ふるさと納税をフックに地方創生を考える

ふるさと納税をフックに地方創生を考える
小春日和(こはるびより) → 春のように暖かい冬の晴れた日。

2022年も1日1日と冬に近づいている。

個人的にこの季節が本当に好きで、先日も広島の某地方に行っていたのだが、最高の秋晴れだった。

日々の喧騒を離れて、ゆっくりと時間が経っている感覚はたまにはいいものだ。

急遽ランチで寄ることになったロッジのオーナーに今から入れるかと聞いたら、11時からだという。

時計を見ると11時をすでに過ぎていて、あぁ〜、もう11時を回っているのか、そろそろお店を開けないとという自由な感じが妙に癒やされてしまった。

なぜ、このエリアに行っていたのかという話になるが、日本全国どこにでもある地方創生プロジェクトに携わることにした関係だ。

そして、地方創生プロジェクトは私にとっては、一度失敗している苦い思い出があることも書いておこう。

約8年前の話になるが、広島の某地方の地方創生プロジェクトに携わっていた。

結論、失敗に終わり撤退したのだが、2022年に新たに声がかかった別の某エリアでの地方創生プロジェクトでは同じ轍を踏みたくない。

そこで、いろいろと仕掛けをしているわけだが、その1つとして使っていきたいのが、ふるさと納税制度だ。

今さら聞けないふるさと納税ってなぁに?

ふるさと納税という言葉はもはや完全に市民権を得たといっても過言ではないだろう。

なぜ、こんなにもふるさと納税が世の中に浸透していったのか、よくふるさと納税を行っている自治体が載っているポータルサイトには4つのメリットが書かれている。

  1. 好きな自治体に寄附ができる
  2. 自分が納めた税金の使い道を自分で直接指定できる
  3. 返礼品がもらえる
  4. 税金の控除や還付を受けられる

とまあ、このあたりがあるのだが、ハッキリいって3.と4. に多くの人が食いついていたというのが実態だろう。

つまり、税金の控除や還付が受けられて、さらに支援した自治体から返礼品がもらえるというところに、多くの人がお得感を感じたということだ。

となると、なぜこんな美味しい制度が誕生したのか気になった人も多いのではないだろうか。

その理由は、都心へ一極集中していている人口分布にある。

東京をイメージしてもらえるとわかりやすいと思うが、現在の東京には約1,400万人の人がいるのだが、そのほとんどが地方出身者だ。

地方から東京に出てきて、仕事について家族をもって住民票を変更している人も多く、そうなると東京都に納税をすることになる。

となると、当然生まれ育った地方の税収にはならない。

そもそも、日本という国が少子高齢化社会となってから、人口減少による税収の減少への対応や、地方と大都市の格差是正を目的とした議論がされてきた。

その議論が、2006年頃から高まり、2008年(平成20年)年4月の地方税法等の改正によって、翌月の5月から、ふるさと納税制度がスタートしたという流れだ。

私も広島から東京に行った組なのでわかるが、地元に対する愛情みたいな感情は少なからずあり、それは広島の人に限らず共通するところなのだろう。

それがトリガーとなって、まずは地元を応援しようみたいな流れから、全国のどこの自治体にも寄附できるという、ふるさと納税が浸透していったというわけだ。

なによりも、返礼品がもらえて税金の控除や還付が受けられるというのであれば、やらない理由がないよねといったところだろう。

ふるさと納税の始まり

くり返しになるが、今では全国の自治体の中から自分が寄附したいと思った自治体を選ぶというスタンスが定着しているが、この流れは第1回から踏襲されている。

2008年の実施から2022年現在まで、どういった変化があったのか、見ていこう。

2009年2月28日に発表された第1回のふるさと納税の各県の動向は下記のとおりだ。

第1位:栃木県

金額:224,094(千円)

件数:28件

平均:8,003.4(千円)

第2位:岡山県

金額:108,252(千円)

件数:68件

平均:1,591.9(千円)

第3位:鹿児島県

金額:60,840(千円)

件数:788件

平均:77.2(千円)

第4位:大阪府

金額:55,384(千円)

件数:446件

平均:124.2(千円)

第5位:福井県

金額:33,778(千円)

件数:475件

平均:71.1(千円)

第6位:徳島県

金額:27,916(千円)

件数:151件

平均:184.9(千円)

第7位:熊本県

金額:19,574(千円)

件数:353件

平均:55.5(千円)

第8位:埼玉県

金額:16,418(千円)

件数:239件

平均:68.7(千円)

第9位:高知県

金額:14,399(千円)

件数:179件

平均:80.4(千円)

第10位:宮崎県

金額:8,267(千円)

件数:33件

平均:250.5(千円)

ここから、読み取れるのは、まず寄附金額が多かったのは、栃木県が約2億2,400万円、次いで岡山県が1億800万円と圧倒している。

10位の宮崎県になると、約830万円なので格差はかなりあることがわかる。

一方で、件数別に見てみると、鹿児島県が最も多く788件、福井県475件、大阪府446件と続いている。

この傾向を分析すると、寄附金額が多かった栃木県と岡山県の件数は、それぞれ28件、68件と少なく、高額納税者がいかに多かったかがわかるだろう。

また、大阪という日本第二の都市にも金額と件数がそれなりに集まっているのも面白い。

というのも、都市部から地方へ税収を分散させることが、ふるさと納税の意図だったのにも関わらず、大阪が第4位に入っているからである。

これは、知事が積極的に呼びかけをした結果だといわれており、福井県が第5位に入っているのも同様の理由だといわれている。

それから、鹿児島県が圧倒して788件を集めているのは、当時放映されていたNHK大河ドラマである篤姫の効果が大きいとされている。

ふるさと納税の歴史

2008年から始まったふるさと納税だが、その発展は、下記のように分類するとわかりやすいだろう。

  • 2008年〜2010年:黎明期
  • 2010年〜2014年:成長期
  • 2015年〜2021年:発展期

始まった当初は、返礼品を用意していない自治体も数多く存在していた。

また、ふるさと納税という言葉自体が世間一般に認知されておらず、高額所得者を中心に一部の人のみしか行っていなかったのは上述したとおりだ。

さらに現在のように、ふるさと納税のポータルサイトも存在しなかったため、より良い返礼品を選ぶという行為やふるさと納税の手続きも難しかった。

その結果、東京都の各自治体や地方の政令指定都市などが受入金額の上位を独占しており、地方の小さな自治体は全く寄付金が集まらない状態だったのである。

2008年:ふるさと納税受け入れ寄附金額 TOP10
  1. 東京都府中市:6億6,194万9千円
  2. 広島県広島市:6億2,914万8千円
  3. 北海道札幌市:3億9,780万1千円
  4. 東京都杉並区:3億2,871万2千円
  5. 東京都文京区:1億1,841万3千円
  6. 兵庫県神戸市:1億1,284万2千円
  7. 長野県飯山市:1億0,993万4千円

...(本文末尾は文字数の都合で省略)