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2021年11月14日 投稿:swing16o

首都圏外への本社機能移転が過去最大になる可能性

睚眥之怨(がいさいのうらみ)
→ わずかな恨みのこと。

わずかなことが大きな変化を生む場合もある。

ここ数年で大きな変化というか、否応なしに対応せざるを得なくなったことに、新型コロナウイルスの影響があるだろう。

そんな大きな変化の中に小さな変化がいくつも起きている。

本社を首都圏外に移転する企業数が、1990年以降で最多となる可能性が高まっているというのだ。

コロナ収束後も企業の脱首都圏の流れ

「首都圏外への本社移転」が過去最多ペース、コロナ収束後も増加の可能性

(出典:DIAMONDオンライン)

日本国内で新型コロナウイルスが発見されてから間もなく2年という月日が流れることになる。

2年の間に2回目のワクチン接種が終わった人は7割を超え、少しずつ感染者数が減少傾向にあり、日常を取り戻しつつあるように思う。

一方で、ネガティブな声も多い。

第六波が必ず来るといったものや、海外から人を受け入れるようになると変異株がまた日本国内で蔓延するといった具合だ。

新型コロナウイルスは日常の生活リズムを変えた。

ソーシャルディスタンスの浸透、フードデリバリーの普及、ECを使ったネット通販の利用といったところが大きなところだろう。

個人の生活リズムだけでなく、企業にも影響を与えている。

それが、本社移転という考え方だ。

新型コロナウイルスによって企業の中で浸透したものは、間違いなくリモートワークという概念だろう。

今までは面会していたものがオンラインに置き換わり、当たり前のようにオフィスへ出社していたのに家で仕事をするようになった。

約半分の企業がオンライン会議を取り入れたといわれており、リモートワークが定着した企業は30%強になるという。

テクノロジーがまた1つ変化をもたらしている。

企業の首都圏からの転出が増加したのである。

首都圏外への移転企業数

そもそも、BCP(事業継続計画)の観点から営業拠点の分散が経営上求められてきた。

ところが、地方での人材確保の難しさなどから、なかなか進めることができなかった背景がある。

それが今回の新型コロナウイルスの影響で、人口が密集する都市圏での感染症拡大リスクを改めて感じさせる結果となった。

加えて、オンラインツールの浸透により、首都圏外へ移転する企業が増えている。

帝国データバンクの調べによると、2021年1~6月の半年間に、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)から圏外に移転した企業の数は186社となった。

2021年6月時点で150社を超えるのは過去10年間で初めてのことだそうだ。

このままのペースが続けば、年間300社を超えることになる。

これは2002年の311社以来で、1990年以降で過去最多だった1994年の328社を超える可能性もあるというのだ。

 

過去に転出企業が増加した当時を振り返ると、景気の悪化局面で企業業績が苦戦していた時期と重なることが理解できる。

1990年以降の転出入を見ると、景気の波はあったもののバブル経済の崩壊や平成不況など、総じて長期間にわたる景気低迷の時期だったこともあり、2002年まで首都圏からの転出超過が続いた。

IT需要の拡大で上向いてきていた景気が、2000年にはアメリカ経済の減速で輸出が落ち込み後退局面に入った影響もあって、2001年には転出企業が316社まで増加している。

翌2002年には311社が転出し、2年続けての300件超えの転出超過となった。

首都圏からの転出超過が一転して転入超過になったのは2003年のことである。

この当時は2002年2月〜2008年2月までの73ヶ月にわたる景気回復期で、戦後最長だった、いざなぎ景気を超えたことでも話題となったタイミングだ。

この期間から若干のタイムラグがあって2003年から転入超過に転じ、それが2008年まで続いた。

また、2012年〜2018年10月まで続いた景気回復期でも同様に首都圏への転入超過が続いている。

新型コロナウイルス収束後の脱首都圏の可能性

これまで景気の悪化局面で首都圏から企業が転出していった理由は、経費削減の目的が大きい。

オフィスの賃貸料を少しでも抑えるために、比較的家賃負担が軽い首都圏外に移転する企業が増えたということだ。

今回の新型コロナウイルスの影響による本店移転の背景には、これまで同様に業績悪化に備えた経費削減もあるだろう。

ただ、それだけではなく、首都圏における新型コロナの感染拡大で、本社機能や主要拠点が首都圏に集中するリスクヘッジの意図もあるとされる。

この結果を受けて、大手企業においても本社機能を圏外に移す動きが見られるなど、これまでの首都圏集中からの変化が見られるようになった。

今後もオンラインによる会議や商談がますます浸透することが予想される。

そして、新型コロナウイルス以外にも発生が懸念される感染症への対策や大地震といった自然災害など、首都圏が抱える様々な問題のリスクヘッジも後押ししている。

まとめ

くり返しになるが、従来は景気が回復すると再び首都圏への企業の転入が増加するという流れだった。

それが、新型コロナウイルス対策としてオンラインツールが普及したことによって企業文化にも変化が起こっている。

ここにもまたテクノロジーが影響を与えていることを改めて主張しておきたい。

地方活性化が思わぬ形で訪れているのかもしれない。

なによりも、この流れを全ての地方都市が受け入れられるはずもなく、勝ち組と負け組が生まれるだろう。

 

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植田 振一郎 Twitter

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