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2023年2月13日 投稿:swing16o

自作自演から始まるブランディングとマーケティング

自作自演(じさくじえん)
→ 自分がつくった台本を自ら演じることや自分の利益のためにつくりごとをして人を騙すような行為。

自作自演という言葉が使われるときは、比較的マイナスな場面が多いのではないだろうか。

現代風な言葉に置き換えると、ヤラセという言葉が当てはまるように思う。

ただ、私はこの自作自演という言葉そのものが、ブランディングの始まりだと考えている。

とどのつまり、私は自作自演という言葉をポジティブに捉えている側の人間なのだが、その理由について書いていこう。

今さら聞けないブランディングってなぁに?

ブランディングを説明する際に、ブランドという言葉が隠れていることは、ほとんどの人が気づくだろう。

そのとおりで、ブランディングとは、まさにブランドをつくってくための様々な行為のことをいう。

もっともらしく解説するのであれば、企業や個人が、自社製品やサービス、あるいは企業そのものの価値やイメージを高めようとすることだ。

また、企業や個人の商品やサービス価値について、消費者に共通のブランドイメージを認識させ、競合との差別化を図るための戦略、あるいは構築プランだということもできるだろう。

ブランディングの目的は、消費者に商品やサービス、あるいは企業や個人そのものに対する一定のイメージをインプットして、顧客のロイヤリティを獲得することだ。

顧客ロイヤリティとは、信頼や愛着といったところだろう。

そんなブランディングの目的達成のために、企業や個人は下記に挙げた項目を選定していくのである。

  • ネーミング
  • ロゴ
  • キャッチフレーズ
  • Webサイト
  • デザイン
  • パッケージ
  • カラーバリエーション
  • 品質
  • 価格

他にも様々な項目を選定してはアップデートをくり返していくのだが、これがブランディングで、目線のベクトルは顧客側にある点を失念してはいけない。

自分たちで発信していくのだが、あくまで評価をするのは消費者、つまり顧客側にあるということだ。

また、信頼や愛着を獲得していくためには、一長一短で成り立つものではないということも理解できるだろう。

つまり、ブランディングを行っていくには時間がかかるということだ。

今さら聞けないマーケティングってなぁに?

ブランディングについて書くと、必ずといっていいほどセットでついてくる言葉がマーケティングだ。

マーケティングとは、商品やサービスが売れ続ける仕組みをつくる活動全般のことをいう。

商品やサービスを大量かつ効率的に売るために行うために、市場調査、広告宣伝、販売促進などを企業や個人が行っていく。

つまり、商品やサービスを売るためのトータル的な戦略といえばわかりやすいだろう。

そのために、ニーズを深堀りして、商品化されていないモノやサービスなど、市場や社会の風潮をとらえた売れる商品づくりを戦略的に行うのである。

例えば、新商品立案を筆頭に、コンセプト、価格設定や製造プロセスの整備など販売拡大のための企画を練ることに注力するというわけだ。

その目線のベクトルは企業側にあって、ターゲットへのリーチに関わる施策を、どうやってターゲットに伝えるかという点がブランディングと大きく異なる点だ。

そして、マーケティングの世界では、マーケティングの最終目的を販売を不要にすることだと位置づけることが定番となっている。

要するに、売り込みをせずとも、自然と顧客を呼びこめる状態をつくりあげることこそが、マーケティングであると定義しているわけだ。

ブランディングとマーケティングが混同される理由

それでは、なぜブランディングとマーケティングという概念がときに混同を生み出すのか。

その理由は、かつて高度経済成長期下の日本では認知率の向上が売上拡大に直結していたという点にあると私は考えている。

極端にいうと、広告をバンバン出せばモノやサービスが売れた時代があって、広報の業務や役割そのものがブランディングとマーケティングのいずれもを担っていたからである。

それが、少しずつ豊かになっていくことで、人々の生活に余裕がでてきたことで考え方に変化が起きたというわけだ。

要するに、認知率拡大が必ずしも売上拡大に直結するとは限らなくなり、商品やサービスが売れ続ける仕組みをつくっていく活動が必要になってきたのである。

それがマーケティングという概念で、ブランディングとマーケティングは下記の5つの点で異なる。

  • 目標
  • 指針
  • 焦点
  • 手段
  • 期間

広報やPRを担当していたり、興味があるという人は、このあたりの目線をしっかりと持っておくといいだろう。

ブランディングとマーケティングの5つの異なる視点

上述した5つの視点を具体的にまとめていこう。

目標

まず、目標という視点だ。

ブランディングの目標は、消費者と良好な関係をつくることであり、故に企業や商品に対して好意的な印象を持つファンを増やすための活動にあたるのがブランディングということになる。

その視点は、どうすれば消費者にとって選ばれ続け、愛され続けるブランドになれるだろうかというところだ。

一方で、マーケティングの目標は、消費者の購買行動を喚起することであり、商品やサービスを買ってくれる人を増やす、直接的な活動ということになる。

どのようにすれば消費者が買ってくれるだろうかという点において、思考のもと意思決定を行うのがマーケティングだ。

このように、それぞれ目標に差異があり、企画や施策の立案段階から思考方法に違いがある点を最初に押さえたい。

指針

次に注目したいのが指針だ。

まず、ブランディングの指針はWhyを追求している。

一方で、マーケティングはHowを追求しているという点が異なる。

前者のブランディングで重要なのは、なぜこのブランド価値を顧客に提供する必要があるのか、なぜこのブランドが存在すべきなのかといった存在意義を追求することだ。

となると、Whyを追求することによって、ブランドのビジョン、ストーリー、アイデンティティといったものが確立されていくというロジックだ。

それに対して、後者のマーケティングは、届けたいターゲットに対して、どのようにビジョンやストーリーを届けるのかという手段を模索することだ。

そこには、テレビや新聞などのマス広告、現代には欠かせないWeb広告などのプロモーション施策が候補として含まれている。

そして、様々な広告手段の中から、ターゲットに対し的確な広告運用をしていく必要がある。

焦点

3つ目に注目したいのが、焦点の違いだ。

ブランディングにおいては、このブランドといえば高級感があって安心するといった顧客心理を形成することに焦点を当てる場合が多い。

つまり、企業側が商品やサービスを消費者に向けてこんなイメージを抱かせたいという想いと、実際に顧客のイメージを近づけていくような活動となる。

一方で、マーケティングは顧客ニーズに焦点を当てる場合が多い。

そして、顧客のニーズといっても、顕在化したものもあれば潜在化しているものも存在する。

例えば、自動車を買いたいという明確に顕在化したニーズの顧客に対しては、自社製品の機能性や価格などを訴求するようなマーケティング活動が有効となる。

ただ、顧客のニーズは常に消費者自身が意識しているものばかりではなく、抽象的な場合も多い。

車を持つことで週末に家族でリフレッシュしに出かけることができるといった訴求が必要になるということもあるということだ。

手段

4つ目は手段の違いについてだ。

ブランディングは、ファン心理を形成することでブランドイメージを構築する。

一方で、マーケティングは、商品やサービス理解の促進が手段として用いられる。

より具体的に説明すると、ブランディングの目標は、消費者との良好な関係づくりであるため、そのための手段としてファン心理を形成する。

それに対して、マーケティングは、どのような商品なのか、購入することによってどんなメリットがあるのかといったことを消費者に訴求することで、目標である購買行動の喚起を行う。

期間

最期は期間についての違いだ。

簡単に触れたところでもあるが、ブランディングとマーケティングを比べると、取り組みにおける平均的な期間が圧倒的に異なる。

結論から言うと、ブランディングは長期的な施策なのに対して、マーケティングは短期的な取り組みとなる。

ブランディングは信用や愛着を浸透させていかなければいけないので、必然的に長い時間を必要とする。

反対に、マーケティングの目的とする購買行動自体は、売上や利益にできるだけ直結させなければいけないので、短期的に生じさせるように設計をする。

こういった性質上の違いから期間が異なるというわけだ。

また、ブランディングにより一度定着したイメージを変更することにも長い時間を要することも併せて覚えておくといいだろう。

まとめ

自作自演というテーマから、ブランディングとマーケティングについての独自理論を語ってみたがいかがだろうか。

いずれも性質に違いはあることは理解してもらえたと思うが、共通していえることは、仕掛ける側の人たちがいるということだ。

そして、仕掛ける側の人間になりたければ、自作自演から始まるということについても、そういう考え方もあると同意してくれる人が少しでもいると嬉しい限りだ。

 

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植田 振一郎 Twitter

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