才色兼備(さいしょくけんび)
→ 優れた才能と美しい容姿の両方に恵まれている女性。
男女平等という概念に対して否定的な立場を取る人はそんなに多くはない時代だと思う。
もっというと、性別という概念自体が拡がりを見せている。
世界共通の目標として掲げられるSDGsの中の1つに、ジェンダー平等を実現しようというものがあることも大きいだろう。
性別による差別や偏見をなくし、全ての女性と男性が対等に権利、機会、責任を分かち合える社会を創造することを目指し、世界中で取り組まれている目標だ。
男女平等ということが叫ばれているのは周知の事実だが、まだまだ性別の違いにより、社会的、文化的な不平等や差別が生まれている現状もある。
ということで、様々な聞き慣れないワードも出てきているので、今回はそのあたりをまとめていこうと思う。
今さら聞けないジェンダーってなぁに?
グローバルな課題の1つに、ジェンダーへの偏見や不平等がある。
ジェンダーと聞くと、生物学的な性差であるセックス(sex)だと認識している人も多いと思う。
ただ、実際は男性は外で働き女性は家庭を守るなど、社会的、文化的な性差を指している。
つまり、ジェンダーは生まれながらにして決まっているのではなく、社会、文化との関わりの中で形成されていくものだという点が単なる性別ではないというところと異なっているというわけだ。
このジェンダー平等が、まさに冒頭で述べた国連が定めるSDGsのゴールの1つにも挙げられているのである。
そんな中、日本は世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数において参加する世界156ヶ国中120位であり、ジェンダー平等には遠い現状がある。
このジェンダーギャップ指数というワードについては、詳しく少し後で述べるとする。
ジェンダーギャップ指数を知る前に
ジェンダーフリーとかジェンダーレスという言葉を聞いたことがあるという人も増えたと思う。
ただ、そのワードの意味を説明できる人は意外と少ないのではないだろうか。
ジェンダーフリー
日本では性による社会的、文化的差別をなくすことを意味して使われている。
つまり、社会的、文化的性差の押し付けから自由になるという意味の言葉だと捉えてもらえるといいだろう。
従来の性別における決め付けや役割分担にとらわれず、男女間のアンバランスな力関係や格差をなくそうという考え方がベースにある思考だと理解してもらいたい。
ジェンダーレス
ジェンダーレスとは、男女間における区別や性差の境界線をなくすことや男性、女性の概念を取り払おうという考え方を指している。
性による社会的、文化的差別をなくすことを意味して使われることが多いジェンダーフリーに対して性別を主軸に置いていると考えるとわかりやすいだろう。
具体的には、男子生徒の制服はスラックス、女子生徒の制服はスカート、男の子はブルー、女の子はピンクといった根拠なく慣習で成立している区別をなくしていくという取り組みだ。
ジェンダーレス社会の実現に向けた取り組みと事例
まず、ジェンダーレスファッションというものを耳にしたことがある人はいるだろうか。
ジェンダーレス男子、ジェンダーレス女子といった呼称のファッションモデルやインフルエンサーを目にしたことのある人もいるかもしれない。
近年、ファッション業界では男女の境界線がないスタイルやアイテムが注目されている。
例えば、ネイルをする男性がいたり、スカートをはく男性がいたり、ナチュラルメイクの女性がいたり、短髪の女性がいたりといった具合いだ。
こうしたジェンダー平等、ジェンダーレスは特に若い世代にファッションを中心に浸透しつつある。
社会的、文化的に区別された性別にとらわれず、自分らしさを貫いているモデルやタレント、インフルエンサーたちにも注目が集まっている現状がある。
ジェンダーレスは、男女格差の解消や多様性を認め合う社会をつくるため重要な思考だといわれており、他にも様々な事例がある。
男性名詞、女性名詞の廃止
以前は、女性の保育士は保母、女性の看護師を看護婦のように同職種でも男女で呼び方が異なっていた。
ところが、男女雇用機会均等法が改正されたことで、2001年に保健婦助産婦看護婦法は保健師助産師看護師法に改正され、看護の職名については男女の区別なく、看護婦から看護師に統一された。
制服
学校の制服において、ジェンダーレスの考え方を採用する学校が増えている。
例えば、長崎県の公立高校の一部では、女子はスカートとスラックスの制服を選択できるようになっている。
私服でも冬はズボンが多いので違和感はないという生徒も多いという。
他にも、東京都江戸川区では中学校の3分の1で選択制の制服が導入されている。
とある中学校では、スラックスかスカート、ネクタイかリボンを自由に選択できるようになっている。
以前は、スラックスを男子用、スカートを女子用と呼んでいたが、その呼び方も変わったという。
新たにストレートのスラックスをA型、スカートをB型、丸みを帯びたスラックスをC型と呼ぶなど、ジェンダーレスが拡がっているのである。
機内アナウンス
ジェンダー問題が語られるのは男女平等の文脈が多いが、多様な性のあり方が拡がっているため、セクシャルマイノリティの方にも配慮したジェンダーレスな取り組みが始まっている。
その最たる例が、以前は定番だった機内アナウンスの呼びかけである「ladies and gentlemen」を廃止する航空会社が増加している。
「all passengers」や「everyone」など、あらゆるジェンダーに配慮したアナウンスに変更されているのである。
サービス登録時
ここ数年で見受けられるようになったのは、サービス登録時などの性別選択欄だ。
そこにもジェンダーレスに対応した変化が見られていて、男性、女性の選択肢の他に、回答しない、その他といった選択肢が用意されるようになっている。
今さら聞けないジェンダーギャップ指数ってなぁに?
ということで、前述した、ジェンダーギャップ指数について、今一度深堀りしていこう。
まず、ジェンダーギャップ指数とは、近年の国際社会において、高く注目される指標の1つであるということを覚えておくといいだろう。
このジェンダーギャップ指数が初めて公表されたのは、2005年のことだ。
世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が世界各国の男女格差の状況をわかりやすく数値化し、ランキング形式で発表したのが始まりだ。
そして、何度も繰り返しになるが、SDGsにジェンダー平等を実現しようという目標が盛り込まれたこともあり、ランキング上位国だけではなく、下位国にも注目が集まっているというわけだ。
ジェンダーギャップを日本語に直訳すると男女格差となるわけだが、性別の違いによって生じる様々な格差を指す言葉だと思えばいい。
格差が生じるのは、社会全体においてのみではなく、ときには家庭内の役割においても、ジェンダーギャップは生まれてしまう。
その具体例を挙げてみると下記のとおりだ。
- 雇用機会や賃金が男女平等ではない
- 性別を理由に学歴は必要ないと言われる
- 性暴力や人身売買の被害に遭う
- 児童婚や強制結婚をさせられる
ジェンダーギャップを放置すれば、性別を理由に理不尽な扱いを受ける人が増加する傾向にある。
とりわけ女性は暴力や虐待の被害に遭いやすい。
それから、妊娠や出産といった女性特有のライフイベントは仕事に影響を与えやすいので、雇用やキャリア、賃金といった面で格差が生じる恐れがあるのである。
こういった目に見えない要素を数値化したデータが、WEFが毎年一度発表しているジェンダーギャップ指数というわけだ。
Gender Gap Indexの頭文字をとってGGIとも呼ばれていて、日本語約するなら男女平等格差指数だ。
ジェンダーギャップ指数の算出方法
ジェンダーギャップ指数は、以下の4分野の統計データから算出される。
- 経済(労働参加率、同一労働における賃金、収入格差、管理職の男女比、専門技術の男女比)
- 政治(議会や閣僚など意思決定機関への参画、過去50年間の国家元首の在任年数における男女差)
- 教育(識字率、初等教育就学率、中等教育就学率、高等教育就学率の男女比)
- 保健(出生時性比、平均寿命の男女差)
これら4分野のスコアをそれぞれ導き出した上で、その平均値が最終的なジェンダーギャップ指数として公表されるという仕組みだ。
男女間の格差が全くない完全平等の状態が「1」、反対に完全不平等の状態が「0」である。
つまり、ジェンダーギャップ指数が「1」に近い国ほど男女格差が存在しないことを示している。
2022年最新ジェンダーギャップ指数
2022年7月13日に2022年のジェンダーギャップ指数が公表された。
2022年のランキングには世界の146ヶ国が参加しており、日本の順位は116位とかなり低い位置にいる。
ちなみにTOP10は下記のとおりだ。
- アイスランド:0.908
- フィンランド:0.86
- ノルウェー:0.845
- ニュージーランド:0.841
- スウェーデン:0.822
- ルワンダ:0.811
- ニカラグア:0.81
- ナミビア:0.807
- アイルランド:0.804
- ドイツ:0.801
北欧の国々のランクインが目立つのと、意外かもしれないが、アフリカ大陸にあるルワンダや中南米にあるニカラグアあたりがランクインしているあたりも注目したい。
まとめ
私自身、正直そこまでジェンダーについて深く考えたことはなかったのだが、ジェンダーギャップ指数というデータがあることを知るいい機会になった。
性別だけでなく年齢にもギャップがあることは事実であり、そういったギャップはどんどんなくなっていくことには賛成だ。
多様性が求められる時代で、世の中で多くの人が活躍できる場面が増えるといいと心から思っている。
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