言行一致(げんこういっち)
→ 言うこととすることが一致していること。
有言実行と同じ四字熟語だということだろうが、この有言実行はなかなか難しい。
人はついサボってしまう生き物で、楽な方に逃げてしまう傾向にある。
古くはホウレンソウと呼ばれたマネジメント方法も今や死語のようになっている。
わからない人もいるかもなので一応説明すると、報、連、相(ほう、れん、そう)とは、報告、連絡、相談の頭文字を取ったものだ。
もはや、その発想がダサすぎて笑える。
今の若者との感覚のズレを含めて笑えるのである。
Z世代と大人たちの共有感覚はどのくらいズレているのか、1つのアプリを例にまとめてみた。
Zenly(ゼンリー)というアプリ
10代と大人で最も評価がわかれるアプリの1つが、Zenly(ゼンリー)だ。
フランスのZenly社が2015年に開発したアプリだ。
Zenlyの主な機能は、繋がっている人と常に位置情報を共有し合うことだ。
アプリを開くと友人の現在位置が地図上に表示され、どこに何時間いるのかわかるというものだ。
これを聞いて、あなたはこのアプリを使いたいと思うだろうか。
ここが若者と大人の感覚で大きくわかれるとされる大きなポイントだ。
友人たちがファミレスに集まっていることがわかったり、家にいることがリアルタイムにわかるということで、プライバシーがない状態という見方もできる。
もちろん、自分の居場所も常に公開される。
さらに、スマホの電池残量や移動速度もわかるので、連絡がつかないときに、スマホのバッテリーが切れたとか電車で移動中だったという言い訳もできない。
お互いの生活が丸見えになるというわけだが、Zenlyで繋がることに抵抗を感じないのが、高校生を中心とした世代だという。
彼ら彼女らはすでに常に繋がり合っている、いわゆるデジタルネイティブ世代だからというのが、その大きな理由だとされている。
Zenly(ゼンリー)の機能
具体的にどんな場面でZenlyを使っているのかというと、下記のような場合だ。
待ち合わせ
今の10代は、時間や場所をしっかり特定して待ち合わせしないことがほとんどだという。
そもそも、約束が緩い上に、当日の様子を見て会える時間に会っているというのが現状だ。
場面でとかノリでといった場面も多々あるというわけだ。
つまり、どこにいるかをメッセージで頻繁にやり取りするくらいなら、いっそのこと位置情報を公開したほうが楽だという感覚で、Zenlyが使われるのである。
相手の様子を見てから誘う
Zenlyアプリから、相手がどこにどれぐらいの間いるのかわかる。
例えば、ちょっと友達と遊びたいなと思ったときに、Zenlyを見て家にいることがわかったとしよう。
それなら誘えば遊べる可能性が高いから誘ってみようとなるわけだ。
一方で、バイト先にいるとわかったとしたら、わざわざ誘うのをやめようとなる。
つまり、ムダなやり取りも発生しないタイパ重視の生活が成り立っているということになる。
繋がっていることに対する幸福感
現代の10代はSNSで常に繋がっていることに抵抗がない。
つまり、Zenlyで友人がどこにいるのかを知るだけでも、ただただなんとなく嬉しく感じるという感覚がある。
例えば、テスト前に友達たちが家で勉強していることがわかれば、自分自身も頑張ろうとなるという感覚だ。
また、友達とライブに一緒にいっていることのアピールや、一緒にいることでリア充だということを周囲に知らせたいという心理も働くわけだ。
家族と繋がっている安心感
スマホを比較的はやい年齢から持つ、いわゆるデジタルネイティブ世代は、友達たちだけでなく、親や兄弟という家族と繋がっている場合も多い。
この場合は、親の方から、子どもの見守りのために繋がろうとするパターンが多い。
子どもは往々にして思春期を迎えると、帰宅時間を連絡するように促してもメッセージをしてこないということはある。
そんなとき、子どもの居場所がわかれば、親も安心するというわけだ。
そんな見守りの一環として、Zenlyが使われているというパターンもある。
というか、そもそもZenlyは、家族の見守りを目的に15年にフランスで生まれたという経緯がある。
スマホをなくした場合のツール
1人1台のスマホは当たり前の時代に、誰もが一度はスマホをどこにやったか探すという行為をしたことはあるだろう。
ふとした瞬間に置き忘れることもあるはずだ。
そんなとき、友達にZenlyで見てもらえば、スマホの位置を特定できるのである。
スマホをなくしたときに、位置情報から検索するという手段は他にもあるが、特になにかのステップを踏まなくてもすぐに位置を確認できるZenlyは便利ツールとなっているというわけだ。
Zenly(ゼンリー)に対する考え方の違い
ここまでで、あなたは抵抗なくZenlyを使える人か、それとも使うことを拒む人だろうか。
その分かれ目の根本的なところにあるのは、時間や場面、情報を共有することについて、Z世代と上の世代とのギャップが大きいことだ。
それは、ハンドルネームを駆使し、匿名が前提だった大人世代と異なり、Z世代は個人情報を公開することへの抵抗感が薄れていることが大きいだろう。
この使い方は危ないと直感的に思う大人は多いと思うが、アカウントに鍵をつけるなどして使いわけているのが一般的だ。
SNSとはいえ、自分が許可した人とだけ繋がるコミュニティーを作っているというわけだ。
この使いわけは、友達とのコミュニケーションでも起きている。
例えば、メッセージはもちろん、電話もすべてインスタを使うといった具合だ。
LINEは公式の連絡手段というか、上司や先生とのやり取りには使うけれども、友達との気軽な話から情報収集のときには使わないという。
こういった感覚の違いが、若者からすると効率よく繋がっているだけなのに、大人から見るとむやみに繋がりすぎだとなるわけだ。
Zenly(ゼンリー)のリスク
とはいえ、やはりプライバシーが丸見えというのはリスクもある。
若者といえば、やはり思春期特有の男女間の問題はあるだろう。
誰と誰が付き合っているとか、そういった情報はいろんな意味で盛り上がることから、男子よりも女子の利用率が低いという傾向がある。
つまり、プライバシーが漏れることの危険性は10代も十分に認識しているというわけだ。
Zenlyのキャッチコピーは、公式ウェブサイトにもあるとおりで、Best Friends Onlyというものだ。
要するに、親友とだけ繋がることを推奨しているということだ。
そんなこともあり、仕様として、任意の相手に対して自分の居場所を一時的にわからなくする機能も有効だとしている。
まとめ
ほうれんそうの時代から、勝手に自分の情報を公開しているから、それを見ればいいじゃんという時代に変わりつつある。
もちろん、Z世代とか10代が全員、Zenlyを使っているわけではないが、感覚として大人とはズレが生じていることは事実だろう。
こういった文化が根付いていくと、大人と呼ばれる中の一定層は必ず、最近の若者はという言葉を使って否定的に論じる。
そんなとき、私はこのように主張する。
それは、自分たちが若者と呼ばれたときに、大人と呼ばれる人たちに理解されないようなことが文化として定着していただろうということだ。
つまり、いつの時代にも若者は流行りの中にいたいというか、自然と青春を過ごす過程で大人とは違う世界にいるというわけだ。
そして、こういった新しい流れを否定するのではなく、なぜそういう文化が生まれたのか分析すると案外面白いということも伝えておきたい。
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