画竜点睛(がりょうてんせい)
→ 物事の肝心なところ。
私は個人的に精神論的なものを信用していない。
気合いとか根性とかなにもロジックのないものは、誰も幸せにできないと本気で思っている。
物事が上手くいくには運とタイミングが重要なのは間違いない。
たまたま上手くいったものも世の中には多々あると思う。
けれども、そういったものは基本的に長続きすることはなく、やはりきちんとロジックがあるものが世の中に浸透していくのだと確信している。
このあたりをあまり深く書きたくない自分がいるのだが、2022年に新たな挑戦をすることを決めている。
そのときに大切なものを忘れないようにするためにも、敢えて物事の肝心な部分を書いておこう。
モスバーガーを展開するモスフードサービス社が好調な理由
飲食業界は誰もが知っているとおり、コロナ禍で大打撃を受けている。
そんな中、既存店売上高が2019年8月以降、2021年10月まで27ヶ月連続で前年同期比プラスとなっている企業がある。
モスバーガーを展開するモスフードサービス社だ。
モスバーガー社長が語る、「創業来の危機」のどん底からコロナ禍で復活した理由
モスバーガー社長は、なぜ会議で「全社員に発言」を求めるのか
(出典:ダイアモンドオンライン)
2つの記事に渡る長い記事だが、なぜモスフードサービス社が絶好調なのかを知ることができる。
なぜ、モスフードサービス社が展開するモスバーガーが人気なのかその理由をまとめていこう。
まず、コロナ禍でモスフードサービス社が好調な理由は、2つ挙げられている。
その1つが、テイクアウト業態があったこと。
新型コロナウイルスが拡がっていく中、テイクアウト業態を始めようとする企業も増えたが、もともとテイクアウト業態を持っていた企業に追いつくのは、なかなか難しい。
細かいオペレーションのところまで網羅し、利益を上げる構造を作るのは簡単ではないということだ。
そしてもう1つが、立地ごとに異なる複数の店舗形態があることがモスフードサービス社の強みだ。
ドライブスルーは郊外型が多く、ビルインは住宅地、ビジネス街、繁華街などが多い。
また、フードコートは大型の商業施設やホームセンターに入っているので、それぞれの店舗でリスクヘッジできるのだ。
ビルインの集客が減ってもドライブスルーは好調という流れができるというわけだ。
モスフードサービス社の転換点
もちろん、業績が好調な理由は上記に挙げた2つだけではない。
2019年3月に行ったチェーン方針説明会と、2019年4月に行った組織変更が大きく影響しているという。
というのも、実はモスフードサービス社は当時、創業以来の危機に面していた。
2018年8月に起きた食中毒事故がその要因である。
長野県のモスバーガーの店舗を利用した人がで食中毒の症状がみられるとの指摘を受け、県内2店舗で行政処分を受けた事案である。
2018年9月には、関東甲信地方の19店舗を利用した計28人に、O121感染者がいたことを明らかにした。
同時に、生鮮野菜を中心として、生産、検査、物流、店舗に至る全ての過程において、さらなる洗浄、除菌、食材の検査項目の追加などの再発防止策を発表した。
食中毒事故を二度と起こさないよう、調達から何から、すべてのレベルを高めるという誠実な対応を徹底したのである。
フランチャイズオーナにも徹底した情報共有と数字の公開を行い、2019年3月までにしっかりと売上を前年比100%まで戻すと宣言した。
食中毒事故の影響で2018年9月と10月の全店売上高は前年比約15%減、2019年3月期の業績は、11年ぶりの連結最終赤字となった。
けれども、2019年3月には宣言通り、単月の既存店売上高は前年比100%を超える102.3%にまで回復させるという結果を残した。
具体的な施策
数字だけでは、実際になにが行われたのかわからない。
具体的になにをやったのかというと、2019年3月の経営改革の公表をフランチャイズオーナーたちへのチェーン方針説明会で発表した。
その説明会はタップダンスで始まるという奇抜な方法だったそうだ。
その演出は外部のプロデューサに依頼したそうだが、新たな挑戦をするという意思表示だったという。
もちろん、タップダンスを踊ったことで組織が変わるはずもない。
2019年4月から、マーケティング本部を新設するとともに、その下に商品開発部門を置くという組織変更を行っている。
そもそも、プロダクトアウトが主軸の手法だったのをマーケットインの視点を強化したのである。
つまり、おいしい商品さえ作ればお客様から評価されて来てもらえるんだという発想から、顧客ニーズをもっと丁寧に見ながら商品開発をすべきという視点へ変更したのである。
その成果の1つが、グリーンバーガーである。
ただ、このマーケットインの視点を取り入れたことが当たった理由を下支えしていたのは、プロダクトアウトで生まれた商品たちだった。
モスバーガー、テリヤキバーガー、ライスバーガーなど、創業者がトップだった時代に開発した商品たちが、モスはやっぱりおいしいし、面白いことやるよねというイメージを定着させたのである。
若者のモス離れを食い止めたのは、マーケットインから生まれた商品だけでなく、プロダクトアウトで生まれた商品たちも上手く噛み合った結果だということだ。
まとめ
もちろん、組織の改変や商品開発だけが業績を押し上げているわけではない。
2021年から、新たな取り組みとして、Challenging 01(チャレンジングセロワン)を始めている。
こういうことをやってみたいというアイディアがあれば提案して取り組むことができる、社内ベンチャー的な制度である。
ゴールを明確にすることを最重要視して、それに向けた人材育成、組織づくりを行っているということだ。
例えば、2019年10月の消費税引き上げにより、イートイン(店内飲食)は10%、テイクアウトは軽減税率8%となるのを控えいた。
となると、テイクアウト需要が増えることが予想されたことから、テイクアウト商品に備えた取り組みを行った。
バンズの保水性を高めてしっとりした食感が長持ちするようにしたり、ソースの粘度を上げたり、テークアウト用ボックスの中で蒸れないように空気穴をつけたりといった具合いだ。
こういったことが個人レベルから組織として行える企業は本当に強い、いわゆる本物の企業だ。
どういった場所を企業として目指すのか、トップがシナリオを描き、仲間たちが育っていく。
参考になった部分は多々あり、私の中で上手に変換して攻めていこうと思う。
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