春和景明(しゅんわけいめい)
→ 穏やかで日差しが明るい春の陽気。
春の日差しが心地よいことに異論はないだろう。
そして、なにも春の日差しに限った話ではなく、太陽の下というのは心地いいものだ。
そんな太陽は1日、つまり24時間ずっと日差しを注いでいるわけではない。
そう、日照時間という概念が存在していて、日照時間が長い場所もあれば短い場所もある。
今さら聞けない日照時間ってなぁに?
日照時間とは、太陽が地表面に直接照射され、光が観測地点に届く時間の長さを指す。
一般的には、日の出から日没までの時間の範囲を指すことが多いが、定義にはいくつかのバリエーションがある。
ということで、日照時間の概念に関する詳細を説明していく。
1)日の出から日没までの時間
最も一般的な日照時間の測定方法であり、太陽が地平線上に現れてから地平線の下に隠れるまでの時間を指す。
気象台やアメダスなど日照計により観測される太陽が照った時間数のことだと置き換えることができる。
日照時間の定義 日照時間は、1日のうちで、日照計で測定される直達日射量が120W/㎡以上である時間と定義される。
また、日照なしの目安(120W/㎡以下)は、直射光によって物体の影が認められない程度とされている。
2)真夜中の太陽
極地や高緯度地域に特有の現象であり、夏至に近づくと太陽が地平線上に沈まず、一晩中地平線の下に沈まない状態を指す。
この場合、日照時間は24時間になる。
3)平均日照時間
ある地域や期間における日照時間の平均値を指す。
通常、数年間のデータを集計して算出される。
地域ごとに異なる気候条件や季節の変化を反映し、一般的な日照時間の傾向を把握するために使用される。
なお、日照時間は、地理的な位置、緯度、季節、気候条件などによって異なることがある。
とりわけ、高緯度地域では、日照時間が季節によって大きく変動する傾向がある。
また、地形の影響も日照時間に影響を与える要素の1つだ。
山や建物などの障害物によって日照が遮られることで、日照時間が短くなる場合がある。
それから、日照時間の理解は、農業やエネルギー生産などの活動計画や、建築物や都市計画の設計などに重要な役割を果たす。
そして、気象機関や研究機関が正確な日照時間データを収集し提供することで、様々な目的に活用されているのが実態だ。
日本の日照時間
日本の日照時間を地域別に見ていくと、一般的には北部地域は夏季に比較的長い日照時間があり、冬季には短い日照時間となる。
日本の主な地域別の日照時間の傾向は下記のとおりだ。
北海道地方
北海道は緯度が高いため、夏季には比較的長い日照時間がある。
一方で、冬季には短い日照時間となり、特に12月から1月にかけては、日照時間が非常に短くなる傾向がある。
東北地方
東北地方も北海道と同様に、夏季には比較的長い日照時間がある。
冬季には日照時間が短くなるが、北海道ほど極端にはならない。
関東地方
関東地方は季節ごとの日照時間の変化が比較的穏やかだ。
夏季には長い日照時間があるが、冬季には短くなる。
中部地方
中部地方も関東地方と同様に、季節ごとの日照時間の変化が穏やかだ。
夏季には比較的長い日照時間があるが、冬季には短くなるのも関東地方と同様だといえる。
関西地方
関西地方も夏季には比較的長い日照時間があるが、冬季には日照時間が短くなる。
特に12月から1月にかけては、日照時間が短い傾向が強い。
中四国地方
中四国地方は夏季には比較的長い日照時間がある。
一方で、冬季には日照時間が短くなるが、北部地域ほど極端ではない。
九州・沖縄地方
九州・沖縄地方は緯度が低いため、夏季には比較的長い日照時間がある。
冬季には日照時間が短くなるが、北部地域ほど極端ではない。
日本の日照時間が長い都道府県別ランキング
2021年の気象庁のデータに基づいた、日本の都道府県別の中で日照時間が長いTOP10は下記のとおりだ。
- 山梨県:2,225.8時間
- 高知県:2,159.7時間
- 群馬県:2,153.7時間
- 静岡県:2,151.5時間
- 愛知県:2,141.0時間
- 茨城県:2,263.1時間
- 滋賀県:2,244.2時間
- 埼玉県:2,233.6時間
- 長野県:2,223.9時間
- 岐阜県:2,222.7時間
上述した日照時間が長い都道府県の特徴を挙げると下記のとおりだ。
- いずれも太平洋側に位置している
- 冬に南からの暖気が流れ込みやすく晴れの日が多い
- 山梨県は内陸部に位置しているため日照時間がさらに長い
- 高知県は南国に位置しているため日照時間がさらに長い
また、日照時間が長い都道府県は、日光を有効に活用できるため、農業や観光業が盛んであるという特徴がある。
それから、日照時間が長いということは、夜が短いということなので、アウトドアやスポーツを楽しむのに最適だという人も多い。
日本の日照時間が短い都道府県別ランキング
一方で、2021年の気象庁のデータに基づいた、日本の都道府県別の中で日照時間が短いTOP10は下記のとおりだ。
- 秋田県:1,527.4時間
- 青森県:1,589.2時間
- 山形県:1,617.9時間
- 新潟県:1,639.6時間
- 富山県:1,647.2時間
- 福井県:1,652.3時間
- 石川県:1,656.4時間
- 岩手県:1,659.5時間
- 宮城県:1,687.3時間
- 福島県:1,717.3時間
上述した日照時間が短い都道府県の特徴を挙げると下記のとおりだ。
- いずれも日本海側に位置している
- 冬に北からの寒気が流れ込みやすく曇りや雪の日が多い
- 日照時間が短いため日光を有効に活用しづらく農業や観光業があまり盛んではない
- 日照時間が短いということは夜が長いということなので、冬季は特にうつ病や季節性情動障害(SAD)を発症しやすい
日照時間が短い都道府県に住む場合は、日光を積極的に浴びるように心がけることが大切だと言われている。
また、冬季は特に室内の照明を明るくしたり運動をしたりと、十分な睡眠を取ることで体調管理に気を配るようにした方がいい。
世界で日照時間が長い国
それでは、グローバルな目線で世界で日照時間が長い国を挙げていこう。
そのエリアは、北極圏に位置しているため、夏は太陽が地平線の上に長く留まる。
このため、夜でも明るく、アウトドアアクティビティを楽しむのに最適な場所だと言うと、勘の鋭い人は北欧だとピンとくるだろう。
- ノルウェー:夏には平均18時間の日照時間がある
- スウェーデン:夏には平均17時間の日照時間がある
- フィンランド:夏には平均16時間の日照時間がある
- アイスランド:夏には平均16時間の日照時間がある
- デンマーク:夏には平均15時間の日照時間がある
いわゆる白夜と呼ばれる現象だが、白夜は、地球の極近くの地域において、太陽が夜通し昇り続ける現象を指す。
一般的に、夜になる時間帯にも太陽が地平線上に見え続けることで、周囲が明るくなり、夜が完全に訪れない状態が続くことを指す。
上述したとおり、白夜の現象は主に北極圏や南極圏の地域で観測される。
これらの地域では夏季に極端に長い日照時間があり、太陽が24時間以上地平線上に見え続けることもある。
このため、日中でも夜のように暗くなることなく、明るい状態が続くことが特徴だ。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドといった北極圏に位置する国々や南極圏の一部で、夏季に白夜の現象を経験することができる。
白夜は地域によって継続する期間や明るさに差があるが、
北極圏では一般的に6月〜7月にかけて白夜の時期が訪れる。
白夜は地球上の特定の地域でしか経験できない現象であり、一度体験すると非常に印象的だ。
観光や自然観察の目的で、白夜を体験するために北極圏へ訪れる人々も多くいる。
世界で日照時間が短い国
日照時間が最も短い国は、北極圏に位置するノルウェーのロフォーテン諸島だと言われている。
冬には、太陽が地平線上に現れない日があり、日照時間はわずか2時間となる。
日照時間が短い理由は、地球の軸が傾いているためだ。
地球の軸は23.5度傾いており、この傾きにより、北極圏は冬に太陽から遠ざかり、夏には太陽に近くなる。
このため、北極圏は冬に日照時間が短く、夏に日照時間が長くなる。
日照時間が短いことには、いくつかの利点と欠点がある。
利点の1つは、夜空が暗いため、星空を観察するのに最適な場所であることだ。
欠点の1つは、日照時間が短いため、人々が活動できる時間が限られていることだ。
また、日本の日照時間が短いエリアでも紹介したとおり、冬季うつ病を発症する人もいる。
日照時間が短い国に住む場合は、日光を最大限に活用することが重要だというわけだ。
そして、日照時間が短い現象を極夜という。
白夜の対義語だが、極夜とは、地球の極近くの地域において、太陽が一日中地平線以下に隠れる現象を指す。
一般的に、日中でも太陽が完全に昇らず、暗闇が続く状態が続く。
極夜の現象は、主に北極圏や南極圏の地域で観測される。
これらの地域では冬季に極端に短い日照時間があり、太陽が地平線下に沈むことがある。
その結果、一日中暗闇が続き、夜が訪れることがありません。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドといった北極圏に位置する国々や南極圏の一部で、冬季に極夜の現象が起こる。
極夜は地域によって継続する期間や暗さに差があるが、北極圏では一般的に12月〜1月にかけて極夜の時期が訪れる。
極夜の状態では、日中でも薄明るさが続き、太陽が地平線上に現れることはない。
この現象により、地域の生活や活動に影響を与えることがあるのは述べたとおりだ。
一方で、極夜の地域では、特別な照明やライトアップの活動が行われることもあり、独特な雰囲気を楽しむことができる。
極夜は地球上の特定の地域でしか経験できない現象であり、一度体験すると非常に印象的で、極夜の地域は天文観測やオーロラ観察の魅力的な場所でもある。
まとめ
日本にいても日照時間の長いエリアと短いエリアを体験できる。
私はstak, Inc. のある広島と東京を往復することが多いが、東京と広島を比べても夏場の日照時間は30分〜1時間程度違うことが体感できる。
これが、北極や南極に近いエリアだと、より大きくなるというわけだ。
その昔、ドイツに8月〜9月にかけて訪れたときに、まさに白夜を体験した。
22時を過ぎてもまだ明るい景色はなんとも言えない不思議な感覚だった。
より極端に白夜や極夜を味わうことができるエリアへ行ってみたいものだ。
【Twitterのフォローをお願いします】