配信テーマが「売る」ではなく「魅せる」になっている
例:「美容部員直伝!春のベースメイクライブ」「店長おすすめコーデ3選ライブ」 -
視聴者からの質問やコメントに即レスし、接客体験を実現している
-
配信限定オファーが「今すぐ欲しい」と思わせる内容になっている
例:「ライブ視聴者限定サンプルセット」「名前入りパッケージラッピング」
体験を売るライブ配信へ
例えば美容液を販売する場合、
成分や使用感を説明するだけでなく、配信中に実際に肌に塗ってテクスチャーを見せたり、視聴者の肌悩みに合わせて「どの成分が合うか」を解説したり、配信参加者限定で肌質診断を実施するなど、その場で体験できるようなライブ配信を設計することが重要です。
こうした疑似体験が、テキストや画像だけでは伝わらないリアルさを届け、購買意欲を引き出してくれます。
ライブ配信を成功させるポイント
ライブ配信を成功させるために意識したいのは、次のポイントです。
-
配信告知は最低3回
前日夜、当日朝、配信1時間前に告知投稿やストーリーでリマインドする。 -
コメントが少ない序盤は自作質問を活用
「よく“乾燥肌でも大丈夫ですか?”と聞かれますが…」など、あらかじめFAQを準備しておく。 -
オファーは複数用意する
送料無料だけでなく、「ライブ限定サンプルセット」や「配信視聴者限定ポイント2倍」など複合施策でCVRを底上げする。 -
配信後は切り抜き動画を投稿
30〜60秒の短尺ハイライトを投稿して、非視聴者層にも商品を訴求する。
商品ページと動画投稿の最適化
商品ページでは、商品名に検索キーワードを含めることが重要です。
例えば「敏感肌用 保湿美容液 セラミド配合」のように、誰が見てもすぐ内容が分かるようにしましょう。
また、商品説明文には動画内で話しているキャッチコピーや使用感レビューも記載しておくと効果的です。
動画投稿も1商品につき3〜5パターンは用意し、使用感解説、ビフォーアフター比較、口コミ風紹介、開封レビューなど、テロップや演出、尺、BGMを変えて投稿することで、アルゴリズム評価を分散獲得できます。
成功事例から学ぶ
例えば地方の無添加食品メーカーでは、TikTokショップ開設後1ヶ月は動画投稿のみで月商20万円前後でしたが、週2回のライブ配信を導入し、送料無料クーポンを配布することで3ヶ月後には月商250万円を突破しました。
特に「社員が実際に食べるシーン」や「おすすめの簡単アレンジレシピ紹介」といった、商品の味や使い方がリアルに伝わるコンテンツが好評で、「おいしそう!」「これなら私も作れそう!」というコメントが増え、その場で購入につながったそうです。
企業・ブランドが今すぐやるべきこと
TikTokユーザーインサイト調査
まずは自社ターゲットがGoogleよりTikTokを使っているかどうか、ユーザーインサイトをしっかり確認しましょう。
購買導線を整える以前に、ターゲットの行動習慣を把握することが大切です。
ライブ配信テーマ設計
ただ商品を売るだけの配信ではなく、ユーザーが「参加したくなる配信」に切り替えていくことが重要です。
配信を見るだけでなく、コメントしたり質問したくなる設計が求められます。
オファー差別化
送料無料だけでは弱い場合もあります。「体験型特典」や「限定サンプル」「名前入りラッピング」など、特別感や付加価値を感じてもらえる仕掛けがあると差別化につながります。
PDCA運用体制構築
ライブ配信後には必ず数値分析を行いましょう。視聴維持率やCVR、コメント率などのデータをもとに次回配信へ改善を反映し、最適化を続けていくことが成功の鍵になります。
まとめ|TikTokは“売るプラットフォーム”ではなく“欲しくさせるプラットフォーム”
TikTokショップとライブ配信は、今最も注目すべきマーケティングチャネルです。
ただ、そこで重要なのは「売り込みをしない方が売れる」という逆説。ユーザーは、「面白い」「かわいい」「便利そう」と感じた瞬間に、気づけばカートに入れているものです。
だからこそ、これからの企業やブランドは「どれだけ売るか」ではなく、「どうやって欲しいを生むか」に頭を切り替えるタイミングに来ています。
その視点を持つことで、TikTokはきっとあなたのビジネスにとって最強の武器になってくれるはずです!