気炎万丈(きえんばんじょう)
→ 意気盛んなさまをいう。
意気盛んな企業というと、やはりスタートアップに注目したい。
ここ数年スタートアップにより資金が集まってきている。
そんな中、日本のスタートアップは世界から孤立しているというのが一般的な見解だった。
ところが、そんな流れが変わりつつある。
日本のスタートアップの進化
(出典:Forbes)
少し前の記事になるが、スタートアップになにかしらの形で携わっている人は是非見てもらいたい記事だ。
2021年に日本のスタートアップがギアチェンジしたというのが全容である。
具体的にどんなことが起きているのか、改めて振り返ってみよう。
日本のスタートアップが、新しい進化の物語を紡ごうとしており、その象徴的な出来事が2021年に3つ起きたとしている。
1つ目は、投資額、件数とも世界最大級のベンチャーキャピタル、ソフトバンクグループ傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドの動きだ。
2017年に設立され活動開始以来、はじめて日本のバイオスタートアップであるアキュリスファーマへの投資を行ったことだ。
2つ目は、アメリカ決済大手のペイパル・ホールディングスによる、日本のBNPL(後払い決済)のPaidyを3,000億円で買収したことだ。
この買収により、海外企業による日本で数少ないユニコーン(評価額1,100億円以上の未上場企業)の大型M&Aという構図が生まれた。
3つ目は、SmartHR(スマートHR)が海外投資家たちから約156億円の大型資金調達を行ったことだ。
SmartHRはシリーズDラウンドで、アメリカ投資ファンドのライト・ストリート・キャピタルをリード投資家としている。
そして、新規投資家としてアメリカ有力VCのセコイア・キャピタル・グローバル・エクイティーズをはじめ、海外投資家7社、国内投資家1社から資金調達した。
その評価額は1,731億円となっている。
この3つの動きは、まさにグローバルからの関心と資本がトリガーとなって、日本のスタートアップが進化している証だ。
国内スタートアップ資金調達額
2021年上半期の国内スタートアップの資金調達額は3,245億円となり、半期では過去最高額を記録した。
2020年には一時的に落ち込んだが、上昇トレンドが回復している。
そして、海外投資家かつVC以外の投資家からの大型調達事例の増加も加速している。
新素材を開発するスパイバーがアメリカの投資会社カーライル・グループなどから約344億円を調達。
情報・ニュースアプリ開発のスマートニュースもアメリカのヘッジファンドや米VCなどから約251億円を調達。
こういった海外投資家からの大型の資金調達の流れにより、日本でもユニコーン企業数は10社となっている。
そんな中、クロスオーバー投資家という投資家の存在が注目されている。
上場企業と未上場企業の両方に投資や支援をし、上場後も中長期で支える投資家のことをクロスオーバー投資家という。
また、大企業のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)による複数年の投資予算枠が6,104億円という報道もある。
スタートアップのトレンド
- 既存産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)
- ディープテックによる新産業創出
- 新世代によるニューカルチャー
- 連続起業家の挑戦
- 社会性と事業性を両立させるインパクト起業
そして、成長カーブを描くステージにおける、ギアチェンジによるもう一速の加速が起きている。
CxOクラスの人材の質向上、中でもCFOは顕著で、3桁億円調達が当たり前になるなか、IPO戦略や資金調達の手法がアップデートされているのである。
CxOとは、Chief x Officerの頭文字で、xの部分はそれぞれ担当する業務を表す。
- CEO(最高経営責任者:Chief Executive Officer)
- COO(最高執行責任者:Chief Operating Officer)
- CFO(最高財務責任者:Chief Financial Officer)
- CTO(最高技術責任者:Chief Technical Officer)
- CMO(最高マーケティング責任者:Chief Marketing Officer)
- CIO(最高情報責任者:Chief Information Officer)
こんな感じの役職を聞いたことがあるという人も多いだろう。
それから、2021年には大型調達したスタートアップによるM&A(企業買収)も起きている。
2022年のスタートアップ資金調達金額はさらに増加すると予想され、1兆円の壁を超えるという予測もあるほどだ。
世界中で起きている気候変動
スタートアップ企業が巨大化したり新種が発生したり、国境や上場、未上場の境目がなくなっていることを気候変動と表現される場面が増えた。
また、日本の大企業においては、CVCを始めて、形としてはベンチャー・エコシステムに参画している。
ところが、M&Aを実行して戦略的リターンを自らに取り込むという、コーポレート・デベロップメントを本気で実施して企業価値を高めていく企業はほとんどない。
そんな中、大企業がVCにCVC業務をアウトソースする形態が広まり、供給量が増えているという実態もある。
さらに、海外投資家もレイトステージ投資に参入している。
まとめ
2014〜2015年当時に大型調達した、メルカリ、ラクスル、Sansan、freee、マネーフォワードといった企業が、期待通り上場し、大きな成長を続けている。
こうした良い成功事例が出たのがこの5年で、成功事例の可視化がスタートアップ側、投資家側の双方にインパクトを与えている。
それが、スタートアップ側の競争環境の激化をもたらしている。
従来、スタートアップの競合相手は同じくスタートアップだったのが変わりつつある。
2014年〜2015年の成功事例の企業の新プロダクトがスタートアップと競合し始めているのである。
freee、マネーフォワード、ラクスルといった企業は上場後に数百億円の資金調達を行うなど資金量が多い。
また、どのスタートアップよりもエンジニアの数が多く質も高い。
そして、どのスタートアップよりも大きな営業チームが社内にある。
こうした直近で大成功したメガベンチャーが、スタートアップの競合になるケースは今までは少なかったが、スタートアップの新競争が始まっているのである。
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