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2022年8月21日 投稿:swing16o

知っておきたい難病と指定難病

膏肓之疾(こうこうのしつ)
→ 治療しにくい病気や難病のこと。

医学の進歩は素晴らしい。

平均寿命や健康寿命が伸びている理由に医学の進歩があることは紛れもない事実だろう。

一方で、難病と呼ばれる、治療が難しく慢性の経過をたどる疾病も未だに多く存在する。

また、国が難病の患者に対する医療等に関する法律に定められる基準に基づいて医療費助成制度の対象としている難病を、指定難病と呼ぶ。

おそらく、多くの人が知っているようで知らない難病および指定難病についてまとめてみようと思う。

今さら聞けない指定難病ってなぁに?

厚生労働省が管轄の難病の患者に対する医療等に関する法律の第5条をまとめると、指定難病は、難病のうち以下の要件を全て満たすものをいう。

  • 患者数が本邦において一定の人数(人口の0.1%程度)に達しないこと
  • 客観的な診断基準またはそれに準ずるものが確立していること

この指定難病は2015年(平成27年)から厚生労働省の指定難病のページから見ることができる。

指定難病

指定難病の対象となる疾患は、今後も継続的に選定されるとしており、2021年(令和3年)まで随時更新されている。

また、難病の患者に対する医療等に関する法律は、指定難病のある人のうち、重症者や継続的医療が必要な場合に医療費助成制度の対象とすることを定めている。

指定難病と診断され、病状の程度が重症度分類等という基準において一定の程度以上であったり、継続的な高額医療費の負担のある場合、医療費助成制度の対象となるというわけだ。

対象者は都道府県の窓口へ申請し、審査を経て認定を受けるというフローだ。

指定難病の診断基準と重症度分類等は個々の疾患ごとに設定されているので、参照して欲しい。

ちなみに対象者の要件は下記のとおりだ。

  • 指定難病にかかっており、その病状の程度が厚生労働大臣が定める程度であること
  • 指定難病にかかっているが、その病状の程度が厚生労働大臣が定める程度ではない者で、申請月以前の12ヶ月以内にその治療に要した医療費総額が33,330円を超える月が3月以上あること

指定難病の定義には下記が明記されている。

  1. 発病の機構が明らかでないこと
  2. 治療方法が確立していないこと
  3. 希少な疾病であること
  4. 長期の療養を必要とすること
  5. 患者数が本邦において一定の人数に達しないこと
  6. 客観的な診断基準が確立していること

この6つの全ての要件を満たすものとして厚生労働省が定めていなければいけない。

2021年(令和3年)の指定難病

最新の厚生労働省の発表である2021年(令和3年)の指定難病は6つある。

1)自己免疫性後天性凝固因子欠乏症

自己免疫性後天性凝固因子欠乏症は、血が固まる、つまり凝固するために必要なタンパク質である凝固因子に結び付く抗体ができて働かなくなったり、極端に少なくなったりするという症状だ。

そのため、血を止めるための血の固まりができにくくなったり、脆くなって簡単に壊れやすくなり、自然にあるいは軽い打撲などでさえ重い出血をする病気のことだ。

患者数は約700人ということである。

2)脳クレアチン欠乏症候群

脳クレアチン欠乏症候群は、脳の神経細胞でクレアチンが足りなくなることで、脳の働きが低下し、知的障害、言葉の遅れ、てんかん、自閉症スペクトラム、運動発達の遅れを呈する疾患である。

  • AGAT(アルギニン:グリシンアミジノ基転移酵素)欠損症
  • GAMT(グアニジノ酢酸メチル基転位酵素)欠損症
  • クレアチントランスポーター欠損症

上記の3つの疾患が知られている。

患者数は100名未満だという。

3)ネフロン癆

ネフロン癆は、腎臓に球場の袋である嚢胞ができる進行性の腎疾患のことをいう。

腎臓の尿細管細胞に存在する一次繊毛の構造的、機能的異常が原因とされ、その結果として腎臓の構造や機能障害を引き起こすのである。

患者数は130〜220人程度だという。

4)家族性低βリポタンパク血症1(ホモ接合体)

コレステロールや中性脂肪などの脂質は、食事から取り込まれたり、体の中で合成されたりして、最終的には血中を運ばれて全身の組織で利用されている。

このような脂質は水に溶けないため、血液の中ではアポリポタンパクと結合し、リポタンパクという粒子で存在する。

家族性低βリポタンパク血症1(ホモ接合体)は、リポタンパクを作るAPOBという遺伝子に変異があるために、脂質が十分に吸収および運搬ができなくなることで、様々な合併症を引き起こしてしまう病気だ。

患者数は100万人に1人以下とされており、日本では数家系のみだという。

5)ホモシスチン尿症

ホモシスチン尿症は、先天性アミノ酸代謝異常症の一種であり、メチオニンの代謝産物であるホモシステインが血中に蓄積することにより発症する。

欠損酵素の種類により3病型があり、いずれも常染色体劣性遺伝疾患である。

ホモシスチン尿症Ⅰ型は、シスタチオニンβ合成酵素(CBS)欠損症を指し、血中メチオニンを指標とする新生児マススクリーニングの対象疾患とされている。

また、Ⅱ型はコバラミン代謝系コバラミンC、Ⅲ型は葉酸代謝系メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)の異常に起因するが、新生児マススクリーニングの対象疾患ではない。

症状としては、全身性に神経障害や血栓症による症状が出現し、病型により骨格異常、眼症状、血液異常が加わる。

食事療法やビタミン補充などが対症療法として行われるが、特に血栓症による合併症が生命及び長期的予後を不良とするというものだ。

患者数は、Ⅰ型が約200人、Ⅱ型およびⅢ型は100人未満だという。

6)進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)とは、様々な遺伝子異常により肝細胞から胆汁が排泄できなくなり、肝細胞内に胆汁がうっ滞し、肝細胞が障害されることで起きる病気だ。

常染色体劣性遺伝という遺伝形式をとり、その原因遺伝子によってPFIC1型から5型までが知られている。

乳児期から黄疸が持続し、次第に痒みも強くなるのが特徴だ。

胆汁うっ滞による肝障害が持続すると、肝臓は次第に線維化が進行して硬くなり肝硬変となる。

患者数は約100人だという。

指定難病の総数

2021年(令和3年)に指定された指定難病は6つだが、総数は300を超える。

その1つ1つが100人未満からという少数の人が患っているもので、それだけ珍しい病気だということは理解できるだろう。

そして、難病というからにはほどんどの難病に確立された治療法がないのが現状である。

もちろん、世界中の優秀な医者や医療機関が日々治療法を模索しているのだと思うが、人類の最も弱い部分というかどうしようもないところでもあるように思う。

1つでも多くの難病が治る方向に向かうことを心から望んでいる。

まとめ

難病と聞いても、いまいちピンとこないのは自分には関係のないと思っている人が世の中の大半だからである。

それは私にとっても同じことだといえる。

自分自身や親族、身近な友人たちが難病になったときに初めて向き合うというものなのだろう。

こういう言い方をすると語弊があるかもしれないが、願わくばそういった難病に自分自身がならない人生を送りたいし、周りにいる人たちにも同じことを望む。

とはいえ、いつ難病を患う側に行くかは誰にもわからないことだ。

そうなったときに、全く無知であることよりは少しは気持ちが安らぐ気がする。

それから、難病や指定難病とされた病気や疾患よりも、避けたいことがある。

老害という最も難病であるカテゴリに入れられないようにするということだ。

ある意味で、難病や指定難病よりも老害という病気の方が世の中において治療方法がなく、悪だと思っている。

 

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植田 振一郎 Twitter

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