ハッタリと嘘の狭間で 第86話〜第90話

第86話

1時間程度のフライトはあっという間だ。

ここからは、今回のピッチを予選大会から主催をしてくれている担当者も一緒ということで、気も楽だった。

どのくらいか詳細は覚えていないが、結構な期間をアメリカで過ごしている人なのでいろんな情報が聞けたことも新鮮だった。

カーネギーメロン大学を出ているとのことで、今回の旅のしおりにカーネギーメロン大学での交流が含まれていたことに合点もいった。

ピッツバーグ空港からもUberで目的地に向かう。

待っている間、空港内にあるスターバックスでコーヒーを買った。

このアメリカ出張で何度かスターバックスを使ったが、はっきりいって日本のスタバの方が清潔感もあるしホスピタリティも圧倒している。

オシャレな感じも日本のスタバの方がクオリティが高い。

ショートサイズがないことは聞いていたが、サイズがデカいのも少しだけでいいという感覚の人からしたら迷惑でしかない。

ということで、何回目かのデカいコーヒーを片手にタクシーに乗り込んで中心地へ向かう。

第87話

NYで数日過ごした後のピッツバーグは対照的なところしかなかった。

ゆったりと時間が流れているというか、中心地こそ高層ビルもあるが近年発達したような街づくりで、いい意味で田舎の感じが緊張を緩和させてくれる。

天気が良かったということも大きいかもしれない。

5月中旬で、ここまで気温が上がることも珍しいということで、NYでも同じようなことを聞いたな。。と思った。

中心地へ向かう途中に知るのだが、ケチャップで有名なハインツの本社もピッツバーグにあり、それこそ空港から中心地へ向かう途中にお目にかかることができる。

アメリカの著名投資家であるウォーレン・バフェット氏の投資会社が出資していることでも知られている。

そして、黄色い橋を越えると中心地への入口だと教えてもらった、まさにその橋を越えると景色も一変する。

球場が見えたり、高層ビル群が見えてくる。

ただ、NYのように混沌としておらず、空が広く住みやすそうな街だということが伝わってくる。

もちろん、NYのような刺激的な場所の魅力もあるが、それとは全く違う魅力のある街だ。

第88話

中心地から少し離れた場所がどうやらピッチ本番の会場らしい。

「ここです」とタクシーが停まった場所を見て、一瞬「?」となった。

協会の中をピッチ会場にしているということだ。

半信半疑で中に入ると、設営スタッフがせっせと準備をしてくれている。

ちょっとした展示スペースも設けてくれており、リハーサルがあるというので、そこまでの時間をのんびり過ごす。

確か、日本、香港、韓国、カナダ、アメリカから3チームといった構成で決勝戦という感じだったはずだ。

様々な国からどんなチームが来ているのかを見るのは興味深かった。

海外を感じさせてくれたのは、大型犬を会場まで連れてきているチームもあったことだ。

てっきり、ペットに携わるプロジェクトなのかと思っていたが、そのチームの発表になって全く関係のなかったことを知る。

こういった自由さというかおおらかな感じは日本ではあまり感じたことがない。

ランチも会場内に準備されており、これぞアメリカ!といったサンドイッチは普通に美味しかったし、大きな注ぎ口が付いたパックにコーヒーが入っていて、それがスタバが届けてくれるモノだと教えてもらったときには日本でも欲しいサービスだったりもした。

こういった会場1つとっても日本では体験したことのない、いい意味でほんわかしたところはリラックスさせてくれた。

第89話

本番は夕方からということで、リハーサルを終えるとホテルにチェックインしに向かった。

ホテルのレセプションもNYの機械的だった対応に比べると、とてもフレンドリーだったのを覚えている。

「日本人?」とか「ようこそ、ピッツバーグへ!」とか、こちらがいまいち英語がわかっていないこともお構いなしに、いろいろと話しかけてくれることもリラックスさせてくれた。

その後も部屋を出たときにロビーや廊下ですれ違ったときにも気さくに声をかけてくれるホテルスタッフに親近感が湧いた。

その後、ホテルの近くを軽く散策しながら、ピッチ本番へ備えた。

一番ネックだったのは、質問も全て英語だというところだったが、そこは通訳を入れてもいいということらしく、同伴してくれた担当者がしてくれるということで安心した。

とはいえ、NYで指摘された良くないところは少しでも改善したかったし、丸暗記とはいえ、自分がしゃべるところについてはしっかり暗記していこうということで、近くにあった本番とは別の教会に入った。

ステンドグラスがキレイで、日本にはない建物に最初は癒やされてこそいたが、その中で何度も何度も原稿を読み返し、頭に英語を叩き込んだ。

第90話

そして、いよいよ本番が迫っているということで、会場へ向かう。

リハーサルのときとは打って変わった雰囲気になっていた。

たくさんの人が入っていて、もちろん日本人は同行した人たち以外には皆無だ。

正直、俺はピッチで緊張したことはない。

このピッツバーグでのピッチのオーディエンスは200〜300人くらいだろうか。

それ以上の会場で話をしたこともあるが、強がりでもなんでもなく緊張よりも、せっかく時間を割いて来てくれた人に少しでも記憶に残る、来て良かったと心から思えるような時間を提供したいという気持ちが勝る。

英語縛りというのは確かに少々ナーバスにさせたが、その要因の大きなところはQ&Aがあり、そこも英語縛りだというところだった。

ただ、先にも述べたが、ここについては通訳ありということになったので、緊張という緊張は全くなかった。

むしろ、ステージから見る外国人だらけの光景に高揚したくらいだ。

あっという間にピッチは終わり、Q&Aも終わった。

結果は全く賞には引っかからなかった惨敗に終わった。

ネイティブたちの表現力に圧倒され、ただただ自分の小ささを露見するだけだった。

後から、大してレベルの高いピッチではなかったと海外のピッチ経験が多い人に教えてもらい、悔しさだけが残った。

ハッタリと嘘の狭間で 第81話〜第85話

第81話

NYについてから、スケジュールの詳細を知る。

1日目は日本からの移動のみ。

2日目はピッツバーグで行われるピッチ本番の練習。

3日目は大阪の予選大会で1〜3位までのスタートアップのチーム合同mtgからの夜にはNYで本番の事前練習ピッチ。

4日目はNYからピッツバーグへ移動。

5日目はピッツバーグでピッチ本番。

6日目はカーネギーメロン大学で展示会。

7日目に帰国。

ざっくりこんな感じだったはず。。

1日目の到着後に軽く食事を終わらせると明日に備えて、ホテルで休んだ。

翌日からまずはNYでの余興の英語のみのピッチの練習だ。

正直、こういったレッスンは受けたこともないし、受ける必要もないと思っていた。

さすが、本場アメリカといったところだろうか。

コミュニケーションの取り方というか人と人との距離感が日本とは全く異なる。

どの分野にもプロフェッショナルがいるのが、いかにもアメリカらしく新たな経験値が増える。

比較的ナーバスは時間は続くが、こういった新しい出会いはやはりどこに行っても悪くないと感じた。

第82話

1日目のレッスンが終わると、少ない友人のツテをたどって、現地で暮らす日本人と束の間のNY観光をした。

アメリカ人と結婚した彼女は、いろいろと大変だということを主張しつつも、いつもポジティブだ。

高校時代から英語が好きだったが、本格的に学び始めたのは高校を卒業してフィリピンに留学してからだという。

年は俺とほぼ変わらない同年代。

当時、英語を学ぶためにフィリピンを目指したは日本人は珍しい。

理由を聞くと単純に安かったからだということだ。

英語を学びたいといいつつも日本でジッとしている人は多い。

彼女もまたノリで海外を目指し、会ったことはないが異国の地の男性と結婚をした。

そして、まだまだあどけないが、ステキな個性を持った娘には会った。

日本人として同郷で生まれたが、今はアメリカの地で暮らしている。

彼女と話していると、ネガティブをポジティブに変える力がある。

いろいろと経験してきたからこそ強さを感じる。

一番は、彼女のような生き方も決して悪くないと思わせてくれるところだろう。

そんな彼女に束の間のリラックスタイムをもらった。

残念ながら、見に行きたかった大リーグは雨のために中止になったが。。

第83話

3日目は午前中は引き続きレッスン。

そして、午後19時くらいからだったと思うが、NYでのピッチがあった。

ピッツバーグでの本番の前哨戦といったところだろうか。

会場は日本にも最近増えたシェアオフィスの一角といったところで、50人も人が入れば埋まってしまうくらいのところだ。

オーディエンスは日本人が多く、外国人であっても日本語が話せる人も多かった。

現地のコディネーターが日系企業の駐在員たちに声をかけていたようで、納得した。

まあ、俺も上海にいた時期があるのだが、日系企業の駐在員ほどロクでもない人材はいない。

大手企業になればなるほどそういった傾向が強いといっても過言ではない。

なぜグローバル企業が日本から生まれないのか。

それは日系企業の駐在員を見れば一目瞭然だ。

高い志を持って、まともな仕事をしている人は本当にごくごく一部の人間のみで後は帰国する日をカウントダウンしているのみだ。

そんな中でのピッチは、はっきりいってなにも生まないし、こちらのモチベーションも上がらない。

唯一の救いだったのは、そんな中にも日本語が話せないアメリが人が声をかけてくれたばかりではなく、stakに興味を持ってくれたことだ。

第84話

名刺を渡して、連絡するからアメリカ進出についてのアドバイスが欲しいと伝えた。

いや、正確には伝えたつもりだ。。

俺は英語ができないから、どこまで伝わったかわからないが、誰も助けてはくれないのだから、とにかく必死に拙い英語で話すしかない。

そんな感じでNYでのピッチは終わった。

終始雨模様で寒さが目立ったNYだったが、雨も止んだ最終日の夜にエンパイアステートビルに行くことにした。

入口がわかりにくく、入場料も1人50ドル(約5,500円)を超えていたことにも驚いた。

もっと驚いたのが、そんなに大した夜景ではないことだが。。

いずれにせよ、5月中旬にしては記録的な寒さで、しまった冬物の衣服を再び出すほどだと現地の人がいうほどの歓迎をNYでは味わえた。

そして、ステーキはさすがに美味く日本よりも安価だったことも覚えている。

なにを得たかといわれれば皆無なのだが、それでも雰囲気とまた行きたいと思わせてくれる言葉にならない魅力が確かにあった。

そんな貴重な経験をさせてくれたstakには要所要所で感謝している。

第85話

翌日はピッツバークへ向けての旅だ。

初めてのアメリカで国内線で乗り継ぐという経験ができたのも良かったことの1つだ。

NYの中心マンハッタンからUberで空港へ向かう。

到着したのはジョン・F・ケネディ空港だが、ピッツバークへ向かう空港はニューアークリバティ空港。

ちょうどNYを横断する感じだ。

ニューアーク空港ではセルフチェックインで若干の戸惑いもあったが、人の流れに乗っていけばなんとかなるものだ。

そして、国内線の機体のサイズに驚いた。

左右に2席ずつの4列しかない小型機で約1時間のフライトだ。

ピッツバーグの知名度は日本でいうところのどのくらいなのだろうか。。

カーネギーメロン大学と聞けば、もう少し知名度が上がるかもしれない。

今回の旅ではカーネギーメロン大学へ日本の大手企業からMBAを取りに行っている人たちとの意見交換の場もあるということだ。

いずれにせよ、NYとはまた違った場所に行けることに英語縛りのピッチ本番が控えて若干の憂鬱はありつつも、ワクワクしていた。

ハッタリと嘘の狭間で 第76話〜第80話

第76話

「Hack Osaka 2019」との共催で行われたMonozukuri Hardware Cup 2019というピッチだ。

英語縛りのピッチだけど出てみませんか?という誘いにノリでオッケーです!と答えたレベルで、正直なにも考えていなかった。

こんなに大規模なピッチだとも思っていなかったし、英語なんか全然できなくても、まあどうにでもなるだろうという感じだ。

一応、英語のできる人にピッチ用の英語のプレゼン資料を作ってもらって暗記した程度だ。

確か4分のピッチだったと思うが、動画も使うので実際は3分もないくらいの内容だったと記憶している。

ただ、このピッチは思っていた以上の規模で、日本代表を決めるピッチだった。

質疑応答も英語でとなると、全く歯が立たないということがわかると脳天気な俺も少々ナーバスになった。

とはいえ、やるしかないので登壇した。

まあ、ボロボロだった。

英語の質問は全くなにを言われているかわからなかったし、人前で話すことに普段はなんの抵抗もない俺が久しぶりにイヤな汗をかいたことは覚えている。

第77話

そんな状態だったので、展示会も併設されていたのだが、ピッチが終わるや否やさっさと会場を後にしたくて運営側に帰っていいかを聞いた。

するとピッチの順位発表があるまでは残っていてもらいたいということで嫌々残っていた。

広い会場で結果発表がされるということだったが、せっかく大阪まで来たのでなにか美味しい飯でも食って帰ろうと検索していた。

そんなとき、まさかのコールがあった。

「優勝はstak!」

えっ!?と一緒に来ていたメンバーたちと顔を見合ったが、どうやら優勝したらしい。

優勝はもとより入賞すらないと思っていた俺は、広い会場の後方に座っていたため壇上まで駆け足で向かった。

英語でのコミュニケーションが全く取れていなかったにも関わらず優勝。

同時に5月にアメリカで行われる本大会に日本代表として出場も勝ち取ったことになる。

まさか、こんなことになるとはというのがベタだが本当にそんな感じだ。

このことは当然ネットニュースにもなったし新聞記事にもなって、そこからいろいろと問い合わせも増えたのは事実だ。

その様子はこちらのブログに書いてもらっているので、時間のある人は是非見てもらいたい。

第78話

ということで、stakはアメリカに行くことになった。

場所はNYとピッツバーグ。

5月中旬に向けて、初めてアメリカに行くというきっかけをもらった。

しかも、優勝賞金もあるので実質タダで行ける。

こんなことはモノづくりをやらなければできなかったことだ。

全く狙っていなかったので、ただのラッキーに過ぎないのだが、それでもやったことのある人とない人では雲泥の差がある。

英語縛りのプレゼンをしたことがある人は、おそらく日本にはまだまだ少ない。

英語が話せないくせに、壇上に上がる人となるともっと少ないだろう。

少なからず、俺はその1人にはなれたわけだ。

そして、アメリカでのピッチで優勝すれば5万ドル(約600万円)ということも聞いていたので、本番までの1ヶ月と少しの間はさすがに英語を少しはやろうと思った。

周りの英語のできる人や英語を勉強している人に片っ端から声をかけて、なんとかその準備をしようと心がけた。

ただ、どうしても別の仕事に追われて後手後手になってしまう。

そして、気付けばGWになっていた。

第79話

さすがにマズい。。と思いなんとか調整をして本番に望むことになるのだが、英語縛りは結構ナーバスにさせてくれた。

さらに日本からNYまでは遠い。。

アジア圏には結構な頻度で往復していた時期もあり比較的慣れているのだが、なにせ初めてのアメリカ。

寝て起きてもまだ飛行機の中。

飯も何回も出てくる。

ようやく着いたNY。

イミグレのゆるさに早速のカルチャーショックを味わいホテルへ向かう。

Uberという画期的なサービスが生まれ、会話ができなくてもホテルまで連れて行ってくれる。

Uberは海外こそ便利だということを痛感させてくれる。

到着当日は空港からホテルまで移動して、すっかり夜だったので近くのタイムズ・スクエアにだけ行こうということになった。

タイムズ・スクエアはなにかと目にしたことのある場所だ。

翌日からのスケジュールもいまいちよくわからずアメリカに降り立っていたので、せっかくNYに来たのであれば、タイムズ・スクエアくらいは見ておかないとというアメリカでもノリ重視は変わらない。

第80話

ホテルから歩いて10分もしないうちに目的のタイムズ・スクエアへ到着した。

感想は「あ、こんなもんなんだ。。」と想像していたよりも小柄な建物にその場を後にした。

それから、時間も遅かったが、せっかくなのでなにか食べようと適当なお店に入った。

サラダ、ポテトを焼いたやつ、手羽先みたいのなのと飲み物を1杯ずつ頼んで、サクッとお店を出ることにした。

会計を聞くと70ドル(約7,500円)にチップ。

クオリティと価格が全く合っていない現実に、え!?と一瞬思ったが、まあこれも聞いていたとおりだなと割り切った。

日本は本当に飲食店のクオリティの高い。

そして安い。

500円もあれば美味しくお腹いっぱいにさせてくれるお店がたくさんある。

そんな小さなカルチャーショックを重ねていくことも、stakを開発しなければできなかったことだ。

狭いくせに1泊30,000円以上するホテルに戻ると、明日からのピッチの本番に向けての練習に備えてはやめに就寝する。

明日はどんなカルチャーショックを受けるのか、楽しもうとしている自分と憂鬱も多少あったことは覚えている。

 

ハッタリと嘘の狭間で 第71話〜第75話

第71話

exit(イグジット)とは、その名のとおり出口という意味で、一般的にはIPO(株式上場)するか、M&A(売却)するか、いずれかを指す。

もう少し詳しく書くならば、IPOとは株式を公開することで誰でもその会社の株が買えるようにすること、M&Aとは会社をどこかの会社に買ってもらうこと、売ることである。

VCの人と話をすると、決まって将来はIPOしたいと考えているのか?と聞かれる。

正直、IPOは資金調達の1つの手法であり、そこを目指して会社を作っているわけではないという人も多いと思う。

ただ、おカネを出してもらう以上、イケイケ感は出さないといけないので、「はい、IPOを目指しています!」と言い切った方がいいというのが、スタートアップ側の実態ではないだろうか。

もっともハネるパターンは、シードの時期にVC側ができるだけ多くの株を保有しておいて、その会社がIPOした場合だ。

それこそ、数百万から数千万円が何百億円とか何千億円となる可能性もあるからだ。

 

第72話

そして、日本のVCはあまりM&A(事業譲渡)を好まないという特徴もある。

海外ではM&Aをした創業者はヒーロー扱いだそうだが、日本ではまだまだネガティブに捉えがちだ。

VCなどの出資者側からすると、もちろんIPOの方がリターンが大きくなるので少しでも時価総額が大きくなって欲しいと望むのは当然だろう。

ただ、俺も紛いなりにも創業者という立場である。

M&Aして大きな資本が手に入ったとしたら、それを元手にまた事業をやる可能性も十分にある。

となれば、その事業にまたVCが出資してくれればいいのでは?と思ったりもする。

シリアルアントレプレナーという言葉を知っている人がどのくらいいるだろうか?

日本語にすると連続起業家といったイミフな表現になってしまうことが多いが、要するに何度も新しい事業を立ち上げる起業家を意味する。

アメリカにはたくさんいる人種だが、日本では本当に数少ない。

そういった人種がいるからこそ、世の中には新しいサービスや商品が登場するのも事実だ。

俺はそっち側でありたいと思う。

いずれにせよ、おカネを欲している側、おカネを出す側には、こういったからくりがある。

 

第73話

2018年12月24日に今までになかった機能拡張型IoTデバイス「stak」の販売開始する!と息巻いていたにも関わらず延期。

検証期間等が不十分だという理由から、2019年2月14日のバレンタインデーには必ず発売する!と気を取り直していたにも関わらず延期。

三度目の正直というベタな言葉を借りて、2019年4月1日に販売開始日を再設定。

ここは絶対に死守するということで、なんとか4月1日から世に登場されることができた。

Makuakeで支援してくれた人へ配送を開始した。

当たり前のことだと一蹴されるかもしれないが、1枚1枚丁寧に伝票の宛先を書いた。

そして、1つずつ箱にstakと御礼状を入れては梱包をくり返した。

どこの配送業者を使うか相見積りをした結果、佐川急便を利用することにしていたので、担当者に来てもらった。

配送の箱の数の多さに少々驚いていたようにも見えたが、そこはプロ。

2〜3往復して全部回収していくので、お任せくださいということで、4月1日から数日以内にMakuake支援者の手元には届けることができた。

 

第74話

安心したのも束の間、最低限使える状態ということで理解をもらっていたつもりだが、まあ手厳しいクレームももらった。

セットアップがわかりにくい。

ケースが開けにくい。

アプリが使いにくい。

それ以外にもいろいろあった。

こっちは全く関係のないネットワークの問題なども、こちらの責任になる。

スタートアップから買ったものはバグがつきものだ。

stakに対してもそれはいえることは正直に認めよう。

実際にバクもあったし、検証不足のところもあった。

とはいえ、信用のなさは想像を超えていた。

使う側としては、自分に否があるとは考えていないのだ。

とにかく、商品やシステムに不備があるということで、開発側、つまりは販売側を攻める。

結果、こちら側が悪くなかったことに関しても、そういう人が自分が悪かったなどと認めるはずもない。

なんやかんやとそれっぽい言い訳をしてくるが、はっきり言ってウザい。

まあ、一定数のクレーマーは常に湧いてくるということだ。

ただ、だからといって意見を受け入れないというか、対策をしておく必要はある。

一度離れたユーザにもう一度使ってもらうことは、かなりハードルが高いからだ。

 

第75話

そんなクレームもたくさんもらいながらも、バクの修正やアップデートは少しずつ確実に行っていった。

ここで、stakを作り始めて良かったと思える1つを紹介しよう。

これは、stakをやらなければ経験できなかったことだ。

2019年3月13日。

場所は大阪、ピッチに出場した。

ピッチというのはいわゆるプレゼン大会で、近年では日本国内でもかなりの数が開催されている。

地方都市の小さいものから、有名なものまで実に様々なピッチがある。

ありがたいことにstakもいろんなところから声をかけてもらい、話をさせてもらう機会をもらった。

スタートアップは目立ってなんぼの世界でもあるので、こういった場には積極的に参加することをオススメする。

特にスタートアップの立ち上げ時期であれば声をかけられたら二つ返事でyesをいうべきだ。

そして、そういう場に出る機会を得るためにもSNS等での情報発信もした方がいい。

もちろん、そのときどきの戦略や規模に応じて対応していく必要はあるが、営業力を養う上で勉強になることは間違いないからだ。

ハッタリと嘘の狭間で 第61話〜第65話

第61話

俺はノリの人間で褒められたら浮かれるし、ディスられたら腹が立つし凹む。

でも、自分の中でやり遂げたい目的を達成するために目標を掲げている。

同時に、自分だけでなく仲間やお世話になっている人たちを巻き込んでいる。

だから、販売開始日が延期せざるを得なくなり、否定的な意見をもらえたことは少しだが俺を大きく強くしてくれた。

2014年2月3日に株式会社Needol(ニードル)を設立してから、ちょうど5年後。

2019年2月7日に株式会社stak(スタック)へ商号変更の登記が完了した。

商品名と会社名が違っているのはユーザにとって良くないということで、社名変更を行い、気分も一新した。

2019年2月1日が株式会社stakの第1期の始まりということだ。

Needolを設立したときには、まさか5年後にIoTの世界に舵を切るとは思ってもみなかった。

人生とはなにがあるかわからない。

だから面白い。

2月14日の発売開始から余裕を持って1ヶ月半ほど遅らせることを確定した。

2019年4月1日。

stakの発売開始は絶対に絶対に守る!

第62話

発売開始が送れると、いろんなところで調整が必要になる。

最も気を配ったのは資金繰りである。

販売が遅延すれば売上は上がらない。

そうなるとおカネをどこかで工面していかなければならない。

どういったおカネが出ていくのか書いておこう。

まずは、当たり前だが人件費や交通費などの固定費は出ていく。

それ以外に「モノづくり」をすると、大きく出ていくおカネがある。

要するに設計ができただけで終了ではない。

これもくり返しになるが、設計が完了しても量産するために金型が必要になる。

そして、金型ができても量産するにあたり、原価が必要になる。

stakの金型は頭脳になるstak本体、赤外線リモコンを不要にするリモコンモジュール、照明をスマートに使えるLED照明モジュールの3つが1つになった金型を作った。

その金型費用は約700万円である。

それから、量産するにも1台あたり10,000円以上が必要になる。

stak本体、リモコンモジュール、照明モジュールの3つを200台生産するとなると、200万円以上かかるということだ。

「モノづくり」をやると決めた場合、このあたりの金銭感覚も重要だ。

第63話

ノリでなにかを始めることは悪いことではない。

むしろ、ノリで行動を始めることは大切なことだと俺は思っている。

行動をする人は本当に少ない。

口だけの人だらけの世の中で、ノリは本当に大切だと思う。

ただ、そんなノリで「モノづくり」を始めるときに必要な知識は共有しておきたい。

俺を踏み台にしてもらって構わないから、少しでも参考になればいい。

「モノづくり」でとにかく大切なのは、スケジュールとおカネ。

スケジュールは遅れることを前提にすべきだ。

作るモノにもよるが、バッファの目安は2〜3ヶ月。

おカネは思っていた以上にかかることを頭の片隅に置いておくべきだ。

作るモノにもよるが、バッファの目安は1,000万円〜2,000万円。

stakと同様の「モノづくり」をやろうと思っている場合、いくらでも公開するので連絡をもらいたい。

ということで、2月14日から4月1日の発売に向けて、1つずつ課題を潰して、確実に届けることをマストにして1日1日が過ぎていった。

俺の最大のミッションは資金調達と大量にstakを導入してもらえる先を見つけることだ。

第64話

そのために、ずっとVC(ベンチャーキャピタル)を回ってきた。

知らない人も多いと思うので、VCとはなんなのか簡単に説明しよう。

簡単にいうと、いろんなところから預かったおカネを束ねて、スタートアップ(生まれたての会社)や上手くいきそうな会社に出資して見返りをもらう会社である。

設立当初の会社や設立後間もない会社はおカネに困っていることが多い。

そこにおカネという人参をぶら下げ、会社が大きくなるように応援する。

こういう書き方をすると聞こえが悪いが、VCも企業や人から預かっているおカネを運用しなければならないので、必死なのである。

10社に出資して、1社が上手くけばいいというVCの人もいれば、3社は当てないとダメだというVCの人もいる。

いずれにせよ、そのレベルでしか見返りがもらえないということは、大きく成長するスタートアップも少ないということだ。

無責任な言い方をすれば、先のことは誰にもわからない。

ある意味、ギャンブルに近いということである。

第65話

そして、VC(ベンチャーキャピタル)にもいろいろな特徴があって、スタートアップのどの段階で出資するかではっきり分かれている。

なお、スタートアップ企業という言葉はベンチャー企業に置き換えられることも多いが、ベンチャー企業とは俗にいう和製英語なので、俺は極力使わないようにしている。

なので、今後もスタートアップとかスタートアップ企業という書き方で進める。

話を戻して、スタートアップに投資する時期でVCの特徴があるというのも「?」だと思うので、説明しておこう。

要するに、スタートアップの成長段階に合わせて出資するVCがあるということだ。

スタートアップの成長段階は大きくわけて、シード、アーリー、ミドル、レイターと4つに分類される。

シードは、種子という語源からもわかるとおり、まさに企業の準備段階という初期の初期の段階。

アーリーは、設備投資や研究開発などに多額の資金を必要とする段階で、良くいわれるのが、売上高2億円以下、従業員も10名以下(まあ、業種によるので一概にはいえない)という状態だ。

ミドルは、ようやく事業が軌道に乗り始め企業が急成長していく段階で、倒産リスクも少なくなり社会的信用も得られてくる状況。

レイターは、exit(イグジット=出口)が見えてきた段階で、株式上場を検討する時期のこと。

もう少し細かく分けられることもある。

ハッタリと嘘の狭間で 第56話〜第60話

第56話

ダラダラと講釈を垂れてきたが、俺は挑戦する人であり続けようと思う。

それはstakに限らず、あらゆる方向でそうありたい。

ということで、2019年2月14日にstakは販売開始ということで、ここは絶対だと、くり返し主張していた。

Makuakeのクラウドファンディングが終わるのが1月中旬。

その1ヶ月後にはリターン品、つまりstakが手元に届く。

ここもとても大切に考えていた。

というのも、クラウドファンディングあるあるで、リターン品の到着が遅れます。。というものがある。

スタートアップがやることなので、当初のスケジュールどおりに進むのは難しく、多少の遅延はつきものだという、ちょっとした風潮もある。

ここは是が非でも守りたい!

そう決めていた。

これは知る人ぞ知ることなのだが、stakの販売開始日は2018年12月24日という設定だった。

イベントに合わせるということで、タイミング的にいけそうだったのがクリスマスイブだった。

そして、クリスマスプレゼントをファンに届ける!というストーリーは悪くない。

実際に2018年の夏場あたりは、そのスケジュールで動いていた。

第57話

ずっと協力してくれているブレイブリッジ社とも、そういう話でいろいろとスケジュールをタイトに設定してもらっていた。

そこにはプレゼント概念の啓蒙戦略もあったが、やはりとにかく1日でもはやく世に出したいという気持ちもあった。

ただ、やはりなかなか上手くいかないところもある。

検証期間が短く、中途半端なままの商品をファンに届けるのは、せっかく興味を持ってくれた人がすぐに離れる結果になる。

そして、第一印象が悪くて離れて人が戻ってくることは、様々な商品が登場しているIoTの世界では特に難しい。

つまり、最優先は発売日ではなく、完璧な状態でなくてもいいから、最低限使ってもらったときに納得してもらえることだ。

ということで、クリスマスイブの発売というのは不本意ながらも諦めた。

そして、次の候補がバレンタインデーになった。

こちらが勝手に決めたこととはいえ、二度も延期はできない。

ましてや、クラウドファンディングも実施していて、1ヶ月後にはしっかりstakを届けるという宣言もしていた。

そのスケジュールも何度も何度も確認しながら決めたことだった。

それなのに、2019年2月14日の発売開始も延期を余儀なくされた。

第58話

完全に言い訳になるが、開発のスケジュールが甘かった。

二度目の延期を余儀なくされた。

第1話からちょいちょい披露しているが、俺の根本には「ノリ」がある。

もちろん、ある程度は戦略や戦法を考えている。

けれども、いつもどこか細かく考えすぎても仕方ないというところに行き着いてしまう。

それがいいか悪いかは正直わからない。

二度も発売日が延期になっているのだから、悪いことだという声が多いのも理解できる。

ただ、二度の延期を経て得たものもある。

そのあたりは、別途書いていくとして、とにかく2月14日のバレンタインデーをstakの販売開始日にするという計画もズレ込んだ。

Makuakeで支援してくれたファンの方々へは全員に謝罪のメッセージを送った。

その内容は、「こちらの完全なる不手際でリターン品の配送が2019年4月1日に延期せざるを得なくなり、本当に申し訳ありません」というものだ。

と同時に、完全にこちらの都合なので、返金対応も受け付けるということも述べた。

すると、中には詐欺師呼ばわりする人がいたり、罵声とともにすぐに返金しなさいと強い口調で返信してくる人もいた。

第59話

このあたりのクラウドファンディングの支援者についても少々誤解していたところがあったことも書いておこう。

クラウドファンディングとは、プロジェクトの起案者に共感した人が支援するという応援という側面が強く、基本的にはリターンを求めるよりも寄付に近い概念があるという理解だった。

そして、それは俺だけでなく世間一般的にもいわれている概念だと思う。

ただ、これだけ急速に世の中に浸透したのもあってか、必ずしもそういった支援者ばかりではないということだ。

もちろん、スケジュールを守れないプロジェクトおよび起案者に一番問題があって、その責任転嫁をするつもりはない。

ただ、初めてやることが多いプロジェクトは、スケジュールどおりにいかず、結果リターンが遅延する場合は比較的あるあるだ。

以前も同様のことを書いたが、特にデバイスやガジェット系のプロジェクトになるとそういった傾向が高くなる。

くり返すが、だからといって言い訳して遅延していいわけではない。

とはいえ、Makuakeだけでなく、他のクラウドファンディングのプラットフォームでもクレームとなっていることが多いのもまた事実だ。

そして、支援者も様々だ。

第60話

2019年2月14日のバレンタインデーの販売を断念し、Makuake支援者にその意図を伝え、返金キャンセルを受け付けた結果、約1割の支援者が離れた。

そして、その1割の多くは、なかなか強烈な言葉を残して去っていった。

あまり思い出したくない過去だが、一部紹介しておこう。

「本当にできるんですか?」、「できない約束は最初からしない方がいいと思います」、「私には関係のない理由なので大至急返金を希望します」など、割とオブラートに包んで書いてみた。

もっと強烈なのもあったが、無名な人がクラウドファンディングをする段階ではファンというよりもアンチに近いギリギリのファンという意識を持っていた方がいい。

他の人から聞くと1割というのはまだいい方だという意見もあった。

もう1つ、支援すらしていないアンチも現れる。

「最初からできないと思っていた」とか「始まる前から終わった」といったスレッドが勝手に立っているのを知ったときには、なんともいえない気持ちになった。

ただ、ここが延期せざるを得なくなり、身に沁みて味わったいいところでもある。

ハッタリと嘘の狭間で 第51話〜第55話

第51話

新しいモノが好きだという人には手に取ってもらえる可能性が高い。

デバイスやガジェット好きという人であれば、手に取ってもらえるだけでなく、購入してもらえる可能性も高い。

でも、全く興味のない人や少しだけ興味のある人にはstakは無価値だ。

stakだけではなく、他のIoTデバイスも同様だ。

あれだけTVCMや交通広告を打ち出している「Alexa(アレクサ)」で呼びかけるAmazon Echoや「OK Google(オッケー グーグル)」で呼びかけるスマートスピーカーの2018年の日本での普及率はわずか6%だという。

Makuakeでクラウドファンディングを実施した当初は、そんなデータもなかったが、アメリカやヨーロッパでスマートホームという概念が想定していたよりも浸透していないという情報は入っていた。

そこで、とにかく啓蒙活動は必要だということはヒシヒシと感じていたのだ。

今でもその気持は変わらないのであるが、自分では買わなくてもプレゼントしてもらうことで、使うようになるというシーンをstakは想定している。

第52話

バレンタインデーにMakuakeの支援者への配送および一般販売開始を設定したのは、まさにそこにある。

周知の事実だが、バレンタインデーはチョコレート会社のPR戦略に端を発している。

そして、女性が男性へチョコレートを贈るという風習を植え付けた。

その市場規模は減少しつつあるとはいえ、2019年でも約1,260億円というデータがある。

注目したいのは、贈るものは必ずしもチョコレートでなくなり、女性から男性という概念も崩れている。

つまり、PRという仕掛けは年月が経てば形が少しずつ変わっていくということで、資本主義の世界ではプラスに働くこともあればマイナスに働くこともあるということだ。

バレンタインデーに贈るものが、stakであってもいい。

もちろん、彼女から彼氏へでもいいし、女友達から女友達でもいい。

とにかく、プレゼントするという概念を植え付けることに最大のプライオリティがあるのだ。

そして、それは別にバレンタインデーに固執する必要もない。

少し考えただけでもプレゼントを伴うイベントは年中ある。

第53話

バレンタインデーがあるということはホワイトデーもある。

季節を追っていけば、卒業や入学に関するイベント、こどもの日、母の日、父の日、敬老の日、クリスマスなど強引に挙げればまだまだある。

なにもメジャーなイベントでなくてもいい。

例えば、引っ越しするという人への引越し祝いや結婚式の引出物でもいい。

引っ越しと結婚の掛け合わせで、新居へのプレゼントにもstakは最適だ。

stak以外のIoTデバイスであっても喜ばれるはずだ。

少しずつ認知度を高め、一度使ったらその便利さから抜け出せなくなるように圧倒的なUXとUIの改善をすればいいのだ。

そこが「モノづくり」をする側の命題である。

stakは機能拡張型という、ハード面での機能が増えていくという特徴がある。

つまり、買ったら終わりではなく、新しい機能が使えるようになることで飽きさせない、ワクワクが続くことでファンを喜ばせたいという想いが強くある。

くり返しになるが、スピーカー、フレグランス、虫よけ、カメラ、センサー、モバイルバッテリーなど様々なモジュールという機能拡張のモノが登場する予定だ。

そして、その登場するモジュールの販売はイベントがあるときに被せていくという戦略をとろうと思っている。

 

第54話

それを徹底することで、次のイベントのときにはstakをプレゼントに使おうという人が1人でも増えればいい。

それ以外にもPRに絡ませたキャンペーンもいろいろと打ち出していこうと思っている。

まあ、stakという商品を開発できる状況が1日でも長く続けばということが大前提だが。。

IoTデバイスが世の中でメガヒットしていない理由を俺なりに分析してみると、とてもシンプルな答えに行き着く。

それは、今すぐに必ずしも必要なものという位置づけでないからだ。

日常の生活に必要なものほどインフラ化しやすい。

一般的なインフラとは、電気、水道、ガス、インターネット回線などが挙げられると思うが、ここでいうインフラとは列挙した機会的な設備という意味ばかりではない。

人はお腹が空く生き物だ。

毎日、なにかしら飲食する。

寝る前にお風呂に入ったり、シャワーを浴びる習慣がある。

毎日、バスルームでシャンプーやリンスなどを消費する。

化粧をする人であれば、メイク道具は必須だ。

こういったものをインフラと称するとすると、毎日必要なものということになる。

IoTデバイスがその領域にいくには、まだまだということだ。

第55話

では、なぜまだまだの領域に留まっているのだろうか。

その理由も簡単だ。

多くの人にとって、IoTとかAIといった言葉が単純に難しいものだと脳内でリンクされるからだ。

そして、人は往々にして難しいもの、つまり自分が理解できないものについては、怖いとか不安が勝り遠ざける傾向にある。

自分はそういうことに疎いからという一言で遠ざけるだけでなく、ネガティブな感情に流されやすい。

IoTが批判される筆頭がセキュリティ問題だ。

情報漏洩する危険性は確かにあるが、必要以上なマイナス面のアピールがされる。

AIは仕事が奪われるという方向に持っていかれる。

AIに奪われる仕事とか生き残る仕事といったタイトルの記事を目にする機会が増えた。

いずれも恐怖を煽ることでアクセス数を稼ごうとするものが多い。

少し考えれば簡単なことなのに、大衆がネガティブな方向へ向かうと流される人がいかに多いことか。

人類が進化を遂げてきたのは、10%の変化を恐れない人たちの挑戦によるものだという。

つまり、10人いたら1人しか実際の行動に移さないということだが、なるほど理解できる。

 

ハッタリと嘘の狭間で 第46話〜第50話

第46話

わかりやすくいうと、1人の人に8,500円の商品を買ってもらうために、その人に32,769円を渡して買ってもらっていたということだ。

クラウドファンディングの期間は約2ヶ月だったのだが、開始後10日くらいして伸びが緩和したところで、確認したらこんな状況になっていた。

また、獲得単価(CPA)は広告を出していた期間の平均値であり、ひどいときは72,562円という日もあった。

これはどう考えても一旦ストップすべきだということで、担当者に申し出たのだが、それが受け入れられたのが2日後。

つまり、1日75,000円に設定されていた広告予算が約2日間垂れ流されて、126,992円をドブに捨てたのだ。

もちろん、サクセス後に100万円分の広告宣伝費をかけて大丈夫だということは話をしていた。

ただ、それは当然広告宣伝費をかけた分だけ支援者が集まるということに限ってだ。

広告宣伝費をかけている期間の詳細について、担当者からは全くの連絡もなく、こちらからつついた際に嫌々と対応をされ、渋々応じた。

第47話

もちろん、広告宣伝費をかけることに同意したのはこちらなのだからという担当者の主張は理解できる。

ただ、広告宣伝費をかけるに至った経緯は、プロジェクト開始前の複数回に渡る打合せで、stakは間違いなく大きなサクセスができるプロジェクトだからというMakuake側のお墨付きがあった。

それに乗せられた俺がバカだといわれてしまえば、それまでだが、百歩譲って担当者の対応がずさんだったことは否めない。

なぜ、こんなことを書くのかというと、Makuakeで実施された類似プロジェクトのデータを知っているからだ。

上手くいったプロジェクトはこんな感じだ。

  1. 商品単価49,880円に対して獲得単価(CPA)7,910円

  2. 商品単価49,880円に対して獲得単価(CPA)8,333円

  3. 商品単価73,800円に対して獲得単価(CPA)6,418円

一方で上手くいかなかったプロジェクトはこんな感じだ。

  1. 商品単価30,000円に対して獲得単価(CPA)95,227円

  2. 商品単価35,000円に対して獲得単価(CPA)62,358円

この数字を見れば、stakの広告宣伝が上手くいかなかった側にカテゴライズされるのは明確だ。

第48話

それはMakuakeのせいではなくて、stakのプロジェクト自体に魅力がなかったからだろう!という批判があるかもしれない。

もちろん、そこについて否定するつもりはない。

ただ、stakはMakuakeが広告媒体として使ったFacebookやInstagramとは別にNewsPicksも使った。

このときに使った広告宣伝費は30万円だった。

リンク先はLP(ランディングページ)にしており、ここから獲得した支援者はMakuakeの獲得単価(CPA)に比べるとゼロが1つ少ないくらい歴然としていた。

同時にニュースレター登録者も相当数獲得できていて、非常にコスパのいい広告宣伝になった。

こういった背景もあり、Makuake担当者の対応や広告媒体についての不満が生まれた。

念のためくり返すが、プロジェクト自体に魅力がなかったとか、料金形態がわかりづらいといった声はたくさん聞いた。

そこに対して否定は全くしない。

いずれにせよ、stakはMakuakeの広告媒体を使って2週間足らずで50万円以上溶かした事実があり、クラウドファンディングをやるという方は広告宣伝について是非参考にして欲しい。

第49話

こんな感じでパッと見たら300万円以上集めて大成功したように見える、stakのクラウドファンディングも実際に入ってきたおカネは200万円を切っていた。

Makuakeへの手数料20%と広告宣伝費による負担が思った以上に大きかった。

とはいえ、ファン(ユーザ)の確保はある程度できたし、いい勉強になったと気持ちを切り替えた。

細かい数字ややり取りを知りたいという方は連絡をもらえたらいくらでも開示することを約束しよう。

初めてクラウドファンディングをやるという方には、いろいろと参考になることも多いと思うので、いつでも開示する覚悟はある。

大手企業には理解できない、スタートアップならではの資金力やPR力というのがある。

はっきりいって俺は弱小だ。

でも、弱小なりにもがいてきたこと、もがいていることが未だに多々ある。

そういったものは共有するに限る。

なぜなら、スタートアップの成功率を0.01%でも上げるためだ。

それが健全だと思っているし、なによりも自分の力でなにかを始めようとしている人は心から応援したい。

それは、自分自身も成し遂げたい世界があるからだ。

第50話

記録という意味で、stakのMakuakeの結果を掲載しておく。

そして、実際に手にしたおカネが200万円に満たなかったことも改めて書いておこう。

クラウドファンディングが終わったからといって、もちろんここがゴールではない。

むしろ、支援してくれたファンの方々のためにより力を入れていかないといけない。

その第一目標は、クラウドファンディングのリターン品の配送日に決めた2019年2月14日にstakを配送していくことだ。

この2月14日にしたことにも理由がある。

2月14日といえば、バレンタインデーである。

近年は10月末のハロウィンに経済効果をすっかり奪われてしまったというネガティブな情報もあるが、まだまだバレンタインデーという言葉の認知度は高い。

そして、バレンタインデーには、プレゼントをするという風習もある。

それにあやかって、stakもにも「プレゼントする」という概念を植え付けていきたいというエゴからだ。

IoTデバイスとは市民権を得つつあるが、それでもまだ購入するということに関してはハードルが高い。

であれば、啓蒙活動が重要になる。

ハッタリと嘘の狭間で 第41話〜第45話

第41話

機内では先日の打合せからの睡眠不足からほぼ爆睡状態で広島に到着して、チームメンバーと別れた。

打合せの課題になっていたクラウドファンディングのプロジェクトを進めなければならない。

深セン・香港の視察が当初の予定より若干後ろ倒しになったことから、11月26日から約1ヶ月半という期間に定めて実施することになった。

プラットフォームはMakuakeを使うことにした。

なぜ、Makuakeにしたのか?ということも、しばしば聞かれるので、この話もしておこう。

そもそも、stakはkickstarterでクラウドファンディングをすることを目標にしていたことは以前に書いた。

その理由は、一気に海外を狙いたいという安易な気持ちからだ。

それが2018年9月ごろだったことも書いたが、結局諦めた。

今の体制で海外へ出るのはハードルが高いということで、まずは国内から攻めようという気持ちを固めた。

もちろん、クラウドファンディングはやることを決めていた。

そして、そのときにMakuakeかCAMPFIREの二者択一だったことも決めていた。

第42話

なぜ、その2つに絞っていたかの理由を述べよう。

単純に日本でメジャーなクラウドファンディングのプラットフォームだからだ。

他にも細かいことを挙げると下記の理由がある。

  1. 過去におカネを多く集めた似たカテゴリのプロジェクトがあること
  2. 過去に多くの支援者を集めた似たカテゴリのプロジェクトがあること
  3. サポート体制
  4. サクセス時の手数料

このあたりを相対的に判断すると、MakuakeかCAMPFIREの2つしかないだろうという結論に至った。

要するに、クラウドファンディングをやる以上は少しでも多くの人に見てもらえなければ意味がないということだ。

そして、両社のいずれかに絞るために、いずれの会社にもアポを取って打合せに行くことにした。

結果、Makuakeを選択した。

その理由は、デバイスやガジェット系であればMakuake、イベント系のクラウドファンディングであればCAMPFIREを使うべきだという判断をしたからだ。

つまり、stakは機能拡張型・モジュール型のIoTデバイスなので、Makuakeを選択した。

また、専任の担当者が数人ついてくれることも心強いと感じた。

では、次回もMakuakeを使うか?という質問もしばしばもらうが、その答えは「?」だ。

第43話

それは、Makuakeの担当者にある。

正直、ノリの部分が大きくこちらのことに対して真剣に取り組んでくれているとは思えなかった。

もちろん、たくさんのプロジェクトを1人の担当者が抱えていることは理解できる。

時間がなかったり、ある程度は流されても仕方がないことはこちらも想定内だ。

では、なぜそう感じたか。

決定的だったのは広告費だ。

Makuakeではプロジェクトをサクセスさせた後に、SNSをはじめとしたいろいろな広告媒体で宣伝ができるようになる。

参考までに他の過去の類似プロジェクト(デバイス、ガジェット系)がどういった形で広告をかけてきたか教えてもらえる範囲内で聞いていた。

注目していたプロジェクトはおカネをたくさん集めたプロジェクト、同時に支援者もたくさん集めたプロジェクトである。

そういったプロジェクトは軒並み広告をかけていたことから、stakもサクセス後には広告費をかけるようにお願いしていた。

その上限はまずは100万円という約束で、それを使い切った後にまた追加するといった内容だ。

それほど、クラウドファンディングにおカネを投じることは決めていた。

第44話

ただ、この広告宣伝費が異常な数値を出していたのだ。

この広告宣伝費でのやり取りが、本当に不毛だった。

クラウドファンディングはまずはプロジェクト初日がとても重要である。

プロジェクト開始後、初日から2〜3日目の集まり方でサクセスか否かが、ほぼ決まるといっても過言ではない。

この時点で50%近くに達していないプロジェクトは、ほどんどアンサクセスになっているはずだ。

例外的に、有名人がやっているとか、高額目標金額に設定しているプロジェクトや、メディアに急に取り上げられたりしたものはサクセスの可能性はある。

ただ、多くのメディアはバズっているプロジェクトに食いつくので、スタートダッシュは本当に大切なのだ。

ただ、プロジェクト発起人は必至なので1円でも多く集めよう、1人でも多くのファンを囲おうということで、広告宣伝費を投じる場合も多い。

stakもまさにその中の1つで、12時間で100万円のプロジェクトをサクセスさせた後に広告宣伝費をかけて少しでもプロジェクトを伸ばそうと試みた。

第45話

ということで、stakもサクセス後に広告宣伝を即座に開始した。

設定等はMakuakeの担当者に任せており、後々知るのだが、1日の予算は75,000円に設定してあった。

正直、広告予算設定の金額はどうでもよかった。

肝心なのはコンバージョンである。

広告宣伝費をかける以上は、広告宣伝費以下で商品を購入させるのが当然だ。

つまり、10,000円の売り切り商品を買ってもらうのに、広告宣伝費が30,000円をかけていては赤字を垂れ流していくだけだ。

stakの場合、まさにその状態になっていた。

獲得件数(CV)に対して、獲得単価(CPA)は32,769円というデータが残っている。

Makuakeは購入型のクラウドファンディングなので、支援者にはリターン品といって、お返しとして商品やサービスの提供がある。

その商品やサービスを通常価格でお返ししていては支援者にメリットは少ない。

なので、商品が完成後やサービスリリース後に定価とする価格よりも20〜30%程度割引したリターン品を準備するのが一般的だ。

stakもそういった設計になっており最大で約30%の割引でリターン品を提供していた。

ハッタリと嘘の狭間で 第36話〜第40話

第36話

香港には何回か行ったことがあるが、初めて行ったときに圧倒されたことを鮮明に覚えている。

なにに圧倒されたかというと、ビルの威圧感だ。

香港は土地がないことから、建物を上へ上へと延ばすことで居住空間やオフィススペースを確保している。

そのビル群の圧力が地震大国の日本とは全く異なることに怖さすらあった。

そんな香港へstakチームメンバー全員でいることが不思議な感覚だった。

ベタに観光したこともなかったので、せっかくなので色々と回ってみることにした。

まずは、百万ドルの夜景で有名なビクトリアピークへ向かう。

香港で一番高い山にある超有名スポットだ。

本来は夜景を見たいところだが、他にも回りたいところがあるということで、昼間に行ったのだが、ここは確かに一度は行っておいてもいい場所だ。

日本では決して味わえない独特の展望が心を踊らせてくれる。

是非、夜景も見たいと思わせてくれる絶景スポットだ。

そして今の時代を象徴する景色も拝むことができたのも印象的だった。

第37話

ビクトリアピークへタクシーで登っていく坂道、帰りの下り坂で頻繁に出会ったのがTESLA(テスラ)の自動車だ。

はっきりいって広島では数回しか見たことがない。

日本の首都である東京ですらそこまで多く見かけることはないが、香港ではとにかくたくさんのTESLA車が走っている。

ビクトリアピークへ向かう道中に3台連続ですれ違うことも珍しくない。

TESLA車とすれ違う度に「1テスラ、2テスラ、3テスラ」と数えていったが、確か50テスラを超えた記憶がある。

ちなみに、その間に日本ではこれでもかというくらいに走っているトヨタのプリウスは2〜3台すれ違った程度だ。

それほどまでに圧倒したTESLA車の登場に時代の変わり目を感じた。

イーロン・マスクが率いるTESLAに魅了されている香港のファンはかなり多いことは明確だ。

日本にいるとこういうことも知ることはない。

もちろん、TESLAのみをとりわけ称賛しているわけではない。

ただ、魅力にとりつかれた人がいて、それを生み出している人がいることは事実だ。

願わくば、俺も生み出している側の人間になりたい。

改めてそう思った。

第38話

ビクトリアピークを後にして、ペニンシュラ香港へ向かった。

俺は全く知らなかったが、なんでもペニンシュラ香港がXO醤を開発したとされる発祥の地らしい。

とりあえず、東京で飲食店をやっている友人へのお土産にいい感じのXO醤セットを買った。

まあ、結果、帰りの飛行機で手荷物で100mlオーバーということでそのうちの1つは持ち込めないのだが。。

手荷物で機内に持ち込む場合には注意が必要なので、共有しておこう。

しかし、ペニンシュラ香港の優美さというか堂々たる姿はなかなかだった。

外観の記念写真を撮る人が常にいる状態で、真下から最上部まで撮るのはなかなか大変だ。

そして、ホテルの中にいる人たちは全員がおカネ持ちに見えるから不思議だ。

実際にそういう人が圧倒的に多いのだろうが、とにかく優雅に余裕を持った人たちが料理を食べたり、くつろいでいる姿を拝むことができる。

参考までに宿泊価格は、2人1部屋でオフシーズンで50,000円程度からといったところだろうか。

あくまで最下層グレードの部屋の価格で、週末やハイシーズンになると料金は跳ね上がる。

ここもまた同様の疑問が生まれる場所だ。

「カネ余りの世の中」という言葉を耳にする。

一体どこにそんな「カネ」が余っているのだろうか。

第39話

ペニンシュラ香港を背に次に向かったのは、尖沙咀(チムサーチョイ)エリアだ。

香港随一の商業エリアで、ネイザンロードなどのネオンがこのエリアの象徴である。

ここもまた日本のネオン街にはない独特の感性が溢れている。

活気もあるエリアで、観光客も多い。

ちなみに数年前のデータにはなるが、香港の人口は約740万人なので、埼玉県の人口とほぼ同じくらいである。

また、国土は東京都の約2倍、沖縄本島や札幌市と同じくらいである。

そんな香港に訪れる観光客の数は年間約3,000万人で、近年の日本にくる観光客数とほぼ同じというデータが出ている。

隣国の中国人が多く来ているという指摘はあると思うが、国土の大きさや人口を比較すると、とても立派なスコアだと感じる。

そんなネオン街をチームメンバーで歩きながら女人街エリアへと向かう。

この女人街エリアは、下町の雰囲気が残るエリアで、若者のカルチャー発信地ともいわれるところだ。

日本でいうところの原宿みたいなエリアだろうか。

所狭しとお店がこれでもかと立ち並び、場所によっては人とすれ違うのも大変なところもある。

このエリアもまた活気のあるエリアだ。

第40話

とまあ、こんな感じで香港エリアも堪能した後に、ホテルに戻り本題のstak打合せが始まった。

間もなく開始しようと思っているクラウドファンディングについての細かい打合せだ。

ストーリー作り、目標金額、クラウドファンディング期間、誰がなにをやるといった細かい役割分担などなど決めないといけないことは山ほどあったのにまさかの香港最終日に打合せという体たらく。

観光する暇があったら、こっちをしろと指摘されても仕方ないが、まあそこはノリで。

そして、いくつかの課題は持ち越しながら全員が眠い目をこすりながら打合せを続けること約4時間。

翌日は6時にはホテルを出ないといけない中、4時過ぎくらいまで打合せをしていたと記憶している。

仮眠を取る程度で横になり、すぐに目を覚ますと空港へ向かう。

ここでもUberを使ったが本当に便利になった。

念のため数万円を香港ドルに変えておいたが現金を使った場面は数える程度だ。

空港へ到着して、イミグレでペニンシュラ香港で買ったお土産が100ml以上ということで没収されて、広島空港へと向かう。

結構いい値段がしたお土産だっただけに、その場で開封して少しだけでも食べれてから捨てればよかったとイミグレを抜けた直後に思ったことを覚えている。