惨憺経営(さんたんけいえい)
→ 心を悩まし、あれこれ考え計画すること。
生きていれば、様々な悩みが生まれる。
その都度、あれこれ考えて計画して実行してのくり返しを行うわけだが、その計画の中に必ず含まれているものがある。
それは、心理を追求するという部分で、それを現代風にはマーケティングとかブランディングと呼ぶと私は度々主張している。
そして、今やビジネスにおいてマーケティングが基本にあることも改めて主張しておきたい。
CMOという注目のポジション
組織で動く際には役職というものが必然的に必要となってくる。
というのも、TOPの意思を拡げていくためには、自ずとヒエラルキーが生まれていくからである。
そんな役職としてCMOというポジションが注目されている。
CMOとはChief Marketing Officerの略称で、最高マーケティング責任者のことだ。
その他の役職は過去にまとめているので、時間のある人は下記も併せて読んでいただきたい。
もちろん、この中でもCMOについて触れているが、CMOは市場や顧客の調査といったこと以外にも、マーケティング戦略の策定、実行も担う。
そして、少し前のデータになるが、2014年3月18日に経済産業省の審議会、サービス産業の高付加価値化に関する研究会での配布資料によると、CMOを任命している企業の割合は下記のとおりだ。
- アメリカ:62%(フォーチューン500社)
- 日本:0.3%(時価総額上位300社)
現在は2023年1月ということなので、約9年前のデータということでかなり古いが、もっと増えているのは確実だと思う。
それだけ、マーケティングというものは重要視されている。
というのも、かつてはマーケティングとは、広告宣伝と狭い領域いう位置づけだったが、今やマーケティングとはビジネスそのものをつくるという概念になっているからである。
その背景には、テクノロジーの進化が確実に影響しており、デジタルの普及からビジネスモデルそのものにマーケティングの要素が組み込まれるようになっているからである。
ビジネスモデルの変化
モノやサービスを売ったら終わりのビジネスモデルから、サブスクリプションへと変遷している。
いわゆるサブスクモデルは、デジタルマーケティングを駆使して、サービスを継続してもらうビジネスへと大きな変化が起こったわけだ。
モノを売るにしても、流通小売りを介さず、ネットを通じて顧客に直接商品を販売するD2Cモデルが台頭している。
また、顧客を1つのIDで一意に把握し、密なコミュニケーションによるCRMと呼ばれる顧客関係管理で、長期的な関係を構築することの重要性が増した。
マーケターは商品やサービスの認知から購買を経て、優良化までの顧客体験全般を設計できる能力を求められるようになっているのが現状だ。
このように、事業モデルの変化によって、顧客はモノ単体ではなく、モノを通した体験に対価を支払うようになっている。
そうしたモデルの設計には、マーケティング的な感覚が必要だということは理解できるだろう。
もちろん、提供するモノやサービス自体が優れていることが大前提ではあるが、ビジネスモデルの構想段階からマーケティング要素を織り込まなければ、今や顧客を満足させられない。
となると、必然的にデジタルマーケティング、つまりデジマの分野で活躍できる人材は重宝されるというわけだ。
CMO(最高マーケティング責任者)に求められる考え方と行動特性
顧客感度を高めて顧客起点の思考を身に付ける
まず、顧客に対する理解や解像度を高め、すべてを顧客の目線で組み立てていくことが重要だ。
とはいえ、この考え方はなにも現在における特別なものではなく、昔から変わらない重要な考え方だ。
ある意味で当たり前なのだが、デジタル化によって様々な指標が数字で追えるようになったことから、弊害が生まれるようになっている。
というのも、もちろん数字を追ってデータ化していくことは大切なのだが、数字を追うことが目的となり、マーケティングから顧客理解が抜け落ちてしまうことがしばしばあるからだ。
このことに経営層やブランドマネジャーが気づいていないと、問題が起きてくる。
例えば、結果として誰も求めていない機能開発に注力してしまったり、意図せず顧客体験を損ねてしまったりといった具合いだ。
こういった事態を防ぐために、顧客理解を改めて重要だと意識しておくべきなのだ。
CMOの役割は、経営そのものにマーケティングをインストールすることだ。
すべての顧客接点を把握し、体験を改善していくマーケティングの視点を経営に組み込むことで、顧客起点の経営の実現に近づくことができるというわけだ。
プロモーションや営業に寄りがちな投資の見直し
そして、プロモーションや営業に注力して売り上げを維持したり向上している状態は、実は健全とはいえないということを把握しておこう。
それは、本来、プロダクト自体に強い便益と独自性があり、顧客に価値を見い出してもらえるなら、過剰な売り込みなどしなくても売り上げはついてくるはずだからである。
今の時代は、EC技術の発展で顧客とダイレクトに繋がりやすくなり、その意見を商品やサービスの機能改善などに反映しやすくなっている。
つまり、いたずらに広告を出して、一方的に情報を押し付ける施策は見直すタイミングにきているということを再認識する必要がある。
ただただ認知を取りに行くだけではなく、認知から顧客、つまりユーザの獲得ができたのであれば、そこから先にどうやってユーザの満足度を向上させるかが重要である。
ましてや、上述したとおり、サブスクモデルが浸透し始めている現代のビジネスモデルにおいては、CMOを中心にしたマーケティングの見直しは不可欠だ。
ユーザおよびパートナー企業との共創
くり返しになるが、サブスクモデルが世の中に台頭して浸透しつつある。
そんな時代には、ユーザの意見や利用データなどからサービスの課題を導き出し、常にプロダクトを改善していくことが、プロダクトの質の向上にダイレクトに結びつく。
ということは、まずはモノやサービスを使ってもらえるという状況を生み出すことが重要で、使ってもらえるからこそ利用データが溜まっていく。
そして、改善の糸口が見つかるという当たり前のことを改めて認識すべきである。
顧客、つまりユーザとの共創によってプロダクトが成長していくビジネスモデルが現代のビジネスの根本にあるということだ。
このプロセスを健全に回るように整えることも、これからのマーケターは当然視野に入れなければならない。
と同時に、取引先などのパートナー企業との関係も常に見直す必要が出てくる。
かつてのような受発注に基づく上下関係ではなく、共にユーザに向き合い、知恵を出し合うフラットな共創関係を築くことが大切だ。
広告代理店に宣伝案を一任するなど、取引先の企業に業務を丸投げするような事業会社が、今や次々に衰退している実態を忘れてはいけない。
その理由は、1社だけでは顧客の課題を解決できない、あるいは課題を見い出せないほど、ユーザが多様化しているからだ。
自社にない専門性を持つ取引先などのパートナー企業を尊重し、ユーザへの価値提供と事業のゴールに向かって、共に走るようなビジョンを持つことが重要だ。
まとめ
CMO(最高マーケティング責任者)というやりがいのあるポジションについて書いてみたが、いかがだろうか。
個人的にもマーケターを目指す人が増えてもらいたいと心から思っている。
そのためには、まず、意識すべき最優先項目がある。
いわゆる、マーケターを目指すために必要な4Pというものがあるので、最期にそれも紹介しておこう。
- Product = 商品・サービス
- Price = 価格
- Place = 店頭・接客
- Promotion = 広告・PR
上述した4つの頭文字を取って4Pと呼ぶわけだが、この4Pの知識を身につけて実践できる場所探すということだ。
どんな商品やサービスでもマーケティングすることで、世の中に浸透させていくということができるようになれば、それだけでワクワクしないだろうか。
大切なことは、ただただ知識を溜め込むだけでは意味がない。
実践できる場に常にいることで成長していけるし、間違いなく成長分野であることを改めて主張しておく。
stak, Inc. でも実際にマーケティングをやってみたいといった人たちを欲しているので、興味のある人は気軽に連絡いただきたい。
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