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2025年4月30日 投稿:swing16o

減価償却を徹底解説:建物の耐用年数から見る資産価値の真実

風雨淒淒(ふううせいせい)
→ 風雨ににさらされ、寒く冷たいさま。

風雨淒淒と風雨淒淒という言葉を聞くと、厳しい自然環境の中で佇む姿がありありと想像できる。

もともと漢詩や古典に出てくる表現として使われてきたが、現代では「雨風にさらされて寒々しい様」をイメージする人が多い。

建築物が雨風にさらされ、長い年月とともに老朽化していく姿は、この風雨淒淒のイメージと重なる部分がある。

ということで、風雨淒淒を現代建築に重ね合わせる形で、減価償却という概念についての理解を徹底的に深めていきたい。

法定耐用年数や、各種データが示す建物の寿命を軸に、資産価値がどのように変遷していくのかを掘り下げるのが目的だ。

風雨淒淒が生まれた歴史と背景

風雨淒淒という表現は中国の古典詩や漢詩で見られる言葉で、もともとは天候が荒れて寒々しい情景を表している。

日本でも万葉集や古今和歌集などの和歌の中で、季節の移ろいとともに人の感情を表すキーワードとして頻繁に用いられてきた。

中世以降、寺社仏閣や武家屋敷などで風雨にさらされながらも長い年月を経て残る建築物が多数見られるようになり、これらの見た目の陰影や刻まれた歴史を「風雨淒淒」と重ね合わせて表現する風潮があった。

古建築がもつ趣き深さや侘び寂びの感覚にも通じる要素がある。

さらに江戸時代には民家の建替えや修繕が繰り返され、風雨にさらされながら古くなっていく様そのものが、朽ちる美意識として認識されていた。

現代の建物もいずれは経年劣化していくが、経済活動の中では減価償却という仕組みを通して資産価値を数値化して把握する必要がある。

風雨淒淒という概念が古くから持っていた「時間を経て損なわれる姿」というニュアンスと、現代の減価償却は繋がる点が多い。

いかにして建物が老朽化し、資産価値が落ちていくかを可視化するのが、減価償却という会計・税制上の考え方といえる。

 減価償却とは何か?

減価償却は、資産を取得したときのコストを複数年にわたって配分する仕組みだ。

会計上の視点では「費用配分」、税法上の視点では「課税所得の計算」のための制度となっている。

建物に限らず、機械装置や車両運搬具などにも適用される。

新品を買った瞬間に資産が一気に費用化されるのではなく、法令で定められた耐用年数の期間にわたり、徐々にコストを費用計上する。

例えば1,000万円の建物を購入した場合、1年目に1,000万円すべてを経費として処理するわけではない。

法定耐用年数が設定されていれば、それに基づいて毎年一定額か、もしくは定率法などで計算して償却していく。

こうすることで、建物の持つ価値が時の流れとともに減少していく姿を会計上でも捉えられる。

言い換えると、購入時にはきれいな外観を保っていたとしても、いずれ風雨淒淒の状態に近づくにつれて価値が下がることを数値化している。

減価償却の概念を理解していない人は、資産を購入した年だけがコストだと誤解しがちだ。

しかし実際には毎年の費用として認識する必要がある。

それが損益計算書の費用にも反映され、税務申告にも大きく影響を与える。

ここを理解しないままに事業を進めると、想定外の納税トラブルや資金繰りの乱れが起こる場合もある。

建物における減価償却と耐用年数

建物の減価償却は、法律で定められた法定耐用年数に基づいて行う。

国税庁の公表資料によると、代表的な建物の耐用年数は以下の通り (2025年現在も大きな変更なしとする)。

  • 木造:22年 (一般住宅用の場合)
  • 鉄骨造(S造):19年〜34年 (骨格の肉厚や用途による)
  • 鉄筋コンクリート造(RC造):47年
  • 軽量鉄骨造(LGS造):19年〜27年

いずれも税法上の指定であり、実際の寿命や老朽化の進行度は使い方やメンテナンス状況、立地条件によって変化する。

沿岸部で潮風や台風の被害を受けやすい地域だと、減価償却が終わる前に大規模修繕が必要になるケースもある。

こうした実情を踏まえつつも、税法上の数値としては画一的に示されているため、企業会計の場ではこれらを基準に費用配分が行われる。

建物が耐用年数を経過した後も使用できる場合が多いが、その時点で会計上の簿価がほぼゼロとなることが多い。

つまり資産価値は大幅に下がっていると見なされる。

しかし実際に買い手がつけば市場価値は存在するわけで、あくまで減価償却は税法と会計上の考え方に基づくものである点も押さえておく必要がある。

風雨淒淒の視点から見る減価償却の問題提起

まずは問題提起として、なぜ建物の価値が経年的に下がっていくのかを考える。

古来から「時間の経過=劣化」とされがちだが、実際には建物が風雨淒淒の状態に至るまでの間にさまざまな物理的・機能的変化が起きている。

国土交通省の調査データ (令和3年度 住宅・土地統計調査) によれば、日本では新設住宅着工数が年間85万戸前後で推移しており、空き家率が上昇傾向にあるという事実もある。

古い建物がそのまま放置され、風雨にさらされて朽ちていく現状が社会問題となっている。

これがいわゆる「風雨淒淒」の状態とリンクし、放置すれば安全面でも景観面でも問題が生じる。

減価償却の問題は、建物を所有する個人や法人にとってはコスト計上や税務上の扱いとして日常的なテーマだ。

しかし「耐用年数=風雨淒淒になるまでの期間」として考えると、実際には社会全体として劣化した建物をどのタイミングで改修し、どのタイミングで建替えを行うかの計画が曖昧になっているケースが目立つ。

すなわち、目に見えないコストが積み重なり、最終的に社会的負担に発展している可能性がある。

データで浮かび上がる建物寿命と資産価値

ここで、データを使って問題点をより具体的に浮き彫りにする。

日本不動産研究所が公表している不動産評価に関する調査 (2024年度版) では、鉄筋コンクリート造の平均建物寿命を60年程度と捉えている実例がある。

一方で、税法上の耐用年数は47年。

このズレが何を意味するかというと、税務上の償却は47年でほぼ終わり帳簿価額が小さくなるが、実際には60年くらい住める可能性があるという点だ。

これは木造や鉄骨造でも同様で、「法定耐用年数は実際の寿命よりも短く設定されている」傾向がみられる。

このギャップは「中古建物を購入する際の価格」にも影響する。

耐用年数が残り少ないと金融機関の融資評価が下がるため、買い手にとっては融資が受けにくい現象が起こりやすい。

一方で実際にはまだ住めるのに、帳簿上の価値が低いことで売り手は安価に手放すことにもなりがちだ。

ここに市場の歪みが生まれ、空き家増加の要因の一つとして指摘されている。

もう一点注目すべきデータとして、住宅の建替えサイクルが欧米諸国に比べて短いという調査がある (一般財団法人 住宅生産振興財団資料)。

日本の平均的な建替え周期は約30〜35年とされるが、これはアメリカやイギリスと比べてかなり短い。

欧米では木造住宅でも定期的なメンテナンスを行い、100年以上使い続けている事例が珍しくない。

日本の住宅は減価償却制度と税制上の考え方、さらには文化的な理由によって、資産価値を長期的に捉えるよりも短サイクルで建て替える方向に誘導されやすい。

ここに社会的なコスト増の問題や、持続可能性への疑問が浮上する。

別の視点から建物を捉えるためのデータ検証

資産価値の下落と空き家増加の問題を考えるとき、減価償却だけが悪者になるわけではない。

むしろ減価償却は、あくまで費用配分と税務計算の仕組みにすぎない。

問題は所有者が「建物がいつ風雨淒淒の状態に至るのか」を正しく把握していない点だ。

十分に使える建物を修繕せずに放置すれば、早期に朽ち果ててしまう。

逆に法定耐用年数を過ぎても適切にメンテナンスし続ければ、実際の使用可能年数は大幅に伸びる可能性がある。

日本建築学会による調査 (2023年建築学会大会学術講演) でも、築40年を超えるマンションの大規模修繕実施率を調べた結果、修繕を適宜行っているマンションは建物の劣化度が低く、あと20年以上は快適に住める見込みがあるとの報告がある。

一方で修繕計画を怠ったマンションは、同じ築年数でも雨漏りや外壁の崩落など問題を抱えており、やむを得ず建替えの方向に進むケースが多かったという。

耐用年数と実際の寿命、そして修繕のタイミングをどう捉えるかによって、所有者と社会全体が背負うコストは大きく変わる。

減価償却が「費用を計画的に配分し、適切な修繕や投資判断を後押しする仕組み」として機能しているかを、データと照らし合わせる必要がある。

まとめ

結論として、建物は風雨淒淒の状態に至るまでに「どれだけ修繕やメンテナンスのコストを投入するか」が極めて重要になる。

減価償却は経年による価値下落を前提としながらも、実際の寿命はさらに先があるケースが少なくない。

ここを見誤ると、本来の資産価値や利用価値を十分に活かせずに手放すことにもなりかねない。

一方で適度なタイミングで大規模修繕やリノベーションを行えば、法定耐用年数以上に長期利用できる可能性も高い。

だからこそ減価償却をただの税務計算と捉えず、未来の資産価値を見据えた計画的な対応が必要になる。

私はstak, Inc.という会社を率いているが、IoTデバイスの企画・開発を通して建物の環境をモニタリングし、適切なタイミングでメンテナンスを行うためのソリューションを模索している。

あくまで企業宣伝ではなく、建物を長く使うためのテクノロジー活用は不可欠だと考えているからだ。

建物が実際に風雨淒淒になる前に、デジタル技術を使って先回りし、合理的なメンテナンスを実施することが重要というわけだ。

減価償却は資産価値の下落を数値化する仕組みであり、風雨淒淒は自然の力で物理的に建物が朽ち果てていく状態を象徴する言葉。

この両者を重ね合わせたときに見えてくるのは、「建物が朽ち果てるまでのプロセスをいかにコントロールするか」という経営上の課題や社会的課題だといえる。

耐用年数内で使い切るのか、超えても使い続けるのか。

それは所有者の意識や社会制度、テクノロジーの活用にかかっている。最後まで読んだ人には、減価償却の本質と建物の価値が経年的に変化する真の意味が届いたと信じたい。

ここで知った情報を活かして、建物や資産をより長く、価値ある状態で維持できるよう行動に移してほしい。

そうすれば風雨淒淒に至る前に、新たな価値やビジネスチャンスが見えてくるはずだ。

 

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植田 振一郎 X(旧Twitter)

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