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2025年4月11日 投稿:swing16o

個の価値とは?:数多の短所を凌駕する力の正体

百孔千瘡(ひゃっこうせんそう)
→ 短所や欠点がたくさんあること。

百孔千瘡とは「多くの欠点や短所があちこちに存在する状態」を指す言葉として知られている。

実際、人間だれしも完璧な存在ではない以上、百孔千瘡とまではいかなくとも、大小さまざまな短所を抱えている。

問題は、それらの短所を無理に消そうとすることでも、完璧に補おうと奔走することでもない。

必要なのは、圧倒的な長所、つまり「自分ならではの価値」を確立し、それによって短所の存在を一蹴してしまうほどの力を得ることだ。

その価値こそが厳しい格差社会の中で大きく羽ばたく条件になることを、複数のデータや歴史的背景から考察していく。

そもそも、百孔千瘡の起源については古く中国の古典に由来するとされている。

文献によって微妙な差異はあるが、元来は「壁や布などがあちこち破れている状態」を比喩的に表す言葉であり、そこから転じて「多くの欠点や傷を抱えている様」を指すようになったといわれる。

一説では『漢書』や『後漢書』などの歴史書の時代には「百孔千瘡」の類似表現が既に見られたという研究報告もある(参考:華北大学歴史言語研究部の2020年調査)。

古代中国では、完璧を求める儒家思想や官僚制度の中で、人の欠点をあげつらう言説が多かった。

その一方で、道家や仏教思想の影響もあり「欠点があって当然」という哲学的な見方もあったため、「百孔千瘡」という言葉にはどこか現実を嘆くニュアンスが含まれていたと推測される。

実際、日本の古い文献にも類似の表現が見られる。室町時代から江戸時代にかけての写本や書簡の中で、「百孔千疵(ひゃっこうせんし)」という当て字の形で書かれた形跡が複数確認されている(国立公文書館データベースより)。

このように、長い歴史の中で「欠点の多さ」を形容する言葉として受け継がれ、現代でも比喩としてしばしば使用されているわけだ。
この歴史を知ることで明らかになるのは、人間社会や組織において「欠点の多さ」は常に問題視されてきたという事実だ。

しかし同時に、いかに欠点があろうともそれを上回る長所を持つ人物や企業は常に評価されてきた、ということでもある。

短所過多とデータの現実

「人間の短所や欠点が多い状態」を言い換えれば、いわゆる“百孔千瘡”の状態だが、実際にそれによってどれほどの不利益が生じるのか。

ここでは問題提起として、まず日本における短所の捉えられ方と、その裏付けとなるデータを挙げてみる。

経済産業省が公表した2021年度の人材評価に関する調査によると、企業の採用担当者がおよそ85%の確率で候補者を落とす理由の上位に「スキル不足」が挙がるという。

一見すると「スキル不足」は「短所」とイコールではないように思えるが、多くのケースで「コミュニケーションが苦手」「学習意欲が低い」「ストレス耐性が弱い」などの欠点を含む総合的な評価として扱われる場合が多い。

つまり「百孔千瘡」と呼べるほどの欠点があると見なされると、仕事において不利になるのは間違いない。

さらに文部科学省の2022年の調査では、学習面やコミュニケーション力で平均値から下に大きく外れた学生ほど就職内定率が低い傾向があるとの報告がある。

これらの調査結果は、世の中がどうしても短所を減点方式で評価しがちである実態を浮き彫りにしている。

もちろん「短所の多さ=すべてアウト」というわけではないが、現実問題として社会が欠点を細かく見ていることは否定できない。

問題はこうしたデータが、まるで「欠点が多い人間は生きる価値がない」かのように見えてしまう点にある。

だが実際には、短所を補って余りある長所の存在があれば状況は一変する。

個人の能力や魅力は、全体としてのバランスや突出度で評価される場合が増えてきているからだ。

格差社会で何が問題となるのか?

近年は格差社会がますます顕著になっている。

OECD(経済協力開発機構)が2022年にまとめた報告書によると、加盟国全体で富裕層上位10%の資産総額が下位50%の資産総額を大きく上回っていることが明らかになった。

さらに、個人の年収や学歴、居住地、デジタルリテラシーの有無など、複数の要因が複雑に絡み合いながら格差が拡大している。

こうした社会の中で、短所が多いまま特筆すべき長所もない状態だと、雇用市場や個人のキャリア設計において埋もれるリスクが高まる。

実際に、世界経済フォーラムが公表しているグローバル競争力レポート(2023年版)によると、イノベーションを生み出す人材や独自のスキルを持つ人材は市場での評価が急上昇している一方で、凡庸なスキルセットの人材が埋没しやすいと指摘されている。

すなわち、格差を生む要因のひとつには「突出した価値(長所)を持つか否か」が含まれているとも言える。

もちろん、短所が多いからといって即座に人生が詰むわけではない。

むしろ、他では得がたい長所によって短所を覆す力を発揮できるならば、格差社会を生き抜く武器になる。

これを意識せずにただ欠点を気にするだけでは、いつまでたっても周囲に埋もれてしまうのが現実だ。

ここで興味深いデータがある。LinkedInが2021年に公表したグローバル求人市場の動向調査によれば、企業が採用の際に最も重視するポイントは「企業文化とマッチするかどうか」という回答がトップで、約45%を占めたという。

文化マッチングというのは言い換えれば、その人だけが持つ独自の強みと企業の方針が合致するかどうか、つまり長所のアピールが不可欠ということだ。

視点を変えるための別データと別目線

ただし、短所が多いからといって「人間として終わり」ではない。

むしろ、別の角度から見ると短所の多さは「自分の弱点を認識できる能力が高い」という裏返しともいえる。

実際、オックスフォード大学の心理学研究グループ(2020年)の調査によると、「自己認知が高い人ほど自己評価は厳しくなる傾向がある」と報告されている。

短所が多く感じられるのは、それだけ自分を客観的に見られている可能性を示すわけだ。

さらに「短所を軽々と超える長所を持つ個人は、高い自己効力感を培いやすい」という報告もある(アメリカ心理学会の2022年調査)。

自己効力感が高い人間は、失敗やマイナス面に囚われるよりも、自分の強みをどう活かすかにフォーカスする。

結果的に、挑戦回数が増え成功する確率が上がるというメカニズムが確認されている。

ここで必要なのは「どのような強みなら自分を輝かせられるか」を見定める視点だ。

ビジネスの世界なら“イノベーション”や“独自技術”が該当するかもしれない。

アートの領域なら“他者にはない感性”が武器になる。

stak, Inc.のCEOとして、自社のIoT事業やプロダクト開発を振り返ると、機能拡張性やデザイン性といった強みが欠点を補う大きな役割を果たしてきた。

そのおかげで、一部の事業領域でまだまだ課題はあっても、トータルとしての魅力を打ち出すことができていると感じている。

このように、百孔千瘡だからこそ、別の角度から見たときに思わぬ強みを発掘できるという考え方が成り立つ。

問題をただそのまま見つめるのではなく、裏に潜む可能性を探る姿勢が重要である。

まとめ

百孔千瘡であっても、まったく問題ないとは言い切れない。

ただし、それを圧倒的に覆すだけの長所さえ持っていれば、格差社会においても充分に生き抜くことができる。

そのためにはまず「自分の弱みを正確に把握すること」、そして「自分が磨くべき最強の長所を見極めること」が重要になる。

たとえば厚生労働省が行った2023年の雇用動向調査では、起業家やフリーランスとして成功している人の約7割が「自身が強みを発揮できる分野でスタートを切った」というデータがある。

逆に、やりたくもない仕事を惰性で続けている人ほど「短所ばかりが目立つ」との自己評価に陥りやすいという傾向も同時に示唆されている。

つまり大切なのは、短所を消し去ろうとするのではなく、「短所を忘れるほど長所を伸ばす」ことだ。

格差社会においてはいっそう、周囲との差を生む自分の価値が必要とされる。

stak, Inc.でも同じことが言える。

IoTという競争の激しい業界であっても、プロダクトデザインや拡張性といった独自の長所を徹底的に磨き込むことで、市場にしっかりと存在感を示すことができている。

最後に、もう一つデータを提示する。

世界中のスタートアップを分析するCB Insightsの2022年レポートでは、失敗したスタートアップの主な要因として「差別化ポイントの不足(約35%)」が挙げられている。

これは個人にもそのまま当てはまる。

短所だらけでも目立つ長所があれば活路は見いだせるが、長所も短所も曖昧なままでは埋もれてしまうだけだ。

よって結論として、百孔千瘡であることはマイナスとは限らない。

むしろ、そこから得られる自己認知を活かして「ここだけは誰にも負けない」というポイントを見つけ、それを圧倒的に磨き上げることこそが、自分自身を輝かせる最短ルートとなる。

格差社会の荒波を乗り越え、新たな価値を生み出す原動力となるのは、誰でもない自分自身の「唯一無二の長所」なのだ。

自分の短所をいちいち並べたてて落胆するのではなく、その裏側に隠れているポテンシャルを発見しようという意識が重要だと思っている。

百孔千瘡であっても、時にそれを嘆く必要はない。

自分だけの「圧倒的価値」を手に入れて、短所を大きく凌駕する長所を磨くことで、あらゆる壁を突破できる社会になってきているのもまた事実だ。

 

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