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2023年8月13日 投稿:swing16o

ゼロサムの世界:勝者と敗者の間の微妙なバランス

脣亡歯寒(しんぼうしかん)
→ 唇がなくなると歯が寒くなる意から、互いに関係し合うものは片方が滅びると、もう片方も危うくなること。

ゼロサムという言葉がある。

ゼロサムは、ある一方が得る利益や利点が、他方の損失や不利益として現れる関係性を意味する。

ゲーム理論におけるゼロサムゲームでは、参加者間の利益と損失の合計が常にゼロになる。

言い換えると、一方が勝つとき、他方はその分だけ負けるという理論がゼロサムだ。

具体的には下記のような場面をイメージするといいだろう。

日常生活でのゼロサムの例

  • チェスや将棋

これらのボードゲームは、一方のプレイヤーが駒を取ると、もう一方のプレイヤーはその駒を失う。

ゲームが終了すると、勝者と敗者が明確になる。

  • 土地の取引

限られた土地の取引では、一方が土地を手に入れると、それに対応する土地を失う者がいる。

  • 選挙

選挙では、ある候補者が票を獲得すると、他の候補者はその票を失う。

最終的に最も多くの票を獲得した者が勝者となる。

ゼロサムの関係は、私たちの日常生活の多くの側面で見られる。

ところが、全てがゼロサムの関係であるわけではない。次のセクションでは、ゼロサムが生まれやすい環境について詳しく探る。

ゼロサムが生まれやすい環境

資源が限られている場面地球上の資源は有限であり、それを取得するための競争が生まれる。

例を挙げると、石油や鉱石、水源などの天然資源は、取得可能な量に限りがある。

これらの資源を採掘や取得する国や企業が増えると、その分、取得できない国や企業も出てくる。

また、不動産の市場においても、ある1つの土地や物件を狙って複数の人が競争する場面が考えられる。

競争に勝てば土地や物件を手に入れることができるが、それには競争に敗れた者がいる。

競争が激しい場面スポーツの試合やビジネスの契約交渉、入試や就職活動など、勝者と敗者が明確になる状況はゼロサムの関係が生まれやすい。

例えば、ビジネスの契約交渉では、一方がより多くの利益を得るためには、もう一方がその分の損失を受け入れる必要がある。

また、大学の入試や企業の採用試験では、合格者が決まれば、それに対応する不合格者も存在する。

取引や交渉の場面市場取引や価格交渉など、一定の価値を持つものの取引が行われる場面もゼロサムの特徴を持つ。

例を挙げると、株式市場では、一方が株を高く売って利益を上げる場面があれば、その株を高く買った者は損をする可能性がある。

また、商品の価格交渉においても、販売者と購入者の間で価格をめぐる駆け引きが行われる。

販売者は高い価格で商品を売りたいと考える一方で、購入者はなるべく低い価格で購入したいと考える。

これらの環境や場面を理解することで、ゼロサムの関係がどのように生まれるのか、またどのようにしてそれを乗り越えるかを考える手助けとなるわけだ。

金融の世界でのゼロサム

金融市場は、多くの取引や投資が行われる場であり、その中でゼロサムの関係が生まれることも少なくない。

特に、短期的な取引や投資戦略を取る場合、他の参加者との間でゼロサムの関係が生まれることが多い。

期限付き取引

期限付き取引、特に先物取引やオプション取引では、取引の性質上、一方が利益を得ると、もう一方が損失を被ることが多い。

例えば、ある投資家が先物契約で商品の価格が上昇すると予想して買いポジションを取った場合、その予想が的中すれば利益を得るが、それに対して売りポジションを取った投資家は損失を被る。

短期的な取引

短期的な取引、特にデイトレードなどでは、市場の小さな変動を利用して利益を追求する。

このような取引では、短期間での価格変動を予想し、それに基づいて取引を行うため、一方が利益を得れば、もう一方が損失を被る可能性が高まる。

大切なところなので、小学生にもわかるように金融市場でのゼロサムの関係を解説していこう。

アイスクリームの取引ゲームを考えてみる。

友だちとアイスクリームを1つずつ持っていて、それぞれが異なる味を持っているとする。

ある日、あなたが友だちのアイスクリームを手に入れたいと思ったとする。

友だちはそれを渡す代わりにあなたのアイスクリームを手に入れる。

この取引で、あなたは新しい味のアイスクリームを手に入れる利益を得たが、それは友達が元々持っていたアイスクリームを失うことで成立した取引となる。

金融市場もこのアイスクリームの取引ゲームのように、一方が利益を得るためには、もう一方が損失を被る場面が多々存在するというわけだ。

ただし、長期的な投資や多様な投資戦略を取ることで、ゼロサムの関係を超えることも可能であることも同時に覚えておきたい。

ゼロサム以外の関係性

ゼロサムは一方の利益が他方の損失となる関係性だが、実際の社会やビジネスの中で生じる関係性はゼロサムだけではない。

ポジティブサム(双方が利益を得る)

ポジティブサムの関係は、双方が利益を得ることができる関係性を指す。

例えば、企業間の協力や提携、共同研究など、お互いの強みや資源を活用して新しい価値を生み出す場面で見られる。

このような関係性では、お互いに協力し合うことで、単独で行動するよりも大きな利益を得ることが可能になる。

ネガティブサム(双方が損失を被る)

ネガティブサムの関係は、双方が損失を被ることになる関係性を指す。

例えば、武力衝突や戦争、企業間の価格破壊競争などがこれに該当する。

このような関係性では、お互いが攻撃し合うことで、双方ともに大きな損失を被る可能性が高まる。

協力と競争のバランス

実際のビジネスや社会の中では、ゼロサム、ポジティブサム、ネガティブサムの関係性が複雑に絡み合って存在する。

例えば、企業が新しい市場を開拓する際、競合他社との競争が激化することでゼロサムの関係性が強まるかもしれない。

その後、同業他社と提携し、新しいサービスや製品を共同で開発することでポジティブサムの関係性を築くことも考えられる。

いずれにせよ、こういった関係性を理解し、状況や目的に応じて適切な戦略やアプローチを選択することが、成功への鍵となるわけだ。

ゼロサムの世界のメリットとデメリット

ゼロサムの関係性は、競争が激しい市場や環境で特に目立つ。

このゼロサムの関係性には、メリットとデメリットの両方が存在する。

メリット

  • 明確な勝者と敗者

ゼロサムの関係性では、勝者と敗者が明確になる。

これにより、参加者は自らの位置をはっきりと把握し、次の戦略やアプローチを計画することが容易になる。

  • 競争の刺激

ゼロサムの環境は、参加者にとって競争が非常に激しい。

この競争の中で、新しいアイディアや戦略、技術などが生まれることが多い。

  • 高いリスク、高いリターン

ゼロサムの関係性の中で、リスクを冒して挑戦することで、大きなリターンを得る可能性もある。

デメリット

  • 関係が敵対的になる

ゼロサムの関係性では、一方の利益が他方の損失となるため、参加者間の関係が敵対的になりやすい。

  • 長期的な協力が難しくなる

ゼロサムの環境では、短期的な利益追求が中心となり、長期的な協力やパートナーシップの構築が難しくなることがある。

  • 継続的なストレス

競争が激しいゼロサムの環境は、参加者にとって継続的なストレスやプレッシャーとなる可能性が高い。

このようにゼロサムの関係性を理解し、そのメリットとデメリットを適切にバランスさせながら、戦略やアプローチを選択することが重要になる。

ゼロサムが成り立つ世界での生き方

ゼロサムの世界は競争が激しく、一歩間違えると大きな損失を被る可能性がある。

一方で、その中で成功するための方法や考え方も存在する。

常に勝つための戦略を練る

ゼロサムの世界では、一方が勝つためにはもう一方が負ける必要がある。

そのため、常に勝つための戦略やアプローチを考え、それを実行に移すことが重要である。

情報をしっかりと収集する

情報はゼロサムの世界での勝敗を分ける大きな要因の1つである。

市場の動向や競合他社の動き、最新の技術やトレンドなど、関連する情報を常に収集し、それを活用して戦略を練ることが求められる。

協力と競争のバランスを取る

ゼロサムの世界では競争が中心となるが、時には競合他社や他の参加者と協力することで、より大きな利益を得ることも可能である。

そのため、状況や目的に応じて、競争と協力のバランスを適切に取ることが重要である。

負けを経験することの価値を理解する

ゼロサムの世界では、必ずしも勝ち続けることは難しい。

ただし、負けることで得られる経験や教訓は、次回の成功に繋がる可能性がある。

そのため、負けを恐れず、それを経験することの価値を理解し、次に活かすことが求められる。

ゼロサムの世界は厳しいが、その中での成功は特に価値がある。

成功するためには、上記のような考え方やアプローチを持ち、それを実行に移すことが必要になる。

まとめ

ゼロサムは一方の利益が他方の損失となる関係性を指す。

この関係性は多くの市場や環境、特に競争が激しい場所で見られる。

ただし、全ての関係がゼロサムであるわけではなく、ポジティブサムやネガティブサムの関係性も存在する。

ゼロサムの世界で成功するためには、適切な戦略やアプローチ、そして時には競合他社との協力が必要になることも書いてきたとおりだ。

ゼロサムという言葉は案外知られていないので、これを機会にゼロサムという概念があることをまずは受け入れてもらいたい。

その上で、ゼロサムの場面での付き合い方もイメージしてもらえると嬉しい限りだ。

 

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植田 振一郎 Twitter

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